25 / 56
020125【夜のパン屋】
しおりを挟む
美味しいパンが食べたい。無性に食べたい。山型では絶対にだめだ。角型食パンが良い。一斤を買って、まだ暖かいそれを手で折るようにして、水分量の多い生地が解けるように離れていく様をどうしても見たいのだ。
そんな話を学校の昼休みに友人にしていた。
「なら、あそこは?」
友人が提案する。
「ほら、あの、駅前に出来た新しいところ」
「あそこはこの前行ったけど良くなかったの」
いつも贔屓にしている店は電車で少しかかるため、平日の学校終わりには行くことが出来なかった。
「他にどこか良いところないかな?」
私が尋ねると、友人はネットで検索をしてくれていた。素晴らしい友人に感心しつつ、私はお弁当で腹を慰めていた。
「ここは?」
画面には町で評判のパン屋が載っていた。
「あ、そこは良い感じだ。何時までやってる?」
画面を熱心にスクロールする友人である。彼女は良いお母さんになるはずだ。
「ごめん、今日定休日だった」
再度途方に暮れていると、隣で一人ご飯を食べていた男子が話しかけてきた。
「もしかして、パン屋探してる?」
私は警戒をしながら頷いた。
「なら、良い店知ってるよ。夜10時からしかやってないからその時間で良けれはだけど」
「え、ほんと?」
私は食い気味で質問した。
「本当だよ。ネットには一切載ってなくて、基本紹介だけなんだ。本当に来て欲しいお客さんのみに紹介してるらしいよ。ほら、ここ」
そう言って渡してきた名刺サイズの紙には店名と裏には地図が載っていた。
丁度昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ったため、話は終わってしまい、私は貰った紙を大切にしまった。
帰宅してからは、時間になるのが待ち遠しかった。あまりそんな夜遅くに出掛ける用事は無く、そういった意味でも心踊った。
時間になり、歩いて出かけた。書いてある場所に行くと、壁に深い青色の扉が付いてるだけであった。意識をしなければそこにあることすら見逃してしまうような、慎ましいものである。
おそるおそる、扉をあけてみた。
「いらっしゃいませ」
奥にいる女性の店員が声を掛けた。店内はシンプルて清潔感があり、奥に見える棚には何斤ものパンが並べられているのが見える。
「食パンを一斤ください」
早速私は注文する。
すると、奥にいた女性がレジをお願いと声を上げた。
裏から出てきたのは少年である。
「お待たせしました。こちらで宜しいですか」
私は急に恥ずかしくなった。終始下を向いて、お会計を済ませて直ぐに店を出ようとした。その店員は後ろから声を掛けてきた。
「ありがとうございました。また明日学校で感想聞かせて」
外に出て、私は直ぐにパンを食べた。
パンの味は格別で、文句の付け所がなかった。
「くそう、やられた」
そう呟いて、私はここへ通うことを決めたのだった。
そんな話を学校の昼休みに友人にしていた。
「なら、あそこは?」
友人が提案する。
「ほら、あの、駅前に出来た新しいところ」
「あそこはこの前行ったけど良くなかったの」
いつも贔屓にしている店は電車で少しかかるため、平日の学校終わりには行くことが出来なかった。
「他にどこか良いところないかな?」
私が尋ねると、友人はネットで検索をしてくれていた。素晴らしい友人に感心しつつ、私はお弁当で腹を慰めていた。
「ここは?」
画面には町で評判のパン屋が載っていた。
「あ、そこは良い感じだ。何時までやってる?」
画面を熱心にスクロールする友人である。彼女は良いお母さんになるはずだ。
「ごめん、今日定休日だった」
再度途方に暮れていると、隣で一人ご飯を食べていた男子が話しかけてきた。
「もしかして、パン屋探してる?」
私は警戒をしながら頷いた。
「なら、良い店知ってるよ。夜10時からしかやってないからその時間で良けれはだけど」
「え、ほんと?」
私は食い気味で質問した。
「本当だよ。ネットには一切載ってなくて、基本紹介だけなんだ。本当に来て欲しいお客さんのみに紹介してるらしいよ。ほら、ここ」
そう言って渡してきた名刺サイズの紙には店名と裏には地図が載っていた。
丁度昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ったため、話は終わってしまい、私は貰った紙を大切にしまった。
帰宅してからは、時間になるのが待ち遠しかった。あまりそんな夜遅くに出掛ける用事は無く、そういった意味でも心踊った。
時間になり、歩いて出かけた。書いてある場所に行くと、壁に深い青色の扉が付いてるだけであった。意識をしなければそこにあることすら見逃してしまうような、慎ましいものである。
おそるおそる、扉をあけてみた。
「いらっしゃいませ」
奥にいる女性の店員が声を掛けた。店内はシンプルて清潔感があり、奥に見える棚には何斤ものパンが並べられているのが見える。
「食パンを一斤ください」
早速私は注文する。
すると、奥にいた女性がレジをお願いと声を上げた。
裏から出てきたのは少年である。
「お待たせしました。こちらで宜しいですか」
私は急に恥ずかしくなった。終始下を向いて、お会計を済ませて直ぐに店を出ようとした。その店員は後ろから声を掛けてきた。
「ありがとうございました。また明日学校で感想聞かせて」
外に出て、私は直ぐにパンを食べた。
パンの味は格別で、文句の付け所がなかった。
「くそう、やられた」
そう呟いて、私はここへ通うことを決めたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる