原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第6話-2 オレはガイア 3

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 サラは目を見開いて、オレを見つめてる。

「はい? あっ、お、恐れ入ります」
「なんだよ。クラスメイトじゃん。そんな他人行儀な感じじゃなくて良いよ」

 よし、つかみはOK。サラは立ち止まってオレを見てる。

 フレンドリーな貴公子だろ、オレ?

「あの、何か、私、粗相をいたしましたか?」
「違う違う。偶然、君を見かけたからさ」
「それは、あの、ありがとうございます」

 ペコンとお辞儀してきた。お~ さすがヒロイン。破壊力のある微笑みだね。

 オレは一気に本題に入ることにした。

「なあ、今日、冒険者ギルドに行くんだろ。付き合ってやろうか?」
「え? ぼうけんしゃ、ギルドですか? なぜでしょう?」
 
 キョトンと言う顔。え~ ここでシラを切るとは。そんなに身分差を気にしているのか。原作よりも、真面目派なのかな?

 まあ、ここは物語の強制力を信じて、強気でいこう。

「どうしてって、君は冒険者になりたいから登録しに行くんだろ? 水くさいなぁ。隠さなくても、誰にも言いやしないよ」
「ごめんなさい。誰かとお間違えでは?」
「いや、その髪は絶対サラだろ。D級冒険者ブレッドの娘のサラ・ブレッドだ。間違えてなんて無いぞ」
「あぁ!」
 
 サラがいきなり笑顔になった。なんて可愛いんだ! 納得の笑顔って感じ。ほら、みろ、間違ってないじゃん。

「やっぱり似た人がいるのですね。お人違いです。私は行商を営んでおりますパスタ・ラビオリの娘、サラ・ラビオリです。いつか家族でお店を持ちたいと、私も商人を目指しておりますので、今のところ冒険者になるのは、ちょっと、あのぉ~ 父も許してくれないでしょうし」
「え? ラビオリ? ちょっと待て。お前の両親は死んだはずだろ? 確かオーガに襲われたって知ってるぞ」

 原作を読破したオレはサラの「旧姓」を知っていた。確かに「ラビオリ」だった。

「わぁ。襲われたのをよくご存知で…… あ、そうですね。あのあたりの森は公爵家のものでした。それに、考えてみれば助けてくださったのはお兄様ですもの。ご存知なのですね」
「え? な、ん、だ、と?」

 オレの反応に、今度はサラが慌てた。
 
「あっ、秘密だったのですね! あ、お、お願いします、お願いします。聞かなかったことにしてください! 命の恩人に、ご迷惑をかけるわけにはいかないんです」

 オレはとっさに「他のヤツには黙っていてやるから、事情を話せ」と交渉した。

 その結果分かったのは、入学前、サラの両親が主催した行商の旅の最中、オーガの群れに襲われた。そこを助けたのが公爵家の「さる方」で、名前を出すと迷惑がかかるからと騎士団の方に硬く口止めされたという話。

『原作と全然違うじゃん! ホントは幼い頃に両親を亡くして、D級冒険者をしていた父親の兄に育てられてきたはずだ。だけど、実際には、半年前にヤツに助けられて両親も無事ってわけか……』

 冒険者は「やつがれ商売」だとか「一発当てるか、森で食われるかのバクチ人生」と言われるこの社会において、商売をやっている両親が生きているのに、しかも女性で冒険者なんてなりたがるわけが無い。

 冒険者の登録をしておくと、いくつかの特典はあるけど、冒険者としてやっていくつもりがないなら、入学早々の今、焦って冒険者登録なんてする必要がないんだ。というよりも、帝国学園に入れるほど優秀な子が冒険者にはならないのが常識だ。

 サラは、育ての親が冒険者だったし、早く独り立ちしたかった。だから、学校のみんなには内緒で冒険者登録をしようとしたんだった……

 どーするんだよ。帝都が火の海になっても良いって言やぁ、良いんだけど、もしも焼き尽くす炎にやられたら、サラのヒールは掛けてもらえないんだぞ。

 オレが「この後のコト」を考えているうちに、サラは話を打ち切りに来た。

「あの、そ、そういうことなので。それに街中で男性とお話するのは、その、母からも叱られてしまいますから!」
「あ、そ、そうだね」

 ガイウスの記憶が、サラの言うことを肯定している。町娘にとっては「街中」っていうのはSNS以上に、みんなの目が気になる場だ。

 ここで立ち話以上をするなら、その手の「誤解」をされても良いというつもりが必要なんだ。 

「あ、いや、えっと、無理して引き留めてすまない」
「いえ。お人違いだと分かって、良かったです。失礼いたします」
「あっ…… また、明日」
「はい。明日から、またよろしくお願いいたします」

 丁寧にお辞儀をするサラは、原作通りに感じの良い子だ。

 だけど……

 どーすんだよ、初イベント!

 
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