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第2章 帝国学園 1年生編
第45話-1 溶けるスイーツ
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落ち着いたインテリアだと一目で分かる。
貴族向けと言うこともある高級店としての余裕なんだろう。地価の高い帝都の中心の店なのに、前世で言えば「田舎のファミレス」並みのゆったり感だ。
もちろん、テーブルもイスも職人技で磨き上げられた高級木材。
イスは恐らくマホガニーだろう。赤みを帯びた黄金にも似た反射は、特有の重厚さを見せつけている。
当たり前のように、それぞれに黒服の給仕《ウェイター》が着いて、ホントはムチャクチャ重いイスをさっと引く。
スッと席の前に入れば、適切な位置に座れるようにイスがわずかに前に出される。アウンの呼吸で思い切って、なおかつエレガントに座ってみせるのも貴族のマナー。
それを信じてサクッとイスを押すのもウェイターとしての嗜み。
このあたりの呼吸みたいなのは、一種の名人芸の世界なんだよ。だから、高級店ほど高位貴族の家で給仕をする人間を高い給金で引き抜こうとするのは当たり前だ。しかし、給仕の方もそれなりの長さで働けば「○○家で何年働きました。紹介状もこれに」となる日を夢見るわけだ。高給で釣り上げてようとする職場が選び放題になるらしい。
このあたりは、バランスが取れていて「簡単に高給になびくヤツは、初めからいらない」んだよね。かと言って、あまりに長く働かせると、その人のキャリア作りを邪魔することになる。
たいていは5年がメドとされているんだ。そこでよそで働くか、あるいはキャリア・アップして執事の方に進むのかを決める。
もちろん「食べ物を運ぶ」という仕事だけに、信用度は絶対性と言うほど必要なこと。たいていは、既に働いて信用されている人の身内になるのも、単なる「コネ」ってことじゃないんだよ。
だって、ダメな奴を紹介しちゃったら自分が悪く思われるだろ? 特に高位貴族に仕えて不始末を起こせば、紹介者まで首チョンパだからね。物理で。
だから、こういう高級店の給仕を指導する仕事は、たいてい引く手あまたの高給職でもある。
まあ、そういうこともあって、貴族家に仕えるのは平民の憧れでもあるわけだ。
そして、同時に「貴族の出入りする店」に平民が来るなら、ただカネだけ持ってる人じゃだめってことなんだよね。このあたりの感覚は、資本主義の前世とは全く異なっているんだよ。
あ、ちなみに、この店は会員制ではないけど貴族以外は紹介状が必要だよ。まあ、コネってやつね。あ、嫌な顔をしないでよ。それなりにふさわしいと思った人だから紹介するわけだろ? だから迷惑な客だとか、マナーを心得てないような客は入ってこないんだ。
逆を言うと、紹介してくれた人に迷惑を掛けられないっていうのが先に来るので、紹介状をもらってきた平民はピリピリしているよ。
貴族向けと言うこともある高級店としての余裕なんだろう。地価の高い帝都の中心の店なのに、前世で言えば「田舎のファミレス」並みのゆったり感だ。
もちろん、テーブルもイスも職人技で磨き上げられた高級木材。
イスは恐らくマホガニーだろう。赤みを帯びた黄金にも似た反射は、特有の重厚さを見せつけている。
当たり前のように、それぞれに黒服の給仕《ウェイター》が着いて、ホントはムチャクチャ重いイスをさっと引く。
スッと席の前に入れば、適切な位置に座れるようにイスがわずかに前に出される。アウンの呼吸で思い切って、なおかつエレガントに座ってみせるのも貴族のマナー。
それを信じてサクッとイスを押すのもウェイターとしての嗜み。
このあたりの呼吸みたいなのは、一種の名人芸の世界なんだよ。だから、高級店ほど高位貴族の家で給仕をする人間を高い給金で引き抜こうとするのは当たり前だ。しかし、給仕の方もそれなりの長さで働けば「○○家で何年働きました。紹介状もこれに」となる日を夢見るわけだ。高給で釣り上げてようとする職場が選び放題になるらしい。
このあたりは、バランスが取れていて「簡単に高給になびくヤツは、初めからいらない」んだよね。かと言って、あまりに長く働かせると、その人のキャリア作りを邪魔することになる。
たいていは5年がメドとされているんだ。そこでよそで働くか、あるいはキャリア・アップして執事の方に進むのかを決める。
もちろん「食べ物を運ぶ」という仕事だけに、信用度は絶対性と言うほど必要なこと。たいていは、既に働いて信用されている人の身内になるのも、単なる「コネ」ってことじゃないんだよ。
だって、ダメな奴を紹介しちゃったら自分が悪く思われるだろ? 特に高位貴族に仕えて不始末を起こせば、紹介者まで首チョンパだからね。物理で。
だから、こういう高級店の給仕を指導する仕事は、たいてい引く手あまたの高給職でもある。
まあ、そういうこともあって、貴族家に仕えるのは平民の憧れでもあるわけだ。
そして、同時に「貴族の出入りする店」に平民が来るなら、ただカネだけ持ってる人じゃだめってことなんだよね。このあたりの感覚は、資本主義の前世とは全く異なっているんだよ。
あ、ちなみに、この店は会員制ではないけど貴族以外は紹介状が必要だよ。まあ、コネってやつね。あ、嫌な顔をしないでよ。それなりにふさわしいと思った人だから紹介するわけだろ? だから迷惑な客だとか、マナーを心得てないような客は入ってこないんだ。
逆を言うと、紹介してくれた人に迷惑を掛けられないっていうのが先に来るので、紹介状をもらってきた平民はピリピリしているよ。
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