33 / 33
§1 PARSKR II編
#14 さよならMedia=Ⅱ Generation Part4
しおりを挟む
後日。
Central本部のエレベーターの中。
「青充。この前はありがとな」
「気にするな。
お前に手を焼くのは慣れている」
「相変わらずむかつく奴だな」
「それに、お前の言葉で少しスッキリしたしな」
「え?」
「何でもない」
先日の会議で、攻撃的な発言をした者に対し、類清は怒りを露わにした。
青充が止めたことで何とか収まったが、あのまま続けばつかみ合いの喧嘩にでもなっていたかもしれない。
「青充」
「何だ?」
「俺、アブゼリードやみんながいなくても、頑張るよ」
「…そうか」
扉が開く。
先日の会議室とは異なる小さな部屋に今回は集められた。
風潤も来る予定だ。
五仕旗はCentral Sort:Enからカードゲームの一種として、一般発売されることが決まった。
瞳彩に集められた、モンスターの魂とも呼べるジャムのような液体は、各モンスターカードに少しずつ入れられる。
ダメージが大きく、従来のモンスターのように心や意識があるかは分からない。
あったとしても、アブゼリードのようにコミュニケーションをとれる者はいないだろうと推測された。
起動聳は世の中から姿を消したので、小型の起動を作り、そのバリエーションも増やすことになった。
映像技術を使い、モンスターを場に出した時、その映像を浮かび上がらせる。
今度の世界で五仕旗がどれだけ浸透するかは分からない。
しかし、間接的にでも人とモンスターが関わることで、いつか瞳彩が復活した時、対抗できる者が現れるのではないかという判断が下された。
元々存在していたモンスターは全てが消えてしまったが、新しいモンスターとして再び人間達の元に帰すのが良いという結論に至った。
Central本部長の意向で、類清達三人には今後の五仕旗における決定権の一部が与えられた。
類清は新たなルールの制定を希望した。
今日はその日。
「お前は突拍子もないことを言うからな。
今から心配だよ。
お前何であんなことを言ったんだ?」
「だってここから五仕旗がまた始まるなら、Media=II Generationのままだと、元々五仕旗を知ってた奴らにとっては有利になるじゃん。
それともお前、"生涯、飯が無料"とかの方が良かったのか?」
「子どもが休み時間に話すような願いを言うな!
第一それは、五仕旗に関係したものではないだろう」
**********
風潤や他の職員達が揃い、会議が始まる。
「やっぱ、どうせ変えるなら思いっきり変えたいよな」
「それならカードの種類を増やすのはどうだ?」
「Media=II Generationはモンスターカードと特殊カードの2種類だったからね。
昇級カードを入れても3種類か」
「まずモンスターカードは必要だろ。
それから…。
それから何だ?」
「特殊カードに近いものも必要だな…」
会議は行き詰まる。
風潤が切り出す。
「攻撃部類を無くすってのはどう?」
「え?」
「今までは攻撃部類でカードの色が分けられてたけど、たとえばモンスターカードは青色、みたいに、カードの種類で色を分けるの。
五色なら一色はモンスターカードとしても、あと四種類必要でしょ?
そうすればカードの種類も増やせるし」
「それは斬新だな」
「カードの色が攻撃部類じゃなくなるなら、攻撃部類自体なくすか。
全部通常部類の状態にして、他の四つの攻撃部類は"攻撃カード"みたいなカードで攻撃状態を変えるみたいな」
「確かに通常部類は、他の四種類の攻撃部類のどれにも属さない、"その他"という意味も強かったからな。
それならば、モンスターカード、攻撃カード以外の残る三種類は特殊カードということか。
特殊カードを三種類に分ける…。
特殊カードは通常型、残存型…」
「残存型は装置とか結界とかそういうものだよな…。
砦カード、壁カード…城、城カードってのは?」
「城カードか…。
言葉の感じは悪くないけど、城限定ってわけでもないし…」
「まぁ、そのうち城のカードも増えるだろ」
「呼び方は後で決めるとして、他の二種類のカードも決めるか」
「通常型の特殊カードは…」
ここへ来る前に考えてこなかったわけではないが、具体的な案をまとめてきたわけではない。
皆で集まって議論すると、自分自身でも驚くほどアイデアが出た。
他の職員達は三人のペースについていくのがやっとだった。
会議の終盤。
新ルール名は類清に委ねられた。
ホワイトボードに表記を含め、案を書く。
「数字はこれで合ってるよな?」
「合ってるよ」
「いや、その名前、五仕旗を知ってる俺達には分かるけど、何も知らない人からすれば、"何から数えてるんだ"って話になるが…」
「表向きは"開発中につけてた番号"とかでいいじゃん。
何回も考え直したってことで。
あんまり凝った名前でも分かりづらいし。
今まで頑張ってくれたモンスターのためにも、過去から繋がってるってニュアンスをどうしても入れたかったんだ」
「私はいいと思うけどな」
「まぁ、元々お前がこのルールを作りたいって言ったわけだし、いいか」
「じゃあ、これで決定!」
**********
後日。
12枚に分かれた瞳彩のカードについて、話し合いが行われた。
1カ所で管理すれば、再び瞳彩が復活した時、今回の事件のように瞳彩が動きやすくなる。
カードは物理的な距離をとるため、各地で信用のおける者に託されることになった。
また、数が多いと管理するのに苦労するため、12枚のカードはこの時代の技術を使用し、2枚ずつ統合させ6枚になった。
カードにはモンスターカードもあったが、それらのモンスターも三漂群のように意思を持たない存在であると推測された。
**********
<PARSKR II>
鉱山の国。
そろそろ対戦者が現れそうだ。
「(今日も頼むぞ。
【ホワイトアウト・ワイルドラゴン】)」
デッキのカードを確認する。
「(みんな。
俺は今もここで、相変わらずエリアボスをやってるよ…)」
対戦者が向こうから歩いてくる。
「よくここまでたどり着いたな。
そのことは褒めてやる」
定番のフレーズ。
「(いつかきっと、ラスボスになる。
まだまだそこまでは遠いけどな…)
だがここから先に立ち入ることは不可能だ。
なぜなら貴様はここで敗北するのだからな」
類清はバッジ型の起動を立ち上げる。
「(だから心配するな。
お前達がいなくても、俺は俺で好きにやるからよ)
五仕旗…」
「3rd Generation!」
五仕旗 Media=II Generation 完
Central本部のエレベーターの中。
「青充。この前はありがとな」
「気にするな。
お前に手を焼くのは慣れている」
「相変わらずむかつく奴だな」
「それに、お前の言葉で少しスッキリしたしな」
「え?」
「何でもない」
先日の会議で、攻撃的な発言をした者に対し、類清は怒りを露わにした。
青充が止めたことで何とか収まったが、あのまま続けばつかみ合いの喧嘩にでもなっていたかもしれない。
「青充」
「何だ?」
「俺、アブゼリードやみんながいなくても、頑張るよ」
「…そうか」
扉が開く。
先日の会議室とは異なる小さな部屋に今回は集められた。
風潤も来る予定だ。
五仕旗はCentral Sort:Enからカードゲームの一種として、一般発売されることが決まった。
瞳彩に集められた、モンスターの魂とも呼べるジャムのような液体は、各モンスターカードに少しずつ入れられる。
ダメージが大きく、従来のモンスターのように心や意識があるかは分からない。
あったとしても、アブゼリードのようにコミュニケーションをとれる者はいないだろうと推測された。
起動聳は世の中から姿を消したので、小型の起動を作り、そのバリエーションも増やすことになった。
映像技術を使い、モンスターを場に出した時、その映像を浮かび上がらせる。
今度の世界で五仕旗がどれだけ浸透するかは分からない。
しかし、間接的にでも人とモンスターが関わることで、いつか瞳彩が復活した時、対抗できる者が現れるのではないかという判断が下された。
元々存在していたモンスターは全てが消えてしまったが、新しいモンスターとして再び人間達の元に帰すのが良いという結論に至った。
Central本部長の意向で、類清達三人には今後の五仕旗における決定権の一部が与えられた。
類清は新たなルールの制定を希望した。
今日はその日。
「お前は突拍子もないことを言うからな。
今から心配だよ。
お前何であんなことを言ったんだ?」
「だってここから五仕旗がまた始まるなら、Media=II Generationのままだと、元々五仕旗を知ってた奴らにとっては有利になるじゃん。
それともお前、"生涯、飯が無料"とかの方が良かったのか?」
「子どもが休み時間に話すような願いを言うな!
第一それは、五仕旗に関係したものではないだろう」
**********
風潤や他の職員達が揃い、会議が始まる。
「やっぱ、どうせ変えるなら思いっきり変えたいよな」
「それならカードの種類を増やすのはどうだ?」
「Media=II Generationはモンスターカードと特殊カードの2種類だったからね。
昇級カードを入れても3種類か」
「まずモンスターカードは必要だろ。
それから…。
それから何だ?」
「特殊カードに近いものも必要だな…」
会議は行き詰まる。
風潤が切り出す。
「攻撃部類を無くすってのはどう?」
「え?」
「今までは攻撃部類でカードの色が分けられてたけど、たとえばモンスターカードは青色、みたいに、カードの種類で色を分けるの。
五色なら一色はモンスターカードとしても、あと四種類必要でしょ?
そうすればカードの種類も増やせるし」
「それは斬新だな」
「カードの色が攻撃部類じゃなくなるなら、攻撃部類自体なくすか。
全部通常部類の状態にして、他の四つの攻撃部類は"攻撃カード"みたいなカードで攻撃状態を変えるみたいな」
「確かに通常部類は、他の四種類の攻撃部類のどれにも属さない、"その他"という意味も強かったからな。
それならば、モンスターカード、攻撃カード以外の残る三種類は特殊カードということか。
特殊カードを三種類に分ける…。
特殊カードは通常型、残存型…」
「残存型は装置とか結界とかそういうものだよな…。
砦カード、壁カード…城、城カードってのは?」
「城カードか…。
言葉の感じは悪くないけど、城限定ってわけでもないし…」
「まぁ、そのうち城のカードも増えるだろ」
「呼び方は後で決めるとして、他の二種類のカードも決めるか」
「通常型の特殊カードは…」
ここへ来る前に考えてこなかったわけではないが、具体的な案をまとめてきたわけではない。
皆で集まって議論すると、自分自身でも驚くほどアイデアが出た。
他の職員達は三人のペースについていくのがやっとだった。
会議の終盤。
新ルール名は類清に委ねられた。
ホワイトボードに表記を含め、案を書く。
「数字はこれで合ってるよな?」
「合ってるよ」
「いや、その名前、五仕旗を知ってる俺達には分かるけど、何も知らない人からすれば、"何から数えてるんだ"って話になるが…」
「表向きは"開発中につけてた番号"とかでいいじゃん。
何回も考え直したってことで。
あんまり凝った名前でも分かりづらいし。
今まで頑張ってくれたモンスターのためにも、過去から繋がってるってニュアンスをどうしても入れたかったんだ」
「私はいいと思うけどな」
「まぁ、元々お前がこのルールを作りたいって言ったわけだし、いいか」
「じゃあ、これで決定!」
**********
後日。
12枚に分かれた瞳彩のカードについて、話し合いが行われた。
1カ所で管理すれば、再び瞳彩が復活した時、今回の事件のように瞳彩が動きやすくなる。
カードは物理的な距離をとるため、各地で信用のおける者に託されることになった。
また、数が多いと管理するのに苦労するため、12枚のカードはこの時代の技術を使用し、2枚ずつ統合させ6枚になった。
カードにはモンスターカードもあったが、それらのモンスターも三漂群のように意思を持たない存在であると推測された。
**********
<PARSKR II>
鉱山の国。
そろそろ対戦者が現れそうだ。
「(今日も頼むぞ。
【ホワイトアウト・ワイルドラゴン】)」
デッキのカードを確認する。
「(みんな。
俺は今もここで、相変わらずエリアボスをやってるよ…)」
対戦者が向こうから歩いてくる。
「よくここまでたどり着いたな。
そのことは褒めてやる」
定番のフレーズ。
「(いつかきっと、ラスボスになる。
まだまだそこまでは遠いけどな…)
だがここから先に立ち入ることは不可能だ。
なぜなら貴様はここで敗北するのだからな」
類清はバッジ型の起動を立ち上げる。
「(だから心配するな。
お前達がいなくても、俺は俺で好きにやるからよ)
五仕旗…」
「3rd Generation!」
五仕旗 Media=II Generation 完
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる