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二学期
フリメール①・闇属性の発覚
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それはあまりに突然起こった。
冬に差し掛かったある日、いつもの通りわたしはジャンヌと共に馬車で通学する。最近クロードさんはリュリュに仕事を教える事が多く、登校下校時の御者もリュリュが務める日が増えてきた。クロードさんは進行方向に背を向ける下座に座る。何故かわたしをジャンヌの隣、つまり上座に座らせて。
クロードさんとリュリュのお見送りを受けてわたし達は校舎へと歩んでいく。これも最近なんだけれど、上手い具合にシャルルとも遭遇するようになった。クレマンティーヌ様もジャンヌに遠慮なく接するようになったし、五人が並ぶ光景は他の人からどう映っただろう?
そんな些細な変化もあったけれど概ね波の立たない日常風景、それが突如破られた。
校舎の前で隊列を組んで待ち構える者達にはどの学生も怯えていた。彼らの武装を見る限り治安を維持する役人でも王宮を守護する近衛兵でもなく、まさかの王国正規軍。その先頭に立つ厳格な面持ちをさせた屈強な殿方は迫力やら覇気やら何もかもが他の者と段違いだった。
彼らはわたし達の姿を捉えると一糸乱れずにこちらに向かってくる。シャルルとアルテュールがわたし達を庇うようにして前に躍り出る。向こうは完全武装、対するお二人は上質とは言えただの布の学園制服かつ武器無し。刃向おうにも明らかに分が悪い。
わたし達から一定の距離を保って隊列は止まり、先頭の騎士が深々と頭を垂れた。
「朝早くに失礼いたします、王太子殿下」
「何の用だブルターニュ辺境伯。貴方方を召還した覚えは無いぞ」
ブルターニュ辺境伯! 王国北西部に領土を持ち、海峡を挟んだ隣国に睨みを利かせる由緒正しい家柄。王国聖堂騎士を何人も輩出した名門。そして攻略対象の一人アンリ様の父親にあたる。
そんな国の誇りでも聖堂騎士が部隊を率いてここに来た理由とは、まさか……。
「任務の為に足を運んだ所存です。魔女を捕らえろ、と」
「魔女? この学園に魔女などと呼ばれる者はいない」
わたしは思わずジャンヌの方を向いた。ジャンヌも同じ考えに至ったようでこちらを向いてきていた。彼女は全力で首を横に振る。私ではない、と言葉にしなくても主張していた。そんなの分かっているから安心して、とわたしは笑みを作って頷いてみせる。
「魔女とはわたしの事ですね?」
わたしはシャルルとアルテュールの間からブルターニュ伯に問いかける。対峙して緊張感が漂うこの場の空気がわたしの白状で少し緩和された。アルテュールが何かを言いたそうにこちらを振り向いてきたけれど、わたしは口元に人差し指を当てて黙っていてもらった。
「素直に認めるか。私も事を荒立てたくはない。大人しくこちらに来てもらおう」
「その前にわたしの罪状をお聞かせください。神に誓って罪に問われる行いはしておりません」
「否。お前の存在そのものが神への冒涜だ。何故ならお前は……」
――闇の申し子なのだから、と彼は語った。
とうとう来たか、メインヒロインの闇属性発覚イベントが。
本来魔法の実践授業で発覚するメインヒロインの属性、選択肢やフラグ次第で後送りにすればするほど事態は深刻になっていく。酷い場合だと国を揺るがす一大事になってメインヒロインは投獄された挙句魔女として処刑、ゲームオーバーになるわけね。
これまで私は実践魔法の授業を一切受けていなかったら今まで知っていたのはごく一部に限られる。オルレアン家やアランソン家の方々が暴露する理由は微塵も無いから、残る情報発信源はただ一人になる。
「成程、どうやらアルテミシアは王太子様攻略に邪魔になる元メインヒロインの排除にかかったわけか……」
大方わたしがアルテミシアとちょっとあった一悶着を話を膨らませてアンリ様に語り、アンリ様がブルターニュ伯に報告、事を大きくした辺りか。本来悪役令嬢が企てる悪意の一環なんだけれど、わたしは当の悪役令嬢と結託中だしね。
アルテミシアったら中々上手く立ち回るものだ。
「神様がそう仰ったのですか?」
「何?」
「ですから、神様が聖人方に闇の申し子はその誕生すら許されないと語ったんですか? 教会が神の代弁者としてそう語っているのなら、それこそおこがましいとは思いませんか?」
立法府に務めている間に闇の申し子を罰する法は定められていないと調べたのよね。つまりあくまで忌み子だとされるのは宗教的観点にもとづいているだけなわけ。しかも神様の教えを記したとされる教典には排除せよなんて一切記載されていないし、教会の拡大解釈に過ぎない。
「黙れ。言い分は牢屋で聞く」
完全論破したのに相手は凝り固まった石頭なのか貧民の戯言だと聞き流しているようだ。やれやれ、王国の平和を司る聖堂騎士がこの有様でいいのかしらね?
ブルターニュ伯は部下達に囲めと命じると隊列が広がっていき、わたし達を中心とした輪が構成された。全員魔法で抵抗される可能性を考慮してか完全武装。しゃがめば全身を覆い隠せるほどの大盾をこちらに構えてきている。
そんな正規軍を前にしてアルテュールはおろかジャンヌやシャルル、そしてクレマンティーヌ様までわたしを守るように立ちはだかった。特にわたしを侮辱されてアルテュールは頭に来たらしく、あと相手が一歩踏み込んでくればすぐさま辺りが惨劇に包まれるだろう。
「皆様、とても嬉しいのですがこの場はブルターニュ辺境伯閣下に従いましょう」
「けれどカトリーヌ嬢、法を逸脱した前時代的な措置には断固とした抗議を……!」
「それは然るべき場で申すべきです。閣下の仰る通りこの場で事を荒立てる訳にはいきません」
「……っ」
抵抗すれば私世界で言う公務執行妨害のような罪に問われかねない。みんなが王家や階級の高い貴族の家柄であるからこそ泥を塗りたくはない。ここは抵抗しないであえて囚われの身になるのがこの場を納める最善の選択だと思う。
シャルルは悔しそうにしながらも感情だけでどうにもならないのは分かっているらしく、わたしに道を譲った。それでもわたしを通そうとしないアルテュールにわたしは背伸びして口を耳元に近づける。
「アルテュール、教会の影響力が強い魔女裁判にかけられないよう工作出来ないかな?」
「魔女裁判……! 確かにそうなってしまってはカトリーヌに勝機は万に一つもありませんね」
「何とか司法の場に持って行ってほしいんだ。そうすればこんな茶番はすぐに終わるから」
「……分かりました。それがカトリーヌの言う然るべき場で、ですね」
最低限の指示は伝えたのでわたしはアルテュールから離れ、彼の脇を通り過ぎる。その際ジャンヌへと視線を送る。彼女は力強く頷いてきたのでわたしは微笑んで手を振った。彼女への説明は要らない。だって彼女はメインヒロインがどう類似の危機的状況から脱したか把握しているもの。
抵抗せずに出頭するわたしをブルターニュ伯は乱暴には扱わず、けれど逃げられないよう手際よく手枷足枷をはめていった。別に逃げる意思なんて無いのに厳重だこと。さすがに移動に不便だからか足枷に重りはまだ付いていない。
「では皆々様。しばしの間ですが、ごきげんよう」
ふふん、いくら手首と足首を固定されていたってカーテシーは出来るのだ。少し学園生活とはおさらばして、追い込まれたメインヒロインの大逆転劇をわたしなりに演じるとしよう。それにわたしがこの出来事を乗り越えれば大いなる収穫があるもの。
つまりは、アルテュールが今後裁かれる心配がなくなるのよね。
「おら魔女め、さっさと歩――」
「乱暴にしないでくれませんか?」
わたしを突き飛ばそうとする騎士だったが突然金縛りにあったようにその動きを止めた。どうしたと他の騎士が彼の様子を窺うも口も視線も微動だにしない。そんな感じだから異常事態だとすぐさま緊迫した雰囲気になっていく。
「貴様一体何を――」
「言っても分からない人達ですね」
言っておかないけれど理不尽な暴力を受けるつもりはさらさら無い。あいにくこの王国の剣として鍛練を積み重ねた騎士達もわたしからすればウドの大木。日中でもわたしの影が対象の影に重なっているならその動きを操れるのよね。
そう、密集して影が重なっていればその群衆まとめてだ。ブルターニュ伯が率いてきた誉れある騎士達は成すすべなくその場で棒立ちになっていた。金縛りのような感じだからもしかして上手く呼吸で来てないかもしれないかも。
そんな目の当たりにしてブルターニュ伯は初めてわたしをただの貧弱一般娘ではなく王国を脅かす魔女だと認識したらしい。警戒感を露わにして腰にかけた鞘から剣を抜き放つ。明らかにこちらが下手を打てば容赦なくその剣を振り下ろす臨戦態勢だった。
「部下を解放しろ」
「任意同行の無抵抗な女子に乱暴しようとした件は棚上げですか?」
「……部下達の教育は今後の課題にしよう」
「分かりました。是非そのようにしていただきたく」
わたしは一歩前に踏み出した。群衆の影から足を踏み外した途端に彼らの束縛が解ける。突然自由になった騎士達のほとんどが体勢を崩して中にはその場に尻餅をつく人もいた。やっぱり息が出来なかったのか大きく咳き込む人もいるし。
先程まで彼らは魔女と言う言葉に捉われて侮蔑にも似た眼差しを向けていた。しかし今はどうだ? 彼らの瞳に宿っているのは得体の知れないモノへの恐怖だった。闇の片鱗を覗いただけでこの調子だと害意を持って魔法を放ったら失神してしまうのかしらね。
「参りましょうか、ブルターニュ辺境伯閣下」
「……」
わたしが軽く微笑みかけてもブルターニュ伯は全く反応を示さなかった。任務からわたしを連行するけれど極力接点は持たないつもりか。聖堂騎士がこんな調子でわたしを取り調べる役人とかどうなるのか本気で心配になってくるわね……。
冬に差し掛かったある日、いつもの通りわたしはジャンヌと共に馬車で通学する。最近クロードさんはリュリュに仕事を教える事が多く、登校下校時の御者もリュリュが務める日が増えてきた。クロードさんは進行方向に背を向ける下座に座る。何故かわたしをジャンヌの隣、つまり上座に座らせて。
クロードさんとリュリュのお見送りを受けてわたし達は校舎へと歩んでいく。これも最近なんだけれど、上手い具合にシャルルとも遭遇するようになった。クレマンティーヌ様もジャンヌに遠慮なく接するようになったし、五人が並ぶ光景は他の人からどう映っただろう?
そんな些細な変化もあったけれど概ね波の立たない日常風景、それが突如破られた。
校舎の前で隊列を組んで待ち構える者達にはどの学生も怯えていた。彼らの武装を見る限り治安を維持する役人でも王宮を守護する近衛兵でもなく、まさかの王国正規軍。その先頭に立つ厳格な面持ちをさせた屈強な殿方は迫力やら覇気やら何もかもが他の者と段違いだった。
彼らはわたし達の姿を捉えると一糸乱れずにこちらに向かってくる。シャルルとアルテュールがわたし達を庇うようにして前に躍り出る。向こうは完全武装、対するお二人は上質とは言えただの布の学園制服かつ武器無し。刃向おうにも明らかに分が悪い。
わたし達から一定の距離を保って隊列は止まり、先頭の騎士が深々と頭を垂れた。
「朝早くに失礼いたします、王太子殿下」
