216 / 310
第2章 帝国学園 1年生編
第69話-1 慰問を終えて
しおりを挟む
この世界に来て、メンタルは確実に強くなったと思う。
そんなに落ち込んでない。うん、落ち込んでないからね。
とにかく、この間の孤児院訪問はヒドかった。
挨拶するのはサマンサだけというお約束。別にオレは喋る必要なんてなかったんだ。
確かに、とっさに号令を掛けた。だが、アレは子ども達が動くに動けないのが分かったからだ。出来心みたいなモノ。
まあ、その後にチカの話を振られるのだって、サマンサなりの配慮なんだろう。
あれがなぁ……
もともと注目されるのはわかってる。子ども達にとって肩に載ってる可愛らしい小鳥は興味を引かれるだろうし、柴犬なら、もっとだ。あの栗色をしたモフモフに触れたいという気持ちになるのは本能レベルで分かる。
だから、子ども達が集まるのはわかっていたことだとはいえ、後の「触れ合い」の時間がヒドかった。
おませな女の子は「憧れの王女様」のお言葉を、とサマンサに並ぶのはわかる。
年かさの男子はエリザベスのドリルヘアを近くで見たいが為に集まるのもわかる。
原作の中では学園の行事として別の孤児院に行くシーンがあった。そこでエリザベスはキツイ顔だし、香水が臭くて子どもが寄りつかないってエピソードがあった。だけど、こっちの世界のエリザベスは違う。マルスの婚約者となって自尊感情が満たされてるし、元から香水だってキツイのは付けてない。
顔立ちはキツいけど、見た目は美少女キャラだっていう設定もあるんだ。今の優しい雰囲気を見たら、皇女様よりも親しみやすくて美しい貴族令嬢だ。人気になるのはよく分かる。
だから男子が鼻の下を伸ばして集まるのは仕方ないとしよう。それに、ちゃんと並んでたし、順番を守って「会話」をしてた。どこぞのアイドルの暴走するファンより、よっぽど良い。
だけど、だ。
『チカのヤツが、触るのを許さないとか言っちゃったからかなぁ』
少しだけ恨んだけど、身体の作りは「小鳥」という設定だけに、子ども達に囲まれると危険かもしれないよなと諦めはした。
チビ達は「触れるのを許さない」と言われた上に「ラックは触って良い」と堂々と宣言されてしまった。
そりゃ、チビ達は遠慮なくラックに集まるのは当然だった。
しかし、それも、まあ、半ばは諦めた。
『結局、子ども達は一人もオレに近寄ってこなかったんだよなぁ』
気を利かせてというか、いたたまれなくなったのだろう。優しそうなオバさん先生が近寄ってきてくれて「本日は、ご来臨、ありがとうございます」って挨拶をしてくれた。
それは良い。オレも嬉しかった。でもさ「ありがとうございます」って挨拶をされて、なんて返事をすれば良い?
迷ったオレは、とっさに「どうということはない」って答えてしまった、えっと、言い訳するけど、実は「ふんっ」だったんだよ、初めに口から出そうになったのは。さすがにそれはダメだろうって必死に我慢したら、こうなった。
オバさん先生が顔を引き攣らせて口をパクパクさせちゃってさ。頭に浮かんだのは『あ、金魚みたい』ってことで、その次に、周りがシーンとなっちゃったことに気付いた。
いや~ こういう時は「笑って誤魔化せ」って言うじゃん?
だから、笑顔になったつもりだったんだけど、オバさん先生は「ひぃっ」と小さな悲鳴を上げてしまった。
まあ、あの時に、先生を庇うみたいに出てきた男の子は偉いと思う。足が震えているのが見えたけどね。勇気を出したのはわかるし、護衛の騎士達も「ほぅ」と感心した雰囲気を出しまくってた。いや、お前達、それは感心するところじゃないだろ。百歩譲って、感心したとしても、それを態度に出すな!!!
