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第五章 ざまぁの子は復讐を……。
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メルヒが着替えを終わらせてから、一行は再出発した。
バイゼルは再び鳥型になり、他の者は馬で駆ける。
タトルを先頭に、ラギルとメルヒ、ヴァンとセインが馬に相乗りして進む。
「気になるか?」
「煩い」
ヴァンが後ろに乗っているセインを揶揄(からか)い、その度に彼は憮然と返した。
ラギルは兔耳をした可愛らしい外見をした魔族だ。けれどもメルヒを気にして話しかけているのを見ると、なんだから心が苛立つ。
それを知ってヴァンが笑い、彼は面白くない馬上の旅を終え、日が暮れる前に小屋に辿り着いた。
「城に入ることは難しいことではない」
馬を繋げ小屋に入ってから、タトルが先に話を切り出す。
「フェンデルが捕まっているはずなのに?」
セインは思わず聞き返した。
魔族の協力者だったフェンデルが裏切ってなければ、罪人として囚われている。もしくは殺されているかもしれない。裏切っていなければ。
ヴァンの言葉を信じるなら、王の親友でもあった男なので、囚人になっている可能性が高い。
ーーフェンデルは母さんのことをずっと想ってくれていた。だからトールを裏切った。だから今はきっと……。
「我々の仲間が侵入しているのだ。フェンデルとは別口のな」
「……そう思ったよ。ザイネルがフェンデルだけに頼るとは思えないからな」
ヴァンが頷き、セインは少し嫌な気持ちになる。
それが事実であれば、ザイネルにとってフェンデルの生死はまったく関係ない。けれども、タトルたちは手を貸そうを言ってきた。それが腑に落ちなくてセインは観察するように、彼らを眺める。
メルヒはヴァンとセインの背後で聞き役に徹していて、他の二人もタトルの近くで各々椅子に座ったり壁に寄りかかったりしながら、話しの行き先を見守っているようだった。
「陛下からお前たちと合流するように命を受けている。なので、協力もその範囲と考えられる」
「ふうん」
ヴァンが意味深に頷き、セインはその真意を窺おうとタトルと見る。
彼はいつも通り無表情、ならば他の二人に目を向けると、ラギルはにこにこ笑っていて、バイゼルはただむっつりと黙っているだけだ。
「まあ、協力してくれるなら、力を借りよう」
三人でフェンデルを救出することを話していた時は乗り気ではなかったのに、ヴァンは気が変わったらしくそう言った。
「ヴァン?」
「この三人、ザイネルの直属だ。かなり強いはずだ。タトルとバイゼルは攻撃魔法も使えるだろう?王妃に対抗できるかもしれない。まあ、あくまでも希望的観測だがな」
「ボクも魔法は使えますよ!」
ヴァンにラギルがここぞとばかり、声を上げる。
セインはそんなラギルを見ながら、彼たちの強さに疑問を持つ。
「私も魔法は使えるぞ。本当に強いのか?」
メルヒも同様に思ったらしく、口を挟んだ。
「メルヒ。もしかしてボクたちのこと弱いって思っているのですか?」
ラギルが抗議するように立ち上がり、その兔耳が興奮して動いている。
「まったく嫌になるぜ。オレはセインよりは強いぞ。フェンデルにも勝つ自信があるからな」
壁に寄りかかっていたバイゼルが体を起こして胸を張る。
「ラギル、バイゼル。静かにしろ。話が進まない」
セインとメルヒが何を言う前にタトルが一括して、二名は渋々と再び口を閉じる。
--やっぱり二人が強いとかちょっと信じられないな。タトルはなんとなくわかるけど。
「まあ、とりあえず腹が減ったな。魔の国から何か持ってきてるんだろう。肉とか食いてぇ」
ヴァンが腹をさすりながらそう言って、セインもお腹が空いていることに気が付く。
--そういえば最後に食べたのいつだっけ。あ、あの朝食か。城から飛ばされてどれくらい気を失っていたかわからないし。
急にそう考えると、飢餓感は強まっていき、話は一旦打ち切り、食事をすることになった。
☆
「それ、最後のお菓子なのに~~」
メルヒが大きな口をあけて、乾燥した果実入りのケーキを口にいれる。
それに抗議したのはラギルだった。
「あ、悪かった。なんか誰も手をつけていないから」
「最後にゆっくり食べようと思ったんです」
兎耳は悲しげに垂れ下がり、メルヒが謝る。彼女の犬耳もしな垂れ、見ていて可愛らしい二人だ。
「もういいです。人の国にいったらどうにか手にいれますから!」
「そ、そうしよう。城の厨房でいっぱい取ってこよう!」
--それは盗むってこと??
