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第2章 帝国学園 1年生編
第11話-1 大魔法の傾向と対策
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「炎の力よ、我が手に宿れ。灼熱の球となり、敵を焼き尽くせ! ファイヤーボール!」
次の子の詠唱はワリと簡潔だった。魔法は出すまでの詠唱が短い方がイイとされてるから、これは〇。でも、その分、威力が小さくなりがちだ。それは集まろうとするナノマシンが、間に合わないことに起因するんだよね。
まあ、本来は、言葉に出さなくても周囲のナノマシン達を呼び集めることはできるわけで、それを意識するかしないかで、結果は大きく違うんだ。
ん?
素早い2発。ゼーゼーいいながら、さらにあと2発を放ったけど、そちらは的を外れて後ろの土壁へ。正確に言えば、土壁に張られた防御魔法に防がれて消滅した。
へ~ ああいう消し方もあるのか。
次は、オレとガイウスだけど、嫡男が格上になるのは当然のこと。
オレが先にと前に出る。
「では、私が「待て!」はい?」
ガイウスがグイッと俺を押しのけてきた。
えっと、オレの本だと、確かに主人公が先になる場面ではある。
主人公がファイヤーボールを一ダースも同時に作り出して、全てを同時に的に当てるという離れ業を演じるんだ。しかも威力は最上級。ドロシー先生の防御魔法すらギリギリになるほどだった。
これまでの努力が実った瞬間を見せつける魔力量と威力、そしてコントロールだった。で、そのスゴさに第二王女が「帝国の英雄が誕生する瞬間を見た」なんて心の中で考えてた。
しかし、ここは主人公の「負けイベント」なんだよね。努力を上回る天才というのを見せつけられるシーンなんだ。
「数を放てば良いと言うものではないぞ、愚か者め」
そんな風に、わざわざディスってから(いや~ マジで性格悪いよね)圧倒的な速さで詠唱して撃ったファイヤーボールはたった5個。しかし、瞬時に攻撃展開されたファイヤーボールは的の「支柱」に当たって、全ての的を吹き飛ばすんだ。
ドロシー先生が唖然として「私の魔法が、魔法が、魔法が」ってうわごとみたいになったのは「壊れない」と言われた的が壊れたことになるからだ。
「決められたカセに従うのは兵たる者の定め。カセを作るのが貴族たる者である」
みたいにわけの分からないことを言って人々を唖然とさせて去って行くマルスは、最強の悪役そのもの。ドロシー先生はその背中を見つめて「さすが傲岸不遜」だとかいって感心と、そして心配をするんだよね。
つまり、ルールそのものを支配する意志と才能を見せつけたシーンなんだ。
第二王女は、その潜在的な危険性をここで読み取るんだ。マルスの意志と才能が「帝国というルール」を壊す側に回ったら危険すぎるとね。
だから、この時から第二王女は、あらゆる権謀術数でマルスを貶め、ガイウスにチャンスを与えようとすることになる大事な場面。
第二王女の企みの全てが「帝国のため」の必然だから、一切の迷いがない。作中でもたびたび「私がやっていることが正しい。このままではマルス様の存在こそが帝国の災苦となる」と自分自身に言い聞かせるシーンが出てくるくらいだからね。
っと、余計なことを考えちゃったけど、ガイウスがオレを遮って「先に撃つ」のは物語的には正しいけど、一つ問題があるんだよね。
それは、本来は努力の人であるガイウスなのに、努力した形跡が非常に少ないことにある。
確かに騎士団と何かの特訓をしていたのは知ってるけど、嫡男となってしまってから、ヤツは書類仕事に追われてる。そのうえ「嫡男たることを知らしめる」と言う必要性を感じてなのか、少ない時間を割いてでも、こまめにパーティーに顔を出していた。
まあ、そういう意味での努力は怠ってなくて、オレはひたすら「さすが主人公」と感心していたんだが、どう考えても魔法の練習はしていなかった。
だから、ここでヤツが「嫡男の力を知らしめなければ」と無理してしまうと、少々困るかもと思ったんだ。だって、魔力量が十分な貴族にとって、魔法で一番難しいのはコントロールなんだから。
魔法が暴走してギャラリーを巻き込む的な事件はラノベに付きものじゃん?
