19 / 75
19
結菜ちゃんとデート
しおりを挟む
雲ひとつ無い青空が広がっていた。
今年は梅雨入りが遅いらしい。例年だと厚い雲が垂れ込めた重苦しい灰色の空なのだろうが、今年はまだ抜けるような青空の日が続いている。
今郷館の玄関の周りは、スリー婆ーズが手入れしているパンジーが満開だ。
ぶーんと羽音をさせて、くまんばちが飛び回り花の蜜を集めている。
初めはくまんばちの羽音を聞く度に、慌てて逃げていた。でも、スリー婆ーズにくまんばちはこっちから悪さしないとなにもしてこないよ、と教えられてから、胸を覆っている黄色い毛やちょっと太めのユーモラスな姿が可愛く思えるようになってきた。
本駒込から駒込までひと駅なので、歩いて行った。車の往来が激しい本郷通りを避けて裏道をぶらぶらと歩いたら、30分も掛かってしまった。
JR駒込駅北口の前で、待ち合わせていた結菜ちゃんがわたしを見つけると手を振ってくれた。
「ごめーん。待った?」
結菜ちゃんは、つばの広い帽子を上にずらしてにこにこと笑いながら首を振った。
「全然、大丈夫だよー」
「じゃあ、まずは六義園に行こうか」
「うん!」
今日はやっと実現した、結菜ちゃんとふたりでデート。
まずは六義園に行って庭園を見学して(もちろん、御茶屋で御菓子も食べて)、駒込の商店街でお昼を食べてから今郷館へ行く。夜にはバイトで遅れるユウ先輩も合流する。そして、3人でわたしの部屋にお泊まり。
わたしは引っ越してきてから駒込駅にはほとんど来たことが無くて、良い機会だから結菜ちゃんとぶらぶらと歩くことにした。
並んで歩くと、以外と結菜ちゃんの身長が高いことに驚いた。
まあ、わたしがちびっ子なんだけど。
六義園は駒込駅からすぐの大きな交差点を渡ったところに、染井門という大きな門があったけど、ここは普段閉鎖されていて入ることはできないらしい。なので、案内板に従って、反対側の正門まで歩いて行く。
結菜ちゃんは駒込の駅は初めて降りたという。
「でも、駒込駅って山手線で一番乗り降りが少ない駅なんだって」
「えー。そうなの? じゃあ、山手線内で一番の田舎なのかなあ。なんだかわたしにぴったりだった」
わたしの実家は、結菜ちゃんの住む埼玉の浦和からさらに北上した群馬の高崎市だ。
そう言えば、初めてふたりで構内カフェに行ったときに、東京に出るのに同じ路線を使うという共通点があったことで親近感が沸いて、少し話せるようになったんだ。
結菜ちゃんにその事を話すと、
「あ、それ私も同じだ。もう何を話していいかわからなくて。玲ちゃんのおかげで、話しができたんだよ。良かった!」
結菜ちゃんは嬉しそうに笑う。
なんだかわたしと話しができるようになったくらいで、そんなに喜んで貰えるなんて嬉しいやらくすぐったいやら。
本郷通りを本駒込駅方面へ歩いて行くと、六義園への案内が出ていたので、そこを曲がるとすぐに正門だった。
入場料金を払って正門から中に入ると、内庭大門と案内板が掲げられた武家屋敷の入り口みたいな門から園庭に入る。すると、目の前に大きな桜の木があった。もちろん今はもう花は咲いていないけれど、春はさぞかし見事な枝垂れ桜が満開になるのだろう。
入り口で貰ったパンフレットの地図を見ながら、遊歩道をふたりで歩く。
今の季節はサツキが花盛りで、庭園のあちこちに赤やピンクの鮮やかな花を咲かせている。紫陽花もそろそろ見頃だとパンフレットにあるが、まだそれほど花は咲いていない。
なぜ結菜ちゃんとふたりで六義園に来たかというと、結菜ちゃんは若者が集まる渋谷や新宿の人混みが苦手だと言うので、それなら今郷館から歩いて行ける場所に風光明媚な日本庭園があるから、一回行ってみようとわたしが提案したからだ。
騒々しい場所より、ほっと癒やされる場所でゆっくりしたいという考えはわたしも同じで、それだけでも結菜ちゃんとは価値観が似ているなと思った。
六義園とは、パンフレットによると都立文化財9庭園のひとつで、第五代将軍の徳川綱吉から信任が厚かった柳澤吉保という人が元禄15年に造った『回遊式築山泉水庭園』という庭園だということだ。
庭園に配置された様々な築山や、大泉水という大きな池に浮かぶ大小様々な島、池を渡る石の橋など、万葉集や古今集の和歌に詠まれた八十八の名勝を題材に取った景色を繊細に表現しているという。
石の橋は、渡月橋と言って和歌の
『和歌のうら 芦辺の田鶴の鳴こゑに 夜わたる月の 影そさひしき』
から名付けられたそうな。
渡月橋を渡り、藤代峠という庭内で一番高い築山の急坂を登っていくと、頂上から見る景色にほっと一息つく。
そこで、わたしは一句詠んだ。
「ふたりいく ふじしろとうげ きゅうさかで きんにくつうが またぶりかえす」
「うまい! 玲ちゃん、才能ある!」
結菜ちゃんとふたりで笑う。なんだか、箸が転がってもふたりで爆笑しそうだ。
ふたりで池をバックに写真を何枚も撮ると、藤代峠から下りた。そして、六義園で一番のお目当ての場所へと歩く。
それは吹上茶屋という、お茶屋さんのお抹茶と和菓子!
なんだか、庭園の風景だの和歌だの日本文化の繊細さを味わう、みたいに気取ってみたけれど本当はふたりともこれが一番気になっていたんだ。
お抹茶は冷抹茶もあったので、それの和菓子とのセットをふたりで頼んだ。
外の縁台で戴く。お抹茶セットは、紫陽花を模した和菓子が付いていた。
氷が入った冷抹茶はお子ちゃまのわたしには、ちょっと渋くて苦かった。でも、だからと言うか、和菓子の甘さが引き立つんだよね。
和菓子は、紫陽花の花を模した練り切りで、紫から青、ピンクへと色が変わっていく絶妙の色加減が本当に芸術作品のようで、食べるのが勿体ない。でも、食べちゃうけど。
「この和菓子を食べるときに使うナイフみたいなのって、黒文字って言うんだって」
「へえー」
結菜ちゃんのうんちくに頷く。
結菜ちゃんが小さく切った和菓子を口に入れると、頬を押さえて
「美味しいー。ほっぺが落ちるー」
「だよねー?」
わたしも切った和菓子を口に入れる。上品な甘さが口いっぱいに広がる。
「はあー。美味しい。目の前に広がる庭園の緑と、ピンクや赤のさつきの花を前にして戴くお抹茶と和菓子。なんて贅沢な時間なんだろう」
「だよねー」
ふたりで大げさに幸せを噛み締める。
もうちょっと情緒を味わえば良いのに、ふたりともあっという間に食べ終わってしまう。あとは、池畔を灯籠を見ながら歩き、あちこちで写真を撮った。
六義園を出ると、再び駒込駅へと向かった。
駒込駅周辺の商店街をぶらぶらと歩く。駒込駅周辺って面白い場所で、豊島区と北区、それと文京区の区境が三つ接している。だから商店街も、それぞれの区によって住所が違う。本郷通りを渡ってJR駒込駅東側は線路を挟んで北区側にはさつき通り商店街、豊島区側にはアザレア通り商店街がある。
さつき通り商店街にまず行く。下町の雰囲気たっぷりの商店街で、お店をあちこちと見ながらゆっくりと歩き、高架下のトンネルを潜って豊島区側のアザレア商店街に入る。
時計を見るとそろそろお昼の時間で、どういうお店に入りたいか結菜ちゃんに訊いてみる。あちこち歩き回ったせいで、とうにお腹はぐうぐうと空腹を主張している。
「えー。そうだなあ。でも、せっかくこういう商店街に来ているんだから、全国チェーンのお店じゃ無くて、地元に古くからあるお店に行きたいかも」
「それわたしも同じ。実は、ちょっと結菜ちゃんと挑戦したいことがあるんだよね」
「え? なになに?」
「あのね、町中華とか定食屋とかに興味あるんだ」
「あー、私も! あのテレビでしょう?」
「そうそう! 飯テロ!」
「そうだね! ふたりでだったら挑戦できるかも」
「うんうん」
老舗っぽい鰻屋さんやお蕎麦屋さん、地元住民に古くから愛されているようなビストロ洋食屋さん、全国チェーンのハンバーガー店……。
そして、わたしたちの目の前に現れたのは……。
ゴゴゴゴゴ-。
頭の中で効果音がなぜか鳴っている。
赤地に白い文字の暖簾がぶら下がって風に揺れている。見た目は古いけど、ちょっと懐かしいお店の外観。店頭にショーケースに入った食品サンプルが並べられている。
ラーメン、チャーシューメン、チャーハン、野菜炒め……。
そう、町中華屋さん!
おまけに、『冷やし中華始めました』の張り紙が!
ふたりで顔を見合わせる。
「ふたりでなら大丈夫だよね?」
「うんうん」
普段ひとりじゃ入れない。でも、ふたりでなら行ける!
「よし! 行こう!」
わたしは自らを鼓舞するように言う。
結菜ちゃんは頷く。
お店の名前は、『季楽園』さん。引き戸に手を掛けると、ゆっくりと開ける。戸は、がらがらと音を立てて開いた。
「いらっしゃーい!」
元気の良いおばさんの声。
あまり広くない店内は、手前にテーブルが六つほど並び、奥のカウンター席の向こうにおじさんが鍋を振るう厨房が見える。
店内は食欲をそそる匂いが充満し、少し油染みた床。
これが町中華だ!
今年は梅雨入りが遅いらしい。例年だと厚い雲が垂れ込めた重苦しい灰色の空なのだろうが、今年はまだ抜けるような青空の日が続いている。
今郷館の玄関の周りは、スリー婆ーズが手入れしているパンジーが満開だ。
ぶーんと羽音をさせて、くまんばちが飛び回り花の蜜を集めている。
初めはくまんばちの羽音を聞く度に、慌てて逃げていた。でも、スリー婆ーズにくまんばちはこっちから悪さしないとなにもしてこないよ、と教えられてから、胸を覆っている黄色い毛やちょっと太めのユーモラスな姿が可愛く思えるようになってきた。
本駒込から駒込までひと駅なので、歩いて行った。車の往来が激しい本郷通りを避けて裏道をぶらぶらと歩いたら、30分も掛かってしまった。
JR駒込駅北口の前で、待ち合わせていた結菜ちゃんがわたしを見つけると手を振ってくれた。
「ごめーん。待った?」
結菜ちゃんは、つばの広い帽子を上にずらしてにこにこと笑いながら首を振った。
「全然、大丈夫だよー」
「じゃあ、まずは六義園に行こうか」
「うん!」
今日はやっと実現した、結菜ちゃんとふたりでデート。
まずは六義園に行って庭園を見学して(もちろん、御茶屋で御菓子も食べて)、駒込の商店街でお昼を食べてから今郷館へ行く。夜にはバイトで遅れるユウ先輩も合流する。そして、3人でわたしの部屋にお泊まり。
わたしは引っ越してきてから駒込駅にはほとんど来たことが無くて、良い機会だから結菜ちゃんとぶらぶらと歩くことにした。
