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第2章 帝国学園 1年生編
第67話-3 予定と必然と
しおりを挟む距離を取ったらスピード
回り込むときはスピード
相手をおちょくるときもスピード
そして、スロー ときに止まって、笑顔を見せる。
常に足を使い、有利な位置関係を保ってハルバートを振りかぶったところをすかさずハンマーで一撃。
防具越しでも肋骨が折れ、みぞおちに食い込み、内臓が形を変える。
フィールドには、あっちこちに朝食の残骸が噴きこぼれるという阿鼻叫喚状態だ。
10人を沈めるのに3分も掛からない。これじゃ、さすがに見物客が収まらないだろうと「ほら、次、早く来い」とあおったら、お代わりが来てくれた。
結局、10人ずつだとラチが明かないと、そのあとは20人、30人となって言ったけど、結果は変わらない。
観客に満足していただくために「木剣」を指定して、各中隊長を呼んだ。こっちも木剣にチェンジだよ。
こちらは、ちょっとプライドに配慮して木剣を巻き上げるだけにした。
え? ポケットの小銭も巻き上げた方がイイ?
累々と横たわるケガ人達に、痺れた手を押さえる中隊長。
観客が唖然、ナイツは愕然。
ともあれ、ナイツ全員が納得するまで1時間ほどかかった。ナイツ専属の治療師は頑張ってくれているみたいだけど、あれじゃあ、しばらく復帰できないよね。
さりげなく一人ずつにヒールを送ってから、観客の拍手に応えるはずが、シーンとなってしまった。
ヤバい。やり過ぎたか。でも、こういうときは、得意技だよ。
「ふんっ」
ちゃんと待ってる人がいるからね。
「お疲れ様でした」
控え室に一緒に戻ってから、サマンサが冷たい水を出してくれる。
エリザベスがタオルで顔を拭いてくれる間に、シアは軽装鎧を外して、服を脱がしてくれる。
汗臭いのはダメだもんね。テキパキと身体を拭いてくれる間は仁王立ち。
このあたりは分担だ。
口に入るモノは婚約者が用意する。顔を拭くのは、次の婚約者。
専属メイドが身体を拭くのは仕事のウチ。
シアは、なぜかドヤ顔して身体を拭いてくれた。
今日のは一種の「決闘」扱いだ。その後の身支度をする時、そばに婚約者がいるのは問題ない。
このあたりが「婚約予定者」と「婚約者」の違いなんだよね。
とは言え、お年頃のお嬢さんだ。普通は目を逸らしておく。二人とも赤くした顔を手で覆っているけど、その指が広がっているのは知ってるぞ。
ともかく、それ以来、インペリアル・ナイツはオレに対して心から従うようになってくれた。
忙しいけど、行って良かったよ。
・・・・・・・・・・
そんな日々を送りながら12月の日曜日。一ヶ月半ぶりの休日だ。
昨日の別れしな、サマンサに確認した。
「明日はドレス合わせだったね」
「はい。当日、お目に掛けるのが楽しみですわ」
他のことはともかくとして、新年のパーティーや婚約式の衣装については一切見せようとしないのは「サプライズですわ」とのこと。一応、オレのプレゼントだし、デザインだって一緒に決めた。でも、着ているところを見せるのは別の話らしい。
試着する段階になったので、オレはノータッチとなった。
というわけで、朝から部屋でくつろいでる。横には当然のようにエリザベス。オレの邪魔をしないようにと言う配慮なのか、ずっと静かに本を読んでいる。
たまに目が合うと、ポッと頬を染めてくれるのは可愛い。
まあ、エリザベスがそれで幸せなら、よしとしよう。
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