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覚醒③・侯爵令嬢は魔女となる
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最初にジークリットの変化に気付いたのはキルヒヘル家の使用人達だった。
これまでジークリットは自信の無さから廊下ですれ違う使用人に対してもどこか怯えが見れらた。ところが気が付けばジークリットは堂々とした様子に変わっており、更には余裕と優雅さを感じさせる雰囲気を伴っていたのだ。
次に変化に気付いたのはジークリット付きの侍女だった。
これまでジークリットは侯爵夫人や姉妹達に目を付けられないよう地味にしていた上に背筋も丸めていた。化粧もせずに肌や髪の手入れとも無縁。折角の整った美しさが霞むほどに影が落ちており、根暗な印象を周囲に与えていた。
ところが、ジークリットはある日突然着衣と髪型を一新した。己の美貌を誇示するかのようにし、うっすらと化粧も施すようにした。緩やかな巻き毛とした髪は豊かさを感じさせ、暗かった表情は大輪の花が咲いたように輝いていた。
ジークリットの姉は変貌した妹を目の当たりにしてまず目を奪われた。そして次に少しでも魅了された自分を恥じ、そして妹に初めて憎悪した。これまで所詮取るに足らない妾の子だと侮蔑していた小娘を敵だと認識した。
侯爵夫人は恐怖した。自分の夫の心を奪った下賤な男爵令嬢の美しさを受け継いだ小娘に。今度は自分どころか自分が産んだ娘達すら夫に見向きもされなくなるのではと想像して。虐げてきた報復をされるのではないかと勘繰って。
だが、侯爵夫人達が危機感を抱いた時はもう遅かった。
既にジークリットは魔女からその多くを授かっていたから。
それはマクシミリアンの婚約者に誰を選ぶか定めなければならない日までわずかに迫った頃だった。姉はジークリットに魔法の演習を持ちかけて庭に呼び出す。そして彼女を排除すべく不慮の事故を装って殺傷力のある攻撃魔法を仕掛けた。
そうして攻撃魔法の餌食となった。放った姉の方が。
ジークリットが何の動作も無く反射魔法を解き放っていた為だった。
更に、重傷を負った姉をジークリットは回復魔法を行使して一瞬で治す。
肉体だけを治して破れた衣服はそのままだったため、姉はあられもない姿をさせる始末。受けた屈辱と恥辱でただジークリットを睨みつけるしかなかった姉に対し、ジークリットは歯牙にもかけずに姉へ気配りを見せた。
「誰か、お姉様にかける毛布か外套を持ってきなさい」
情けをかけられたと受け取った姉は更にジークリットを貶めようと試みたものの、悉く返り討ちに遭った。直接魔法を向けるものなら反射魔法で自爆。私物を隠しても探索魔法で見つけ出される。一度紅茶を頭からかけた時は彼女には理解出来ない高度な複合魔法で対処された。
業を煮やした姉はとうとうジークリットのドレスや寝具等をずたずたに引き裂いた。さすがに破壊されたモノはもう直せないと高をくくったからだ。無残な姿を晒すジークリットの私室を目の当たりにした侍女は眩暈を起こして気絶しかけた。事情を知る使用人もやりすぎだと内心憤った。
だが、ジークリットは事も無さ気に全てを元の姿へと戻していった。彼女が腕を振るう度に千切れたドレスは再びその鮮やかさを、散らばった羽毛は布袋に収まって布団の姿を取り戻す。目の前の現象が信じられなかった姉に対し、ジークリットの姿をした何かが語りかける。
「時を巻き戻したのです。神様に命を授けられた行きとし生ける者はともかく、物であれば造作もない事ですねえ」
姉の心はここで折れた。もはや妹に敵う術など無いと。
侯爵夫人はそれでも諦めきれなかったが、彼女が気が付いた頃には末娘はジークリットに懐柔されていた。いつの間にかジークリットは妹に魔法の手ほどきをするようになっており、妹を可愛がる男兄弟達も段々とジークリットと言葉数を多くしていったのだ。
そして侯爵夫人もとうとうジークリットを認めた。認めるしかなかった。ジークリットが自分の母親を完全回復させてしまったから。病気はおろかもはや手の打ちようも無かった大火傷の跡まで治してしまい、夫を虜にした美麗を戻してしまったから。
「ジークリット……」
「お母様。わたくしはとうとうやりましたわ。この日をどれ程待ち望んだか……」
母娘の感動の場面に侯爵や使用人達が感動の涙を流す中、侯爵夫人は膝をついて項垂れた。もはや見褒める他無かった。ジークリットがキルヒヘル家の誰よりも優れた魔法使いとなったのだと見せつけられたから。
結果、マクシミリアンの婚約者には満場一致でジークリットが選ばれた。
もはや侯爵家で反対する者は誰一人としていな方。
学園入学を間近にしたある日、キルヒヘルとザクセンの両家は正式な挨拶を交わした。ジークリットは自信を持って自己紹介を行った。マクシミリアンは礼儀正しく挨拶を返したものの、彼の気を全く引けていないとはジークリットもすぐに分かった。
その日の夜、ジークリットはマクシミリアンを庭に招待した。マクシミリアンはこのところ急速に魔法の腕を伸ばす侯爵令嬢が何をするかが純粋に気になったと正直に明かした。ジークリットは期待に応えましょうと微笑んだ。
ジークリットが夜空に打ち上げたのは火球だった。それは天高く舞い上り、音を立てて弾けた。光の花が咲き、やがて消えていく。その模様は様々で、色取り取りに輝き夜の空を照らした。マクシミリアンはその幻想的な光景に感嘆の声を漏らす。
「花火、と名付けました。火球魔法のちょっとした応用です」
「凄いな……。魔法を芸術として用いる文化は少なからずあるが、こんな使い方をしたのは初めて見た」
「工夫の仕方を変えればもっと様々な花火をお見せ出来ます。ご覧いただけます?」
「ああ、見せてもらおうか」
キルヒヘル家の敷地内から次々と打ち上げられる花火は屋敷にいた者達はおろか、周囲の市民達も空を見上げて見惚れた。ジークリット主催の祭りがどれほど続いたか、最後に一斉に巨大な花火を打ち上げて終幕となった。
再び星や月の灯りだけが照らす夜空に戻り、ジークリットはマクシミリアンに正面を向いて朗らかに微笑む。マクシミリアンは侯爵令嬢が催した演出もあって彼女から視線を離せなかった。ジークリットはそんなマクシミリアンへとしなだれるように身を寄せていく。
「わたくしは単に魔法を極めるだけに留まりません。魔法が人々の生活に役立つようにしたいのです」
「それは昔から研究されてきた。ただ確かに魔導師は自分の知識を貯め込むだけで満足しちまう奴が多いな」
「究極的には芸術、娯楽といった人々の余裕にも結び付けばと思うのです。今お見せしました花火もそういった考えから編み出しました」
「……ゆとりが生まれればそういった考えも出てくるのか。その発想は無かったな」
マクシミリアンはジークリットの頭に手を回す。まだ恋愛感情は生まれてないが関心、興味は引けた、とジークリットは手ごたえを覚えた。そしてマクシミリアンの胸の中で身を寄せつつ、ジークリットは頭の中で今後の算段を立てながら舌なめずりをした。
■■■
とうとう学園入学の時期を迎えた。この頃にはジークリットは魔女から全てを伝授されていた。もはや日々を耐え忍ぶだけだった惨めな自分とは決別した彼女は言動から思想まですっかり魔女のものに染まっていた。
魔女からの継承が進んでいく度にジークリットは魔女を認識出来なくなっていった。どのような原理で前世の自分を知覚出来たのかは未だ分かっていないが、本当は自分の目前に魔女など存在していないとだけは察した。
「ジークリットさん、わたくしの役目はこれにて終了とさせていただきます」
学園の登校初日、私室から出発しようとしたジークリットを魔女が呼び止める。ここ数日間ジークリットの前に魔女は現れなかったため、彼女は自主的に鍛練を積んでいた。久方ぶりに顔を合わせた魔女は穏やかな表情をさせていた。
「魔女様。寂しくなりますねえ」
「いいえ、本来わたくし共は一心同体。今のジークリットさんはわたくしそのものなのですからちっとも寂しくございませんとも」
「仰る通りかと。これからはわたくしが貴女としても歩んでいかなければなりませんし」
