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電柱の横にいる

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秋になると天気にもよるけれど下校時間の頃にはうす暗くなっている事が多い。

友達と帰ってる時はいいけれど一人になると見えるものがある。


友達と分かれてすぐのところに電柱があって、その横におばあさんがいる。


低学年の頃は帰りが早いから見かけなかったけれど、高学年になって帰りが遅くなるようになると見かける事が増えたと思います。

誰かの帰りを待ってるのかなって思いつつ、あまり気にせずいつも横を通り過ぎていました。

学校から目上の人にはあいさつはするように言われているので「こんにちは」とか「こんばんは」とか、声には出さないけれど少しだけペコリと頭を下げあいさつはしていました。


そのうち気になってクラスで誰かのおばあちゃんなのかって聞いてみたけれど、そんなおばあさん知らないし見た覚えも無いって。


その日も少し遅くなって日が暮れはじめていた。

やはり電柱の横におばあさんはいました。


少し先だけど気になるとしっかり見てしまう。


・・・足元が透けてました。


これは目を合わせちゃいけないと思って。
とにかく見てないフリをしたんです。

それでもやっぱり怖いなって思いながら横を通り過ぎようとしたら、


「大丈夫よ、何もしなから」


って、声をかけてきたんです。

返事するのも・・・と思ったから、通り過ぎてからいつものように少し頭を下げました。


今もいます。


誰を待ってるんでしょうね。
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