「何の用だブルターニュ辺境伯。貴方方を召還した覚えは無いぞ」
ブルターニュ辺境伯! 王国北西部に領土を持ち、海峡を挟んだ隣国に睨みを利かせる由緒正しい家柄。王国聖堂騎士を何人も輩出した名門。そして攻略対象の一人アンリ様の父親にあたる。
そんな国の誇りでも聖堂騎士が部隊を率いてここに来た理由とは、まさか……。
「任務の為に足を運んだ所存です。魔女を捕らえろ、と」
「魔女? この学園に魔女などと呼ばれる者はいない」
わたしは思わずジャンヌの方を向いた。ジャンヌも同じ考えに至ったようでこちらを向いてきていた。彼女は全力で首を横に振る。私ではない、と言葉にしなくても主張していた。そんなの分かっているから安心して、とわたしは笑みを作って頷いてみせる。
「魔女とはわたしの事ですね?」
わたしはシャルルとアルテュールの間からブルターニュ伯に問いかける。対峙して緊張感が漂うこの場の空気がわたしの白状で少し緩和された。アルテュールが何かを言いたそうにこちらを振り向いてきたけれど、わたしは口元に人差し指を当てて黙っていてもらった。
「素直に認めるか。私も事を荒立てたくはない。大人しくこちらに来てもらおう」
「その前にわたしの罪状をお聞かせください。神に誓って罪に問われる行いはしておりません」
「否。お前の存在そのものが神への冒涜だ。何故ならお前は……」
――闇の申し子なのだから、と彼は語った。
とうとう来たか、メインヒロインの闇属性発覚イベントが。
本来魔法の実践授業で発覚するメインヒロインの属性、選択肢やフラグ次第で後送りにすればするほど事態は深刻になっていく。酷い場合だと国を揺るがす一大事になってメインヒロインは投獄された挙句魔女として処刑、ゲームオーバーになるわけね。
これまで私は実践魔法の授業を一切受けていなかったら今まで知っていたのはごく一部に限られる。オルレアン家やアランソン家の方々が暴露する理由は微塵も無いから、残る情報発信源はただ一人になる。
「成程、どうやらアルテミシアは王太子様攻略に邪魔になる元メインヒロインの排除にかかったわけか……」
大方わたしがアルテミシアとちょっとあった一悶着を話を膨らませてアンリ様に語り、アンリ様がブルターニュ伯に報告、事を大きくした辺りか。本来悪役令嬢が企てる悪意の一環なんだけれど、わたしは当の悪役令嬢と結託中だしね。
アルテミシアったら中々上手く立ち回るものだ。
「神様がそう仰ったのですか?」
「何?」
「ですから、神様が聖人方に闇の申し子はその誕生すら許されないと語ったんですか? 教会が神の代弁者としてそう語っているのなら、それこそおこがましいとは思いませんか?」
立法府に務めている間に闇の申し子を罰する法は定められていないと調べたのよね。つまりあくまで忌み子だとされるのは宗教的観点にもとづいているだけなわけ。しかも神様の教えを記したとされる教典には排除せよなんて一切記載されていないし、教会の拡大解釈に過ぎない。
「黙れ。言い分は牢屋で聞く」
完全論破したのに相手は凝り固まった石頭なのか貧民の戯言だと聞き流しているようだ。やれやれ、王国の平和を司る聖堂騎士がこの有様でいいのかしらね?
ブルターニュ伯は部下達に囲めと命じると隊列が広がっていき、わたし達を中心とした輪が構成された。全員魔法で抵抗される可能性を考慮してか完全武装。しゃがめば全身を覆い隠せるほどの大盾をこちらに構えてきている。
そんな正規軍を前にしてアルテュールはおろかジャンヌやシャルル、そしてクレマンティーヌ様までわたしを守るように立ちはだかった。特にわたしを侮辱されてアルテュールは頭に来たらしく、あと相手が一歩踏み込んでくればすぐさま辺りが惨劇に包まれるだろう。
「皆様、とても嬉しいのですがこの場はブルターニュ辺境伯閣下に従いましょう」
「けれどカトリーヌ嬢、法を逸脱した前時代的な措置には断固とした抗議を……!」
「それは然るべき場で申すべきです。閣下の仰る通りこの場で事を荒立てる訳にはいきません」
「……っ」
抵抗すれば私世界で言う公務執行妨害のような罪に問われかねない。みんなが王家や階級の高い貴族の家柄であるからこそ泥を塗りたくはない。ここは抵抗しないであえて囚われの身になるのがこの場を納める最善の選択だと思う。
シャルルは悔しそうにしながらも感情だけでどうにもならないのは分かっているらしく、わたしに道を譲った。それでもわたしを通そうとしないアルテュールにわたしは背伸びして口を耳元に近づける。
「アルテュール、教会の影響力が強い魔女裁判にかけられないよう工作出来ないかな?」
「魔女裁判……! 確かにそうなってしまってはカトリーヌに勝機は万に一つもありませんね」
「何とか司法の場に持って行ってほしいんだ。そうすればこんな茶番はすぐに終わるから」
「……分かりました。それがカトリーヌの言う然るべき場で、ですね」
最低限の指示は伝えたのでわたしはアルテュールから離れ、彼の脇を通り過ぎる。その際ジャンヌへと視線を送る。彼女は力強く頷いてきたのでわたしは微笑んで手を振った。彼女への説明は要らない。だって彼女はメインヒロインがどう類似の危機的状況から脱したか把握しているもの。
抵抗せずに出頭するわたしをブルターニュ伯は乱暴には扱わず、けれど逃げられないよう手際よく手枷足枷をはめていった。別に逃げる意思なんて無いのに厳重だこと。さすがに移動に不便だからか足枷に重りはまだ付いていない。
「では皆々様。しばしの間ですが、ごきげんよう」
ふふん、いくら手首と足首を固定されていたってカーテシーは出来るのだ。少し学園生活とはおさらばして、追い込まれたメインヒロインの大逆転劇をわたしなりに演じるとしよう。それにわたしがこの出来事を乗り越えれば大いなる収穫があるもの。
つまりは、アルテュールが今後裁かれる心配がなくなるのよね。
「おら魔女め、さっさと歩――」
「乱暴にしないでくれませんか?」
わたしを突き飛ばそうとする騎士だったが突然金縛りにあったようにその動きを止めた。どうしたと他の騎士が彼の様子を窺うも口も視線も微動だにしない。そんな感じだから異常事態だとすぐさま緊迫した雰囲気になっていく。
「貴様一体何を――」
「言っても分からない人達ですね」
言っておかないけれど理不尽な暴力を受けるつもりはさらさら無い。あいにくこの王国の剣として鍛練を積み重ねた騎士達もわたしからすればウドの大木。日中でもわたしの影が対象の影に重なっているならその動きを操れるのよね。
そう、密集して影が重なっていればその群衆まとめてだ。ブルターニュ伯が率いてきた誉れある騎士達は成すすべなくその場で棒立ちになっていた。金縛りのような感じだからもしかして上手く呼吸で来てないかもしれないかも。
そんな目の当たりにしてブルターニュ伯は初めてわたしをただの貧弱一般娘ではなく王国を脅かす魔女だと認識したらしい。警戒感を露わにして腰にかけた鞘から剣を抜き放つ。明らかにこちらが下手を打てば容赦なくその剣を振り下ろす臨戦態勢だった。
「部下を解放しろ」
「任意同行の無抵抗な女子に乱暴しようとした件は棚上げですか?」
「……部下達の教育は今後の課題にしよう」
「分かりました。是非そのようにしていただきたく」
わたしは一歩前に踏み出した。群衆の影から足を踏み外した途端に彼らの束縛が解ける。突然自由になった騎士達のほとんどが体勢を崩して中にはその場に尻餅をつく人もいた。やっぱり息が出来なかったのか大きく咳き込む人もいるし。
先程まで彼らは魔女と言う言葉に捉われて侮蔑にも似た眼差しを向けていた。しかし今はどうだ? 彼らの瞳に宿っているのは得体の知れないモノへの恐怖だった。闇の片鱗を覗いただけでこの調子だと害意を持って魔法を放ったら失神してしまうのかしらね。
「参りましょうか、ブルターニュ辺境伯閣下」
「……」
わたしが軽く微笑みかけてもブルターニュ伯は全く反応を示さなかった。任務からわたしを連行するけれど極力接点は持たないつもりか。聖堂騎士がこんな調子でわたしを取り調べる役人とかどうなるのか本気で心配になってくるわね……。
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