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懲りない猫
しおりを挟む名前が思い出せない。
吾輩も猫である。
こんなことを言うとそちらの世界では
やれ真似事だ、芸がない。だなんて言うんだろう?
怖い世界だ。
こちらの世界はもっと平和だ。
今回は私の話をしよう。
私は常に決まった準備をした後、犯行に及ぶ。
決まった準備とは、ひたすら待つことで、
待てば必ずあの女は獲物を持ってやってくるのだ。
前回から今日で丁度1週間。
私が獲物を頂く瞬間を、皆様にはお届けしよう。
早速、太陽が笑っていやがる。
それにつられて私と同程度の子犬も笑っているようだ。
フフフ。
勘違いするなよ。私はつられて笑ったのではなく、
そろそろあの女がやって来るから笑ったのだ。
あの女は靴を履かずにやってくる。
だから足元だけを見ておけばすぐに誰だか分かる。
来た。
裸足のやつだ。
いつもこの道で
いつもこの時間
いつも同じ獲物を持ってきてくれる。
私は見逃さず、獲物を咥えた。
そこからいつも裸足で駆けてくるあの女。
逃げ切るまでがオープニングだ。
気付いたか?
あの女、今日も財布を忘れてやがる。
フフフ。
今度はつられて笑ってみた。
私も懲りない猫だが、あの女も懲りないな。
おっと。
やっと思い出した。
吾輩も名前はまだない。
だが、そこではこう呼ばれてるんだ。
お魚咥えたドラ猫、と。
今週も至って平和だ。
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