35 / 91
第六天 覚悟を決める時?(勇視点)
彼と俺の気持ち2
しおりを挟む
「王さん」
そう呼びかけ、襖をノックする。
「何のご用でしょうか?」
不機嫌そうな王さんの声が聞こえた。しかし白酒で酔った俺はそんなのこと構わなかった。
「入ります」
俺は彼の返事を聞くこともなく、部屋に入る。
「実田さん?」
俺の様子がおかしいことに気がついたんだろう、王さんが訝しげに俺に視線を投げかける。
「王さん、俺、あなたが好きです。ずっと側にいてほしいと思ってます」
「!実田さん?酔ってますね。白酒ですか?」
告白した俺に彼は苦笑いを見せる。
「はい、白酒飲みました。でも、俺酔ってません。俺が王さんを好きなのは本当です。でも俺はホモじゃないから。どうしていいかわからないし、怖いんです」
「……きっとあなたは明日も覚えてないのでしょうね」
「そんなことありません!」
「……キスしていいですか?」
「!」
彼のキラキラと輝く双眸の瞳に魅入られ、俺はぎくりと体を強張らせる。
「怖いですか?大丈夫。無理やりなんかしませんから」
立ちすくむ俺に彼は近付くと、俺の首に手を回す。ふわりと甘い香りがして俺は目を閉じる。
「実田さん。私はあなたが好きです。素直で可愛いあなたが。でも、私はあなたがゲイじゃないことを知っていますし、ゲイになることを怖がってることも知ってます」
耳元で囁かれることで、俺はぞくぞくと身が悶えるような感覚にとらわれる。お互いが触れる体の部分から彼の鼓動が伝わり、俺は彼も緊張しているのがわかる。
「実田さん、好きです」
彼が俺の唇に自分の唇を重ねる。彼の舌がゆっくりと俺の口の中に侵入してきて俺の舌と絡み合う。俺は彼にされるがまま、キスに答える。
男とキスをしてる。しかもこんな深いキスを……
そんな意識は酔いと共と、快楽の中に埋もれて行く。
「あっん」
ふいに悪戯のように耳たぶを噛まれ、俺は女の子のような喘ぎ声を出す。
羞恥のあまり、俺は耳を押さえて顔を真っ赤にさせる。
「耳たぶが弱いのですね。その声を聞くと錫元さんもやる気になりますよね」
錫元?なんで彼の名を!
「あっ」
しかし俺のそんな怒りも彼の再度の悪戯によりかき消される。
どうしようもないくらい、気持ちが高まっていた。
前にセックスしたのは半年前くらいだ。
元からセックスはあまり好きじゃない。オナニーをしていたほうが気持ちいいくらいだった。
「性急すぎますね。今日はこれだけにしておきますね」
しかし王さんはくすっと笑うと俺から離れた。
中途半端に置いておかれ、俺は呆然と彼を見つめる。
「実田さん、次回はお酒を飲まずに私を誘ってください。そうじゃないと私は信じられない」
「信じられらない?」
「そうです。あと、このまま酔ったあなたを押し倒してしまいたくなりますし」
彼の艶めかしい笑みに俺はどぎまぎして顔を再び真っ赤に染める。
「試すような真似をしてすみませんでした。あなたのことを大切にしたいですし、他の誰かにあなたを奪われるのが嫌なのです」
「王さん……」
俺は彼から語れる言葉は信じされず、ただ彼の顔を見つめる。
「さあ、寝てください。あなたがこのベッドを使ってくださいね。さもないとあなたがまた白酒を飲みそうです。今夜こそ、忘れないでください」
彼はそう俺に囁くと部屋を後にする。
襖がぱたんと閉まり、俺だけが取り残された。
胸がどきどきしていた。 体はまだ火照ったままだ。
俺は単純に彼が俺を好きなことを喜んでいた。
あんなに抵抗があった、彼が男であるということ、それは今の俺にとって何も意味をなさないものだった。
「おやすみなさい」
襖越しに彼の声が聞こえ、ぱちんと照明が消える。
寝たのだろうか?
