原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第40話-2 生徒会室

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 生徒会室のドア。

 ノックをするのも、ドアを開けるのも男性の役割と心得て、オレが恭しくドアを開けてみせる。目顔で「ありがとうございます」と伝えてきたサマンサは、一歩室内に入って、ふわりした立ち姿。

「生徒会長より、ご招待に与りました。サマンサです」
「お出ましくださり、ありがとうございます。殿下」

 まずは礼儀として、サマンサに挨拶を返したエリシアは「マー君、やっぱり来てくれましたね! お姉ちゃん嬉しいです。そして、リズ、ありがとう」

 子どもの頃からの関係性もあって、公爵家令嬢であるエリシアがエリザベスのことは「リズ」呼びをするのは、好意の表れだ。

「まずは、そちらにおかけになってくださいね」

 設定しておいた俺が驚くのもあれなんだけど、置いてあるのは会議用のキドニーテーブルだ。しかも、どっちかというと珍しい「肝臓型」をしている10人掛けだ。

 このキドニーテーブルって、腎臓とか肝臓の形をしたものを指すんだ。日本だと珍しいんだけど、ヨーロッパではポピュラーな形らしいよ。ただし、それも「腎臓型」が中心で、肝臓型はめったにない。

 ところが、人体特有の「カーブばかり」の形は、どこにどう座っても真っ正面になりにくいと言う利点があるんだよね。

 しかも生徒会長は、トップの位置に座ることで自然と会議の覇権《ヘゲモニー》を握りやすい。 資料が大量に必要な会議なら、逆に大きなカーブの方に座ると大量に机を占有することもできる。

 つまりTPOに合わせて使い回せる便利な形なんだよ。

 前世で俺の小説が売れたときは、密林さんで、この形のテーブルがバンバン売り出されたって記憶もあるんだ。

 今はトップ側に会長が座って、その右手側にサマンサ、オレ、エリザベスが座ったんだ。

「私から、現役員を簡単に紹介しますね」

 左手を伸ばした先にはコピーロボかよと言いたいほどそっくりな二人が座ってる。

「カルマ侯爵家のご兄弟 ブラフマンがお兄様で副会長。そして、弟様のアートマンが会計ですわ」

 敬称は省略させていただきますわ、と断ったワリに、しっかりと家門を入れるのは貴族どうしては普通のこと。といっても、高位貴族の同世代だけに、子どもの頃から何度も顔を合わせてもいたのだから顔なじみのレベルだ。

 そして、コイツらが「さすが因業カルマ家」と言われるほど、毒舌・ドSキャラなのは承知の上。双子だからなのか、異様に二人は仲が良くて、しかも矛先を揃えてくるのが芸風になってる。

「かねてから、その戦略的な思考を馳せられることでご高名な王女殿下に、このような場でお目にかかれて光栄です」

 ちゃんと立ち上がりつつ、金縁のメガネをキラリと輝かせて、兄のブラフマンが「戦略的思考=腹黒」とディスってくる。このあたりは、キャラ設定が生きてるなぁと苦笑いが出そうだ。王女に毒舌をかまして何がしたいのかってコトだけどね。

「これはこれは、偉大なるご功績をあげられ、今や帝国の意義ある礎イケニエとなるであろうとされる英雄にご協力いただけること、感謝の極みです」

 すかさず、次に立ち上がった弟のアートマンは俺をディスってきた。ホント仲いいな、お前達。

 要するに、オレは公爵家の嫡男を外れたんだから大人しく「頭を踏みつけられてろ」とでも言っているのだろう。

「お二人とも、いくら仲間が増えて嬉しくても、いきなり誉めすぎると返ってやりにくいと思いますよ。リズも、よくマー君を支えてくれてますものね」
 
 いや、誉めてないから!

 エリシアは、性格上、一切の皮肉、毒舌が効かないって設定だけに、言葉通りに受け止めてニコニコしているんだからすごい。しかも「エリザベスちゃんだけ触れてなかったですね」とでも考えて、ちゃんと自分が誉めるのも忘れない。

 エリシアはあくまでも善意の塊の人なんだ。


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