小界奇談～ちょっと怖い物語～（100話完結）

忘れ物を取りに来た

誰もいなくなった、暗くなってからの学校は怖いんですよ。

新任で行くことになった学校は建て直し前で
古いから、なおさら怖さがあったんですけど、なかなか仕事が片付かなくて帰れない。

そろそろ帰ろうと、まだ残っていた他の先生が見回りに行ってる間に職員室に一人でいたら出入口をノックする音がして、開けたら男の子がいました。

「どうしたの？忘れ物？1人で来たの？」

男の子は首を縦に頷いたので、教室までついて行こうと見回りに出ている先生に席をはなれているとメモを書いてからと思って、

「すぐ行くから先に教室に忘れ物を取りに行ってて、帰りは危ないから先生送るから」

って声をかけました。

その子はすぐ右に行ったので低学年のクラスへ向かったと思った。メモを書いて職員室から出ようとした時に左から戻ってきた先生に声をかけられました。

なので、事情を話したら、

「あーそれね。大丈夫、行かなくて」

と言われた。

なんで行かなくていいのかたずねると、

「うちの職員は一度は会うけど、もう出てこないから。忘れものはしてないから大丈夫なんだよ」

そんなこと初めてだったし、あんなにハッキリ見えてコミニュケーションがとれたこととか衝撃でしたけど、先輩先生はサラッと、

「先生やってれば、わりとそんなこといくらでもあるよ」

と言われて。


いくらでもある、って。

やっぱり怖いです。