原作を書いたオレはラスボスになるのを全力で拒否してモフモフ達とのんびりします!

新川 さとし

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第3章 帝国学園 2年生編

第86話-1 嫡男失格

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 メディチ家・ポーカールームにて

 父親は真剣でありながら、柔和な表情を作ろうとしている。その横にいる母は、ひたすら心配顔である。

 ゆっくりとした低音で、父は息子に語って聞かせようとしていた。

「そなたの魔法の技と力は素晴らしい。そして武においても人一倍の才覚を持っているのは承知しておる。発現はいささか遅くなったが、本来の力はマーウォルスをも凌ぐ部分があると見ておった」
「身に余るご評価」
 
 恭しく頭を下げつつも『凌ぐ部分もあるってことは、要するに、全体で見ると劣るって言いたいんだろ』と考えているガイウスである。

 案外と冷静になれるのは「どうせ、これが最後だ」と思っているためだろう。

「また、社交においても積極的に行おうとした意図は分かる。いささかパートナーの扱いや、ノーメンクラトゥー ※を頼り過ぎる部分はあったが、いずれ慣れるだろうとも思い小言は控えておった」
「ありがたき」

 さすがに、この言葉にはムッとした。しかし、辛うじて「この後、こいつを殺してやるんだ」と思うことで、こらえることが出来た。

『パートナーの扱いって言っても、最近は全然、可愛い子が来ないし、終いには男爵令嬢クラスまでいたじゃん。公爵家の嫡男がまともに相手できるわけないだろ! ノーメンクラトゥーラだって、使って良いって言うから使っただけじゃねぇか。ケチをつけるなら、始めっから使うなって言えよ! 後出しだろ』

「急な嫡男交代を乗り越えようとした意欲は買おう。学園でも長い停学を乗り越え、進級も勝ち取ったのだ。恥じることはないのだ」

 これには、ガイウスも言葉をなくして肯くのみだ。

『意欲を買うっていうのは、実際にはダメだってことを言う場合の常套句だぜ。しかも、恥じることはないって、それって「恥じて当然だ」って思ってるヤツしか言わないヤツじゃん』

 コト、ここに至って、ガイウスは、もはや計画を取りやめる意志は毛頭働かなかった。


※ノーメンクラトゥーラ:「パーティー秘書」とも呼ばれます。貴族がパーティーなどの社交において、相手の顔を覚えておく専門官。会ったことがある人は自分の顔を覚えてもらえることを喜びますので、普通は「国外や辺境地域で重要だけど、めったに会わない人」の名前を囁いてもらいます。ガイウス君は相手の名前を覚える労力を省くために使いました。当然、社交の場においては失礼な人扱いです。
第1章「魔の森編」第21話『ガイウスの小さな噂』に出てきます。
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