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第3章 帝国学園 2年生編
第81話-1 加護における過誤について
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別室に「捕獲」されたマルスがクラッスス達との話を終えるのに3時間以上掛かってしまった。
心配しているであろうサマンサの私室に行くと、予想通り顔色なく待ち構えていた。
帝国安全なんちゃら会議での発言を聞きつけてきたらしい。というか、既に皇宮内どころか帝都の民の間ですら、もうウワサになっているらしい。
まあ、確かに部下に伝えろって言ったから想定内だ。
「マルス様!」
あまりにも心配なのだろう。目の前で立ち尽くすサマンサは蒼白だった。
『腹黒第二王女の顔が真っ白とはこれいかに……って、そんなのをネタにしちゃ可哀想だよね』
本当は山のように言いたいことがあるのだろう。けれども頭の良い彼女は自分から口を挟むのは僭越だと知っている。
ただ目の前でハラハラと涙をこぼして、言葉を我慢しているのが逆にオレの心を切なくする。
「はい、こっち」
「あっ」
いつものとおり言動一致の「お姫様抱っこ」をしてソファに座る。マーサは、控えていた他のメイド立ちを引き連れてさりげなく退出した。このあたりの待遇が婚約者候補と婚約者の違いである。いや「実行」に移さないだろうと言う信頼を勝ち得たのかもしれないが。
「どんな話を聞いたのっていうか、サマンサが一番心配しているのは何?」
「本当にドラゴンと対決するおつもりなのですか。いくらマルス様でも、そんなの」
あ~ 確かに「何とかする」って言っちゃったもんね。
「対決はしないよ。そして、まったく心配なことでもない」
オレは苦笑いを浮かべるしかない。
「対決なさらない? 本当でしょうか。あ、あの、お言葉を疑うというわけじゃなくて、でも、あの、会議の場で、我がドラゴンを制すると仰ったと伺ったんです」
「え? マジ? かなり話が化けてるなぁ」
「じゃあ、ドラゴンと対決するおつもりは「ないよ」よかったですぅう~」
うわぁあんとサマンサがギャン泣きした。
あの腹黒第二王女が、子どもみたいに泣いているんだよ。背中をさすってあげるくらいしか出来なかった。
落ち着くまでに10分は掛かったと思う。それから、じっくり話を聞いたところサマンサがギャン泣きした理由がわかってきた。
オレが会議で宣言したことはおおむね次のように受け止められているらしい。
1 ドラゴンは吉兆であり、帝国繁栄の象徴である
2 国を挙げてお祝いする
3 万が一、ドラゴンが悪しき存在であるなら皇太子自らの手で成敗してみせる
皇太子が責任を持って言いきった。
だいたい、そんな話だ。
有能な官僚達は、既に帝都にお触れを回した。しかし、帝都の民にとって「お触れ」は、ウワサの発端になっただけ。
心配しているであろうサマンサの私室に行くと、予想通り顔色なく待ち構えていた。
帝国安全なんちゃら会議での発言を聞きつけてきたらしい。というか、既に皇宮内どころか帝都の民の間ですら、もうウワサになっているらしい。
まあ、確かに部下に伝えろって言ったから想定内だ。
「マルス様!」
あまりにも心配なのだろう。目の前で立ち尽くすサマンサは蒼白だった。
『腹黒第二王女の顔が真っ白とはこれいかに……って、そんなのをネタにしちゃ可哀想だよね』
本当は山のように言いたいことがあるのだろう。けれども頭の良い彼女は自分から口を挟むのは僭越だと知っている。
ただ目の前でハラハラと涙をこぼして、言葉を我慢しているのが逆にオレの心を切なくする。
「はい、こっち」
「あっ」
いつものとおり言動一致の「お姫様抱っこ」をしてソファに座る。マーサは、控えていた他のメイド立ちを引き連れてさりげなく退出した。このあたりの待遇が婚約者候補と婚約者の違いである。いや「実行」に移さないだろうと言う信頼を勝ち得たのかもしれないが。
「どんな話を聞いたのっていうか、サマンサが一番心配しているのは何?」
「本当にドラゴンと対決するおつもりなのですか。いくらマルス様でも、そんなの」
あ~ 確かに「何とかする」って言っちゃったもんね。
「対決はしないよ。そして、まったく心配なことでもない」
オレは苦笑いを浮かべるしかない。
「対決なさらない? 本当でしょうか。あ、あの、お言葉を疑うというわけじゃなくて、でも、あの、会議の場で、我がドラゴンを制すると仰ったと伺ったんです」
「え? マジ? かなり話が化けてるなぁ」
「じゃあ、ドラゴンと対決するおつもりは「ないよ」よかったですぅう~」
うわぁあんとサマンサがギャン泣きした。
あの腹黒第二王女が、子どもみたいに泣いているんだよ。背中をさすってあげるくらいしか出来なかった。
落ち着くまでに10分は掛かったと思う。それから、じっくり話を聞いたところサマンサがギャン泣きした理由がわかってきた。
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1 ドラゴンは吉兆であり、帝国繁栄の象徴である
2 国を挙げてお祝いする
3 万が一、ドラゴンが悪しき存在であるなら皇太子自らの手で成敗してみせる
皇太子が責任を持って言いきった。
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