「はい。ですので今日からジークリットさんが名乗るといいでしょう」
――魔女、と。
こう言い残した魔女はジークリットが瞬いた直後には姿を消していた。まるで初めからいなかったかのように忽然と。むしろそれこそが本来あるべき現実だったのではないかと思わせる程に。
「左様です魔女様。これからはわたくしが魔女ジークリットとならねばなりませんから」
ジークリットは最後にかつての自分に向けて言い残し、学園へと出発した。
魔女ジークリットとして。
これまでジークリットは自信の無さから廊下ですれ違う使用人に対してもどこか怯えが見れらた。ところが気が付けばジークリットは堂々とした様子に変わっており、更には余裕と優雅さを感じさせる雰囲気を伴っていたのだ。
次に変化に気付いたのはジークリット付きの侍女だった。
これまでジークリットは侯爵夫人や姉妹達に目を付けられないよう地味にしていた上に背筋も丸めていた。化粧もせずに肌や髪の手入れとも無縁。折角の整った美しさが霞むほどに影が落ちており、根暗な印象を周囲に与えていた。
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だが、侯爵夫人達が危機感を抱いた時はもう遅かった。
既にジークリットは魔女からその多くを授かっていたから。
それはマクシミリアンの婚約者に誰を選ぶか定めなければならない日までわずかに迫った頃だった。姉はジークリットに魔法の演習を持ちかけて庭に呼び出す。そして彼女を排除すべく不慮の事故を装って殺傷力のある攻撃魔法を仕掛けた。
そうして攻撃魔法の餌食となった。放った姉の方が。
ジークリットが何の動作も無く反射魔法を解き放っていた為だった。
更に、重傷を負った姉をジークリットは回復魔法を行使して一瞬で治す。
肉体だけを治して破れた衣服はそのままだったため、姉はあられもない姿をさせる始末。受けた屈辱と恥辱でただジークリットを睨みつけるしかなかった姉に対し、ジークリットは歯牙にもかけずに姉へ気配りを見せた。
「誰か、お姉様にかける毛布か外套を持ってきなさい」
情けをかけられたと受け取った姉は更にジークリットを貶めようと試みたものの、悉く返り討ちに遭った。直接魔法を向けるものなら反射魔法で自爆。私物を隠しても探索魔法で見つけ出される。一度紅茶を頭からかけた時は彼女には理解出来ない高度な複合魔法で対処された。
業を煮やした姉はとうとうジークリットのドレスや寝具等をずたずたに引き裂いた。さすがに破壊されたモノはもう直せないと高をくくったからだ。無残な姿を晒すジークリットの私室を目の当たりにした侍女は眩暈を起こして気絶しかけた。事情を知る使用人もやりすぎだと内心憤った。
だが、ジークリットは事も無さ気に全てを元の姿へと戻していった。彼女が腕を振るう度に千切れたドレスは再びその鮮やかさを、散らばった羽毛は布袋に収まって布団の姿を取り戻す。目の前の現象が信じられなかった姉に対し、ジークリットの姿をした何かが語りかける。
「時を巻き戻したのです。神様に命を授けられた行きとし生ける者はともかく、物であれば造作もない事ですねえ」
姉の心はここで折れた。もはや妹に敵う術など無いと。
侯爵夫人はそれでも諦めきれなかったが、彼女が気が付いた頃には末娘はジークリットに懐柔されていた。いつの間にかジークリットは妹に魔法の手ほどきをするようになっており、妹を可愛がる男兄弟達も段々とジークリットと言葉数を多くしていったのだ。
そして侯爵夫人もとうとうジークリットを認めた。認めるしかなかった。ジークリットが自分の母親を完全回復させてしまったから。病気はおろかもはや手の打ちようも無かった大火傷の跡まで治してしまい、夫を虜にした美麗を戻してしまったから。
「ジークリット……」
「お母様。わたくしはとうとうやりましたわ。この日をどれ程待ち望んだか……」
母娘の感動の場面に侯爵や使用人達が感動の涙を流す中、侯爵夫人は膝をついて項垂れた。もはや見褒める他無かった。ジークリットがキルヒヘル家の誰よりも優れた魔法使いとなったのだと見せつけられたから。
