原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第65話-2 婚約者

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 笑顔の大人達に送り出されたマルスだ。

 事実として、皇帝はマルスが扉を閉めた直後に「は~」と息を大きく吐き出したのだった。心からの安堵の表情である。感情を表に出してはならない君主の身では異例のことである。

 しかし、そうさせてしまう事情が事情なのだ。

「陛下?」
「よせよせ。ここにはお前達しかおらん。それよりも、お前の息子。なんだ、あれは? 以前は気付かなかったが、ここまでのバケモノだったとはな」
「そう言われても」

 息子をバケモノ呼ばわりする方もする方だが、それを否定できないマーラウェルである。『確かに倅はバケモノの領域である』と思わざるを得ない。

 皇帝は、首を振ることで珍しく自分の感情をわかりやすく出しながら言った。

「お前自身の魔力が巨大なせいなのか、あるいは親子だからなのか知らんがピンとこないのか? あれほどの気だぞ」
「いや、それは、なんとなくわかるが」

 言葉を濁すマーラウェルである。分かるが、分かりたくないこともあるのだ。

「あれは一体何なんだ。なあ?」

 同意を求められたクラッススは「はい」と答えた。立っているのも辛そうである。
 
 マーラウェルは、その姿を見て「確かに、わからんでもないが、いささか大げさでは?」と首を捻ってみせた。

 皇帝は立ち上がる気力も湧かないクラッススに「そんなことはないよなぁ」と再び同意を求めた。

「はい」
「あれでも殺気をまったく出してなかったんだからな。なんということだ」
「確かに。敵意に似た気配がまったく感じられないのは救いでした」

 さすがに皇帝は一国の支配者のプライドにかけてもヘタり込めないが、実は足がガクガクである

「あんなに巨大な気だ。いつ、襲われるかと冷や冷やしたぞ。裸でデイノニクスに向き合うほうがまだマシという感じだな」

 二人の、いや、実はマーラウェルもだが「コイツがここで暴れたら瞬時に命が奪われる」という本能的恐怖があった。これは、マルスが「女子トイレ問題」についての警戒と緊張をしていた影響なのだが、大人達にはそこまでの理解はない。

 ともあれ、マルスは極めて理知的な男であるのは明白。

 しかも、友好的な態度を見せる皇帝を「害してやる」などという危険思想を持ってないのは明白だ。第一、終始、皇帝と国の重鎮に敬意を払っていた。

 合理的に考えれば恐れる必要性は皆無なのだ。

 しかし、圧倒的な力を持った存在に畏怖を感じるのは動物である「ヒト」としての本能でもある。

 それほど、マルスは圧倒的な存在感を見せていた。

「つくづく、取り込む選択をしていた我の決断を誉めてやりたいモノよ」

 ドサリとイスにもたれかかった皇帝が、しみじみと呟くのを、学生時代の友人でもあった二人は「まったくだ」と心から肯くのであった。


・・・・・・・・・・

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