オレの心配をよそに、ガイウスは「嫡男とは言え、それはあくまでも一臣下たる家。皇女殿下の婚約者が格上なのは申し上げるまでもないでしょう」と恭しく申し出てきた。
まあ、その割に目が卑屈で「なんか、オレを恨んでる?」と思いそうだけど、ここでヤツの言葉に反対しても仕方ない。主人公が何かをしたいなら、従っておいた方が吉だからね。
「立場はともかくとして、ご嫡男様のご指示であれば、従うのが家中の務め。いかようにも」
そう言って、一歩下がってみせると、ガイウスはドヤ顔をしながら進み出てきた。
次の子の詠唱はワリと簡潔だった。魔法は出すまでの詠唱が短い方がイイとされてるから、これは〇。でも、その分、威力が小さくなりがちだ。それは集まろうとするナノマシンが、間に合わないことに起因するんだよね。
まあ、本来は、言葉に出さなくても周囲のナノマシン達を呼び集めることはできるわけで、それを意識するかしないかで、結果は大きく違うんだ。
ん?
素早い2発。ゼーゼーいいながら、さらにあと2発を放ったけど、そちらは的を外れて後ろの土壁へ。正確に言えば、土壁に張られた防御魔法に防がれて消滅した。
へ~ ああいう消し方もあるのか。
次は、オレとガイウスだけど、嫡男が格上になるのは当然のこと。
オレが先にと前に出る。
「では、私が「待て!」はい?」
ガイウスがグイッと俺を押しのけてきた。
えっと、オレの本だと、確かに主人公が先になる場面ではある。
主人公がファイヤーボールを一ダースも同時に作り出して、全てを同時に的に当てるという離れ業を演じるんだ。しかも威力は最上級。ドロシー先生の防御魔法すらギリギリになるほどだった。
これまでの努力が実った瞬間を見せつける魔力量と威力、そしてコントロールだった。で、そのスゴさに第二王女が「帝国の英雄が誕生する瞬間を見た」なんて心の中で考えてた。
しかし、ここは主人公の「負けイベント」なんだよね。努力を上回る天才というのを見せつけられるシーンなんだ。
「数を放てば良いと言うものではないぞ、愚か者め」
そんな風に、わざわざディスってから(いや~ マジで性格悪いよね)圧倒的な速さで詠唱して撃ったファイヤーボールはたった5個。しかし、瞬時に攻撃展開されたファイヤーボールは的の「支柱」に当たって、全ての的を吹き飛ばすんだ。
ドロシー先生が唖然として「私の魔法が、魔法が、魔法が」ってうわごとみたいになったのは「壊れない」と言われた的が壊れたことになるからだ。
「決められたカセに従うのは兵たる者の定め。カセを作るのが貴族たる者である」
みたいにわけの分からないことを言って人々を唖然とさせて去って行くマルスは、最強の悪役そのもの。ドロシー先生はその背中を見つめて「さすが傲岸不遜」だとかいって感心と、そして心配をするんだよね。
つまり、ルールそのものを支配する意志と才能を見せつけたシーンなんだ。
第二王女は、その潜在的な危険性をここで読み取るんだ。マルスの意志と才能が「帝国というルール」を壊す側に回ったら危険すぎるとね。
だから、この時から第二王女は、あらゆる権謀術数でマルスを貶め、ガイウスにチャンスを与えようとすることになる大事な場面。
第二王女の企みの全てが「帝国のため」の必然だから、一切の迷いがない。作中でもたびたび「私がやっていることが正しい。このままではマルス様の存在こそが帝国の災苦となる」と自分自身に言い聞かせるシーンが出てくるくらいだからね。
っと、余計なことを考えちゃったけど、ガイウスがオレを遮って「先に撃つ」のは物語的には正しいけど、一つ問題があるんだよね。
それは、本来は努力の人であるガイウスなのに、努力した形跡が非常に少ないことにある。
確かに騎士団と何かの特訓をしていたのは知ってるけど、嫡男となってしまってから、ヤツは書類仕事に追われてる。そのうえ「嫡男たることを知らしめる」と言う必要性を感じてなのか、少ない時間を割いてでも、こまめにパーティーに顔を出していた。
まあ、そういう意味での努力は怠ってなくて、オレはひたすら「さすが主人公」と感心していたんだが、どう考えても魔法の練習はしていなかった。
だから、ここでヤツが「嫡男の力を知らしめなければ」と無理してしまうと、少々困るかもと思ったんだ。だって、魔力量が十分な貴族にとって、魔法で一番難しいのはコントロールなんだから。
魔法が暴走してギャラリーを巻き込む的な事件はラノベに付きものじゃん?
オレの心配をよそに、ガイウスは「嫡男とは言え、それはあくまでも一臣下たる家。皇女殿下の婚約者が格上なのは申し上げるまでもないでしょう」と恭しく申し出てきた。
まあ、その割に目が卑屈で「なんか、オレを恨んでる?」と思いそうだけど、ここでヤツの言葉に反対しても仕方ない。主人公が何かをしたいなら、従っておいた方が吉だからね。
「立場はともかくとして、ご嫡男様のご指示であれば、従うのが家中の務め。いかようにも」
そう言って、一歩下がってみせると、ガイウスはドヤ顔をしながら進み出てきた。
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