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44話 チリリア城
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下町をでると先ほどの川よりは幅の狭い川が横たわっているのが見えた。
「さっきの川は本流。海に繋がっている。
で、こっちの枝分かれした川を進むと城だ。」
兵隊がモンスターの骨組みのカヌーのようなものを準備している。
「準備は整っています。」
いつのまにかパルラ王の姿に戻っている。
「おう、頼む」
カヌーに乗り込む。
最後方に2人の兵士が乗りそれぞれ片腕を川につける。
魔法を発動するとカヌーが動き出した。
両サイドを密林に囲まれた川を逆流するように進む。
「いいだろ?俺とキャス考案の魔法エンジンだ。水魔法と風魔法の出力で進む。
このへんは1年に1度洪水が起きるんだ。降水量が多い。
だから木の根の位置が地面より高いんだ。ようはマングローブだな。
このへんの密林にはレベルの高い魔物がうじゃうじゃいる。
密林と魔物に守られた城だ。
攻めにくいだろ?」
大きな崖のある山が見えてくる。
「あれがうちの城だ。
このカヌー以外だと陸地から蛇車でくることになる。
他の移動手段はほぼないな。
密林の中ところどころ底なし沼だからな。
とても歩きではこれない。」
崖の中まで川が続いている。
「山をくりぬいたんだ。原始的に見えるが中は快適だぜ?
こういう城があと何か所かあって川が氾濫するたびに移住してるんだ。
こんな土壌だから作物は大して育てられねえが川と海の幸でなんとかやっていけてる。」
城の入り口の兵士がこちらに気づき敬礼している。
カヌーで城の仲間で入る。
大小様々なカヌーが並んでいる船着き場で降りる。
ここから川は4つに分かれている。
それぞれの出口に繋がっているのだろう。
降りたところで兵隊に案内されイカダの様な木の板の上に立たされる。
板がゆっくりと上がっていく。
上から同じ速度で大岩が降りてくる。
「エレベーターだ。車輪と鎖と大岩の重し。
まだ試作段階だ。
うちも雷魔法をまともにつかえるやつがいればな。
もう少し恰好がついたものができるんだが。」
エレベーターを上がり王の間へ入る。
「お父さんまた脱皮分身で帰国をごまかしたでしょ」
肌が白いピンク柄の蛇人が詰め寄る。
「おおすまんすまん。野暮用でな。これ娘のウィン。こちら赤羽君。」
「ズージェからの客人ですね。はじめまして王女ウインです。」
こちらの世界で娘をつくるとは。
「初めまして赤羽です。」
「ちなみに旦那はキャスだぞ」
「ええそうなんですか」
「孫もいるぞ」
「転生して10数年ですよね?」
「おう。3年から5年で完全に大人になるぞ。蛇人は。」
「なるほど」
てことは村上も子持ちか。
「お、王戻られたんですね」
キャスこと村上だ。
1人部下?を連れている。
「よお赤羽。これうちの2人いる息子の弟の方。メビウス。」
「こんにちは。メビウスです。」
「初めまして赤羽です」
2人も子供がいるとは。
「キャスの子か、俺の子供たちか、次の王候補だな。」
「子供たち?何人子供いるんですか?」
「ああ90人くらいかな。」
「えええ。子だくさんですね」
「一夫多妻なんだ。俺、王だし。
リザードマンが90人くらいで蛇種魔物を含めたらもっといるぞ。
卵で産まれるしな。
リザードマンの子はリザードマンか蛇種の魔物。ランダムなんだ。」
「ま、王になるには俺に挑戦して勝たないといけねえ。
まだまだ若いもんには負けんぞい。ははは。
で、あれだ赤羽君の今後だな。ファースを呼ぶか。」
「呼んであります」
「お、さすがだなキャス。入れろ」
キャスが扉の前のファースさんを呼ぶ。
「ズージェリア王国一等獣士ファース入ります」
ファースさんが緊張した面持ちで入ってくる。
片膝をつく。
パルラ王の雰囲気が変わる。
「長旅ご苦労であったなファース。
赤羽の処遇だが、こちらの兵として使う事になった。
タダ飯を食わすのも癪だしな。
盟約通り1ヵ月後には返す。
こやつが不法入国させた猫については不問にしてやろう」
すごい気迫だ。
さっきまでとは段違いの風格を感じる。
ファースさんが冷や汗をかく。
「赤羽はなにか臨みはあるか」
ファースさんがチラッとこちらを見る。
俺も片膝をつく。
「ダンジョンに仲間を置いてきてしまいました。救出する手伝いができればと思います」
「ほう。心掛けは殊勝だが貴様弱いな。
貴様は借り物だ。死なれても興醒めだ。
ならばこうしよう。
我が国の密林の奥、兵士たちの訓練場となっている無限洞窟がある。
使わせてやろう。
ファースもついて行け。
貴様の部下も好きなだけ連れていくがよい。
ただし、うちの息子を1人つける。
監視と案内役だ。」
「承知しました。私の部下に確認を取り準備致します。」
「1度逃げ出したダンジョンに再び向かう強さを手に入れたら戻ってこい」
王の間をファースさんと出る。
「赤羽、猫を連れてきたのか。不法入国とは肝を冷やしたぞ。
パルラ王のことだ。
もっと前から気づいていただろうがな。」
「すいません成り行きで」
「転移者の仲間だと疑われているのにのんきなものだな。
まさかダンジョンに再び潜りたいと王に直訴するなんてどうかしてるぞ。」
「3人が心配なんです。一刻も早く救い出してやりたい。」
「気持ちは分からんでもないがな。そう思ってるやつを1人連れてきたぞ。」
?
