原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第2章 帝国学園 1年生編

第69話-1 慰問を終えて

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 この世界に来て、メンタルは確実に強くなったと思う。

 そんなに落ち込んでない。うん、落ち込んでないからね。

 とにかく、この間の孤児院訪問はヒドかった。
 
 挨拶するのはサマンサだけというお約束。別にオレは喋る必要なんてなかったんだ。

 確かに、とっさに号令を掛けた。だが、アレは子ども達が動くに動けないのが分かったからだ。出来心みたいなモノ。

 まあ、その後にチカの話を振られるのだって、サマンサなりの配慮なんだろう。

 あれがなぁ……

 もともと注目されるのはわかってる。子ども達にとって肩に載ってる可愛らしい小鳥は興味を引かれるだろうし、柴犬なら、もっとだ。あの栗色をしたモフモフに触れたいという気持ちになるのは本能レベルで分かる。

 だから、子ども達が集まるのはわかっていたことだとはいえ、後の「触れ合い」の時間がヒドかった。 

 おませな女の子は「憧れの王女様」のお言葉を、とサマンサに並ぶのはわかる。

 年かさの男子はエリザベスのドリルヘアを近くで見たいが為に集まるのもわかる。

 原作の中では学園の行事として別の孤児院に行くシーンがあった。そこでエリザベスはキツイ顔だし、香水が臭くて子どもが寄りつかないってエピソードがあった。だけど、こっちの世界のエリザベスは違う。マルスの婚約者となって自尊感情が満たされてるし、元から香水だってキツイのは付けてない。

 顔立ちはキツいけど、見た目は美少女キャラだっていう設定もあるんだ。今の優しい雰囲気を見たら、皇女様よりも親しみやすくて美しい貴族令嬢だ。人気になるのはよく分かる。

 だから男子が鼻の下を伸ばして集まるのは仕方ないとしよう。それに、ちゃんと並んでたし、順番を守って「会話」をしてた。どこぞのアイドルの暴走するファンより、よっぽど良い。

 だけど、だ。

『チカのヤツが、触るのを許さないとか言っちゃったからかなぁ』

 少しだけ恨んだけど、身体の作りは「小鳥」という設定だけに、子ども達に囲まれると危険かもしれないよなと諦めはした。
 
 チビ達は「触れるのを許さない」と言われた上に「ラックは触って良い」と堂々と宣言されてしまった。

 そりゃ、チビ達は遠慮なくラックに集まるのは当然だった。

 しかし、それも、まあ、半ばは諦めた。

『結局、子ども達は一人もオレに近寄ってこなかったんだよなぁ』

 気を利かせてというか、いたたまれなくなったのだろう。優しそうなオバさん先生が近寄ってきてくれて「本日は、ご来臨、ありがとうございます」って挨拶をしてくれた。

 それは良い。オレも嬉しかった。でもさ「ありがとうございます」って挨拶をされて、なんて返事をすれば良い?

 迷ったオレは、とっさに「どうということはない」って答えてしまった、えっと、言い訳するけど、実は「ふんっ」だったんだよ、初めに口から出そうになったのは。さすがにそれはダメだろうって必死に我慢したら、こうなった。

 オバさん先生が顔を引き攣らせて口をパクパクさせちゃってさ。頭に浮かんだのは『あ、金魚みたい』ってことで、その次に、周りがシーンとなっちゃったことに気付いた。

 いや~ こういう時は「笑って誤魔化せ」って言うじゃん?

 だから、笑顔になったつもりだったんだけど、オバさん先生は「ひぃっ」と小さな悲鳴を上げてしまった。

 まあ、あの時に、先生を庇うみたいに出てきた男の子は偉いと思う。足が震えているのが見えたけどね。勇気を出したのはわかるし、護衛の騎士達も「ほぅ」と感心した雰囲気を出しまくってた。いや、お前達、それは感心するところじゃないだろ。百歩譲って、感心したとしても、それを態度に出すな!!!

『けっこう、傷ついたんだぞ!』

 あれじゃ「脅される先生を庇う少年と、嘲笑う悪役」ってシーンになっちゃうわけじゃん。
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