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3『過去の聖戦』
3 第一章第一話「反乱直前」
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ゼノ
この世界には主に三つの種族が存在する。悪魔族、天使族、そして俺達人族だ。
悪魔族と天使族の仲は最悪で、度々戦争が起きているほど。巻き込まれるこっちとしてはたまったものじゃない。
そんな俺達人族はというと奴隷だ。それも悪魔族と天使族両方の。そんなだから戦争に巻き込まれるわけで。
何故そうなったかというと、それは遠い昔に三つの種族による三つ巴の戦いがあったそうだ。その戦いに人族は完敗。どちらの勢力にも一切敵わず、結果として今に至るまで人族は両方の奴隷なのだ。
奴隷となった人族は地上に住む権利を失い、地下へと追いやられた。さらに、絶大な魔力を秘めた石、魔石を毎日掘っては集めて献上しなければならないのだ。
といっても、魔石はとても希少なもので、そう簡単には出てこない。見つからない日が当たり前だ。それなのに、期間を通して納める量が少なければ体罰を喰らわされる。
奴ら、ストレス発散機だと思ってんのか。
食事は最低限しか出されない。そんな身体で毎日掘って、体罰を受ける。中には体罰で死んでしまう人もいた。
それほどに劣悪な環境に人族は追いやられている。
………………………………………………………………………………
珍しく今日は魔石が採れたため、監視役である悪魔族の元へ向かう。
そこには魔石が採れた人が並んでいた。やはり、希少なようで列の人数も数えられる程度だ。その全員の顔に生気が満ちていない。
その列に並び、自分の番を待つ。前の人々が何の抵抗もなく悪魔へ魔石を渡していく。
人族も魔力を秘めているが、それは悪魔族にも天使族にも匹敵しない、むしろ一切敵わない程の量しか備わっていないのだ。
だが、魔石を使えばあるいはと思った者もいたようで、実際に魔石を使った反乱がおきたことがあった。それでも反乱は失敗に終わった。魔石を使っても差が縮まることはなかったのだ。
それ以来、人族が反乱を起こすことはなかった。
俺の番が来て、目の前の悪魔に魔石を渡した。というより、ぶんどられたの方が正しい受け渡しだったように思う。
列から出て、ラフルスへと帰る。
あちこちの地下においやられた人族は地下に自分達の住処を作った。魔石を掘っている場所から少し離れたところに大きな空洞を掘り、岩を使って家を作ったのだ。
俺はラフルスへと向かいながら、ズボンのポケットへ手を突っ込んだ。
そこには確かな手触りがある。
ゼノ:
「……そろそろ良い量溜まったかな」
俺は、ポケットの中で魔石を強く握った。
………………………………………………………………………………
セラ
王都ハートを囲む森を進み、岩壁へと辿り着く。そこに人族の集落デグラへと繋がる洞窟があった。
私とシェーンは、服装も軽装に着替えている。長い金髪はポニーテールに纏め、普段のようなヒラヒラしたロングスカートではなく、白を基調とした豪華な上着に、ミニスカートと黒タイツを着用していた。いつもの格好では森を抜けるのすら面倒なくらい動きづらいのだ。
そして、私の背中には軽い荷物が背負われている。シェーンもこの荷物の中は知らない。人族に会う時に必要なものとは言っておいたが。
洞窟の前には天使族の門番が立っていて、槍で塞いでいる。シェーンが門番に声をかけた。
シェーン:
「セラ・ハート様がデグラへと向かわれる。道を開けられよ」
門番:
「え、いや、しかしそのような報告は聞いておりませんが。それに、王家の方が人族と接触することは固く禁じられているはずです」
門番は困惑した様子で私達を見ていた。
それに実際、デグラなど人族の集落へ向かうには事前の報告が必要であり、何も間違ったことは言っていない。
どうしましょうか。門番がいることをすっかり忘れていました。
