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Ⅱ.王
猛獣の襲来
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「わああー!かわいいー!」
まひよが寄りたい、と言うのでとある服屋に行った。かなりオシャレな店で、なるほど全ての商品が高級である。
「うわぁ…、たっけ。」
ねこみーは値札を見ては戻し、また値札を見てはまた戻しを繰り返していた。
「まひよー、まだ決まんないのー?」
「待ってー!」
まひよはなかなかいいのが見つからず決められていないらしい。いや、いいのがありすぎて決められていないのかもしれないが。ねこみーは暇を持て余すように店の中をうろうろした。
ここはレディースだけでなくメンズも種類が多く、カラーバリエーションなども豊富なようで、びっくりするような派手な色もあれば落ち着いた色のものも沢山あった。
「ねこみー!!終わったよー!!どこー!!」
しばらくそうしていると、ようやく買い物が終わったらしい。自分を呼ぶ声に気づいたねこみーはくるっと方向を変え、家族の元へ向かった。
「ここー。」
トスッ
不意に他の客とぶつかった。
「…ッ。」
「あ、すんません。」
相手はピアスだらけで、もみあげだけを垂らしたオールバックに鋭い三白眼の瞳。不良だ、やべぇめんどくせぇ。そう思いながらその場を去ろうとした。その時…
ブンッ
「!?」
聞き慣れない音に咄嗟に反応して避けた。というより無意識のうちに本能で動いたため少々猫化し、身体が縮んでしまっていた。
「…何すんだよ!?」
思いもよらないことに混乱するねこみーと、何かに腹を立てているのか攻撃してくる不良。
「ねこみー!?」
突然の轟音に家族、そして店員や野次馬が集まってきた。
「お客様…!おやめくださ…。」
「うるせぇ!!!!」
言いかけた店員の顎を容赦なく殴った。殴られた店員は吹っ飛び、服が並べられた棚に打ち付けられる。
「おい!!大丈夫か!?」
すぐさま他の店員が駆け寄る。店員はみんな見るからに草食動物で、力があまりない。ましてや不良は肉食動物そして生身でもかなり強いやつだ。黄色ベースに黒い斑点、中に点がある動物…。ねこみーは思い当たる動物を探した。
「お前…、ジャガーか。」
ジャガー。その強靱な肉体と顎で獲物を一撃で倒すアマゾン最強と呼ばれる動物。その強さはピューマやヒョウをも倒すと言われている。一般的な首筋を噛み窒息死させるネコ科とは違い、ジャガーは顎で頭蓋骨などを噛み砕き一撃で殺してしまう。それほどの強さを持っているのだ。
不良は笑いながら「そうだよ。」と答える。目は一切笑っていない。それがどうにも不気味で、気持ち悪かった。
「たいたー、イブ姉…。」
様子を見ていたまひよが二人に縋り付く。たいたーはまひよの頭をぽんぽん、と優しく撫で、イブに目配せした。
「おいおいまじかよ。」
先程の不良がだんだんと人間から姿を変えていく。最後までの変身ではないが、先程よりも動物の特徴がはっきりし、肉体がパワーアップしているように見えた。
「誰一人として俺の縄張りに入ることは許さねぇ…。ましてや俺にぶつかるなど論外。」
「はあ!?さっき謝ったじゃん!あ、お前あれだな。彼女がちょっとでも気に触ることしたらめちゃめちゃ根に持って、それを貸しみたいにして脅して結局捨てられるタイプだな!?」
「…うるせえんだよ!」
苦い経験を思い出したのか、また重い一撃が来る。慌てて避けようとしたその時。
「あれ?」
一撃が来なかった。慌てて顔を上げると
「たいたー?」
たいたーが自らのパーカーの両端を持ち、ジャガーの拳を防いでいた。
「びっくりした?実はこれ破けないように強力な繊維で加工してあるやつなんだよ。僕って虎だから虎化した時服が大変なことになりそうになってたことが沢山あったからね。ここの隣の加工場でやってもらったんだよ。」
なるほど、どおりで破けずに防げているわけだ。
「はぁ、全く。煽るんならちゃんと避ける準備しといてよね。どうやって避けるつもりだったの?後ろ柱だけど。」
「あ、まじか。」
たいたーに言われ振り返ると本当に柱があった。多分あのままじゃ柱にぶつかって逃げられていなかっただろう。
「僕に何か言うことは?」
「お前のTシャツ姿めっちゃ久しぶりに見たわ。」
「そうじゃないんだけど。」
怒りのこもった声を聴きながらジャガーの方を向いた。先程よりもまた少し人間から離れている。
「早く警察来ねぇかなぁ。」
「さっき呼んどいたからもうちょいで来るはず。それまで被害を抑えなきゃ。」
「はいはい。」
ふと、野次馬の中に見覚えのある顔が見えた。
「あ、レイ達だ。」
軽く手を振ると、レイが驚いたような顔をし、何か大声で叫んでいる。隣にいたまさが今ねこみーたちがいる所の後ろらへんを指差した。
「え?」
瞬間、視界は真っ暗になり意識が消えた。
まひよが寄りたい、と言うのでとある服屋に行った。かなりオシャレな店で、なるほど全ての商品が高級である。
「うわぁ…、たっけ。」
ねこみーは値札を見ては戻し、また値札を見てはまた戻しを繰り返していた。
「まひよー、まだ決まんないのー?」
「待ってー!」
まひよはなかなかいいのが見つからず決められていないらしい。いや、いいのがありすぎて決められていないのかもしれないが。ねこみーは暇を持て余すように店の中をうろうろした。
ここはレディースだけでなくメンズも種類が多く、カラーバリエーションなども豊富なようで、びっくりするような派手な色もあれば落ち着いた色のものも沢山あった。
「ねこみー!!終わったよー!!どこー!!」
しばらくそうしていると、ようやく買い物が終わったらしい。自分を呼ぶ声に気づいたねこみーはくるっと方向を変え、家族の元へ向かった。
「ここー。」
トスッ
不意に他の客とぶつかった。
「…ッ。」
「あ、すんません。」
相手はピアスだらけで、もみあげだけを垂らしたオールバックに鋭い三白眼の瞳。不良だ、やべぇめんどくせぇ。そう思いながらその場を去ろうとした。その時…
ブンッ
「!?」
聞き慣れない音に咄嗟に反応して避けた。というより無意識のうちに本能で動いたため少々猫化し、身体が縮んでしまっていた。
「…何すんだよ!?」
思いもよらないことに混乱するねこみーと、何かに腹を立てているのか攻撃してくる不良。
「ねこみー!?」
突然の轟音に家族、そして店員や野次馬が集まってきた。
「お客様…!おやめくださ…。」
「うるせぇ!!!!」
言いかけた店員の顎を容赦なく殴った。殴られた店員は吹っ飛び、服が並べられた棚に打ち付けられる。
「おい!!大丈夫か!?」
すぐさま他の店員が駆け寄る。店員はみんな見るからに草食動物で、力があまりない。ましてや不良は肉食動物そして生身でもかなり強いやつだ。黄色ベースに黒い斑点、中に点がある動物…。ねこみーは思い当たる動物を探した。
「お前…、ジャガーか。」
ジャガー。その強靱な肉体と顎で獲物を一撃で倒すアマゾン最強と呼ばれる動物。その強さはピューマやヒョウをも倒すと言われている。一般的な首筋を噛み窒息死させるネコ科とは違い、ジャガーは顎で頭蓋骨などを噛み砕き一撃で殺してしまう。それほどの強さを持っているのだ。
不良は笑いながら「そうだよ。」と答える。目は一切笑っていない。それがどうにも不気味で、気持ち悪かった。
「たいたー、イブ姉…。」
様子を見ていたまひよが二人に縋り付く。たいたーはまひよの頭をぽんぽん、と優しく撫で、イブに目配せした。
「おいおいまじかよ。」
先程の不良がだんだんと人間から姿を変えていく。最後までの変身ではないが、先程よりも動物の特徴がはっきりし、肉体がパワーアップしているように見えた。
「誰一人として俺の縄張りに入ることは許さねぇ…。ましてや俺にぶつかるなど論外。」
「はあ!?さっき謝ったじゃん!あ、お前あれだな。彼女がちょっとでも気に触ることしたらめちゃめちゃ根に持って、それを貸しみたいにして脅して結局捨てられるタイプだな!?」
「…うるせえんだよ!」
苦い経験を思い出したのか、また重い一撃が来る。慌てて避けようとしたその時。
「あれ?」
一撃が来なかった。慌てて顔を上げると
「たいたー?」
たいたーが自らのパーカーの両端を持ち、ジャガーの拳を防いでいた。
「びっくりした?実はこれ破けないように強力な繊維で加工してあるやつなんだよ。僕って虎だから虎化した時服が大変なことになりそうになってたことが沢山あったからね。ここの隣の加工場でやってもらったんだよ。」
なるほど、どおりで破けずに防げているわけだ。
「はぁ、全く。煽るんならちゃんと避ける準備しといてよね。どうやって避けるつもりだったの?後ろ柱だけど。」
「あ、まじか。」
たいたーに言われ振り返ると本当に柱があった。多分あのままじゃ柱にぶつかって逃げられていなかっただろう。
「僕に何か言うことは?」
「お前のTシャツ姿めっちゃ久しぶりに見たわ。」
「そうじゃないんだけど。」
怒りのこもった声を聴きながらジャガーの方を向いた。先程よりもまた少し人間から離れている。
「早く警察来ねぇかなぁ。」
「さっき呼んどいたからもうちょいで来るはず。それまで被害を抑えなきゃ。」
「はいはい。」
ふと、野次馬の中に見覚えのある顔が見えた。
「あ、レイ達だ。」
軽く手を振ると、レイが驚いたような顔をし、何か大声で叫んでいる。隣にいたまさが今ねこみーたちがいる所の後ろらへんを指差した。
「え?」
瞬間、視界は真っ暗になり意識が消えた。
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