結果、マクシミリアンの婚約者には満場一致でジークリットが選ばれた。
もはや侯爵家で反対する者は誰一人としていな方。
学園入学を間近にしたある日、キルヒヘルとザクセンの両家は正式な挨拶を交わした。ジークリットは自信を持って自己紹介を行った。マクシミリアンは礼儀正しく挨拶を返したものの、彼の気を全く引けていないとはジークリットもすぐに分かった。
その日の夜、ジークリットはマクシミリアンを庭に招待した。マクシミリアンはこのところ急速に魔法の腕を伸ばす侯爵令嬢が何をするかが純粋に気になったと正直に明かした。ジークリットは期待に応えましょうと微笑んだ。
ジークリットが夜空に打ち上げたのは火球だった。それは天高く舞い上り、音を立てて弾けた。光の花が咲き、やがて消えていく。その模様は様々で、色取り取りに輝き夜の空を照らした。マクシミリアンはその幻想的な光景に感嘆の声を漏らす。
「花火、と名付けました。火球魔法のちょっとした応用です」
「凄いな……。魔法を芸術として用いる文化は少なからずあるが、こんな使い方をしたのは初めて見た」
「工夫の仕方を変えればもっと様々な花火をお見せ出来ます。ご覧いただけます?」
「ああ、見せてもらおうか」
キルヒヘル家の敷地内から次々と打ち上げられる花火は屋敷にいた者達はおろか、周囲の市民達も空を見上げて見惚れた。ジークリット主催の祭りがどれほど続いたか、最後に一斉に巨大な花火を打ち上げて終幕となった。
再び星や月の灯りだけが照らす夜空に戻り、ジークリットはマクシミリアンに正面を向いて朗らかに微笑む。マクシミリアンは侯爵令嬢が催した演出もあって彼女から視線を離せなかった。ジークリットはそんなマクシミリアンへとしなだれるように身を寄せていく。
「わたくしは単に魔法を極めるだけに留まりません。魔法が人々の生活に役立つようにしたいのです」
「それは昔から研究されてきた。ただ確かに魔導師は自分の知識を貯め込むだけで満足しちまう奴が多いな」
「究極的には芸術、娯楽といった人々の余裕にも結び付けばと思うのです。今お見せしました花火もそういった考えから編み出しました」
「……ゆとりが生まれればそういった考えも出てくるのか。その発想は無かったな」
マクシミリアンはジークリットの頭に手を回す。まだ恋愛感情は生まれてないが関心、興味は引けた、とジークリットは手ごたえを覚えた。そしてマクシミリアンの胸の中で身を寄せつつ、ジークリットは頭の中で今後の算段を立てながら舌なめずりをした。
■■■
とうとう学園入学の時期を迎えた。この頃にはジークリットは魔女から全てを伝授されていた。もはや日々を耐え忍ぶだけだった惨めな自分とは決別した彼女は言動から思想まですっかり魔女のものに染まっていた。
魔女からの継承が進んでいく度にジークリットは魔女を認識出来なくなっていった。どのような原理で前世の自分を知覚出来たのかは未だ分かっていないが、本当は自分の目前に魔女など存在していないとだけは察した。
「ジークリットさん、わたくしの役目はこれにて終了とさせていただきます」
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「魔女様。寂しくなりますねえ」
「いいえ、本来わたくし共は一心同体。今のジークリットさんはわたくしそのものなのですからちっとも寂しくございませんとも」
「仰る通りかと。これからはわたくしが貴女としても歩んでいかなければなりませんし」
「はい。ですので今日からジークリットさんが名乗るといいでしょう」
――魔女、と。
こう言い残した魔女はジークリットが瞬いた直後には姿を消していた。まるで初めからいなかったかのように忽然と。むしろそれこそが本来あるべき現実だったのではないかと思わせる程に。
「左様です魔女様。これからはわたくしが魔女ジークリットとならねばなりませんから」
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