並んで歩くと、以外と結菜ちゃんの身長が高いことに驚いた。
まあ、わたしがちびっ子なんだけど。
六義園は駒込駅からすぐの大きな交差点を渡ったところに、染井門という大きな門があったけど、ここは普段閉鎖されていて入ることはできないらしい。なので、案内板に従って、反対側の正門まで歩いて行く。
結菜ちゃんは駒込の駅は初めて降りたという。
「でも、駒込駅って山手線で一番乗り降りが少ない駅なんだって」
「えー。そうなの? じゃあ、山手線内で一番の田舎なのかなあ。なんだかわたしにぴったりだった」
わたしの実家は、結菜ちゃんの住む埼玉の浦和からさらに北上した群馬の高崎市だ。
そう言えば、初めてふたりで構内カフェに行ったときに、東京に出るのに同じ路線を使うという共通点があったことで親近感が沸いて、少し話せるようになったんだ。
結菜ちゃんにその事を話すと、
「あ、それ私も同じだ。もう何を話していいかわからなくて。玲ちゃんのおかげで、話しができたんだよ。良かった!」
結菜ちゃんは嬉しそうに笑う。
なんだかわたしと話しができるようになったくらいで、そんなに喜んで貰えるなんて嬉しいやらくすぐったいやら。
本郷通りを本駒込駅方面へ歩いて行くと、六義園への案内が出ていたので、そこを曲がるとすぐに正門だった。
入場料金を払って正門から中に入ると、内庭大門と案内板が掲げられた武家屋敷の入り口みたいな門から園庭に入る。すると、目の前に大きな桜の木があった。もちろん今はもう花は咲いていないけれど、春はさぞかし見事な枝垂れ桜が満開になるのだろう。
入り口で貰ったパンフレットの地図を見ながら、遊歩道をふたりで歩く。
今の季節はサツキが花盛りで、庭園のあちこちに赤やピンクの鮮やかな花を咲かせている。紫陽花もそろそろ見頃だとパンフレットにあるが、まだそれほど花は咲いていない。
なぜ結菜ちゃんとふたりで六義園に来たかというと、結菜ちゃんは若者が集まる渋谷や新宿の人混みが苦手だと言うので、それなら今郷館から歩いて行ける場所に風光明媚な日本庭園があるから、一回行ってみようとわたしが提案したからだ。
騒々しい場所より、ほっと癒やされる場所でゆっくりしたいという考えはわたしも同じで、それだけでも結菜ちゃんとは価値観が似ているなと思った。
六義園とは、パンフレットによると都立文化財9庭園のひとつで、第五代将軍の徳川綱吉から信任が厚かった柳澤吉保という人が元禄15年に造った『回遊式築山泉水庭園』という庭園だということだ。
庭園に配置された様々な築山や、大泉水という大きな池に浮かぶ大小様々な島、池を渡る石の橋など、万葉集や古今集の和歌に詠まれた八十八の名勝を題材に取った景色を繊細に表現しているという。
石の橋は、渡月橋と言って和歌の
『和歌のうら 芦辺の田鶴の鳴こゑに 夜わたる月の 影そさひしき』
から名付けられたそうな。
渡月橋を渡り、藤代峠という庭内で一番高い築山の急坂を登っていくと、頂上から見る景色にほっと一息つく。
そこで、わたしは一句詠んだ。
「ふたりいく ふじしろとうげ きゅうさかで きんにくつうが またぶりかえす」
「うまい! 玲ちゃん、才能ある!」
結菜ちゃんとふたりで笑う。なんだか、箸が転がってもふたりで爆笑しそうだ。
ふたりで池をバックに写真を何枚も撮ると、藤代峠から下りた。そして、六義園で一番のお目当ての場所へと歩く。
それは吹上茶屋という、お茶屋さんのお抹茶と和菓子!
