五仕旗 Media=II Generation

旋架

文字の大きさ
31 / 33
§1 PARSKR II編

#14 さよならMedia=II Generation Part2

しおりを挟む
アブゼリードラは、元の姿に戻る。

「類清が…勝った…」

「あいつ…」

瞳彩アイリスはぐったりとして動かない。

「終わった…。
やっと…」

類清は疲労から、その場にしゃがみ込む。

「まだ終わりではない」

アブゼリードにはまだ緊張感があった。

「え?…」

傷だらけの瞳彩アイリスが立ち上がる。

「人間ごときに、また深手を負わされるとは…。
こうなりゃ、最終手段だ!
三漂群の能力はまだある!」

「何!?」

「今の勝負で十分なエネルギーは集まった。
負けはしたが、能力発動には十分だ…。
海域かいいきべる結界 二千トゥー・サウザンド】の能力。
それは、五仕旗そのものの抹消!」

「五仕旗の抹消!?」

「五仕旗に関わるすべてのものを消滅させ、世界中の人間から、モンスターと五仕旗の記憶を消し去る!
お前ら人間は五仕旗を生み出した。
今、世界中のモンスターはここに集まっている。
人間がモンスターの存在を認知している限り、お前らはあらゆる手を使ってモンスターを復活させ、戦いの手段として利用してくるだろう…。
だがその記憶を奪えば、次に俺が目覚めた時、お前らにはもう俺と戦う術は残っていない!
その時こそ…。
お前ら人間が記憶を抱いたまま、モンスターを奪われ苦しむ姿を思い描いていた俺に、こんな力を使う場面はないと思っていたが、何もできず眠りにつくよりはいい!」

「これは、人間を憎む瞳彩アイリスが執念で発言させた能力だとでもいうのか!」

闘争組換アサルト・ツートーン】で生じた光の柱に再びヒビが入る。
それを見つめるアブゼリード。

「類清。
急で申し訳ないが、ここでさよならだ」

「え…お前、何言ってんだよ」

「あの柱が壊れれば、君達まで記憶を失ってしまう。
そうなれば奴の思う壺だ」

「まさか…」

「みんな、いくぞ!」

類清のデッキのモンスター、青充の飛翔ひしょう照蜴しょうきが飛び出し、ヒビに向かっていく。

立ち去ろうとするアブゼリードの腕を類清がつかむ。

「おい!」

「止めてくれるな!」

「…」

「君達の記憶が残っていれば、きっとまた、モンスターを復活させることができる。
そのために私達がやらなければならないことはたった一つ」

「でも…」

「これ以上、私を困らせるな。
いつも君のわがままに付き合わされて疲れていたんだ。
少し休ませてくれ」

「うるせぇ。
お前いつも、俺が疲れたって言うと怒ってたじゃねぇか」

「ならばお互い様だ。
それに考えてもみろ。
世界中のモンスターが消え、私が生き残っても、私の居場所などないだろう。
悪魔か龍かの議論どころではない。
記憶の消えた人間からすれば、私の存在自体が異様なのだからな」

「…」

「もう時間がない。行ってくる…」

アブゼリードが飛び立つ。

「どこへでも行け!
二度と帰ってくんな!
お前みたいにおしゃべりなモンスターは迷惑なんだよ!」

龍は光の中に消えていった。
類清は立ち上がることができない。

瞳彩アイリス起動聳スターターカクから光が流れ込む。
瞳彩アイリスが最後の力を使うと強烈な光が起こり、何も見えなくなった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...