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ここでネタばらし。妹は勝利して王太子は崩れ落ちた。
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この場にいた者たちの反応は推して知るべし。王太子は言ってやったとばかりにご満悦な様子で、ポーラは喜びをあらわにして王太子に抱きつき、ミッシェルは口角が釣り上がろうとしていたのを口元ごと手で隠す。
「とうとうポーラ達、一緒になれるんですね!」
「ああ。これで私達はずっと一緒だ。愛しているよポーラ」
「嬉しいですトレヴァー様! お腹の子も喜んでくれますよ!」
「ああ、絶対に離さない。幸せな家庭を築こうじゃないか」
ポーラの口走った言葉の意味を察したのは一体何人ぐらいいただろうか?
あまりに事が動きすぎて聞き流す者が多い中、次第に動揺が走り出す。
しかし、それすらこの後の会話の前では取るに足らなかった。
「ポーラ。どうかこれからも私を支え、共に国をより良くしていこう」
「え? 嫌です」
ポーラの回答に王太子は暫くの間反応出来なかった。
やがて拒絶された、と理解すると、困惑して表情が崩れる。
「え、と……ポーラ?」
「あれ? 聞こえませんでしたか? 嫌だと言いました」
「どう、して……?」
「だって、トレヴァー様がポーラを支えてくださるんでしょう? 公爵家に婿入りして」
平然と言い放つポーラ。愕然とする王太子。
ポーラはなおも理解を拒む王太子を心底不思議そうに見つめる。
それが得体のしれなさを演出し、王太子を更に混乱させる。
「あれ? まさかトレヴァー様ったら、お姉様との婚約関係を何の非もないのに一方的に破棄しておいて、なおも王太子のままでいられると思っていたんですか? トレヴァー様も仰ったように百年に一度出るか出ないかの逸材だったお姉様を、好かれたかったって個人的感情だけで突き放した身勝手な王子が許されるとでも?」
「……!」
「先日国王様とお話したんですけれど、トレヴァー様は一旦廃嫡になるんですって。でもすぐ公爵家が迎え入れますから大丈夫ですって。トレヴァー様はとても凄いですから、ポーラの代わりに公爵としてのお務めも難なくこなせますよ。これからも一緒に頑張りましょうね!」
満面の笑みをこぼすポーラは果たして皆にはどのように目に映っただろうか?
愛嬌を振りまくばかりの能天気な小娘が王太子をはめた、という現実を。
ちなみにさらっと説明したけれど、ポーラはつい数日前に国王直々に事情を問いただされた。その時にポーラは自分が王太子妃になる気はさらさら無い上に王太子に迫られて関係を持った挙げ句に子を身籠ったことを告げた。それを受けて国王は勝手な真似をした王太子をその資格なしとみなして廃嫡を決め、なら自分が貰うと宣言したポーラの発言を受け入れたんだそうだ。……どうやってその結論にこぎつけたかはあえて聞くまい。
「ごめんなさい。ポーラはトレヴァー様を案じて慰めてましたけれど、それがいけなかったのかもしれませんね。でもポーラも子供じゃありませんからちゃんと責任は取ります。でもトレヴァー様もポーラを愛した責任をきちんと取ってくださいね」
「まさか、初めからそのつもりで私に近寄ったのか……?」
「ポーラはトレヴァー様を愛していますよ。そこはお姉様と違いますから安心してください。でも、確かに打算も入ってましたね」
ポーラはその場で一回転した。浮かべたその微笑みはとても可愛らしく、しかし見た目とは裏腹にどこか魔性の魅力を伴っている印象を受けた。さながら、多くの異性を虜にし、惑わし、堕落させる類のもの、との。
「ポーラ、結構根に持つ方なんです。アイツにお母さんが馬鹿にされたことが悔しくて悔しくて。だからざまぁみろって言ってやりたくて仕方がなかったんです」
「何を言って……?」
「アイツは世間じゃ完璧だの模範だのって持て囃されてるらしいじゃないですか。だからポーラは証明してみせますよ。アイツがいなくたって上手くやれるんだ、ってね。アイツが心底見下してきた、この能も学も無いポーラでも、ってね」
それがポーラの本当の狙い。
アイツ、すなわち女公爵の評判を地に落とすこと。
ポーラは能も学も無いと自称したけれど、それは違う。ポーラには人を使う才能がある。その一点だけでポーラはあの女侯爵を凌駕しようとしている。
例え、王太子を自分の手元に引きずり込んででも――。
「ポーラだけじゃ無理でもトレヴァー様がいてくださったら絶対出来ます。だって国王にもなれた人なんだもの、公爵ぐらい楽勝ですよね!」
「……――」
王太子は膝から崩れ落ちた。
王太子に同情すべきかポーラを褒め称えるべきかはともかく、一つ言えることがある。
女公爵の名声は、今日ここに終わる。
これはその序章に過ぎない。
「とうとうポーラ達、一緒になれるんですね!」
「ああ。これで私達はずっと一緒だ。愛しているよポーラ」
「嬉しいですトレヴァー様! お腹の子も喜んでくれますよ!」
「ああ、絶対に離さない。幸せな家庭を築こうじゃないか」
ポーラの口走った言葉の意味を察したのは一体何人ぐらいいただろうか?
