幸せな三角関係

ぱるゆう

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合格への道のり

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 弁護士という秋穂、早苗、両親でさえ、目標に向かって努力することが一番大切なことだ、と思われている白岩本人だけが、全然不可能だとは思っていなかった。

 白岩本人は、目標をきちんと持てていることに、心から喜びを感じていたからだ。

 白岩(心)『ちょっと前の僕は、日々が過ぎていくのを、あぁ夏が来たのか、暑いなぁ。あぁ冬が来たのか、寒いなぁ。程度しか思っていなかった。

 高校卒業後に訪れる、大きな決断を見ないようにしていた。

 僕は、どうなっても誰も困らない、そう思っていた。

 でも今は、目標に向かって一生懸命、何かをして過ごす時間は、とても大変だけど、とても楽しい。

 一生懸命勉強しても、必ずテストの点が良くなるわけでもない。簡単なミスをしたり、勘違いだったりして、自分の不甲斐なさを突きつけられ、頭を抱えることもある。

 秋葉や早苗のことを一生懸命考えてやったことも、必ず喜ばれるわけではない。逆に怒られたりして、落ち込むハメになったりもする。

 嬉しいことも嫌なことも起こる。

 誰かに起こったことを見るのではなく、自分に起こったことを自分の一部に変えていく。僕はそういう生活が気に入っただけだ。

 だから、僕は頑張れる』


 
 あの久保田家白岩家の緊急会合の日から

今日は土曜日で、秋穂と2人で久保田家にいる。早苗は辞める方の会社に行っている。引き継ぎってのがあるらしい。

 秋穂『どう、勉強は?』

 白岩『勉強をちゃんとやり始めた頃は、目に見えて成績があがったから、楽しくて仕方なかったけど、最近は、伸び悩みかな?