襖を開け、彼を見たい衝動に駆られる。でも俺はそれを押さえるとベッドに横になった。先ほどまで彼がベッドに横になっていたのか、彼の香りが鼻を刺激し、俺は彼に触れた感触を思い出す。
俺は……ホモじゃない。でも彼は好きだ
心はもう隠せない。その後のことは知らない。
俺は眠ろうと顔を枕に押し付ける。すると彼の香りが俺を包み込み、その心地よさに身をゆだねる。
俺はまた忘れてしまうのか。
忘れてたくない。
今夜だけは……
俺は自分に襲いかかる睡魔にそう強く願う。しかし答えは返らぬまま、俺は眠りに落ちて行った。
そう呼びかけ、襖をノックする。
「何のご用でしょうか?」
不機嫌そうな王さんの声が聞こえた。しかし白酒で酔った俺はそんなのこと構わなかった。
「入ります」
俺は彼の返事を聞くこともなく、部屋に入る。
「実田さん?」
俺の様子がおかしいことに気がついたんだろう、王さんが訝しげに俺に視線を投げかける。
「王さん、俺、あなたが好きです。ずっと側にいてほしいと思ってます」
「!実田さん?酔ってますね。白酒ですか?」
告白した俺に彼は苦笑いを見せる。
「はい、白酒飲みました。でも、俺酔ってません。俺が王さんを好きなのは本当です。でも俺はホモじゃないから。どうしていいかわからないし、怖いんです」
「……きっとあなたは明日も覚えてないのでしょうね」
「そんなことありません!」
「……キスしていいですか?」
「!」
彼のキラキラと輝く双眸の瞳に魅入られ、俺はぎくりと体を強張らせる。
「怖いですか?大丈夫。無理やりなんかしませんから」
立ちすくむ俺に彼は近付くと、俺の首に手を回す。ふわりと甘い香りがして俺は目を閉じる。
「実田さん。私はあなたが好きです。素直で可愛いあなたが。でも、私はあなたがゲイじゃないことを知っていますし、ゲイになることを怖がってることも知ってます」
耳元で囁かれることで、俺はぞくぞくと身が悶えるような感覚にとらわれる。お互いが触れる体の部分から彼の鼓動が伝わり、俺は彼も緊張しているのがわかる。
「実田さん、好きです」
彼が俺の唇に自分の唇を重ねる。彼の舌がゆっくりと俺の口の中に侵入してきて俺の舌と絡み合う。俺は彼にされるがまま、キスに答える。
男とキスをしてる。しかもこんな深いキスを……
そんな意識は酔いと共と、快楽の中に埋もれて行く。
「あっん」
ふいに悪戯のように耳たぶを噛まれ、俺は女の子のような喘ぎ声を出す。
羞恥のあまり、俺は耳を押さえて顔を真っ赤にさせる。
「耳たぶが弱いのですね。その声を聞くと錫元さんもやる気になりますよね」
錫元?なんで彼の名を!
「あっ」
しかし俺のそんな怒りも彼の再度の悪戯によりかき消される。
どうしようもないくらい、気持ちが高まっていた。
前にセックスしたのは半年前くらいだ。
元からセックスはあまり好きじゃない。オナニーをしていたほうが気持ちいいくらいだった。
「性急すぎますね。今日はこれだけにしておきますね」
しかし王さんはくすっと笑うと俺から離れた。
中途半端に置いておかれ、俺は呆然と彼を見つめる。
「実田さん、次回はお酒を飲まずに私を誘ってください。そうじゃないと私は信じられない」
「信じられらない?」
「そうです。あと、このまま酔ったあなたを押し倒してしまいたくなりますし」
彼の艶めかしい笑みに俺はどぎまぎして顔を再び真っ赤に染める。
「試すような真似をしてすみませんでした。あなたのことを大切にしたいですし、他の誰かにあなたを奪われるのが嫌なのです」
「王さん……」
俺は彼から語れる言葉は信じされず、ただ彼の顔を見つめる。
「さあ、寝てください。あなたがこのベッドを使ってくださいね。さもないとあなたがまた白酒を飲みそうです。今夜こそ、忘れないでください」
彼はそう俺に囁くと部屋を後にする。
襖がぱたんと閉まり、俺だけが取り残された。
胸がどきどきしていた。 体はまだ火照ったままだ。
俺は単純に彼が俺を好きなことを喜んでいた。
あんなに抵抗があった、彼が男であるということ、それは今の俺にとって何も意味をなさないものだった。
「おやすみなさい」
襖越しに彼の声が聞こえ、ぱちんと照明が消える。
寝たのだろうか?
襖を開け、彼を見たい衝動に駆られる。でも俺はそれを押さえるとベッドに横になった。先ほどまで彼がベッドに横になっていたのか、彼の香りが鼻を刺激し、俺は彼に触れた感触を思い出す。
俺は……ホモじゃない。でも彼は好きだ
心はもう隠せない。その後のことは知らない。
俺は眠ろうと顔を枕に押し付ける。すると彼の香りが俺を包み込み、その心地よさに身をゆだねる。
俺はまた忘れてしまうのか。
忘れてたくない。
今夜だけは……
俺は自分に襲いかかる睡魔にそう強く願う。しかし答えは返らぬまま、俺は眠りに落ちて行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる