旦那様は、パーフェクト高校生

ぱるゆう

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詩織と優一の日曜日 5

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詩織は面食らった顔をした。
「なっ、何のこと?」

「僕が0点だったこと」

「それは受験が終わった後でいいわよ。今は余計な事は考えないで。そんなことより、キスする必要ある?」

「舌を絡める?」

「はぁ?ここは・・・」と詩織は嫌な予感がして、見回した。

 十数人が立ち止まって見ていた。
「とにかく行くわよ」

 詩織が優一の手を引っ張ると、優一は、その手を引き寄せて抱きしめた。
「し~ちゃん」

「離して」

「少しだけ」
 詩織は優一と離れた時に、立ち止まっている人が増えていたら?と思うと少し恐怖を感じた。

 帰るしかないのか?それとも私が気にし過ぎなのか?

 素直に喜んでくれる相手にしてあげてくれ、と詩織は思った。ちょっと待て、そうなると私は素直じゃないことになる。でも、本当に私は喜べない。

「いい加減にしなさい。置いてくわよ」

「はい」優一は体を離して、
「次はどこ?」と言った。

 詩織は周りを見ないように、少し視線を落とした。何も考えられない。どうしよう?

「し~ちゃん?」優一は心配そうな顔で覗き込んだ。

「お手洗い行ってくる」と優一を置いて歩き始めた。

「し~ちゃん!」と言いながら優一はついてくる。もちろん優一の歩くスピードの方が速い。簡単に並ばれてしまう。

「し~ちゃん、怒ってる?」優一は詩織の腕を掴んだ。

 反射的に振り払おうとしたが、そんなことをすれば更に目立つ。そう思った詩織は何も言わずに歩き続けた。

 そして、トイレの近くに来ると、
「トイレ」と優一の目を見ないで淡々とした口調で言った。

「し~ちゃん!」

「トイレ」ともう一度詩織は言った。

 優一は諦めて腕を離した。

 女子トイレは奇跡的に空いていた。詩織は個室に入って、そのまま座った。

 はぁ~、全然成長してない。6年近く、私はいったい何をやっていたのだろう?

 詩織は肘を膝の上において、両手で額を押さえた。

私から気に入った相手じゃないことは、フレッドの時と変わらない。私が気に入った相手って?この6年近くで、そんな人いた?フレッドのことは、いつの間にか好きになっていた。違う!初めは好きになるのが怖かっただけだ。その蟠りを一度は捨てたのに、また蟠りに頭を支配されてしまった。だから、日本に来た・・・。

じゃあ、ゆうくんは・・・?
ダメだ。高校生と、しかも生徒と。そんなことを現実として考えられない。

だから、櫻井さんで試したんだ。上手く行けば、この理由のわからない状況から逃れられると。

詩織は頭を振った。

長くても受験が終わるまでだ。ゆうくんが私のことを心配すれば、意味がなくなってしまう。でも、受験はずっと先だ。今別れてしまえば、受験の頃には落ち着くだろうか?

いやっ、希望的な考えは止めよう。元はと言えば、自分で撒いた種なんだ。

今は櫻井さんとの旅行で何かあることを祈ろう。

そう考えたら、可笑しくなってきた。

フフフッ、普通の先生なら、何もないことを祈るのに、私は正反対のことを考えている。先生失格ね。

フフフッ、そもそも生徒を襲った時点でアウトか・・・。

ふぅ~と息を吐いた。何も解決してないことは自分でも分かっている。でも、気が楽になった。

トイレを出た。すぐに優一が心配そうな顔で走って来た。

「お腹痛いの治った」詩織は笑顔で言った。

「お腹痛かったの?」優一は豆鉄砲を食らったような顔をした。

詩織は頷いた。

「なんだぁ~、良かったぁ~」ホッとした顔になった。

「さっ、次の店に行くよ」と詩織は優一の手を引っ張った。




その後は、何も気にせずに買い物を終えて、夕方くらいに別れ、それぞれの家へと帰った。

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