なんだか、庭園の風景だの和歌だの日本文化の繊細さを味わう、みたいに気取ってみたけれど本当はふたりともこれが一番気になっていたんだ。
お抹茶は冷抹茶もあったので、それの和菓子とのセットをふたりで頼んだ。
外の縁台で戴く。お抹茶セットは、紫陽花を模した和菓子が付いていた。
氷が入った冷抹茶はお子ちゃまのわたしには、ちょっと渋くて苦かった。でも、だからと言うか、和菓子の甘さが引き立つんだよね。
和菓子は、紫陽花の花を模した練り切りで、紫から青、ピンクへと色が変わっていく絶妙の色加減が本当に芸術作品のようで、食べるのが勿体ない。でも、食べちゃうけど。
「この和菓子を食べるときに使うナイフみたいなのって、黒文字って言うんだって」
「へえー」
結菜ちゃんのうんちくに頷く。
結菜ちゃんが小さく切った和菓子を口に入れると、頬を押さえて
「美味しいー。ほっぺが落ちるー」
「だよねー?」
わたしも切った和菓子を口に入れる。上品な甘さが口いっぱいに広がる。
「はあー。美味しい。目の前に広がる庭園の緑と、ピンクや赤のさつきの花を前にして戴くお抹茶と和菓子。なんて贅沢な時間なんだろう」
「だよねー」
ふたりで大げさに幸せを噛み締める。
もうちょっと情緒を味わえば良いのに、ふたりともあっという間に食べ終わってしまう。あとは、池畔を灯籠を見ながら歩き、あちこちで写真を撮った。
六義園を出ると、再び駒込駅へと向かった。
駒込駅周辺の商店街をぶらぶらと歩く。駒込駅周辺って面白い場所で、豊島区と北区、それと文京区の区境が三つ接している。だから商店街も、それぞれの区によって住所が違う。本郷通りを渡ってJR駒込駅東側は線路を挟んで北区側にはさつき通り商店街、豊島区側にはアザレア通り商店街がある。
さつき通り商店街にまず行く。下町の雰囲気たっぷりの商店街で、お店をあちこちと見ながらゆっくりと歩き、高架下のトンネルを潜って豊島区側のアザレア商店街に入る。
時計を見るとそろそろお昼の時間で、どういうお店に入りたいか結菜ちゃんに訊いてみる。あちこち歩き回ったせいで、とうにお腹はぐうぐうと空腹を主張している。
「えー。そうだなあ。でも、せっかくこういう商店街に来ているんだから、全国チェーンのお店じゃ無くて、地元に古くからあるお店に行きたいかも」
「それわたしも同じ。実は、ちょっと結菜ちゃんと挑戦したいことがあるんだよね」
「え? なになに?」
「あのね、町中華とか定食屋とかに興味あるんだ」
「あー、私も! あのテレビでしょう?」
「そうそう! 飯テロ!」
「そうだね! ふたりでだったら挑戦できるかも」
「うんうん」
老舗っぽい鰻屋さんやお蕎麦屋さん、地元住民に古くから愛されているようなビストロ洋食屋さん、全国チェーンのハンバーガー店……。
そして、わたしたちの目の前に現れたのは……。
ゴゴゴゴゴ-。
頭の中で効果音がなぜか鳴っている。
赤地に白い文字の暖簾がぶら下がって風に揺れている。見た目は古いけど、ちょっと懐かしいお店の外観。店頭にショーケースに入った食品サンプルが並べられている。
ラーメン、チャーシューメン、チャーハン、野菜炒め……。
そう、町中華屋さん!
おまけに、『冷やし中華始めました』の張り紙が!
ふたりで顔を見合わせる。
「ふたりでなら大丈夫だよね?」
「うんうん」
普段ひとりじゃ入れない。でも、ふたりでなら行ける!
「よし! 行こう!」
わたしは自らを鼓舞するように言う。
結菜ちゃんは頷く。
お店の名前は、『季楽園』さん。引き戸に手を掛けると、ゆっくりと開ける。戸は、がらがらと音を立てて開いた。
「いらっしゃーい!」
元気の良いおばさんの声。
あまり広くない店内は、手前にテーブルが六つほど並び、奥のカウンター席の向こうにおじさんが鍋を振るう厨房が見える。
店内は食欲をそそる匂いが充満し、少し油染みた床。
これが町中華だ!
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる