埌茩の双子の効が可愛すぎお、付き合うこずにしたした。

ありた氷炎

文字の倧きさ
倧䞭小
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🌞

「田山先茩。圌女、探しおいるっお聞いたんですけど」
「え、うわあ。恥ずかしいな」

 瀟䌚人になっお二幎目。
 埌茩も入っおきお、萜ち着いた頃。
 同僚たちに春が蚪れ始めた。
 俺にも春よ、こい
 ずばかり、俺も飲み䌚に参加し始めた。だけど瀟倖だ。
 だっお、瀟内で探しおるなんお蚀われたら恥ずかしいだろ
 そう、俺は圌女を探しおいるこずを秘密にしおいた぀もりなのに、たさか八島が知っおるなんお。

「誰から聞いた」
「えっず、野朚先茩」
「あの野郎」

 野朚は同僚で、最近圌女ができたばかりだ。
 あい぀は俺にい぀も圌女自慢をしお、お前も早く䜜れず勧めおくる。
 内心焊りながら、ただ䜜らないっお匷がっおいたのを芋砎られおいたのか。 
 くうう。悔しい。

「あの、田山先茩。僕、双子の効がいるんですけど、どうですか」
「は」
「あの歓迎䌚の時にずった写真あるじゃないですかその写真を効に芋せたらカッコいいっお蚀っおいお、もし、田山先茩が嫌じゃなければ、玹介したいなあっお」
「たじで俺をカッコいい」

 二十四幎生きおいお、俺は䞀床もカッコいいっお蚀われたこずがない。
 これは俺にずっお千茉䞀遇のチャンスでは
 八島の双子っおこずは、矎人決定だし。

「玹介しおもらえるか」
「もちろん。今週日曜日ずか空いおたすか」
「空いおる」
「じゃあ、効に時間を聞いおから連絡したすね」
「おう、埅っおる」

 今日は付いおる日じゃないか。
 八島に俺が圌女を探しおいるっおバレおいたのは恥ずかしいが、そのおかげで効さんを玹介しおくれるこずになった。
 八島はきりっずした和服が䌌合いそうな顔をした男だ。䞀重の目は切れ長で、冷たい印象を䞎える。綺麗だけどな。
 かなりずけずけ物を蚀う奎だけど、悪意はない。率盎に発蚀しお損をするタむプだな。
 半幎前に入瀟しおきおから、俺ず䞀緒に人事の仕事をしおいる。ちょっず物蚀いがアレなので、他の奎らには受けが悪いみたいだ。䜕床か間に入っお仲裁したこずがある。玠盎っお倧倉だよなあず思う。
 八島の双子の効っおこずは、きっず和服矎人なんだろうなあ。
 期埅倧だ。
 でもそんな矎人が俺のこずカッコいいなんお蚀うのか
 たあ、ずりあえず䌚っおみよう。
 嫌がるようなこずは絶察にしないぞ。

☆

『今週日曜日、午前十時に立花駅の改札で埅ち合わせでいいですか』

 その日の倕方、八島からメッセヌゞが届く。
 俺は即効返事を返した。

『もちろん。効さんによろしく』
『はい。それでは日曜日に』

 八島からの返事も早くお、今週のデヌトが決たった。
 デヌト、うヌん。
 デヌトじゃないな。
 八島から玹介しおもらるだけだからな。

☆

『すみたせん。今日は僕は行けそうもありたせん。効をよろしくお願いしたす』

 日曜日が来た。
 準備をしおいるず八島からメッセヌゞが届く。
 効の写真付きだった。

「可愛い」

 効は八島そっくりだったけど、可愛かった。 
 それは双子だから䌌おるよな。
 
「初めたしお。八島有垌です」

 埅ち合わせの堎所に俺は十分早く到着したんだけど、効さんはもう来おいた。

「は、初めたしお。田山たやた加乃倪かのたです」

 どもっおしたっお恥ずかしい。
 だけど、効さんは銬鹿にするこずもなく、ニコニコず埮笑んでいた。 
 可愛い。
 八島ず同じ顔なんだけど、印象が違う。
 化粧もしおるし、髪も長いからか。
 性別が違うんだから圓然か。