セインは二人に突っ込みをいれたくなったが、城に勝手に侵入して、フェンデルを救出、王と王妃を殺す、そんな計画実行しようと思っているのだから、今更盗みが増えたところで、何も変わらなかった。
「うん。そうしよう。たくさん持って帰ろう」
「そうですね」
たくさんというところで、機嫌が直ったようで、ラギルとメルヒは笑顔でうなづきあっていた。
「そうなると酒とか持って帰りたいなあ。うまかったもんな」
「お酒は重いのでだめですよ」
「なんだよ。不公平じゃねーか。お前の好きなものばっかり」
「お菓子は軽いのでいいのですよ」
バイゼルの思いつきにラギルが反対し、二人の掛け合いがまた始まる。
「まあ、一瓶くらいいいじゃないか?」
「そうだよな?」
「割れちゃいますよ」
メルヒが取り持とうと口を挟んだが、ラギルは不服そうだ。
「いい加減にしろ。遊びにいくんじゃないんだぞ」
「遊びじゃないが、楽しみは必要だろ?」
野菜を齧っていたタトルが一喝すると、笑いながらヴァンがタトルの肩をたたく。
「馬鹿力で叩くのはやめてくれ」
珍しくタトルが眉を顰めて抗議するがヴァンが笑ったままだ。
セインはそんな光景をただ眺めていた。
これから、人の城を襲おうとしているのに暢気な面々で気が抜けるが、愉快な気分になった。
ヴァンと旅している時、立ち寄った先で色々な魔族を見るのが楽しかった。セインは大概黙っていたのだが、ヴァンが楽しそうに他の魔族と話すのを聞いていると自身も楽しい気持ちになった。
ザイネルの部下になってからは殺伐とすることが多く、人の城ではよい王子として振舞うことで緊張感を伴っていた。気が抜けるのは、フェンデルの傍か、記憶を失ったメルヒと話しているときだった。
バイゼルは再び鳥型になり、他の者は馬で駆ける。
タトルを先頭に、ラギルとメルヒ、ヴァンとセインが馬に相乗りして進む。
「気になるか?」
「煩い」
ヴァンが後ろに乗っているセインを揶揄(からか)い、その度に彼は憮然と返した。
ラギルは兔耳をした可愛らしい外見をした魔族だ。けれどもメルヒを気にして話しかけているのを見ると、なんだから心が苛立つ。
それを知ってヴァンが笑い、彼は面白くない馬上の旅を終え、日が暮れる前に小屋に辿り着いた。
「城に入ることは難しいことではない」
馬を繋げ小屋に入ってから、タトルが先に話を切り出す。
「フェンデルが捕まっているはずなのに?」
セインは思わず聞き返した。
魔族の協力者だったフェンデルが裏切ってなければ、罪人として囚われている。もしくは殺されているかもしれない。裏切っていなければ。
ヴァンの言葉を信じるなら、王の親友でもあった男なので、囚人になっている可能性が高い。
ーーフェンデルは母さんのことをずっと想ってくれていた。だからトールを裏切った。だから今はきっと……。
「我々の仲間が侵入しているのだ。フェンデルとは別口のな」
「……そう思ったよ。ザイネルがフェンデルだけに頼るとは思えないからな」
ヴァンが頷き、セインは少し嫌な気持ちになる。
それが事実であれば、ザイネルにとってフェンデルの生死はまったく関係ない。けれども、タトルたちは手を貸そうを言ってきた。それが腑に落ちなくてセインは観察するように、彼らを眺める。
メルヒはヴァンとセインの背後で聞き役に徹していて、他の二人もタトルの近くで各々椅子に座ったり壁に寄りかかったりしながら、話しの行き先を見守っているようだった。
「陛下からお前たちと合流するように命を受けている。なので、協力もその範囲と考えられる」
「ふうん」
ヴァンが意味深に頷き、セインはその真意を窺おうとタトルと見る。
彼はいつも通り無表情、ならば他の二人に目を向けると、ラギルはにこにこ笑っていて、バイゼルはただむっつりと黙っているだけだ。
「まあ、協力してくれるなら、力を借りよう」
三人でフェンデルを救出することを話していた時は乗り気ではなかったのに、ヴァンは気が変わったらしくそう言った。
「ヴァン?」
「この三人、ザイネルの直属だ。かなり強いはずだ。タトルとバイゼルは攻撃魔法も使えるだろう?王妃に対抗できるかもしれない。まあ、あくまでも希望的観測だがな」
「ボクも魔法は使えますよ!」
ヴァンにラギルがここぞとばかり、声を上げる。
セインはそんなラギルを見ながら、彼たちの強さに疑問を持つ。
「私も魔法は使えるぞ。本当に強いのか?」
メルヒも同様に思ったらしく、口を挟んだ。
「メルヒ。もしかしてボクたちのこと弱いって思っているのですか?」
ラギルが抗議するように立ち上がり、その兔耳が興奮して動いている。
「まったく嫌になるぜ。オレはセインよりは強いぞ。フェンデルにも勝つ自信があるからな」
壁に寄りかかっていたバイゼルが体を起こして胸を張る。
「ラギル、バイゼル。静かにしろ。話が進まない」
セインとメルヒが何を言う前にタトルが一括して、二名は渋々と再び口を閉じる。
--やっぱり二人が強いとかちょっと信じられないな。タトルはなんとなくわかるけど。
「まあ、とりあえず腹が減ったな。魔の国から何か持ってきてるんだろう。肉とか食いてぇ」
ヴァンが腹をさすりながらそう言って、セインもお腹が空いていることに気が付く。
--そういえば最後に食べたのいつだっけ。あ、あの朝食か。城から飛ばされてどれくらい気を失っていたかわからないし。
急にそう考えると、飢餓感は強まっていき、話は一旦打ち切り、食事をすることになった。
☆
「それ、最後のお菓子なのに~~」
メルヒが大きな口をあけて、乾燥した果実入りのケーキを口にいれる。
それに抗議したのはラギルだった。
「あ、悪かった。なんか誰も手をつけていないから」
「最後にゆっくり食べようと思ったんです」
兎耳は悲しげに垂れ下がり、メルヒが謝る。彼女の犬耳もしな垂れ、見ていて可愛らしい二人だ。
「もういいです。人の国にいったらどうにか手にいれますから!」
「そ、そうしよう。城の厨房でいっぱい取ってこよう!」
--それは盗むってこと??
セインは二人に突っ込みをいれたくなったが、城に勝手に侵入して、フェンデルを救出、王と王妃を殺す、そんな計画実行しようと思っているのだから、今更盗みが増えたところで、何も変わらなかった。
「うん。そうしよう。たくさん持って帰ろう」
「そうですね」
たくさんというところで、機嫌が直ったようで、ラギルとメルヒは笑顔でうなづきあっていた。
「そうなると酒とか持って帰りたいなあ。うまかったもんな」
「お酒は重いのでだめですよ」
「なんだよ。不公平じゃねーか。お前の好きなものばっかり」
「お菓子は軽いのでいいのですよ」
バイゼルの思いつきにラギルが反対し、二人の掛け合いがまた始まる。
「まあ、一瓶くらいいいじゃないか?」
「そうだよな?」
「割れちゃいますよ」
メルヒが取り持とうと口を挟んだが、ラギルは不服そうだ。
「いい加減にしろ。遊びにいくんじゃないんだぞ」
「遊びじゃないが、楽しみは必要だろ?」
野菜を齧っていたタトルが一喝すると、笑いながらヴァンがタトルの肩をたたく。
「馬鹿力で叩くのはやめてくれ」
珍しくタトルが眉を顰めて抗議するがヴァンが笑ったままだ。
セインはそんな光景をただ眺めていた。
これから、人の城を襲おうとしているのに暢気な面々で気が抜けるが、愉快な気分になった。
ヴァンと旅している時、立ち寄った先で色々な魔族を見るのが楽しかった。セインは大概黙っていたのだが、ヴァンが楽しそうに他の魔族と話すのを聞いていると自身も楽しい気持ちになった。
ザイネルの部下になってからは殺伐とすることが多く、人の城ではよい王子として振舞うことで緊張感を伴っていた。気が抜けるのは、フェンデルの傍か、記憶を失ったメルヒと話しているときだった。
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