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第11話 再び副団長。
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「ザンバリー大隊長。これはどういうかしら?」
退室しようとしたところ、扉が激しく叩かれ、大隊長が返事をする前に副団長が入ってきた。
彼は私を一瞥して、すぐに大隊長とスカーレット様のお兄さんに目を向けた。
怒ってる。
ものすごく。
「私は副団長よ。軍では二番目の地位にいるつもりなのだけど、私に許可なくアノン君を再入隊させようとするなんて、ありえないのだけど?」
「ふん。お前のような男娼を私は副団長と認めたことはない」
「別にあなたに認めなくても、団長は私を副団長に任命したの。それがすべてよ」
副団長はいかつい大隊長に気後れすることなく、言い返す。
「ギル。なぜそう感情的になっているんだ。いつもの遊び相手だろう」
「トビアス。私への嫌がらせかしら?無能な男は嫉妬が醜いわ」
スカーレット様のお兄さんはまるで人が変わったように副団長に話しかける。
なんか、大隊長もスカーレット様のお兄さんも酷い言い方だ。
「嫉妬などではない。断じて」
スカーレット様のお兄さん、サンダリア様はこめかみをぴくぴくさせて言い返した。
ああ、怒ってる。ものすごく。
でも私もサンダリア様には怒りたくなる。
副団長みたいな言い返し方はできないけど。
「トビアス。やめろ。男娼など相手にするのは時間の無駄だ。エルガート。この作戦は団長が決めたものだ。戦争の早期停止を目指している。文句があるなら、私ではなく団長に言え。わかったな」
「わかったわ。その前に、その子とちょっと話をさせてもらうわよ」
「いいだろう」
え?
戸惑っている私に構わず、副団長はつかつかと歩いてきて、私の手首を掴むと部屋を出る。
「副団長、ちょっと待ってください」
いつもの彼らしくなく、私の言葉に耳を傾けることなく、そのまま副団長室へ連れていかれた。
「座って。お茶を入れるわ。美味しいかわからないけど」
「あの、それなら私が入れます」
「じゃあ、お願いするわね」
副団長の声には感情が乗っていなくて、胸が痛い。
相談しなかったことに怒っているのだろうか。
新しい職場が決まった時も、とても心配していたし。でも軍に戻るなら、それでいいのではないだろうか?
もんもんと色々考えながら、お茶を入れる。手を抜いたつもりはない。
「ありがとう」
副団長の机の上にカップを置く。
「あなたも飲んで」
「ありがとうございます」
勧められた椅子の前にあるテーブルにカップを置いてから、副団長の言葉を待つ。
きっと怒られるんだろうな。
「アノン君。この作戦のこと私は知っていたわ。軍では私があなたを引き取ったことは把握されていたし、恋人だと思われていた時もあるから、私に打診がきた。でも断ってきた。なぜかわかる?」
「……危険だからですか?」
「そうよ。わかってるなら、なぜ、引き受けるの?別に命令されたわけじゃないんでしょう?あなたは今の段階では軍人ではないわ。除籍したままだから」
「私は、私のような人を出したくないんです。戦争を終わらせる手段があって、私が協力できるなら、ぜひしたいです」
私の憎しみは消えていない。
ずっと消えたと思っていた。
だけど、今日母のことを聞かれ、あいつのことを話されたら、憎しみが再び戻ってきた。
あいつはもういないのに。
「どうしても参加したいのね。それなら、私もついて行くわ」
「え?この作戦は私が隣国にバレないように侵入するんですよね。副団長は……」
「外見変えることなんてすぐよ。あと、あいつが変な奴にあなたを指導させそうで、絶対に嫌。男を落す方法なんて、私が一番知ってるわ!」
副団長、断言されてますけど、それは……。
ん?
そうか、私は隣国の軍務大臣好みの女性の姿に似ているから、女性として誘惑して暗殺しなければならないのか。誘惑とか難しそうだから、これは副団長に指導してもらったほうがいいんだよね?
「そうと決まれば、私は団長のところへ行ってくるわ。アノン君はここで待っていて。絶対よ。あの小物なトビアスが来てもついて行ったら駄目だからね。わかったわね?」
「は、はい!」
自信はないけど、尽力しよう。
うん。
副団長が出て行って、私は部屋でじっと待った。廊下を歩く足音が聞こえる度に、ドキドキしたけど誰も入ってこなかった。
そうしてお茶が冷めたころに、副団長は戻ってきた。
扉を閉め、副団長が口を開く。
「団長の許可は取ったわ。あなたは私の元で訓練ね。ビシビシ行くわ。じっくり誘惑の仕方は教えてあげる。暗殺技術は残念ながら、別の奴が教えることになるけど。そこは妥協するわ」
誘惑の仕方……。
不安で仕方ない。
暗殺技術は頑張ろう。
「さあ、まずは宿に送るわね。娘さんが戻ってきたら、訓練開始よ。家に戻ってきなさい」
「え、あの」
「どうせ、私の元で訓練するんだから。家の方がいいわよ。あと、誘惑技術なんだから、家のほうがいいでしょう?」
「そ、そうなんですね。あの、またお世話になります」
「本当、他人行儀ね。まあ、いいわ。色々目を瞑るから」
「目を瞑る?」
「あなたは気にしないでいいの。さあ、宿屋に戻るわよ」
来たときと同じ門、だけど副団長と一緒に馬車に乗って宿に戻る。
「女性らしく、化粧の仕方とかも学ばないとね。後、服も」
「あの、副団長。女装することになりそうなんですけど、大丈夫ですか?」
「女装って、確かにそうだけど。大丈夫よ。綺麗な女の子にしてあげるから」
副団長は女性が嫌いなのに大丈夫なのだろうか。
ちょっと心配になったけど、なんだから楽しそうなのでいいのかな。
また副団長と暮らすのが、本当は物凄い楽しみだ。
でもこれは任務を達成するまで。
期間限定だ。
私は絶対にこの任務をやり遂げて、戦争を終わらせるんだ。
退室しようとしたところ、扉が激しく叩かれ、大隊長が返事をする前に副団長が入ってきた。
彼は私を一瞥して、すぐに大隊長とスカーレット様のお兄さんに目を向けた。
怒ってる。
ものすごく。
「私は副団長よ。軍では二番目の地位にいるつもりなのだけど、私に許可なくアノン君を再入隊させようとするなんて、ありえないのだけど?」
「ふん。お前のような男娼を私は副団長と認めたことはない」
「別にあなたに認めなくても、団長は私を副団長に任命したの。それがすべてよ」
副団長はいかつい大隊長に気後れすることなく、言い返す。
「ギル。なぜそう感情的になっているんだ。いつもの遊び相手だろう」
「トビアス。私への嫌がらせかしら?無能な男は嫉妬が醜いわ」
スカーレット様のお兄さんはまるで人が変わったように副団長に話しかける。
なんか、大隊長もスカーレット様のお兄さんも酷い言い方だ。
「嫉妬などではない。断じて」
スカーレット様のお兄さん、サンダリア様はこめかみをぴくぴくさせて言い返した。
ああ、怒ってる。ものすごく。
でも私もサンダリア様には怒りたくなる。
副団長みたいな言い返し方はできないけど。
「トビアス。やめろ。男娼など相手にするのは時間の無駄だ。エルガート。この作戦は団長が決めたものだ。戦争の早期停止を目指している。文句があるなら、私ではなく団長に言え。わかったな」
「わかったわ。その前に、その子とちょっと話をさせてもらうわよ」
「いいだろう」
え?
戸惑っている私に構わず、副団長はつかつかと歩いてきて、私の手首を掴むと部屋を出る。
「副団長、ちょっと待ってください」
いつもの彼らしくなく、私の言葉に耳を傾けることなく、そのまま副団長室へ連れていかれた。
「座って。お茶を入れるわ。美味しいかわからないけど」
「あの、それなら私が入れます」
「じゃあ、お願いするわね」
副団長の声には感情が乗っていなくて、胸が痛い。
相談しなかったことに怒っているのだろうか。
新しい職場が決まった時も、とても心配していたし。でも軍に戻るなら、それでいいのではないだろうか?
