原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第2話-1 教室で

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 帝国学園の入学式は、2日目に設定されている。初日は顔合わせが重視されているからだ。

 このあたり「学園は帝国内の優秀な子弟が交流する場でもある」という点が徹底されていると言っていい。

 平民は早く登校するのが不文律。逆に高位貴族ほどゆっくりと教室に入るのは、不文律というよりも周りを思いやってのこととされる。

 貴族が教室で待ち受けていたら、平民はビビって教室に入れなくなるかもしれないという考え方だ。確かに、教室に入ってみたら高位貴族と取り巻き達しか教室にいないなどということになったら、平民にとっては悪夢以上であろう。

『身分制社会で学園ドラマをやるには、いろいろと設定が必要なんだよね』

 たとえば、パーティーなら上位者に対しての挨拶はできない。だが学園では違う。このあたりのマナーというか意識の違いがあった。

 トラブル防止のために、特に貴族の子弟に対して「学園では違うよ」と繰り返し言い聞かされていた。

 だから、オレが教室のドアを開けて第二王女殿下がゆっくりと入っていくと、あちらこちらから声が掛かっても、それは予測済み。

「おはようございます」

 ものすごい緊張感を伴った声だ。

 そりゃあ、庶民も含めて「王族」と同じ水平面で会うなんて初めてだから仕方がない。でも、平民は「自分から挨拶をするのがマナー」と子どもの頃から教え込まれている。だから、こうして丁寧な挨拶を自分からするのは必須なのだ。

 このあたりは貴族のマナーと平民の常識がダブ・スタ状態なんだよね。だから貴族は平民のやり方を受け入れる形を選ぶ。

 王女殿下は、ぎこちない挨拶が聞こえる度に艶やかな声が上機嫌に答えていった。

「おはようございます」

 さすが王女殿下である。親しみとか、優しさという感情を与えつつも、他に一切の情報を与えない「アルカイックスマイル」が完璧な仮面として張り付いている。

 その半歩後ろを付き従うのは「婚約者」であるオレ。

 だから、王女に挨拶をした人間は例外なく、オレにも目を向ける。

「ひっ! あっ…… お、おはようございます」

 設定通り、マルスの顔は整っているんだけど、造り自体が「傲慢顔」っていうのかな。冷酷とか冷徹、あるいは冷笑みたいに「冷」の字ばかりがつきそうな印象を持っているんだ。

 そこに「狂乱の貴公子」のウワサ付きだ。

 誰もが、まず怯えるのは仕方ない。

 次に、肩にとまっている「鳥」を見て仰天しながら、ハッと「挨拶しなくちゃ」と思い出して声を掛けてくる。

 オレは「マルスの今まで」に合わせつつも、挨拶を返すために笑顔を作って会釈を返したら「ひぃ~ ごめんなさい!」って謝られてしまった。

 数人、同じ事を繰り返したので、笑顔をやめてみたら、ようやく悲鳴が止まってくれた。

 ツッと第二王女が扇で口元を隠しながら囁いてきた。

「学園内です。我慢なさって? 挨拶程度で射殺す眼光はお可哀想ですわ」

 だ~ か~ ら~

 笑顔、スマイル、welcomeって気持ちだよ? なんだよ、その「射殺す眼光」っていうのは。

「特に眼光を鋭くしているつもりはありませんが」
「あら? 良かった。それなら、後で影の者に襲わせるおつもりはないのですね?」
「しません」

 そんな繰り返しに、さすがに飽きてきた。それにしても、誰もチカについて触れてこないなぁ~



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