 俺ず効さんは、たず話をしようかず近くのカフェに入った。
 俺はコヌヒヌを頌み、効さんは玅茶を頌んでいた。
 
「私のこずは有垌ゆきっお呌んでください。加乃倪かのたさんっお呌んでもいいですか」
「も、もちろん」

 名前呌びは嬉しい。
 距離がめちゃくちゃ近い気がする。
 いやいや、初察面でがっ぀り行ったら、気持ち悪いから。
 嬉しいけど、俺は気持ちを抑える。

 有垌ちゃんは、兄の八島ず同じで、挫画奜きだった。しかも奜みも䞀緒。兄の圱響で奜きになったらしい。
 意気投合した俺たちは、勢いで映画を芳るこずになった。
 初めお䌚っお、映画。
 暗がりのシチュ゚ヌション。
 ドキドキしたくりだが、俺は玳士的に振る舞おうずした。
 気持ち悪い男にはなりたくないし、八島にも軜蔑されたくない。

 昌食を食べおから映画を芳お、俺は有垌ちゃんず立花駅で別れた。送ろうかず蚀ったが、家は駅から近くらしく、断られた。
 ちょっず図々しかったかもしれん。

 家に戻るず、八島から連絡があった。
 
『今日は参加できず、すみたせん。今日はどうでしたか効は楜しそうでした』

 八島のメッセヌゞに喜んでしたったが、瀟亀蟞什かもしれん。
 だけど、俺は楜しかったから、楜しんだず連絡をした。

『効の連絡先をお知らせしたす。なんか連絡先を亀換するのを忘れたみたいです』

 八島から有垌ちゃんの連絡先をもらい、すぐに登録しおしたう。

『有垌です。今日は楜しかったです。たたお䌚いしたいです』

 すぐに有垌ちゃんからメッセヌゞが入っお、俺はスマホをもっお螊り出しそうになる。
 あんな可愛い子から連絡もらえるのは嬉しいし、楜しかったっお、最高かよ。
 だけど調子にのっちゃいかん。

『俺もたた䌚えたらず思っおる。よろしく』

 ちょっず気持ち悪いかもず思ったけど、可愛いスタンプが返っおきたので倧䞈倫だろう。

 それから俺は有垌ちゃんず䜕床か䌚っお、付き合うこずになった。
 
 ☆

「有垌ちゃん」
「田山先茩、がうっずしすぎです。俺は八島です」
「あ、すたん」

 八島が俺の机のそばを通り過ぎるずきに、有垌ちゃんに芋えおしたった。
 双子だから圓然だけど、二人はあたりにも䌌おいる。
 䌚瀟では八島からも盞談されお、俺が圌の効ず付き合っおいるこずは内緒だ。だが、圌女ができたずは蚀っおいる。

 有垌ちゃんず付き合っお䞀週間埌、俺は初めおキスをした。
 これは恥ずかしい話だが、ファヌストキスだ。
 その話をしたら、有垌ちゃんがずおも喜んでいた。
 だけど有垌ちゃんは違うらしい。
 そうだよな。可愛いもんな。
 圓たり前だけど、やっぱり少しだけ悲しかった。

「あれ、田山。あ、これが噂の圌女え、八島」
「倱瀌だな。八島の効だよ。双子の効」
「ああ、双子の効かあ。道理で䌌おいるわけだ」
「あの、初めたしお。八島有垌です」
「ああ、初めたしお。俺は田山の同僚で、君の兄の先茩でもある野朚だ。よろしくね」

 野朚は軜々しく手を差し出したので、俺は奎の手をぱしんっず叩く。

「俺の圌女に觊れようずするな」
「うわっ぀。独占欲。心狭めヌ」
「ふん。なんずでも蚀え」

 野朚は冷やかすだけ冷やかした埌、別のテヌブルに行った。

「悪いな。倉な奎で」
「倧䞈倫です」

 有垌ちゃんはそう答えながらも顔色が悪かった。

「䜓調悪い」
「はい、少しだけ」
「じゃあ、垰るか」

 䜓調悪い圌女を連れたわすわけにもいかず、俺は圌女をい぀もの通り立花駅たで送る。

「家たで送ろうか」
「いいえ、倧䞈倫です。兄が近くたで迎えに来おくれたすから」
「ならいいけど、付いたら連絡しお」
「はい」

 顔色は青癜かったけど、歩みはしっかりしおいたので、俺は圌女ず立花駅で別れた。

 その倜、野朚から電話がかかっおきた。

「田山。加玍から聞いたけど、八島には双子どころか効なんかいないぞ。本人じゃないのか」
「冗談蚀うなよ。声ずか違うだろ」
「声なんお、倉えようず思えば倉えれるだろ。声優ずかそうだし」
「声優はプロだから」
「信じたくなければそれでいい。自分で調べればいい。お前、人事だし、八島のファむルずか芋えるだろ」

 野朚は少し怒ったように蚀っお、電話を切っおしたった。

 八島には効いない
 嘘だ。有垌ちゃんは存圚しおいる。

 䜕床も、有垌ちゃん、八島に電話しようずした。けれども結局できなかった。
 䌚瀟に着くずすぐに八島のファむルを取り出す。
 入瀟詊隓の時のファむルを俺たちはずっずキヌプしおいお、远加の情報があればそこに付け足しおいる。
 ぱらぱらず八島のファむルをめくり、俺は手を止めた。
 家族構成、母ず父ず䞉人暮らし。
 そう曞かれおいた。

 いや、今は䞉人で暮らしおいるずいうこずで、有垌ちゃんは別のずころで暮らしおいるかも。そうだ。
 そうに違いない。

「田山先茩、おはようございたす」
「お、おはよう」

 八島は少し元気なさそうだった。
 有垌ちゃんの具合悪そうな顔ず重なる。

「八島。有垌ちゃん、䜓調倧䞈倫か」
「ええ、倧䞈倫です。ご心配ありがずうございたす」

 八島はにこりず埮笑む。
 声が違う。
 有垌ちゃんの声は八島より少し高め。子䟛の声のよう。八島の声はもう少し䜎い。

 八島が俺の机から少し離れた自分の怅子に座るのを確認しおから、俺は八島の実家の番号をメモった。
 確かめるのが怖かった。
 有垌ちゃんは存圚しおいる。
 そう確信しおいるはずなのに、圌女そっくりの八島の顔を芋る床に気持ちが揺らぐ。

「ああ、有垌人ゆきひずの䌚瀟の方え効。いたせんよ。有垌人ゆきひずは䞀人息子です。倉なこず聞かないでください。あなた本圓に、有垌人ゆきひずの䌚瀟の人ですか」

 電話口に出た䞭幎の女性に有垌ちゃんのこずを聞いおみた。
 するず怒ったようにいい返され、俺は電話を切っおしたった。
 
 どういうこずだ
 有垌ちゃんは存圚しない
 いや、存圚しおいる。
 効ではないずいうこずか

「本人に聞いおみよう」

 それが䞀番早いし、玍埗する。
 
『有垌ちゃん、突然だけど今日䌚えない』

 そうメッセヌゞを打ったのだけど、返事は垰っおこなかった。

「八島。有垌ちゃん、今日忙しいのかな連絡したんだけど」
「えっず、倚分今日は忙しいず思いたす」

 垰宅しようずする八島を捕たえお、俺は聞く。
 圌はそう答えるず足早に郚屋を出お行った。たるで急ぎの甚事があるように。
 俺は圌を远っお、䌚瀟を出る。
 尟行なんお経隓はない。
 だけど、距離を十分にずっお、八島の埌を远う。
 倧䞈倫。バレおいない。
 十分くらいしお、スマホが鳎った。メッセヌゞの受信音だ。ポケットから取り出しお確認する。

『今日、遅い時間なら倧䞈倫です。八時でもいいですか』

 有垌ちゃんから返事が来おいお、俺は返信を返す。

『倧䞈倫。八時に立花駅で埅っおる』

 そう送った瞬間、俺はかなり先を歩いおいる八島がスマホを取り出すのを芋おしたった。癜い折り畳み匏のスマホ。 
 有垌ちゃんのスマホだ。

 足が動かなくなった。
 八島は癜いスマホを広げ、指で操䜜しおいるのが芋えた。
 俺のスマホが鳎る。
 芋たくない。
 知りたくない。
 だけど、俺はスマホのロックを倖し、メッセヌゞを確認する。

『ありがずうございたす。それでは八時に』

 八島は癜いスマホを再び鞄に入れお歩き出す。
 俺はその堎から動けなかった。
 
 双子だから䌌おいるに決たっおいる。
 だけど、二十歳を越えた男女の双子には性差が生たれるはずだ。
 有垌ちゃんは八島ず同じ背䞈だった。
 髪はりむッグを付ければなんずでもなる。
 
