魔王と魔女と魔竜は悪役令嬢になりたい

福留しゅん

文字の大きさ
31 / 39

聖戦①・魔王は魔王軍侵攻を耳にする

しおりを挟む
 旧市街地市民の移住から少し経った。

 アーデルハイドとルードヴィヒの関係は相変わらず皇太子の方から公爵令嬢に接する場合が多かった。この頃になると褒めたり贈り物をすれば喜び、少し放っておくとすねる彼女は、ただ尊大で勝気な令嬢ではないんだとルードヴィヒも分かり始めた。婚約者の隠そうともしない一喜一憂が楽しくてたまらない、といった風に彼はアーデルハイドに接し続けた。

 ジークリットはマクシミリアンに献身で有り続けた。学園には毎日欠かさずに弁当を持参して彼に振舞う。気遣いや気配りも抜群で少し調子が悪くても心配して声をかける。しかしそんな彼女は夫を立てる妻のように婚約者に尽くすものの、魔法は頑なに彼の為に用いなかった。安い女と受け取られたくない、がジークリットの弁だったが、それがかえって彼には高評価だった。

 ヴァルプルギスは相変わらずレオンハルトなど眼中に無かった。この頃にはヴァルプルギスの強さは学園中に轟いており、凛とした強い彼女は女性陣からも憧れを抱かれた。レオンハルトはそんな彼女に負けじと連日にわたり猛特訓を積み重ねており、帝国正規軍の騎士とも互角に渡り合えるほどにまで成長していた。全てはヴァルプルギスの為に、と彼は明言した。

 三者三様ではあったが各悪役令嬢は順調に各々の婚約者と関係を深めていた。

「と、言う次第ですのでそろそろマクシミリアン様をお誘いしようと思うのです」
「誘う? 何に?」
「勿論、褥を共にしていただくようにと」
「まだそんな時期ではないだろう」

 期末試験を終えた三人は悪役令嬢同好会部室で会議という名目で団欒を送っていた。彼女達が口にするのはそろそろ大きく一歩踏み出すべき、といった内容。アーデルハイドは地道に会瀬を重ねると主張、ジークリットは大胆に迫るべきだと豪語した。

「ご安心なさいませ。夏の夜に子を育めばマクシミリアン様が学園を卒業された後に出産となるでしょう」
「お前達の都合の問題ではない。男女の関係に踏み込んで絆を確かなものにしたい気持ちは分かるが、その前に片付けるべき問題があるだろう」
「えーそうは言いましてもー愛の構築と問題の片づけは別口と言いますかー」
「ジークリット。期末試験を終えた私達には物語の転換点が迫っているのを忘れたのか?」

 ヴァルプルギスに指摘されたジークリットは真剣な面持ちになる。

 転換点、それは恋愛小説と言う体を成す予言の書に記された前半部の山場にあたる。魔王や魔女達ラスボス系悪役令嬢が満を持して登場する後半に入る前に前半を盛り上げた悪役令嬢がヒロインに敗れるきっかけとなる異変が起こる。

 それが、東方からの魔王軍襲来である。

 魔王軍が何故この時期に人類圏に攻め込んだかは主にヒロインの視点で書かれた予言の書では明らかになっていない。だが魔王軍に応戦するべく立ち上がったヒロインや婚約対象者達がその危機をきっかけに己の使命に目覚める、という内容は共通していた。
 
 ルードヴィヒは勇者に覚醒。マクシミリアンは失われた古代の大魔法を会得。レオンハルトは邪竜を撃破。その三人の傍らには聖女として目覚めたヒロインがいた。尊き者達の前にはただの貴族令嬢では到底及ばないとアンネローゼ達は負けを認める他なくなるのだった。

「ええ、勿論覚えておりますとも。その際マクシミリアン様の傍らにいるのはヒロインさんなんかではなくこのわたくし! 立ち回り方は既に幾通りも考えておりますとも」
「ならいい。浮かれて進展させるのは勝手だが、予言を疎かにしていては足元を掬われるだけだ」
「心得ております。そう仰るヴァルプルギスさんの方はご準備を?」
「魔王軍が攻め込むのはヴァルツェル家の領地だ。戦になれば私は真っ先に実家に戻り迎撃の準備に入る。レオンハルトの面倒は見ていられない」
「またまたぁ、魔王軍の邪竜を滅ぼす程に成長する殿方が嬉しいんじゃありませんか?」
「あー、盛り上がっている所悪いんだがな」

 じきに勃発する戦争を前に盛り上がるジークリットとヴァルプルギスに水を差すようにアーデルハイドは口を挟んだ。これまでただ皿に盛られた菓子を摘まむばかりで何も語らなかった彼女は、とても浮かない顔をさせていた。

「魔王軍は攻めてこないぞ」
「「へっ?」」
「と言うかそなた等、余が魔王である事を忘れておらぬか? 余が命じない限り配下の者は人類圏に攻め入ったりはせぬ」

 迂闊、とジークリットは表情をわずかに歪める。何故、とヴァルプルギスは非難の目をアーデルハイドに向ける。彼女達にとっては婚約者との仲を深める絶好の機会なのにふいにされようとしているのだから。

「当たり前だろう! 何が悲しくて魔王たる余が聖女と勇者の覚醒の手助けをせねばならんのだ! 迂闊に事を荒立てずともルードヴィヒ達とは順調に仲睦まじくなっておるではないか」
「いや確かにそうですけどねえ。またとない大きな節目がごっそり消えてなくなるのは不自然じゃありませんか?」
「予言の書から大きく外れて今後を予測しづらくなるか? 何を今更だな。むしろヒロインめが起死回生の一手とばかりに博打に打って出てこられても困るぞ」
「そんな泥棒猫が割り込む余地の無い程に太い絆をするのが目的なんですが?」

 理解は出来たが納得とは別。ジークリットはアーデルハイドに迫るものの侯爵令嬢は全くたじろぎもしなかった。まだ諦めないジークリットとは対照的にヴァルプルギスは早々に本来の流れを諦め、レオンハルトを鍛える別の手段を模索し始める。

 そんな時だった。部室の外、廊下の向こうから慌ただしい足音が聞こえてきたのは。直後に戸が叩かれずに大きく開かれ、アンネローゼが部室へと入ってくる。彼女は普段のどこか優雅さと余裕を感じさせる佇まいは鳴りを潜め、焦りに彩られていた。

「どうしたのだアンネローゼよ。そなたが狼狽えるなど珍しいな」
「お姉様、一大事よ。明日にはこの話題で持ち切りになるでしょうね」
「一大事? 学園内でもめ事でもあったのか?」

 息を切らせたアンネローゼは早歩きでアーデルハイドの傍まで寄る。妹の思いつめた表情から何となく事態を察したアーデルハイドはまさかと驚愕するしかなかった。

「東の王国が滅亡したわ。魔の軍勢に侵略されてね」

 魔王軍襲来、予言の書通りの展開が起こりつつあった。

「アンネローゼ様、それは本当ですか?」
「ええ、確かな情報よ。真っ先に殿下に届けられた情報を生徒会役員に展開されたの」
「そうですか。情報感謝します」

 アンネローゼに確認したヴァルプルギスは立ち上がった。手早く部室内の私物を片付け、窓の方へと足を進めていく。彼女の意志を事前に聞かされたアーデルハイド達はともかくアンネローゼは突然の反応に困惑するばかりだった。

「あの、ヴァルプルギス様、どちらへ?」
「家に戻ります。魔の軍勢が東より攻めて来るなら私達ヴァルツェル家が対応しなければならないので。明日からの欠席については使用人を遣わします」
「……っ。ヴァルプルギス様、どうかお気を付けて」
「ありがとう、アンネローゼ様」

 ヴァルプルギスは窓の縁を勢い良く蹴って空高く跳び上がった。彼女は放物線を描いて遠くで着地、また高く跳躍して姿を消していった。辺境伯令嬢の早退を見届けたアーデルハイドとジークリットはそれでも優雅にお茶会を続ける。

「お姉様、何をくつろいでいるの? 帝国の……いえ、人類の存亡に関わる異変が起きているのよ?」
「では聞くが、わたしやジークリットが今この場で慌てふためいて何か事態が改善されるか?」
「っ! そ、それは……」

 アーデルハイドはまだ焦りが見て取れるアンネローゼに座るよう促した。彼女の強い言葉に圧されたアンネローゼは渋々姉に従って腰を落ち着ける。見た目は質素だがまるで体全体を包み込むようなソファーの座り心地に一瞬心奪われる。

「ヴァルプルギスは戦士だ。真っ先に戦いを選択してもおかしくない」
「わたくしはその気になれば瞬く間に戦場へ転移出来ますので、皆様のご準備が出来てから動くとしましょう。マクシミリアン様は赴かれるでしょうからわたくしもご同行いたします」
「で、だ。わたし達はどうだ? お父様に戦場に手助けしに行くんだと懇願するか?」
「……いえ、何も出来やしないわ」
「なら落ち着いて待つが良い。家族が帰る場所を守るのもまた貴族令嬢の務めであろう」

 アーデルハイドはアンネローゼをもてなす為に棚からティーカップ一式を取り出す。それから紅茶の茶葉を取り換えてお湯を注ぎ入れる。手際よく妹をもてなす姉の姿に多少驚くものの、アンネローゼは段々と冷静さを取り戻していく。

「……お姉様は凄いのね」
「うむ、もっと褒めるが良い、と普段なら言ったであろうが、それほどでもないな」
「私は怖くてたまらないわ。ベルンシュタイン家の娘として相応しくあらんと頑張ってきた今までの生活が全て壊されてしまうかもしれないんだもの」
「怯えは生きようとする証だから恥ではないぞ」

 お茶の準備を終えたアーデルハイドはアンネローゼの隣に座り、その身を妹に寄せる。普段なら鬱陶しいと押し返しただろうアンネローゼは姉を受け入れ、触れる腕や肩越しに姉の温かさを感じた。

 姉がいれたお茶は彼女に仕える侍女や執事程洗練されていなかった。
 それでもアンネローゼを満足させるには十分だった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

破滅したくない悪役令嬢によって、攻略対象の王子様とくっつけられそうです

村咲
恋愛
伯爵令嬢ミシェルは、第一王子にして勇者であるアンリから求婚されていた。 しかし、アンリが魔王退治の旅から帰ってきたとき、旅の仲間である聖女とアンリの婚約が宣言されてしまう。 原因はここが乙女ゲームの世界であり、ヒロインである聖女が旅の間にイベントを進めたためである――と、ミシェルは友人である王女アデライトから教えられる。 実はアデライトは、悪役令嬢というゲームの敵役。アンリと聖女が結婚すれば、アデライトは処刑されてしまうらしい。 処刑を回避したいアデライトは、どうにかミシェルとアンリをくっつけようと画策するが……。 アンリの方にも、なにやら事情があるようで? カクヨムにも転載しています。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

処理中です...