1階に降りるとズージェの兵が3人いた。
「こいつだ」
ダチョウ男を指さす。
「よお。お前さんが赤羽だな。俺はヤシ。クロックのパーティメンバーだ。
お前さん転移者を国に入れたって容疑があるがどうなんだ?」
鋭い目つきで睨む。
「いやそんなことはしてない。信じてくれ。」
「そうか。タイミングが悪かったんだな、色々と。
クロックの選んだ男だ。あいつを信じてないわけじゃないさ。
そういうんなら疑わねえよ。
今回のダンジョン潜入、無理してでもついていくべきだった。
で、パルラ王様はなんて?」
「無限洞窟に行けと。1人連れていく。2人はここで待機だ。なにかあったとき連絡役がいないとな。」
「なら洞窟には俺が行く。赤羽はもう同じパーティの仲間だからな。」
ヤシが名乗りをあげる。
「そうか。ならあとの2人は待機だ。私、ヤシ、赤羽、王子で行く。」
「王子?パルラ王の?」
「僕だよ」
天井からぼたっと落ちてくる。
全く気配がなかった。
「僕はラキ。案内役をしてこいとご命令があった。
準備ができたら早速出発しよう。僕は準備万端さ。」
この即席メンバーで無限洞窟に向かう事になった。
「さっきの川は本流。海に繋がっている。
で、こっちの枝分かれした川を進むと城だ。」
兵隊がモンスターの骨組みのカヌーのようなものを準備している。
「準備は整っています。」
いつのまにかパルラ王の姿に戻っている。
「おう、頼む」
カヌーに乗り込む。
最後方に2人の兵士が乗りそれぞれ片腕を川につける。
魔法を発動するとカヌーが動き出した。
両サイドを密林に囲まれた川を逆流するように進む。
「いいだろ?俺とキャス考案の魔法エンジンだ。水魔法と風魔法の出力で進む。
このへんは1年に1度洪水が起きるんだ。降水量が多い。
だから木の根の位置が地面より高いんだ。ようはマングローブだな。
このへんの密林にはレベルの高い魔物がうじゃうじゃいる。
密林と魔物に守られた城だ。
攻めにくいだろ?」
大きな崖のある山が見えてくる。
「あれがうちの城だ。
このカヌー以外だと陸地から蛇車でくることになる。
他の移動手段はほぼないな。
密林の中ところどころ底なし沼だからな。
とても歩きではこれない。」
崖の中まで川が続いている。
「山をくりぬいたんだ。原始的に見えるが中は快適だぜ?