あまりに事が動きすぎて聞き流す者が多い中、次第に動揺が走り出す。
しかし、それすらこの後の会話の前では取るに足らなかった。
「ポーラ。どうかこれからも私を支え、共に国をより良くしていこう」
「え? 嫌です」
ポーラの回答に王太子は暫くの間反応出来なかった。
やがて拒絶された、と理解すると、困惑して表情が崩れる。
「え、と……ポーラ?」
「あれ? 聞こえませんでしたか? 嫌だと言いました」
「どう、して……?」
「だって、トレヴァー様がポーラを支えてくださるんでしょう? 公爵家に婿入りして」
平然と言い放つポーラ。愕然とする王太子。
ポーラはなおも理解を拒む王太子を心底不思議そうに見つめる。
それが得体のしれなさを演出し、王太子を更に混乱させる。
「あれ? まさかトレヴァー様ったら、お姉様との婚約関係を何の非もないのに一方的に破棄しておいて、なおも王太子のままでいられると思っていたんですか? トレヴァー様も仰ったように百年に一度出るか出ないかの逸材だったお姉様を、好かれたかったって個人的感情だけで突き放した身勝手な王子が許されるとでも?」
「……!」
「先日国王様とお話したんですけれど、トレヴァー様は一旦廃嫡になるんですって。でもすぐ公爵家が迎え入れますから大丈夫ですって。トレヴァー様はとても凄いですから、ポーラの代わりに公爵としてのお務めも難なくこなせますよ。これからも一緒に頑張りましょうね!」
満面の笑みをこぼすポーラは果たして皆にはどのように目に映っただろうか?
愛嬌を振りまくばかりの能天気な小娘が王太子をはめた、という現実を。
ちなみにさらっと説明したけれど、ポーラはつい数日前に国王直々に事情を問いただされた。その時にポーラは自分が王太子妃になる気はさらさら無い上に王太子に迫られて関係を持った挙げ句に子を身籠ったことを告げた。それを受けて国王は勝手な真似をした王太子をその資格なしとみなして廃嫡を決め、なら自分が貰うと宣言したポーラの発言を受け入れたんだそうだ。……どうやってその結論にこぎつけたかはあえて聞くまい。
「ごめんなさい。ポーラはトレヴァー様を案じて慰めてましたけれど、それがいけなかったのかもしれませんね。でもポーラも子供じゃありませんからちゃんと責任は取ります。でもトレヴァー様もポーラを愛した責任をきちんと取ってくださいね」
「まさか、初めからそのつもりで私に近寄ったのか……?」
「ポーラはトレヴァー様を愛していますよ。そこはお姉様と違いますから安心してください。でも、確かに打算も入ってましたね」
ポーラはその場で一回転した。浮かべたその微笑みはとても可愛らしく、しかし見た目とは裏腹にどこか魔性の魅力を伴っている印象を受けた。さながら、多くの異性を虜にし、惑わし、堕落させる類のもの、との。
「ポーラ、結構根に持つ方なんです。アイツにお母さんが馬鹿にされたことが悔しくて悔しくて。だからざまぁみろって言ってやりたくて仕方がなかったんです」
「何を言って……?」
「アイツは世間じゃ完璧だの模範だのって持て囃されてるらしいじゃないですか。だからポーラは証明してみせますよ。アイツがいなくたって上手くやれるんだ、ってね。アイツが心底見下してきた、この能も学も無いポーラでも、ってね」
それがポーラの本当の狙い。
アイツ、すなわち女公爵の評判を地に落とすこと。
ポーラは能も学も無いと自称したけれど、それは違う。ポーラには人を使う才能がある。その一点だけでポーラはあの女侯爵を凌駕しようとしている。
例え、王太子を自分の手元に引きずり込んででも――。
「ポーラだけじゃ無理でもトレヴァー様がいてくださったら絶対出来ます。だって国王にもなれた人なんだもの、公爵ぐらい楽勝ですよね!」
「……――」
王太子は膝から崩れ落ちた。
王太子に同情すべきかポーラを褒め称えるべきかはともかく、一つ言えることがある。
女公爵の名声は、今日ここに終わる。
これはその序章に過ぎない。
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