『けっこう、傷ついたんだぞ!』
あれじゃ「脅される先生を庇う少年と、嘲笑う悪役」ってシーンになっちゃうわけじゃん。
そんなに落ち込んでない。うん、落ち込んでないからね。
とにかく、この間の孤児院訪問はヒドかった。
挨拶するのはサマンサだけというお約束。別にオレは喋る必要なんてなかったんだ。
確かに、とっさに号令を掛けた。だが、アレは子ども達が動くに動けないのが分かったからだ。出来心みたいなモノ。
まあ、その後にチカの話を振られるのだって、サマンサなりの配慮なんだろう。
あれがなぁ……
もともと注目されるのはわかってる。子ども達にとって肩に載ってる可愛らしい小鳥は興味を引かれるだろうし、柴犬なら、もっとだ。あの栗色をしたモフモフに触れたいという気持ちになるのは本能レベルで分かる。
だから、子ども達が集まるのはわかっていたことだとはいえ、後の「触れ合い」の時間がヒドかった。
おませな女の子は「憧れの王女様」のお言葉を、とサマンサに並ぶのはわかる。
年かさの男子はエリザベスのドリルヘアを近くで見たいが為に集まるのもわかる。
原作の中では学園の行事として別の孤児院に行くシーンがあった。そこでエリザベスはキツイ顔だし、香水が臭くて子どもが寄りつかないってエピソードがあった。だけど、こっちの世界のエリザベスは違う。マルスの婚約者となって自尊感情が満たされてるし、元から香水だってキツイのは付けてない。
顔立ちはキツいけど、見た目は美少女キャラだっていう設定もあるんだ。今の優しい雰囲気を見たら、皇女様よりも親しみやすくて美しい貴族令嬢だ。人気になるのはよく分かる。
だから男子が鼻の下を伸ばして集まるのは仕方ないとしよう。それに、ちゃんと並んでたし、順番を守って「会話」をしてた。どこぞのアイドルの暴走するファンより、よっぽど良い。
だけど、だ。
『チカのヤツが、触るのを許さないとか言っちゃったからかなぁ』
少しだけ恨んだけど、身体の作りは「小鳥」という設定だけに、子ども達に囲まれると危険かもしれないよなと諦めはした。
チビ達は「触れるのを許さない」と言われた上に「ラックは触って良い」と堂々と宣言されてしまった。
そりゃ、チビ達は遠慮なくラックに集まるのは当然だった。
しかし、それも、まあ、半ばは諦めた。
『結局、子ども達は一人もオレに近寄ってこなかったんだよなぁ』
気を利かせてというか、いたたまれなくなったのだろう。優しそうなオバさん先生が近寄ってきてくれて「本日は、ご来臨、ありがとうございます」って挨拶をしてくれた。
それは良い。オレも嬉しかった。でもさ「ありがとうございます」って挨拶をされて、なんて返事をすれば良い?
迷ったオレは、とっさに「どうということはない」って答えてしまった、えっと、言い訳するけど、実は「ふんっ」だったんだよ、初めに口から出そうになったのは。さすがにそれはダメだろうって必死に我慢したら、こうなった。
オバさん先生が顔を引き攣らせて口をパクパクさせちゃってさ。頭に浮かんだのは『あ、金魚みたい』ってことで、その次に、周りがシーンとなっちゃったことに気付いた。
いや~ こういう時は「笑って誤魔化せ」って言うじゃん?
だから、笑顔になったつもりだったんだけど、オバさん先生は「ひぃっ」と小さな悲鳴を上げてしまった。
まあ、あの時に、先生を庇うみたいに出てきた男の子は偉いと思う。足が震えているのが見えたけどね。勇気を出したのはわかるし、護衛の騎士達も「ほぅ」と感心した雰囲気を出しまくってた。いや、お前達、それは感心するところじゃないだろ。百歩譲って、感心したとしても、それを態度に出すな!!!
『けっこう、傷ついたんだぞ!』
あれじゃ「脅される先生を庇う少年と、嘲笑う悪役」ってシーンになっちゃうわけじゃん。
20
あなたにおすすめの小説
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います
Debby
ファンタジー
【全話投稿済み】
私、山下星良(せいら)はファンタジー系の小説を読むのが大好きなお姉さん。
好きが高じて真剣に考えて作ったのが『異世界でやってみたい50のこと』のリストなのだけど、やっぱり人生はじめからやり直す転生より、転移。転移先の条件として『★剣と魔法の世界に転移してみたい』は絶対に外せない。
そして今の身体じゃ体力的に異世界攻略は難しいのでちょっと若返りもお願いしたい。
更にもうひとつの条件が『★出来れば日本の乙女ゲームか物語の世界に転移してみたい(モブで)』だ。
これにはちゃんとした理由があって、必要なのは乙女ゲームの世界観のみで攻略対象とかヒロインは必要ないし、もちろんゲームに巻き込まれると面倒くさいので、ちゃんと「(モブで)」と注釈を入れることも忘れていない。
──そして本当に転移してしまった私は、頼もしい仲間と共に、自身の作ったやりたいことリストを消化していくことになる。
いい年の大人が本気で考え、万全を期したハズの『異世界でやりたいことリスト』。
なんで私が転移することになったのか。謎はいっぱいあるし、理想通りだったり、思っていたのと違ったりもするけれど、折角の異世界を楽しみたいと思います。
----------
覗いて下さり、ありがとうございます!
2025.4.26
女性向けHOTランキングに入りました!ありがとうございます(๑•̀ㅂ•́)و✧
7時、13時、19時更新。
全48話、予約投稿しています。
★このお話は旧『憧れの異世界転移が現実になったのでやりたいことリストを消化したいと思います~異世界でやってみたい50のこと』を大幅に加筆修正したものです(かなり内容も変わってます)。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる