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第2章:【ナマケモノの爪の垢】
13.【ナマケモノの爪の垢】ゲット!
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ナマケモノの町に到着する頃にはとっぷり夜が更けていたので長老の勧めで長老宅に一泊させてもらうことにした。
長老宅には住民たちが感謝の気持ちとダミ子たちに次々とプレゼントを渡した。
町で作った野菜、果物、毛皮(まさか自分たちの……脱皮?)その他諸々。
料理の得意な住民がエビグラタンと野菜のグリルをふるまってくれた。
えらい待たされた。
「ぐがーっぐごごごっ」
「うるせぇぇ……」
和やかな食事時間を終え就寝時間。
客室の隣部屋の長老のイビキがうるさすぎて熟睡できなかったダミ子は耐えきれずベッドから出て外の空気を吸いに行った。
「……お」
同じだったのか長老宅の前の庭先でマースが夜空に浮かぶ月を見つめていた。
「ダミ子さん」
「君もあのイビキにやられたか」
「長老さんも疲れたんでしょう。僕たちが訪れる前からひとり頑張ってたし。安心したんでしょうね」
「心配するほど無呼吸なんだが」
『zzz……』
ナマケモノの町には長老のイビキと共に健やかな寝息が木霊している。
「全員無事でよかったですね」
「ああ。もう盗賊団に誘拐されることもないしな」
就寝前ダミ子はグゥスカ王国の警備部門宛に手紙を書いた。
コックリ盗賊団が行った悪事についてだ。
ナマケモノの町は郵便が通っているし比較的グゥスカ王国までの距離も近い。
数日の間に王国から警備隊が動くだろう。
「ぬかりないですねぇ」
「再発防止が一番大事だろう」
「まあともかく、ひとつ目の材料は手に入りそうですね」
「こちらとしてはやっとひとつという感じだ」
誰が爪の垢を貰うのに盗賊団と戦うと予想しただろう。
ダミ子は小さくため息を吐く。
「ドラゴンとか魔女とかつく材料はどうなるんだ……」
「なるようになりますよ。案ずるより産むが易し。ダミ子さんは僕が守ってみせます」
「カッコいいこと言うじゃないかマースくん」
「たまには僕だってカッコつけたいです。時折こうやって弱々しいイメージを払拭していかないと貧弱ポイントが貯まってしまいますから」
「ポイント貯まったら粗品と交換しようか?」
「要りませんよ! だから貯めないようにしてるんですって。もう、からかってるでしょう!」
「ははは」
二人は夜空を見上げしばらくお互い無言でいた。
これから起こる未知の未来に思いを馳せて。
「助けてくれてありがとうな。約束通り爪の垢じゃ。受け取ってくれ」
翌朝、長老宅の前にはズラリとナマケモノたちが縦一列に並んでいた。
ダミ子とマースの手には爪やすりが握られている。長老に渡された。
「お、おい、まさか全員分コレで削れと?」
「安心せい。捕まっとったから充分に伸びておる。たんと貰っていけ」
「いやそういうことじゃ……」
二人で行儀よく並ぶ住民たちを見る。全員いる。ぶっちゃけ全員から採集する必要もないのだが立ち並ぶナマケモノたちはほくほくと心なしか嬉しそう。削ってもらうのを楽しみにしている。
「今度はネイルサロンの仕事かよ……」
「よかったですね副業が見つかって」
「……」
ナマケモノたちの爪を研ぎ終わる頃には夕方になっていた。
「もう一泊するか~?」
「「近くの宿屋に寄るので結構だ(です)」」
ダミ子とマースは盗賊団潜入時の時よりやつれた面持ちでナマケモノの町を出発するのだった。
【ナマケモノの爪の垢を手に入れた!】
長老宅には住民たちが感謝の気持ちとダミ子たちに次々とプレゼントを渡した。
町で作った野菜、果物、毛皮(まさか自分たちの……脱皮?)その他諸々。
料理の得意な住民がエビグラタンと野菜のグリルをふるまってくれた。
えらい待たされた。
「ぐがーっぐごごごっ」
「うるせぇぇ……」
和やかな食事時間を終え就寝時間。
客室の隣部屋の長老のイビキがうるさすぎて熟睡できなかったダミ子は耐えきれずベッドから出て外の空気を吸いに行った。
「……お」
同じだったのか長老宅の前の庭先でマースが夜空に浮かぶ月を見つめていた。
「ダミ子さん」
「君もあのイビキにやられたか」
「長老さんも疲れたんでしょう。僕たちが訪れる前からひとり頑張ってたし。安心したんでしょうね」
「心配するほど無呼吸なんだが」
『zzz……』
ナマケモノの町には長老のイビキと共に健やかな寝息が木霊している。
「全員無事でよかったですね」
「ああ。もう盗賊団に誘拐されることもないしな」
就寝前ダミ子はグゥスカ王国の警備部門宛に手紙を書いた。
コックリ盗賊団が行った悪事についてだ。
ナマケモノの町は郵便が通っているし比較的グゥスカ王国までの距離も近い。
数日の間に王国から警備隊が動くだろう。
「ぬかりないですねぇ」
「再発防止が一番大事だろう」
「まあともかく、ひとつ目の材料は手に入りそうですね」
「こちらとしてはやっとひとつという感じだ」
誰が爪の垢を貰うのに盗賊団と戦うと予想しただろう。
ダミ子は小さくため息を吐く。
「ドラゴンとか魔女とかつく材料はどうなるんだ……」
「なるようになりますよ。案ずるより産むが易し。ダミ子さんは僕が守ってみせます」
「カッコいいこと言うじゃないかマースくん」
「たまには僕だってカッコつけたいです。時折こうやって弱々しいイメージを払拭していかないと貧弱ポイントが貯まってしまいますから」
「ポイント貯まったら粗品と交換しようか?」
「要りませんよ! だから貯めないようにしてるんですって。もう、からかってるでしょう!」
「ははは」
二人は夜空を見上げしばらくお互い無言でいた。
これから起こる未知の未来に思いを馳せて。
「助けてくれてありがとうな。約束通り爪の垢じゃ。受け取ってくれ」
翌朝、長老宅の前にはズラリとナマケモノたちが縦一列に並んでいた。
ダミ子とマースの手には爪やすりが握られている。長老に渡された。
「お、おい、まさか全員分コレで削れと?」
「安心せい。捕まっとったから充分に伸びておる。たんと貰っていけ」
「いやそういうことじゃ……」
二人で行儀よく並ぶ住民たちを見る。全員いる。ぶっちゃけ全員から採集する必要もないのだが立ち並ぶナマケモノたちはほくほくと心なしか嬉しそう。削ってもらうのを楽しみにしている。
「今度はネイルサロンの仕事かよ……」
「よかったですね副業が見つかって」
「……」
ナマケモノたちの爪を研ぎ終わる頃には夕方になっていた。
「もう一泊するか~?」
「「近くの宿屋に寄るので結構だ(です)」」
ダミ子とマースは盗賊団潜入時の時よりやつれた面持ちでナマケモノの町を出発するのだった。
【ナマケモノの爪の垢を手に入れた!】
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