もんもんと色々考えながら、お茶を入れる。手を抜いたつもりはない。
「ありがとう」
副団長の机の上にカップを置く。
「あなたも飲んで」
「ありがとうございます」
勧められた椅子の前にあるテーブルにカップを置いてから、副団長の言葉を待つ。
きっと怒られるんだろうな。
「アノン君。この作戦のこと私は知っていたわ。軍では私があなたを引き取ったことは把握されていたし、恋人だと思われていた時もあるから、私に打診がきた。でも断ってきた。なぜかわかる?」
「……危険だからですか?」
「そうよ。わかってるなら、なぜ、引き受けるの?別に命令されたわけじゃないんでしょう?あなたは今の段階では軍人ではないわ。除籍したままだから」
「私は、私のような人を出したくないんです。戦争を終わらせる手段があって、私が協力できるなら、ぜひしたいです」
私の憎しみは消えていない。
ずっと消えたと思っていた。
だけど、今日母のことを聞かれ、あいつのことを話されたら、憎しみが再び戻ってきた。
あいつはもういないのに。
「どうしても参加したいのね。それなら、私もついて行くわ」
「え?この作戦は私が隣国にバレないように侵入するんですよね。副団長は……」
「外見変えることなんてすぐよ。あと、あいつが変な奴にあなたを指導させそうで、絶対に嫌。男を落す方法なんて、私が一番知ってるわ!」
副団長、断言されてますけど、それは……。
ん?
そうか、私は隣国の軍務大臣好みの女性の姿に似ているから、女性として誘惑して暗殺しなければならないのか。誘惑とか難しそうだから、これは副団長に指導してもらったほうがいいんだよね?
「そうと決まれば、私は団長のところへ行ってくるわ。アノン君はここで待っていて。絶対よ。あの小物なトビアスが来てもついて行ったら駄目だからね。わかったわね?」
「は、はい!」
自信はないけど、尽力しよう。
うん。
副団長が出て行って、私は部屋でじっと待った。廊下を歩く足音が聞こえる度に、ドキドキしたけど誰も入ってこなかった。
そうしてお茶が冷めたころに、副団長は戻ってきた。
扉を閉め、副団長が口を開く。
「団長の許可は取ったわ。あなたは私の元で訓練ね。ビシビシ行くわ。じっくり誘惑の仕方は教えてあげる。暗殺技術は残念ながら、別の奴が教えることになるけど。そこは妥協するわ」
誘惑の仕方……。
不安で仕方ない。
暗殺技術は頑張ろう。
「さあ、まずは宿に送るわね。娘さんが戻ってきたら、訓練開始よ。家に戻ってきなさい」
「え、あの」
「どうせ、私の元で訓練するんだから。家の方がいいわよ。あと、誘惑技術なんだから、家のほうがいいでしょう?」
「そ、そうなんですね。あの、またお世話になります」
「本当、他人行儀ね。まあ、いいわ。色々目を瞑るから」
「目を瞑る?」
「あなたは気にしないでいいの。さあ、宿屋に戻るわよ」
来たときと同じ門、だけど副団長と一緒に馬車に乗って宿に戻る。
「女性らしく、化粧の仕方とかも学ばないとね。後、服も」
「あの、副団長。女装することになりそうなんですけど、大丈夫ですか?」
「女装って、確かにそうだけど。大丈夫よ。綺麗な女の子にしてあげるから」
副団長は女性が嫌いなのに大丈夫なのだろうか。
ちょっと心配になったけど、なんだから楽しそうなのでいいのかな。
また副団長と暮らすのが、本当は物凄い楽しみだ。
でもこれは任務を達成するまで。
期間限定だ。
私は絶対にこの任務をやり遂げて、戦争を終わらせるんだ。
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