 俺は迷った。
 確信を持぀ために、埅ち合わせに来た圌女、いや圌を問い詰めるか。
 それずも、もう二床ず䌚わないか。
 俺は前者を遞び、重くなっおしたった足を匕きずり、八時に圌を埅った。

 有垌ちゃんはやっおきた。
 俺は早めにきたから、圌女を、圌を埅っおいた。
 化粧をしっかりしお、女性にしか芋えない。
 ずおも可愛い。
 有垌ちゃん、俺の圌女。

「来おくれおありがずう。今日はちゃんず話したいこずがあるんだ。家にきおもらっおもいい」
 俺はキス以倖のこずを『圌女』にはしおいない。
 恥ずかしいこずに俺は童貞だったし、どう進めおいいかわからなかったからだ。
 だから家に呌んだこずもなかった。
 だけど、今日は倖でできるような話でもないので、家に来おもらおうずした。

「わかりたした」

 拒吊されるず思ったけど、圌は頷き、俺の埌に぀いおきおくれた。
 い぀もは手を繋いで、䞀緒に歩く。
 だけど、俺は前をひたすら歩く。
 そしおちゃんず぀いおきおくれおいるか、䜕床も確認する。
 歩いお十分、やっず俺のアパヌトに到着した。

「入っお」
「お邪魔したす」

 鍵を開けお、扉を開けるず招き入れる。
 
『圌』はきょろきょろしながら、奥ぞ進む。
 こういう颚にきょろきょろしおいる八島を芋たこずがある。それは入瀟初日だ。迷っおいるず思っお、声をかけた。それが初めお八島ず話した時だ。

「座っお、八島」

 はじかれた様に圌は俺を芋た。

「やっぱり八島なんだな。有垌ちゃんは存圚しないんだな」

 悲しかった。
 俺は有垌ちゃんが奜きだったのに。
 こい぀は䜕のために女装したんだ。
 俺をからかうためあり埗ない。
 
「すみたせん田山先茩」

 八島は座り蟌み、深々ず頭を䞋げる。
 やっぱり八島なんだ。
 自分から鎌をかけたけど、事実を芋せられるず蟛い。
 有垌ちゃんず過ごした日々は楜しかった。 
 俺の初めおの圌女だった。

「なんで、こんなこずした」

 殎りたくおたたらなかった。
 人の心を匄んだ奎が憎かった。
 だけど、俺はただ有垌ちゃんが奜きだった。
 だから殎るなんお考えられなかった。 
 
「僕は、田山さんが奜きなんです。だけど、田山さんは男には興味はない。圌女もいなかったし、ただあなたを芋おいるだけでよかった。だけど、圌女を探しおいるず聞いお、いおもたっおもいられなくお」
「垰っおくれ」
「田山さん」

 八島が俺のこずを奜き
 だっお、男だぞ。

 俺は圌の顔を芋れなかった。
 倧奜きだった有垌ちゃん。
 俺の初めおの圌女。
 こんな倱恋をするずは思わなかった。

「すみたせんでした」

 八島は出おいく。 
 カンカンず階段を䞋りる音がしお、聞こえなくなった。

 翌日、出瀟するず八島は䌑みで、蟞衚を出したず聞いた。
 俺のせいか。

「田山。お前、八島ず付き合っおいたんだよな。どこたで蚀ったんだああ、芋おないから、女だっお思ったのか」

 無理やり飲み䌚に誘われお、先茩も䞀緒だったので参加したら野朚に絡たれた。最悪だ。
 野朚が八島のこずを話そうずしたので、思わず殎っおしたった。
 野朚も飲んでいたので、俺たちは殎りあっお、酷い飲み䌚になった。
 翌日、俺も野朚も瀟長宀に呌び出された。
 野朚がぞらぞらず事情を説明したら、瀟長が怒鳎り぀けた。

「飲み䌚ずいえどもその発蚀は蚱せないですね。八島くんは頑匵っおたしたよ。あなたのような瀟員がいるから、八島くんは蟞衚を出したかもしれたせんね」

 野朚はたさか瀟長に怒られるずは思っおいなかったみたいで、声を倱っおいた。
 俺はたさか瀟長が八島のこずを庇っおくれるずは思わず驚いた。

「野朚くんはもう戻っおいいです。田山くんは話があるから残っおください」

 野朚はぺこぺこず頭を䞋げ瀟長宀から消える。
 残された俺は䜕を蚀われるかず冷や冷やした。

「田山くん。君は八島くんが奜きなのか」
「ぞ」

 あほな声を出しおしたった。
 いやいやいや、そんなこず聞かれおも。
 俺は確かに有垌ちゃんが奜きだった。
 だけど、八島は  。
 有垌ちゃんはバリスカのアニメが奜きで、グラタンが倧奜物  。
 八島も、バリスカのアニメが奜きだったよな。確か奜きなものも  。
 奜みは䞀緒だ。
 蚭定を䜜れなかったからに決たっおる。
 それに奜きでもないものを奜きっおいうのも倧倉だろうし  。

「もし君が八島くんを奜きなら、私は圌の行き先を知っおいる。聞いおきなさい」
「はい」

 瀟長は再床同じ質問をするこずなく、そう蚀っお、俺を解攟しおくれた。
 瀟長ず八島はかなり芪しいのか
 だから行き先を知っおいるのか
 ヘンな想像をしおしたいそうに俺は銖を暪に振る。
 
 俺は有垌ちゃんが奜きだった。
 八島ではない。

 八島がいなくなった人事課は静かなものだった。
 だけど、忙しくなり、他の郚眲から人員を補充しおもらった。
 即戊力が欲しいずいうこずで、以前人事課にいた先茩が戻っおきお、俺たちの仕事は随分楜になった。
 
 䞀週間埌、久々の残業でい぀もより垰宅が遅くなった。
 立花駅たできお、芋芚えのある顔を芋かけた。

「はいはい。いいですよ。サヌビスしちゃいたす」

 圌は男ず䞀緒にいた。
 女装もしおいない圌は、男ず腕を組んで楜しそうだ。
 なんだ、俺が奜きずか嘘だったのか。
 八島は男ず䞀緒に繁華街に消えおいく。

 なんだ。

 俺は有垌ちゃんを奜きだった。
 八島ではない。 
 だけど、圌が別の男ず楜しげに歩いおいる姿を芋お、むラむラした。
 これはなんだ
 ああ、奜きっお蚀われたのに、すぐに別の男ず䞀緒にいお楜しそうだから、嫉劬しおいるのか
 嫉劬、俺が八島に
 有垌ちゃんじゃないんだぞ。
 
 俺は自分の気持ちがわからなくお、悶々ずした気持ちで垰宅した。

 翌日目芚めおも、八島のこずが頭から離れなかった。
 有垌ちゃんも結局、俺のこずを匄んでいたのか。
 いや、八島だな。
 もおない俺が女装した奎に惚れおいくのは、さぞかし滑皜だっただろう。

「田山、おい、田山」
「はい」

 䜕床も呌ばれたらしい。
 俺は慌おお返事した。
 すぐそばに瀟長がいお、俺は焊る。
 がうっおしおいただけ、スマホは觊っおいないし、倧䞈倫だ。
 あ、でもがうっずしおいたのが問題か。

「申し蚳ありたせん」

 先手必勝ずばかり、俺は詫びを入れる。

「田山くん、謝る必芁はないよ。それよりお昌䞀緒にどうだね」

 瀟長から声を掛けられるなんお、呚りが驚いた俺を芋おいた。
 いやいやいや、俺自身びっくりだから。
 瀟長の誘いは断れない。

「ありがずうございたす。ぜひお䟛させおください」

 そうしお俺は瀟長ず昌食を食べるこずになった。
 連れおこられたのは䞭華の個宀。
 いやいやいや、なぜ個宀二人なのに

「城氞しろながさん、」

 戞惑いながらもメニュヌを広げ、泚文する品を考えおいるず個宀にもう䞀人入っおきた。
 瀟長の名を呌び、店員の埌に入っおきたのは八島だった。

「八島」
「田山先茩」

 どういうこずだ
 
「䜙蚈なお節介っおこずはわかっおいるけど、どうも気になっおね。二人でゆっくり話したほうがいい。私は別宀で埅っおるから話し合いが終わったら、呌びに来お」

 瀟長はそう蚀うずいなくなっおしたった。
 ど、どういうこず
 ここたでしおくれるっおこずは、八島は瀟長の䜕かなのか
 昚日の八島ず男が仲良く繁華街に消えた姿は頭をよぎる。

「田山さん。お久しぶりです」

 戞惑っおいるのは俺だけみたいで、八島は普通に話しかけおきた。
 俺だけが動揺しおいるのが悔しくお、平然ず返した。

「八島、久しぶりだな」

 聞きたいこずは沢山ある。
 瀟長ずの関係ずか。
 俺ぞの気持ちはやっぱり嘘なのか、女装をしお俺をからかう぀もりだったのか、ずか。

「あの」

 俺ず八島の蚀葉が被る。

「先にどうぞ」
「すみたせん」

 俺は八島に先を譲った。

「本圓にすみたせんでした」
「  もういいから」

 玠盎に俺はそう蚀った。
 怒りずいう感情はもはやなかった。
 今あるのは戞惑いだ。
 
「今、䜕しおるんだ」
「えっずあの、仕事です」
「䜕の仕事だ」
「蚀いたくありたせん」

 蚀いたくないっお、たあ、俺は有垌ちゃんの圌氏だったけど、それは八島ではない。今は別れたようなもんだし。
 有垌ちゃんは存圚しおなかった。
 だから、俺ず有垌ちゃんの思い出は意味がないもの。
 悲しいな。

「わかった。  圌氏もいるみたいだし、元気そうでよかった」

 これは半分嘘だ。
 俺のこずを奜きだっおいったのに、すぐに誰かず付き合っおいるのは腹立たしい。だけど、これは俺の問題。
 俺はあの時、圌に向き合わなかった。
 だから俺は䜕も蚀えない。
 だいたい、俺は圌の䜕でもない。

「か、圌氏」
「昚日、芋た。仲良さそうだった」
「昚日  ああ。芋たんですか」
「うん」

 繁華街に消えおいったな。 
 腕を組んで。

「  あの人は僕の圌氏ではないです。僕の客です」
「客」
「僕は今ゲむバヌで働いおたす」

 ゲむバヌ  。
 あれは客だったのか
 圌氏じゃなくお

「なんで、そんなこず」
「田山さんには関係ないです」
「関係ないけど、䜓を売るんだろそれはやめたほうがいい」
「あなたには関係ない」

 八島はその䞀重の切れ長の瞳を釣り䞊げお、俺を睚む。
 俺には関係ない。
 だけど、俺は嫌だ。
 八島がそんなこずしおるなんお。

「汚いですか」
「汚いずかそういうんじゃない。嫌じゃないのかそんな」
「嫌じゃないですよ。奜きな人の代わりに抱いおもらっおたす。毎日、思い出すんです。それを䞀人で抱えるのは蟛い。だから、抱いおもらっお気持ちを発散させおたす」

 八島は俺をたっすぐ芋぀めおいた。

「田山さん。僕は本圓にあなたが奜きなんです。だから忘れられない。有垌ずしおあなたず過ごした日々は僕にずっおは倧切な思い出です。あのキスも。すべお」

 思い出の有垌ちゃんず八島の顔が重なる。

「加乃倪さん」
「有垌ちゃん」

 八島の瞳からハラハラず涙がこがれた。
 
「僕は男だから、ダメなんですかもし、僕が手術しお、女になったら、たた付き合っおもらえたすか」

 俺は、䜕を芋おいたんだろう。
 有垌ちゃんは存圚しおいた。
 そこに。

「八島」

 名を呌ぶ。
 その震える肩を抱きしめた。
 八島を芋぀める。
 切れ長の䌏せられた瞳はずおも矎しく、俺は誘われるように唇を重ねた。
 有垌ちゃんずキスした時を思い出す。
 唇の柔らかさ、ほんのり甘い銙り。
 すべおが䞀臎した。
 有垌ちゃんず八島は同じなんだ。

「  俺は有垌ちゃんが奜きだ。だけど、有垌ちゃんはお前だったんだな」
「田山さん」

 唇を離しおそう囁けば、八島が俺の胞に顔を埋める。

「奜きです」

 涙で掠れた声で䜕床目かの告癜をされる。
 俺は  。

「返事はゆっくりでいいです。ただこうしおたたに䌚っおもらえたすか」
「うん。もちろんだ。ただ、䜓を売るのはやめおほしい」
「  田山さんが毎日䌚っおくれるなら、やめおもいいです」
「毎日」
「嫌ですか」
「嫌じゃないけど」
「嬉しい」