こういう城があと何か所かあって川が氾濫するたびに移住してるんだ。
こんな土壌だから作物は大して育てられねえが川と海の幸でなんとかやっていけてる。」
城の入り口の兵士がこちらに気づき敬礼している。
カヌーで城の仲間で入る。
大小様々なカヌーが並んでいる船着き場で降りる。
ここから川は4つに分かれている。
それぞれの出口に繋がっているのだろう。
降りたところで兵隊に案内されイカダの様な木の板の上に立たされる。
板がゆっくりと上がっていく。
上から同じ速度で大岩が降りてくる。
「エレベーターだ。車輪と鎖と大岩の重し。
まだ試作段階だ。
うちも雷魔法をまともにつかえるやつがいればな。
もう少し恰好がついたものができるんだが。」
エレベーターを上がり王の間へ入る。
「お父さんまた脱皮分身で帰国をごまかしたでしょ」
肌が白いピンク柄の蛇人が詰め寄る。
「おおすまんすまん。野暮用でな。これ娘のウィン。こちら赤羽君。」
「ズージェからの客人ですね。はじめまして王女ウインです。」
こちらの世界で娘をつくるとは。
「初めまして赤羽です。」
「ちなみに旦那はキャスだぞ」
「ええそうなんですか」
「孫もいるぞ」
「転生して10数年ですよね?」
「おう。3年から5年で完全に大人になるぞ。蛇人は。」
「なるほど」
てことは村上も子持ちか。
「お、王戻られたんですね」
キャスこと村上だ。
1人部下?を連れている。
「よお赤羽。これうちの2人いる息子の弟の方。メビウス。」
「こんにちは。メビウスです。」
「初めまして赤羽です」
2人も子供がいるとは。
「キャスの子か、俺の子供たちか、次の王候補だな。」
「子供たち?何人子供いるんですか?」
「ああ90人くらいかな。」
「えええ。子だくさんですね」
「一夫多妻なんだ。俺、王だし。
リザードマンが90人くらいで蛇種魔物を含めたらもっといるぞ。
卵で産まれるしな。
リザードマンの子はリザードマンか蛇種の魔物。ランダムなんだ。」
「ま、王になるには俺に挑戦して勝たないといけねえ。
まだまだ若いもんには負けんぞい。ははは。
で、あれだ赤羽君の今後だな。ファースを呼ぶか。」
「呼んであります」
「お、さすがだなキャス。入れろ」
キャスが扉の前のファースさんを呼ぶ。
「ズージェリア王国一等獣士ファース入ります」
ファースさんが緊張した面持ちで入ってくる。
片膝をつく。
パルラ王の雰囲気が変わる。
「長旅ご苦労であったなファース。
赤羽の処遇だが、こちらの兵として使う事になった。
タダ飯を食わすのも癪だしな。
盟約通り1ヵ月後には返す。
こやつが不法入国させた猫については不問にしてやろう」
すごい気迫だ。
さっきまでとは段違いの風格を感じる。
ファースさんが冷や汗をかく。
「赤羽はなにか臨みはあるか」
ファースさんがチラッとこちらを見る。
俺も片膝をつく。
「ダンジョンに仲間を置いてきてしまいました。救出する手伝いができればと思います」
「ほう。心掛けは殊勝だが貴様弱いな。
貴様は借り物だ。死なれても興醒めだ。
ならばこうしよう。
我が国の密林の奥、兵士たちの訓練場となっている無限洞窟がある。
使わせてやろう。
ファースもついて行け。
貴様の部下も好きなだけ連れていくがよい。
ただし、うちの息子を1人つける。
監視と案内役だ。」
「承知しました。私の部下に確認を取り準備致します。」
「1度逃げ出したダンジョンに再び向かう強さを手に入れたら戻ってこい」
王の間をファースさんと出る。
「赤羽、猫を連れてきたのか。不法入国とは肝を冷やしたぞ。
パルラ王のことだ。
もっと前から気づいていただろうがな。」
「すいません成り行きで」
「転移者の仲間だと疑われているのにのんきなものだな。
まさかダンジョンに再び潜りたいと王に直訴するなんてどうかしてるぞ。」
「3人が心配なんです。一刻も早く救い出してやりたい。」
「気持ちは分からんでもないがな。そう思ってるやつを1人連れてきたぞ。」
?
1階に降りるとズージェの兵が3人いた。
「こいつだ」
ダチョウ男を指さす。
「よお。お前さんが赤羽だな。俺はヤシ。クロックのパーティメンバーだ。
お前さん転移者を国に入れたって容疑があるがどうなんだ?」
鋭い目つきで睨む。
「いやそんなことはしてない。信じてくれ。」
「そうか。タイミングが悪かったんだな、色々と。
クロックの選んだ男だ。あいつを信じてないわけじゃないさ。
そういうんなら疑わねえよ。
今回のダンジョン潜入、無理してでもついていくべきだった。
で、パルラ王様はなんて?」
「無限洞窟に行けと。1人連れていく。2人はここで待機だ。なにかあったとき連絡役がいないとな。」
「なら洞窟には俺が行く。赤羽はもう同じパーティの仲間だからな。」
ヤシが名乗りをあげる。
「そうか。ならあとの2人は待機だ。私、ヤシ、赤羽、王子で行く。」
「王子?パルラ王の?」
「僕だよ」
天井からぼたっと落ちてくる。
全く気配がなかった。
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