人生のヒロイン。

猫神 にゃろ

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私はヒロインなはずだった。

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私は、柊 最愛。(ひいらぎ もあ)

私が、可愛いのは当たり前、
だって私はヒロインだもの。

好きな人と結婚する未来があるのは当たり前、
だって私はヒロインだもの。

人生が全て思い通り、全てが上手くいく、
だって私はヒロインだから!!

そう思っていたの___...

1話、私はヒロインなはずだった。

「おはよう、最愛ちゃん!!」
「おはようっ最愛ちゃ~ん」
「今日も可愛いな~最愛ちゃん」
「見て見て、最愛先輩だよっ」
「いいな~美人さんて…」

外で歩けば、皆が振り向く、褒めちぎる。
私がそう望んでいるから、
皆より上の立場にいるから。

「おはよう、みんな。」

「きゃああっクール~!!」
「いつも凛としていて美しい~!!」
「最愛様ぁぁああああ~!!」

クール?なんか勘違いしていない?

お前らに見せる笑顔なんてねぇんだよ。

モブはモブらしく引き立て役になってろ、
セリフの返事、期待すんなよ、めんどくせぇ。

「私の前に立たないで、邪魔、」

「はいっ」
「申し訳ありませんっ」
「わかりましたぁ~」

何を言っても、
何を思っても、
何をしても、
私は必ず許される運命なの。
上手くいく運命なの。

ヒロインだから。
人生の、世界の、ヒロインだから。

その時、一人の男が私の前を通ろうとした。

「…ねぇ、聞こえなかったのかなぁ?
モブは私の前を通るな、うっとおしいと言ったのだけれど。」

きっとこの男は、私の偉大さを知らないのよ、
私がヒロインってことを知らないの、
教えてあげる、この世は私が全てだってこと…

「やだ」

二文字で表せるセリフが響いた。
周りが静まり返った。

「は…?」

こんなこと、今までなかった。
言い返してくる奴なんていなかった。

焦った。

その時、私はあることに気づいた。

偉大さを知らないとかじゃない…
私がヒロインだということを知らないとかじゃない…

コイツは…

私を見ていない…。

私は周りを見た。
皆、私を見ている、ずっと、瞬きもせず…

「何故…貴方は私を見ない…?」

怖くなったのか自分でも分からないけれど、
声が少し震えていた。

「ずっと見られてるんだから俺の視線なんていらないでしょ。」

違う…違う違う違う!!
見て欲しいと言ったんじゃない、私は…ヒロインに…
ヒロインだから…ヒロインだから見られなきゃダメなの。

「なれないよ、ヒロイン。
周りを騙せても、俺は騙せないよ、心の声、丸聞こえ…」

そう言われて、私は何も言い返せず、
気づいたら、男は消えていた。

「はは…あはははははははははは!!
騙せない!?何を言っているのかしら!?
騙してなんかいないわ、私はヒロイン!!
そうでしょう!? ねぇ、皆っ…」

「そうですね…」
「私達は…最愛様を…」
「最愛様がヒロイン…」
「そう…」
「最愛様……」
「最愛様…」
「最愛様!!」

周りは私しか見ていない、
今まで私は私しか見てこなかったから気づかなかった。
周りは私しか見ていない…!!
いつでも、どこでも…!!
急に怖くなった、
いつから私は自分がヒロインだと思うようになったのか、
いつから私は周りを洗脳し始めたのか、

いつから、私は、、、

「嫌ぁぁああああ!!」

何も見えなくなった、
何も考えられなくなった。

私がっ私がっ…!!

ヒロインなはずだった。
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