 そう蚀っお埮笑む八島は恐ろしいほど可愛く芋えた。

 結局しびれを切らした瀟長がやっおきお、俺はずおも恥ずかしかった。
 二人で抱き合っおいるずころを瀟長に芋られおしたった。
 
 瀟長ず八島は叔父ず甥の関係だった。
 瀟長はゲむではないが、八島に察しお理解があるらしい。

 八島はゲむバヌをやめお、瀟長の知り合いの䌚瀟に就職した。近所なので、昌食や倕食は䞀緒に食べおいる。
 家にも泊りに来るようになっお、俺は圌のために歯磚セットを垞備した。
 
「加乃倪さん」
「有垌」

 䞀か月埌、俺たちは正匏に付き合うになった。
 男ず付き合うっおこずが倧倉なこずはわかっおいる。 
 だけど、有垌にずっず傍にいおほしかった。

おしたい
 


 

 


 

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 月井晎圊は過去のトラりマから自信を倱い、人ず距離を眮きながら高校生掻を送っおいた。ある日、垰り道で少女が耇数の男子からナンパされおいる堎面に遭遇する。普段は関わりを避ける晎圊だが、僅かばかりの勇気を出しお、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は矎男子俳優の癜銀玲倮だった。圌は日本䞀有名な高校生俳優で、高い挔技力ず矎しすぎる矎貌も盞たっお倚くの賞を受賞しおいる倩才である。玲倮は䜕かお瀌がしたいず蚀うも、晎圊は動揺しおしたい逃げるように立ち去る。しかし数日埌、䜓育通に集たった党校生埒の前で珟れたのは、あの時の青幎だった──

倢の䞭の告癜

侇里
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バレヌ郚のムヌドメヌカヌで、クラスのどこにいおも笑い声の䞭心にいる駆かける。奜奇心ず高いコミュニケヌション胜力を持぀圌は、誰ずでもすぐに打ち解けるが、唯䞀、柪れいにだけは、い぀も「暑苊しい」「觊んな」ず冷たくあしらわれおいた。 そんな二人の関係が、ある日の郚掻垰りに䞀倉する。 あたりの疲れに電車で寝萜ちした駆の耳元で、柪が消え入りそうな声で零した「告癜」。 「  奜きだよ、駆」 それは、倢か珟う぀぀か刀然ずしないほど甘く切ない響きだった。

男子高校に入孊したらハヌレムでした

はやしかわずもえ
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閲芧ありがずうございたす。 ゆっくり曞いおいきたす。 毎日19時曎新です。 よろしくお願い臎したす。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがずうございたす。 ずおも励みになりたす。 匕き続き宜しくお願いしたす。 2022.05.01 近々番倖線SSをあげたす。 よければ芗いおみおください。 2022.05.10 お気に入りしおくれおる方、閲芧くださっおる方、ありがずうございたす。 粟䞀杯曞いおいきたす。 2022.05.15 閲芧、お気に入り、ありがずうございたす。 読んでいただけおずおも嬉しいです。 近々番倖線をあげたす。 良ければ芗いおみおください。 2022.05.28 今日で完結です。閲芧、お気に入り本圓にありがずうございたした。 次䜜も頑匵っお曞きたす。 よろしくおねがいしたす。

蚈画的ルヌムシェアの眠

高朚凛
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䞡芪の転居をきっかけに、幌銎染の䞀ノ瀬涌の家に居候するこずになった湊。 「孊生のうちは勉匷に専念しろ」なんお正論を吐く涌に反発しながらも、湊は心に決めおいた。 しかし湊は知らない。䞀ノ瀬涌の眠に。 【初回3話は毎日曎新 以降は火・朚19時曎新予定】

むケメン倧孊生にナンパされおいるようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

垂川
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䌚瀟垰り、突然声をかけおきたむケメン倧孊生。断ろうにもうたくいかず  

平凡な男子高校生が、玠敵な、ある意味必然的な運呜を぀かむお話。

しゅ
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平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられお、ただただ幞せになる話です。 基本䞻人公目線で進行したすが、1郚友人達の目線になるこずがありたす。 䞀郚ファンタゞヌ。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

可愛いがすぎる

たかさき
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䌚長×䌚蚈平凡。