どうにかこうにか通る策を考えていると、シェーンが答えた。
シェーン:
「連絡を惜しむほど急ぎの用だったんだ。すまない」
そう言ってシェーンが頭を下げる。
シェーン:
「王家のセラ様がいなければならない案件なのだ。後ほど詳細な事情は話す。だから、今は通してくれないだろうか」
セラ:
「私からも、お願いします」
シェーンが一兵士に頭を下げているのだ。私も下げて誠意を見せなくては。
深々と頭を下げると、門番は焦ったように手を振った。
門番:
「あ、頭をお上げください! 分かりました! どうぞお通り下さい」
塞いでいた槍が下げられる。おそらく納得いかない部分も多々あっただろうが、私達の立場に気圧されたのかもしれない。少し悪い事をしたとは思うが、今は感謝しかない。
セラ:
「ありがとうございます!」
門番に礼を言い、シェーンと共に洞窟へと入る。
洞窟は暗闇が続いていた。灯りを付けてくれればいいのにとは思うが、魔法が使える以上、付ける方が面倒なのかもしれない。
シェーンが魔法を唱える。
シェーン:
「《シャイン》」
目の前に光球が出現して辺りを明るく照らす。シェーンを先頭に洞窟を進んでいった。
セラ:
「シェーン、先程はありがとうございます。門番の存在をすっかり忘れていました」
シェーン:
「どういたしまして。セラ様は肝心なところで抜けてますからね」
セラ:
「抜けてっ……返す言葉がありません」
シェーンがいなければ、このように事は上手く運んでいませんよね。
肯定せざるを得なかった。
シェーン:
「さて、門番にはあのように言いましたが、どう事情をでっちあげましょうか。アイ様方に気付かれないものがいいですよね」
そのように声をかけてくるシェーン。私、丁度いいタイミングだと思い、かねてから考えていたことを話すことにした。
セラ:
「……シェーン、私、決めたことがあるんです」
私の言葉に、シェーンが立ち止まり、私へ振り向く。
私はずっと考えていた。デグラに行って人族に会ってどうするのかを。ずっと考えていたけれど、出てきた答えはずっと一緒だった。
セラ:
「私、人族を解放したいと思います」
シェーン:
「なっ、そんなことをすれば……!」
その言葉に、シェーンは驚いていた。当然だろう。
それはつまり、天使族への反旗を意味する。もう、二度と王都へは戻れない。戻るときは、牢屋行きだろう。
セラ:
「どうなるかは分かっています。ですが、私はもう我慢がならないのです。種族が違うというだけで、こうもぞんざいな扱いを受けてもいいはずがありません」
シェーンへ、瞳を向ける。
セラ:
「私は、人族を解放します。この道はかなり険しいものになるでしょう。ですから、シェーンはここで戻ってください」
ずっと驚き顔だったシェーンだが、私がそう告げると途端に真顔になった。そこには一瞬の迷いもなく。
シェーン:
「セラ様、私は幼い頃からあなたの傍に仕えておりました。今さら私があなたを見捨てるとでも? もしそう思っていたのなら心外です」
そして、頬を膨らませ腰に両手をやって程よい胸を張るシェーン。私は苦笑した。
直感ではあったが、こうなることは薄々分かっていた。
セラ:
「やはり、シェーンはそう答えてくれると思っていました」
シェーン:
「このような試し方はおやめください」
セラ:
「もうしませんよ。シェーン、たとえ私がどのような道へ進んでもずっとついて来てくださいね」
シェーン:
「当たり前です」
シェーンが微笑む。洞窟の中がより明るくなったような気がした。
そこで、シェーンが納得したように頷いた。
シェーン:
「なるほど、それでその荷物ですか」
セラ:
「はい、私とシェーンの着替えなど必要最低限のものが入っています」
笑顔で答えると、シェーンは苦笑していた。
シェーン:
「最初からそのつもりなのでしたら、言って下さればいいのに」
セラ:
「ほんの少しだけ、シェーンに断れたらって怖かったんです。ほんの少しだけですよ?」
ついて来てくれるとは思いつつも、やはり断れたらという恐怖があった。今ようやく勇気が出たのだった。
シェーン:
「まぁ、荷物の中に私の着替えも入っているようなので、その信頼は疑っていません」
そう言って、私の背にある荷物をシェーンがひょいと攫い、自分で背負う。
シェーン:
「先程までは頑なに渡そうとしませんでしたが、今はもういいですよね」
セラ:
「ありがとうございます、シェーン」
シェーンは本当にいつも頼りになる。毎日助けられているといっても過言ではない。
甘えてばかりではいけないんですけどね。
分かってはいるのだが、シェーンの優しさに甘えてしまう自分もいるのだ。
シェーン:
「それでは、行きましょうか。それで、解放にするにしたって作戦が――」
再び進みだしたシェーンの背中を頼もしく感じながら、私も前に進みだした。
………………………………………………………………………………
ゼノ
岩で出来た細い通路を抜け、ようやく自分の家が見えてくる。
人族は地下に追いやられた後、自ら地下を掘り、居住地を確保した。人々が何よりも優先して作ったそれは当然のごとく岩で出来ているが、それらのある空洞の大きさは自ら堀ったにしては大きいだろう。その空洞には多くの家、人々が生息しており、魔石掘りという日課が終わった今、ランプによってあちこちの家に光が灯っている。
俺の家は中でも上の方に建ててあった。俺のとは言うが、いわゆる共同住宅だ。何人かの人々と共に暮らしている。
坂を上ってようやく家の前に辿り着いた。そのまま玄関にかかった布を手で払いのけて家の中に入る。
ゼノ:
「ただいまー。今帰っ――」
だが、言葉を終えることなく何かが俺めがけて飛び込んできた。
???:
「お帰りゼノ!」
ゼノ:
「うおっ」
避ける間などなく、俺は飛び込んできたものをモロに直撃し、共々家の外へと吹き飛んだ。何という勢い。
大の字に倒れる俺の上には、黒髪の少女が一人。その少女はニコニコ笑顔で俺を見下ろしていた。その横に、赤髪の女性が姿を見せる。長髪を三つ編みに長く結っているその女性は、俺と同じ十六か十七だ。
???:
「こらこら、メア。ゼノは疲れてるんだから離れなさい」
メア:
「はーい」
黒髪の少女、メアは元気よく返事をして俺の上から離れる。ようやう俺は体を起こすことが出来た。
ゼノ:
「おう、アキ、メア。お疲れさん。メアは相変わらず元気を余らしてるな」
アキ:
「メアは年齢的にまだ内職だからね」
そう答えるアキ。目にかかりそうな赤毛を払いのけている。
年齢が余りに幼過ぎる場合、つるはしを振れないことを考慮し、自宅での内職が許されているのだった。内職といっても編み物が大半で、布など必要最低限のものを時間をかけてせっせと作らされている。俺達が着ている布状の服もその過程で作られているものだ。
メア:
「お疲れさま、ゼノ!」
ゼノ:
「今の突進でより疲れた気がするけどな」
メア:
「えへへ」
可愛らしく笑うメア。疲れているのは事実だが、これしきのことでは怒りはしない。たとえ怒っていたとしても、この可愛さでその感情を手放すに違いないだろう。
メアの頭を撫でながら立ち上がる。すると、アキが尋ねてきた。
アキ:
「遅かったってことは、魔石を掘り当てたの?」
ゼノ:
「まあな」
アキ:
「ふーん、ゼノって結構魔石を掘り当てるわよね」
ゼノ:
「運だよ、運」
そう言って、メアと一緒に家の中に入ろうとする。
本当はそれなりにコツがあるのだが、別に教える必要もないだろう。魔石は見つけた分だけ悪魔族にやらなければならない。コツを覚えたところで俺達に得などないのだ。本来は。
その時、アキが何かを見つけた。
アキ:
「あれ、ゼノ。メアとじゃれてる時にポケットから何か落ちたみたいよ」
ゼノ:
「え?」
振り向く俺の目の前で、アキが何かを拾い上げる。
アキ:
「これは……魔石?」
それは、見事に魔石であった。普通の石と違い、不思議な輝きを放っている。
や、ヤバい……!
早歩きで急いでアキに近づき、魔石を奪い取るべく手を伸ばす。だが、それはひょいと躱されてしまった。
おそるおそるアキの表情を窺う。すると、アキは見事に険しい表情で怒っていた。
アキ:
「……どうして魔石がこんなところに?」
ご、誤魔化さなくては。
ゼノ:
「いや、あー、もしかしたら悪魔共に渡し損ねた分かも。いやー、気付かなかったなー。早急に返して来るよ!」
そう言って再び手を伸ばすが、再び躱されてしまう。
アキは鋭い眼光で俺を見つめていた。
アキ:
「ゼノ、あなたって本当に嘘つくの下手よね。目が泳ぎまくってる自覚無いでしょ」
ゼノ:
「マジでか!?」
その返答が、俺が嘘をついていることの証明でもあった。
アキ:
「ゼノ、あなたまさか……」
アキが睨みつけてくる。まともに目線を合わせられない。
くそ、とりあえずどうにかしてあの魔石を取り返さなくては。
アキはその魔石を握りしめたままズボンのポケットへと仕舞っていた。
くっ、あの中に手を突っ込めるような俺では……。
少し逡巡して気付く。
いや、アキとは小さい頃からの仲だし、いけるな。
ゼノ:
「返せ!」
勢いよくアキへと飛びかかり、その腰に絡みつく。そのままの勢いでポケットへと手を突っ込み、魔石をまさぐった。
アキ:
「きゃあっ! ちょっとやめてよどこ触ってるの!」
頭頂部にアキの拳骨が振り下ろされた。慌ててそこから離れる。既に、魔石はどうにかこうにか回収することが出来た。
俺とアキ。二人が膠着状態のまま見つめ合う。その二人を、メアが楽しそうに笑いながら見つめていた。
メア:
「ゼノもアキも仲良い!」
そんなメアは裏腹に、アキが核心を突いてくる。魔石を持っていることがバレたということは、これまで企てていた全てがバレたと言っても過言ではない。
アキ:
「もしかして、反乱、起こそうとしているの?」
反乱。それはつまり、悪魔族へ反旗を翻し、自由を取り戻すことを意味している。
悲しそうに顔を曇らせるアキに。俺はその場しのぎの笑顔を作った。
ゼノ:
「な、なわけないだろ? 悪魔に逆らって痛い目見てる奴をたくさん見てるんだから」
そう言ってアキの横を抜けて家へと入る。
アキ:
「……嘘ついてるの、分かるって言ってるでしょ、馬鹿」
そんな声が背後から聞こえたが、聞こえないふりをした。
共同住宅なだけあってそれなりに大きい家は玄関の直後にリビングがあり、大きなテーブルが置いてある。そこに、ケレアが座っていた。
ケレア:
「おうゼノ、何やら揉め事か? まったく、夫婦漫才やりすぎだろ」
ケレアがのんきにそんなことを言ってくるが、生憎漫才にしてはあまりに殺伐とした空気感だ。
背後を振りかえり、まだアキが家に入ってきてない事を確認する。メアもアキと一緒のようだ。
その間に、ケレアへと小さな声で囁く。
ゼノ:
「……アキにバレたかも」
その瞬間、ケレアの表情が焦りに変わった。
ケレア:
「おい、それってマズいんじゃ――」
ゼノ:
「大丈夫! どうせいつかバレるし、説明しなきゃいけなかったんだ。それが早まっただけだよ。それに、準備は整ったんだ。タイミングとしてはバッチシだ」
ケレア:
「っ、それじゃあ!」
俺の言葉に、ケレアが身を乗り出す。俺は頷いた。
ゼノ:
「ああ、始めるぞ、他の皆に知らせてくれ。準備をしてくれってな」
ケレア:
「分かった!」
嬉しそうな表情のまま、ケレアが岩の階段を上がって二階へと向かう。その後、すぐに下りてきて今度は家を飛び出していった。他の同志たちへ声をかけに行ったのだろう。
その様子を見ながら、俺も覚悟を決める。
ゼノ:
「さて、明日で虐げられるだけの人生は終わりだ!」
明日、俺達は悪魔族へ反乱を実行する。
この世界には主に三つの種族が存在する。悪魔族、天使族、そして俺達人族だ。
悪魔族と天使族の仲は最悪で、度々戦争が起きているほど。巻き込まれるこっちとしてはたまったものじゃない。
そんな俺達人族はというと奴隷だ。それも悪魔族と天使族両方の。そんなだから戦争に巻き込まれるわけで。
何故そうなったかというと、それは遠い昔に三つの種族による三つ巴の戦いがあったそうだ。その戦いに人族は完敗。どちらの勢力にも一切敵わず、結果として今に至るまで人族は両方の奴隷なのだ。
奴隷となった人族は地上に住む権利を失い、地下へと追いやられた。さらに、絶大な魔力を秘めた石、魔石を毎日掘っては集めて献上しなければならないのだ。
といっても、魔石はとても希少なもので、そう簡単には出てこない。見つからない日が当たり前だ。それなのに、期間を通して納める量が少なければ体罰を喰らわされる。
奴ら、ストレス発散機だと思ってんのか。
食事は最低限しか出されない。そんな身体で毎日掘って、体罰を受ける。中には体罰で死んでしまう人もいた。
それほどに劣悪な環境に人族は追いやられている。
………………………………………………………………………………
珍しく今日は魔石が採れたため、監視役である悪魔族の元へ向かう。
そこには魔石が採れた人が並んでいた。やはり、希少なようで列の人数も数えられる程度だ。その全員の顔に生気が満ちていない。
その列に並び、自分の番を待つ。前の人々が何の抵抗もなく悪魔へ魔石を渡していく。
人族も魔力を秘めているが、それは悪魔族にも天使族にも匹敵しない、むしろ一切敵わない程の量しか備わっていないのだ。
だが、魔石を使えばあるいはと思った者もいたようで、実際に魔石を使った反乱がおきたことがあった。それでも反乱は失敗に終わった。魔石を使っても差が縮まることはなかったのだ。
それ以来、人族が反乱を起こすことはなかった。
俺の番が来て、目の前の悪魔に魔石を渡した。というより、ぶんどられたの方が正しい受け渡しだったように思う。
列から出て、ラフルスへと帰る。
あちこちの地下においやられた人族は地下に自分達の住処を作った。魔石を掘っている場所から少し離れたところに大きな空洞を掘り、岩を使って家を作ったのだ。
俺はラフルスへと向かいながら、ズボンのポケットへ手を突っ込んだ。
そこには確かな手触りがある。
ゼノ:
「……そろそろ良い量溜まったかな」
俺は、ポケットの中で魔石を強く握った。
………………………………………………………………………………
セラ
王都ハートを囲む森を進み、岩壁へと辿り着く。そこに人族の集落デグラへと繋がる洞窟があった。
私とシェーンは、服装も軽装に着替えている。長い金髪はポニーテールに纏め、普段のようなヒラヒラしたロングスカートではなく、白を基調とした豪華な上着に、ミニスカートと黒タイツを着用していた。いつもの格好では森を抜けるのすら面倒なくらい動きづらいのだ。
そして、私の背中には軽い荷物が背負われている。シェーンもこの荷物の中は知らない。人族に会う時に必要なものとは言っておいたが。
洞窟の前には天使族の門番が立っていて、槍で塞いでいる。シェーンが門番に声をかけた。
シェーン:
「セラ・ハート様がデグラへと向かわれる。道を開けられよ」
門番:
「え、いや、しかしそのような報告は聞いておりませんが。それに、王家の方が人族と接触することは固く禁じられているはずです」
門番は困惑した様子で私達を見ていた。
それに実際、デグラなど人族の集落へ向かうには事前の報告が必要であり、何も間違ったことは言っていない。
どうしましょうか。門番がいることをすっかり忘れていました。
どうにかこうにか通る策を考えていると、シェーンが答えた。
シェーン:
「連絡を惜しむほど急ぎの用だったんだ。すまない」
そう言ってシェーンが頭を下げる。
シェーン:
「王家のセラ様がいなければならない案件なのだ。後ほど詳細な事情は話す。だから、今は通してくれないだろうか」
セラ:
「私からも、お願いします」
シェーンが一兵士に頭を下げているのだ。私も下げて誠意を見せなくては。
深々と頭を下げると、門番は焦ったように手を振った。
門番:
「あ、頭をお上げください! 分かりました! どうぞお通り下さい」
塞いでいた槍が下げられる。おそらく納得いかない部分も多々あっただろうが、私達の立場に気圧されたのかもしれない。少し悪い事をしたとは思うが、今は感謝しかない。
セラ:
「ありがとうございます!」
門番に礼を言い、シェーンと共に洞窟へと入る。
洞窟は暗闇が続いていた。灯りを付けてくれればいいのにとは思うが、魔法が使える以上、付ける方が面倒なのかもしれない。
シェーンが魔法を唱える。
シェーン:
「《シャイン》」
目の前に光球が出現して辺りを明るく照らす。シェーンを先頭に洞窟を進んでいった。
セラ:
「シェーン、先程はありがとうございます。門番の存在をすっかり忘れていました」
シェーン:
「どういたしまして。セラ様は肝心なところで抜けてますからね」
セラ:
「抜けてっ……返す言葉がありません」
シェーンがいなければ、このように事は上手く運んでいませんよね。
肯定せざるを得なかった。
シェーン:
「さて、門番にはあのように言いましたが、どう事情をでっちあげましょうか。アイ様方に気付かれないものがいいですよね」
そのように声をかけてくるシェーン。私、丁度いいタイミングだと思い、かねてから考えていたことを話すことにした。
セラ:
「……シェーン、私、決めたことがあるんです」
私の言葉に、シェーンが立ち止まり、私へ振り向く。
私はずっと考えていた。デグラに行って人族に会ってどうするのかを。ずっと考えていたけれど、出てきた答えはずっと一緒だった。
セラ:
「私、人族を解放したいと思います」
シェーン:
「なっ、そんなことをすれば……!」
その言葉に、シェーンは驚いていた。当然だろう。
それはつまり、天使族への反旗を意味する。もう、二度と王都へは戻れない。戻るときは、牢屋行きだろう。
セラ:
「どうなるかは分かっています。ですが、私はもう我慢がならないのです。種族が違うというだけで、こうもぞんざいな扱いを受けてもいいはずがありません」
シェーンへ、瞳を向ける。
セラ:
「私は、人族を解放します。この道はかなり険しいものになるでしょう。ですから、シェーンはここで戻ってください」
ずっと驚き顔だったシェーンだが、私がそう告げると途端に真顔になった。そこには一瞬の迷いもなく。
シェーン:
「セラ様、私は幼い頃からあなたの傍に仕えておりました。今さら私があなたを見捨てるとでも? もしそう思っていたのなら心外です」
そして、頬を膨らませ腰に両手をやって程よい胸を張るシェーン。私は苦笑した。
直感ではあったが、こうなることは薄々分かっていた。
セラ:
「やはり、シェーンはそう答えてくれると思っていました」
シェーン:
「このような試し方はおやめください」
セラ:
「もうしませんよ。シェーン、たとえ私がどのような道へ進んでもずっとついて来てくださいね」
シェーン:
「当たり前です」
シェーンが微笑む。洞窟の中がより明るくなったような気がした。
そこで、シェーンが納得したように頷いた。
シェーン:
「なるほど、それでその荷物ですか」
セラ:
「はい、私とシェーンの着替えなど必要最低限のものが入っています」
笑顔で答えると、シェーンは苦笑していた。
シェーン:
「最初からそのつもりなのでしたら、言って下さればいいのに」
セラ:
「ほんの少しだけ、シェーンに断れたらって怖かったんです。ほんの少しだけですよ?」
ついて来てくれるとは思いつつも、やはり断れたらという恐怖があった。今ようやく勇気が出たのだった。
シェーン:
「まぁ、荷物の中に私の着替えも入っているようなので、その信頼は疑っていません」
そう言って、私の背にある荷物をシェーンがひょいと攫い、自分で背負う。
シェーン:
「先程までは頑なに渡そうとしませんでしたが、今はもういいですよね」
セラ:
「ありがとうございます、シェーン」
シェーンは本当にいつも頼りになる。毎日助けられているといっても過言ではない。
甘えてばかりではいけないんですけどね。
分かってはいるのだが、シェーンの優しさに甘えてしまう自分もいるのだ。
シェーン:
「それでは、行きましょうか。それで、解放にするにしたって作戦が――」
再び進みだしたシェーンの背中を頼もしく感じながら、私も前に進みだした。
………………………………………………………………………………
ゼノ
岩で出来た細い通路を抜け、ようやく自分の家が見えてくる。
人族は地下に追いやられた後、自ら地下を掘り、居住地を確保した。人々が何よりも優先して作ったそれは当然のごとく岩で出来ているが、それらのある空洞の大きさは自ら堀ったにしては大きいだろう。その空洞には多くの家、人々が生息しており、魔石掘りという日課が終わった今、ランプによってあちこちの家に光が灯っている。
俺の家は中でも上の方に建ててあった。俺のとは言うが、いわゆる共同住宅だ。何人かの人々と共に暮らしている。
坂を上ってようやく家の前に辿り着いた。そのまま玄関にかかった布を手で払いのけて家の中に入る。
ゼノ:
「ただいまー。今帰っ――」
だが、言葉を終えることなく何かが俺めがけて飛び込んできた。
???:
「お帰りゼノ!」
ゼノ:
「うおっ」
避ける間などなく、俺は飛び込んできたものをモロに直撃し、共々家の外へと吹き飛んだ。何という勢い。
大の字に倒れる俺の上には、黒髪の少女が一人。その少女はニコニコ笑顔で俺を見下ろしていた。その横に、赤髪の女性が姿を見せる。長髪を三つ編みに長く結っているその女性は、俺と同じ十六か十七だ。
???:
「こらこら、メア。ゼノは疲れてるんだから離れなさい」
メア:
「はーい」
黒髪の少女、メアは元気よく返事をして俺の上から離れる。ようやう俺は体を起こすことが出来た。
ゼノ:
「おう、アキ、メア。お疲れさん。メアは相変わらず元気を余らしてるな」
アキ:
「メアは年齢的にまだ内職だからね」
そう答えるアキ。目にかかりそうな赤毛を払いのけている。
年齢が余りに幼過ぎる場合、つるはしを振れないことを考慮し、自宅での内職が許されているのだった。内職といっても編み物が大半で、布など必要最低限のものを時間をかけてせっせと作らされている。俺達が着ている布状の服もその過程で作られているものだ。
メア:
「お疲れさま、ゼノ!」
ゼノ:
「今の突進でより疲れた気がするけどな」
メア:
「えへへ」
可愛らしく笑うメア。疲れているのは事実だが、これしきのことでは怒りはしない。たとえ怒っていたとしても、この可愛さでその感情を手放すに違いないだろう。
メアの頭を撫でながら立ち上がる。すると、アキが尋ねてきた。
アキ:
「遅かったってことは、魔石を掘り当てたの?」
ゼノ:
「まあな」
アキ:
「ふーん、ゼノって結構魔石を掘り当てるわよね」
ゼノ:
「運だよ、運」
そう言って、メアと一緒に家の中に入ろうとする。
本当はそれなりにコツがあるのだが、別に教える必要もないだろう。魔石は見つけた分だけ悪魔族にやらなければならない。コツを覚えたところで俺達に得などないのだ。本来は。
その時、アキが何かを見つけた。
アキ:
「あれ、ゼノ。メアとじゃれてる時にポケットから何か落ちたみたいよ」
ゼノ:
「え?」
振り向く俺の目の前で、アキが何かを拾い上げる。
アキ:
「これは……魔石?」
それは、見事に魔石であった。普通の石と違い、不思議な輝きを放っている。
や、ヤバい……!
早歩きで急いでアキに近づき、魔石を奪い取るべく手を伸ばす。だが、それはひょいと躱されてしまった。
おそるおそるアキの表情を窺う。すると、アキは見事に険しい表情で怒っていた。
アキ:
「……どうして魔石がこんなところに?」
ご、誤魔化さなくては。
ゼノ:
「いや、あー、もしかしたら悪魔共に渡し損ねた分かも。いやー、気付かなかったなー。早急に返して来るよ!」
そう言って再び手を伸ばすが、再び躱されてしまう。
アキは鋭い眼光で俺を見つめていた。
アキ:
「ゼノ、あなたって本当に嘘つくの下手よね。目が泳ぎまくってる自覚無いでしょ」
ゼノ:
「マジでか!?」
その返答が、俺が嘘をついていることの証明でもあった。
アキ:
「ゼノ、あなたまさか……」
アキが睨みつけてくる。まともに目線を合わせられない。
くそ、とりあえずどうにかしてあの魔石を取り返さなくては。
アキはその魔石を握りしめたままズボンのポケットへと仕舞っていた。
くっ、あの中に手を突っ込めるような俺では……。
少し逡巡して気付く。
いや、アキとは小さい頃からの仲だし、いけるな。
ゼノ:
「返せ!」
勢いよくアキへと飛びかかり、その腰に絡みつく。そのままの勢いでポケットへと手を突っ込み、魔石をまさぐった。
アキ:
「きゃあっ! ちょっとやめてよどこ触ってるの!」
頭頂部にアキの拳骨が振り下ろされた。慌ててそこから離れる。既に、魔石はどうにかこうにか回収することが出来た。
俺とアキ。二人が膠着状態のまま見つめ合う。その二人を、メアが楽しそうに笑いながら見つめていた。
メア:
「ゼノもアキも仲良い!」
そんなメアは裏腹に、アキが核心を突いてくる。魔石を持っていることがバレたということは、これまで企てていた全てがバレたと言っても過言ではない。
アキ:
「もしかして、反乱、起こそうとしているの?」
反乱。それはつまり、悪魔族へ反旗を翻し、自由を取り戻すことを意味している。
悲しそうに顔を曇らせるアキに。俺はその場しのぎの笑顔を作った。
ゼノ:
「な、なわけないだろ? 悪魔に逆らって痛い目見てる奴をたくさん見てるんだから」
そう言ってアキの横を抜けて家へと入る。
アキ:
「……嘘ついてるの、分かるって言ってるでしょ、馬鹿」
そんな声が背後から聞こえたが、聞こえないふりをした。
共同住宅なだけあってそれなりに大きい家は玄関の直後にリビングがあり、大きなテーブルが置いてある。そこに、ケレアが座っていた。
ケレア:
「おうゼノ、何やら揉め事か? まったく、夫婦漫才やりすぎだろ」
ケレアがのんきにそんなことを言ってくるが、生憎漫才にしてはあまりに殺伐とした空気感だ。
背後を振りかえり、まだアキが家に入ってきてない事を確認する。メアもアキと一緒のようだ。
その間に、ケレアへと小さな声で囁く。
ゼノ:
「……アキにバレたかも」
その瞬間、ケレアの表情が焦りに変わった。
ケレア:
「おい、それってマズいんじゃ――」
ゼノ:
「大丈夫! どうせいつかバレるし、説明しなきゃいけなかったんだ。それが早まっただけだよ。それに、準備は整ったんだ。タイミングとしてはバッチシだ」
ケレア:
「っ、それじゃあ!」
俺の言葉に、ケレアが身を乗り出す。俺は頷いた。
ゼノ:
「ああ、始めるぞ、他の皆に知らせてくれ。準備をしてくれってな」
ケレア:
「分かった!」
嬉しそうな表情のまま、ケレアが岩の階段を上がって二階へと向かう。その後、すぐに下りてきて今度は家を飛び出していった。他の同志たちへ声をかけに行ったのだろう。
その様子を見ながら、俺も覚悟を決める。
ゼノ:
「さて、明日で虐げられるだけの人生は終わりだ!」
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