 頭のいい人たちか、あんなに勉強している理由分かったよ。

 前は、そんなに頭良くなって、どうするの?って思ってたけど、勉強って、やればやるほど、いろんな事が分かってくるから、更にいろんな事が知りたくなる。

 時間が足りなくなるよ』

 秋穂『う~ん。それはちょっとマズい状況かもね』

 白岩『えっ、そ、そうなの?』

 秋穂『受験しないんなら、それでも問題はないんだけどさ。ねぇ、一つ聞いていい?』

 白岩『な、何?』

 秋穂『楽しく勉強して、大学受からないのと、つまらない勉強して、大学合格するの、どっちがいい?』

 白岩『よく分からないけど、大学受からないと、勉強しても意味ないのでは?』

 秋穂『勉強って色々あるの。大学に行けば自分の好きなことをとことん勉強できる。
 しかし、受験生には、試験に受かる勉強というのがあるの』

 白岩『そうなの?教科書を勉強すれば、いいんじゃないの?』

 秋穂『う~ん。ある程度はそれでもいいんだけど。
 ちなみにどこの大学を目指してるの?』

 白岩『本命は、東京中央大学。今は全然無理なんだけど、夢は帝都大学』

 秋穂『帝都大学?そこがどういう大学か分かって言ってるの?』

 白岩『いいだろ、夢なんだから。頭のいい人達がみんな目指す大学だってことくらい、分かっているよ。 

 ここの教授が書いた本が、僕が弁護士になりたい理由に近くて、尊敬しているんだ』

 秋穂『東京中央大学だって、相当なものよ』

 白岩『分かってるよ。もっと頑張らなくちゃならないのは』

 秋穂『尚更、今の勉強のやり方じゃダメね。試験に受かる勉強をしないと
 ダメ』

 白岩『なんだよ、さっきから言ってる試験のための勉強って』

 秋穂『独りで勉強してると、どうしても面白いと思える内容や、簡単にできる内容に費す時間が増えるでしょ。

 でも受験は、必ず好きな内容の問題が出るわけじゃない。もし、得意じゃない問題が出たら、卽終了になるわよ』

 白岩『うっ、それは否定できない』

 秋穂『だから、受験のための勉強は、自分があまり好きじゃない内容、難しくてやりたくない内容の方に、いっぱい時間を割いてやらないとダメなの』

 白岩『でも、分からない内容を独りで勉強するのは無理だよ。得意な内容より何倍も時間がかかるんだから』

 秋穂『だから、予備校があるんじゃない。みんな自分だけでは限界を感じるから通ってるのよ。

 それと予備校には、もう1つメリットがあるの』

 白岩『何?』白岩は不安が大きくなって、真剣に聞き始めた。

 秋穂『英語の単語って教科書だけでも山ほどあるでしょ。知ってる?教科書っていっぱいあるって』

 白岩『教科書ってどこも一緒じゃないの?』

 秋穂『日本で教科書を作ってる会社は、いっぱいあるわ。高校がどこの会社の教科書を使うか決めてるの。これがどういうことか、分かる?』

 白岩『僕にも分かるように行ってよ。不安になるばっかりだよ』

 秋穂は少し楽しんでいた。白岩を不安にさせたい訳ではなかったが、頼られてる感じが堪らなかった。

 秋穂『ジュンが見ている教科書にはない単語が試験に出るかもしれない、ということ』

 白岩『そんなのどう勉強すればいいんだよ。辞書に載ってる単語を全部なんて覚えられないよ』

 秋穂『だから、予備校では、試験に出やすい単語ってのを教えてくれる。更に、分からない単語が出ても、答えられるようなテクニックを教えてくれるのよ』

 白岩『そんな魔法みたいな方法があるの?』

 秋穂『予備校もそういうことをしていかないと、高いお金を払ってもらえないでしょ。
 だから、予備校の講師たちも色んなことを勉強しているのよ』

 白岩『なんか予備校行けないとダメな気がしてきた』

 秋穂『でも、これだけは絶対に忘れないで、予備校は薬にもなるし、毒にもなるのよ。

 予備校に通っていることで安心して、自分て努力をしなくなる人が少なくないの。よく浪人生って聞くでしょ』

 白岩『言葉は聞く』

 秋穂『中には、浪人3年目とか、4年目って人がいるの。2年も3年も、受験に必要なことを教えてもらってるのに、合格できないって、不思議に思わない?』

 白岩『確かに』

 秋穂『全員がそうだとは言わないけど、自分で努力することを放棄しちゃった人だと思うのね。予備校がいつか自分を合格させてくれるからって。

 例えば、
 電車は乗っていれば何もしなくても目的地には着くことができる。

 しかし、車は、何千万円支払った高級車であったとしても、自分で運転しないと目的地に着くことができない。

 まぁ、運転手っていう裏口入学の方法もあるけど。フフフッ。

 もう1つ電車で言えば、独りで勉強するのは鈍行列車。予備校は新幹線ってとこかな』

 白岩『予備校のことは分かったし、予備校に通っているからといって合格できないのも分かった。

 僕って、予備校行った方がいいのかな?平日バイトあるし、どうしよう。

 もう秋穂が不安にさせるから』

 秋穂は、自分の膝をポンポンと叩いた。白岩は、秋穂の方を向いて、頭を乗せた。

 秋穂は白岩の頭を撫でる。

 秋穂『別に不安にさせるつもりはないんだけど、経験者としてはね。言っておかないと。後でシュンが後悔する顔は見たくないし』

 白岩『どうしよう?』

 秋穂『行ってみる?』

 白岩『えっ行けるの?』

 秋穂『予備校って、人気講師って人がいて、大きな教室で授業やるの。勝手に入ってもバレないよ』

 白岩『体験みたいのはないの?』

 秋穂『面倒だから、大丈夫、大丈夫。ジュン、英語、数学、何がいい?』

 白岩『国語かな?』

 秋穂『はぁあ?よくそれで文学部の私と付き合ってるわね』

 白岩『文学部なんて知ったの。最近じじゃん。それに勉強なんて教えてくれないじゃん。邪魔しに来ることはあつっても』

 秋穂『ジュンが教えてくれって言いに来ないからでしょ。それで国語のどこが苦手なの?』

 白岩『文学史。誰が何書いたかなんて、読んでもいないのにわからないよ』

 秋穂『確かに。子供の頃から名作と言われる本を読んでれば、本当はいいんだけど。

 まぁ今から読むのは無理だから、確かに難問だ』

 白岩『なんで秋穂は文学部なの』

 秋穂『小説が好きだから。小説って、SFや、推理ものみたいな全部空想で出来てるものもあるけど、そうじゃない小説は、作者の考えや生活がどうしても作中に出てくるの。

 遠い昔に書かれた小説を読んでいると、タイムスリップしているような気持ちになるのよ。

 本当にタイムマシンがあれば、いいけど、そんなことができるのは、小説だけじゃない?

 こんな楽しいことやめられないわ。

 ジュンとチューしてるよりもね』

 白岩『どうも昔の小説って敷居がたかいんだよね。博物根にあるイメージ』

 秋穂『まぁジュンも時間ができたら読んてみて。読み始めると止まらなくなるから。人の脳みそを見てる気分にもなるわ』

 白岩『それで勉強は?』

 秋穂『文学史は、自分でおぼえるしかないから、問題集買って、どの作品が多いか探すくらいね。勉強にはならないわ』

 白岩『じゃあ、英語かな』

 秋穂『英語ね。ちょっと待って』スマホを操作している。

秋穂『火曜日にあるわ。この人の有名だから、大丈夫。4時に◯◯駅で待ち合わせね』

白岩『分かった。
ねぇ、秋穂、おっぱい触っていい?

なんか不安が消えない』

秋穂『はいはい。大っきな赤ちゃんね』秋穂は上着とブラをはずした、

白岩は少し触っただけで、頭を上げて乳首に吸い付いた。

秋穂『くすぐったい。吸ったって何も出てこないわよ』

白岩は、舌で甜めた。

秋穂『あんっ。こら、赤ちゃんは、そんなことしないわよ』

白岩『赤ちゃんじゃないもん』舐め続ける。

秋穂は『あ、あぁん。もう~、したくなっちゃうじゃん』

白岩『秋穂はこっち』白岩は横になりながら、ズボンとパンツを下ろした

秋穂は手を伸ばして、垂直になっているものを上下に擦った』

白岩の口から声が漏れる。

秋穂『ねぇ、ベッド行こう』

白岩『そうだね。時間あるし、秋穂の全身を堪能しよう』

2人は秋穂の部屋に行き、お互いの体をゆっくり愛撫した後に繋がった。


#火曜日
秋穂が駅に着くと、既に白岩は待っていた。

秋穂『お待たせ』

白岩『僕も今来たところ』

秋穂『さぁ、行こう』白岩の手を引っ張った。

予備校の中は人が多かった。秋穂は目的の部屋を見つけた。

白岩『確かに広い教室だね』

秋穂『ねえ、だから大丈夫だって』と部屋の中に入った。

2人は後の端の席に着いた。教室には次々と人が入ってくるが、チラチラ秋穂を見ていく。

秋穂は腕に絡みついている。

白岩(心)『離れてよ。みんな勉強しに来てるんだから』

秋穂『勉強しに来てるんだから、私達なんか関係ないでしょ』

白岩は秋穂との間にバッグを置いた。

秋穂『ひどい!』

白岩『うるさい!僕はちゃんと聞きたいんだ。静かにしてて』

秋穂『私は暇なの』

白岩『じゃあ外で待っててよ。どっかの店でお茶しててもいいし』

秋穂『ねぇ、静かにするし、離れるから、意地悪しないで。じぁあ、ノート貸して』

白岩は、あまり使っていない数学のノートを渡した。

秋穂『へぇ~、けっこうキレイな字書くんだね』

授業が始まった。

秋穂はノーに、イタズラ書きしている。

白岩(心)『ノートなんか買えばいい。静かにしててくれるなら、安いものだ』

白岩は新しく用意したノートに、書き込んでいった。

授業では、1つの単語について、多くのことを話している。

白岩(心)『まとめて覚えろということなのだろう。確かに、こういうまとめ作業を一人でやったら、ものすごい時間がかかるだろう。

でも逆に、簡単に説明されすぎていて、生徒が分かった気になってしまうのも、理解できる』

授業が終わった。

白岩『ふぅ~』

気がつくと、秋穂がじっとこっちを見ていた。

白岩『何だよ』

秋穂『恥ずかしいことを普通に話している時以外で、ジュンの真剣な顔を初めてみたから』

白岩『真剣にして何が悪いんだよ』机の上のものをバックにしまう。

秋穂『別に悪いって言ってないし、笑ったりもしてないでしょ』と借りたノートを返す。

白岩『ほら、早く行くよ』

秋穂『我慢したんだから、手』手を伸ばした。

白岩は、その手を取り、教室を出た。

秋穂『どうだったの?』

白岩『秋穂、予備校のこと、教えてくれてありがとう。良かったよ。

いかに自分の勉強が、時間を無駄にしていたのか、よく分かった。

今日にでも親に言うつもり。』


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