カイ~魔法の使えない王子~

愛野進

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4『理想のその先へ』

4 第三章第三十五話「蛇」

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時は遡り、メアが魔界突入した直後。

人界へと続く大扉の前は依然として悪魔族同士の混戦が続いていた。レジスタンスが中々善戦してくれている為、天使族側には幾分かの対応時間が与えられていた。

当然、対応に追われているのはセラ、エクセロ、シノであり、供するシェーンとアグレシアも傍に居る。

「第三大隊も扉まで急がせて下さい!」

「くれぐれも赤布をつけた悪魔族には攻撃しないようにお願いしますわ!」

悪魔族側の様子がおかしいことは既に全員が把握済みであり、赤布をつけた悪魔族が反旗を翻していることも近くまで寄った部隊から連絡が入っている。

何故かは分からないけれど、利害は一致していると考えていい。

まずは赤布以外の悪魔族を倒し、状況によって赤布へも対処すればいいだけ。

このままこちらも続けて戦力を送れば、まずあの戦いは鎮圧出来る。

問題は天界へ襲撃してきた悪魔族があれだけなのか、そして人界はどうなっているのか。

今のところ、シェーンとアグレシアが片っ端から各都市へ連絡しているものの、悪魔族が襲ってきているという情報は入ってこない。

ということは、扉前だけ……?

そう考えると、余計に人界が心配になってくる。扉による人界への移動のみを封じに来ているとすれば、今まさに人界は悪魔族に襲われているのかもしれない。レイデンフォート城にいるはずのエイラ達に連絡がつかないのが証拠にもなる。

すぐに、扉を起動させて人界に行かなければ……!

「エクセロお姉様とシノお姉様はこちらで指示を! シェーンとアグレシアは連絡し次第私と共に戦いへ参入してください! 一刻も早く扉を使用できるようにしなければ……!」

「指示ならエクセロだけで充分、私も行くわ。それでいいわね?」

「勿論ですわ。セラの言う通り、扉を使わせない事が目的だとすれば、人界が今大変なことになっているかもしれませんわ」

姉妹三人は顔を合わせて頷いた。

「……もう、メアは何処に行ったんだか」

「メアの事です。きっと私達より早く行動を起こしていますわ」

「そうですね。私達も負けないように頑張りましょう!」

そして、各々が行動を起こそうとした時だった。

「な、おい、どうした!」

シェーンの緊迫した声が届く。その後も呼びかけているようだが、連絡が完全に途絶えてしまったらしい。《ヴィジョン》の窓が眼前から消失する。

「シェーン、どうしましたか」

「……レインドゥールが何かに襲われているかもしれません」

レインドゥールと言えば、ここ王都リーフから離れた地方にある都市だ。

「何かって悪魔族じゃなくて?」

「それが……」

何故か歯切れの悪いシェーン。この状況を考えれば悪魔族以外の何者でもないはずなのだが。

「最後に、『化け物がっ』……と」

「化け物?」

悪魔族であれば、わざわざそのように形容するだろうか?

すると、今度声を荒げたのはアグレシアだった。

「お、おい、状況をちゃんと……くそっ!」

こちらも亦《ヴィジョン》が消失していた。唐突な消失は、同時に魔法行使者に何かがあったことを示唆している。

「……ディルダルも駄目です」

「ディルダルですって……!?」

都市ディルダルは、レインドゥールと同じ地方にある。

これは、果たして偶然か。

少なくとも、何かが襲ってきている事実は変わらなさそうだった。

シノが唸る。

「くそっ、扉前を敢えて狙ったのは、遠く離れた場所の襲撃に気付かせないためなのね」

「ですが、ただ襲撃されただけなのであれば、襲撃された時点でこちらに連絡が入っていいと思いますわ」

つまり、連絡をする余裕すらも与えられていないということになる。

「っ、ガルグが連絡つきません!」

「サリージャも同じです!」

次々と連絡の取れない都市が現れてくる。

それ程大規模の侵攻が始まっているというのか。

一体何が起きていると言うの……!?

「っ、嘘でしょう……!?」

ダンッと、エクセロが机を叩いている。覗いているのは天界を示す地図。

「ど、どうしたのですか、お姉――」

「シェーン、アグレシア! すぐにカロットとシーズにも連絡を取って下さいまし!」

「え、ですがその二つの都市には既に連絡を取って問題なしと――」

「いいから!」

エクセロの剣幕に、何かがあると二人はすぐに連絡を取り始めた。

シノがエクセロへと尋ねる。

「何か、気付いたのね?」

「……レインドゥール、ディルダル、ガルグ、サリージャ。違和感ありませんか?」

そう言って、エクセロは地図を指した。地図を覗き、エクセロの指を辿って、セラは息を呑んだ。

「え、これって……」

「そう。ここ王都リーフからその四都市は全て縦一直線にあるのですわ」

地図をエクセロの指が真っすぐになぞる。その軌跡に例の四都市と王都リーフがあるのだ。

「偶然、って訳でもなさそうね。だから、カロットとシーズなのね」

そしてその二都市も亦、直線に入っているのだった。

だが、それでもエクセロの思考にまだ至ることが出来ない。

「ですが、カロットとシーズは連絡が取れたと――」

「それは先程までの話ですわ。この規則性。相手は、この王都を目指す過程で都市を滅ぼしているのかもしれませんわ」

エクセロはそう言うが、到底信じられない話。シノもまた理解が及んでいないようで。

「え、いや、ちょっと待ちなさいよ。過程で都市を滅ぼすって、王都程ではないとはいえ、兵士も大勢いるはずよ。どれだけの戦力を投じればそんなにポンポンと都市を落とせるって――」

その時、シェーンとアグレシアから同時に声が届く。

「れ、連絡がつきません!」

それは絶望の知らせだった。先程連絡がついていたカロットとシーズから連絡が途絶えた。

エクセロの予感を確実にするには充分な知らせ。

エクセロが、唾を飲み込む。

「……相手はディルダルから始まり、レインドゥール、サリージャ、ガルグ、そしてカロットとシーズを滅ぼしている。分かりますか、この進行速度が」

それぞれの都市は決して隣接しているわけではなく、むしろ間は充分に開いていると言っていい。それなのに、レインドゥールの連絡が途絶したと思えば、もうサリージャとガルグに連絡がつくことはなかった。途絶から不通は意味が違い過ぎる。

つまり、レインドゥールとの連絡が途絶してから、新たにサリージャとガルグへ連絡をするまでの間にその二都市は新たに壊滅させられているということだ。そして、連絡を取っている間に、今度はカロットとシーズが滅ぼされている。

相手が一人なのか。それとも一個師団なのか分からない。

だが、あまりに強すぎる。

化け物、という言葉。あれは間違っていないのかもしれない。

「このままでは、十五分もせずに王都へ到着しますわ」

五人の間に沈黙が流れて行く。何が来るかも分からないのが、余計に不安と絶望を煽る。

この状況に、為す術などあるのか。

「……なら、こちらから出向きましょう」

無いからこそ、動くしかなかった。

セラが告げる。

「どうせ来るのです。なら、少しでも私達が速く動いて被害を抑えなければ」

相手がどれだけ強いかも分からないけれど、絶望に臆して何もしないなんて選択肢はない。

「……そうね。わざわざ王都へ来るのだもの。狙いは私達と考えてもいいかもしれないわ」

なかなか命懸けな作戦だが、シノも乗ってくれた。エクセロも頷く。

「……分かりましたわ。なら、私はここに残って全体の指示を。姉様達はそちらをお願いします」

今度こそ方向性が決まった。

セラ、シノ、シェーン、アグレシアの四人で謎の敵を倒しに向かう。エクセロは王都に残り味方への指示。どちらにせよ、扉前は解放しておかなければならない。

「誰一人として死んだら、承知しませんから」

「分かっていますよ」

「じゃあ、エクセロ。また後で」

エクセロの言葉に当然だと微笑んで返し、セラ達は王都を飛び出した。

迫りくる絶望を打ち消すことが出来ると信じて。

 

 

※※※※※

 

 

それは世界が人界、天界、魔界の三つに分かたれた直後の出来事だった。

魔界にとある噂が流れたのである。

 

とある密林には、化け物が住んでいると。

 

その密林は、随分と都市から離れた人里離れた場所に位置していた。

わざわざ寄る必要はないのだが、新たな魔界という土地を全て把握する為に、ベグリフは兵士達に測量をさせていたのだ。

だが、その密林に入ると巨大な何かに襲われるのだとか。その結果、そこの測量だけまるで進んでいなかったのである。

そこでなんとベグリフが自らその密林に赴くこととなった。何も彼は兵士達に呆れたからでもなく、純粋にその化け物とやらに興味があったから向かったのだった。

ベグリフが密林に足を踏み入れると、

「《出て行け!》」

とても低く身体に木霊するような声が聞こえてきた。

それでもベグリフは全く意に介さずに先へと進んでいく。

「《っ》」

すると、今度はベグリフに大きな陰が差した。上を見上げると、視界一杯を覆いつくす何かが頭上に佇んでいた。

「《つ、潰すぞ!》」

「……ふん」

それでも無視して先を歩いていく。ベグリフにとっては何の害にもならない。《魔》の紋章を封じられていようと、ベグリフに障害など生まれない。

「《っ、あああああああ!》」

頭上にあった何かが、勢いよくベグリフへと突っ込んでいく。

ベグリフは手に黒剣を出現させると、その何かへ向けて一閃した。

ここで、ベグリフは初めてその何かを見た。

黒剣と何かとの衝撃によって生まれた火花がその姿を映し出す。

それは、巨大な蛇だった。青く輝く鱗を持つ巨大な蛇。巨大すぎて、全長を把握することが出来ない。密林の奥地から、その大蛇はやって来ていた。

琥珀色の両眼が睨むようにベグリフを見つめている。

正直、ベグリフは驚いていた。

まず、ベグリフの一撃を以てしても斬ることの出来ない大蛇の硬い鱗。

そして、その鱗、いやこの大蛇自体が。

 

何者かの魔力だということに。



そうして、ベグリフは冷徹に笑ってみせた。

「これは面白い」

「《っ》」

斬れないまでも勢いよく大蛇の一撃を弾き返すと、ベグリフはその大蛇に乗り、根元めがけて走り出した。大蛇が嫌がるようにうねうねうと動き出すが、ベグリフが落とされることはない。

「《く、来るなあああ!》」

すると、視界の先から別の大蛇が勢いよく飛び出してきた。密林を悉く薙ぎ倒しながら背に乗るベグリフへと向かってくる。

「黒」

ベグリフが指を鳴らすと、魔力が彼の眼前に集中していき、やがて極太のレーザーを放った。レーザーは大蛇に直撃し、背後へと思い切り吹き飛ばす。

その間に、ベグリフは一気に距離を詰めていく。

 

そうして、彼は遂に「少女」と出会った。

 

大蛇の根元、永遠に続くかに思えた大蛇の身体は少女へと繋がっていた。正確には少女が魔力でその大蛇を生成していたのである。

少女は無造作に髪を伸ばし、服もボロボロでみすぼらしい様子であった。

ここまで来られたことが少女にとっては初めてだったのだろう。呆然と何も出来ずにベグリフを見つめていた。

「……」

そんな少女へ無言のまま、ベグリフが剣を突き出す。だが、先程の大蛇同様に、少女の周囲に溢れている魔力が突如硬化し剣を弾いてみせる。呆然とし、思考が停止してしまっている彼女の最早無意識の魔力操作であった。

ベグリフは再び笑みを浮かべた。

この齢にして、これ程の魔力量、そして何よりこの魔力操作。まさしく逸材であった。何故こんな才能が前世界では埋もれていたのか。

殊魔力操作においては、自身を上回るかもしれない。

魔力を硬質化する技術は、目を見張るものがあった。ベグリフの一撃を容易く防ぐほどなのだ。

その力に興味があった。

「……俺と来い、娘」

ベグリフはそう言うと、剣を消失させた。

少女は自分に向けられた言葉だとは思えず、その場から動かない。

だが、ベグリフにとって返事は必要なく。魔法で無理矢理その場から移動させようとする。

少女はそこで漸く自分への言葉だったと気付いた。そのせいだろうか、少女の魔力も抵抗を見せようとしない。

ベグリフは少女と共に宙へと浮かぶと、新たな王都アイレンゾードへ向けて飛行を開始した。それを追いかけるように少女の身体が宙をふわふわ浮かんでいる。

少女はこの日の事を忘れない。あの時のベグリフの背を忘れない。

少女にとってこの日が人生の転機であり。

満たされた日々の始まりであった。

 

 

※※※※※

 

 

セラ一行は空中で動きを止めていた。

「嘘……」

視界の先、ここから全然遥か先のはずなのに、「ソレ」の姿は明確に見えていた。

青く光る体がのたうち回りながら都市を抉り、巨大な牙が、歯が鋼鉄すらも軽々と噛み砕いていく。

青い大蛇が、都市を一つ壊滅させたところであった。

大蛇は余りに巨大で、腹で押し潰すだけで都市の半分以上を粉砕することが出来る程。大蛇が鋭利な歯の並んだ口を開ければ、都市を丸呑みできてもおかしくない。

進行速度の速さはそれが原因であり、そして、それだけではない。

大蛇一匹が都市を一つ壊滅させ。

 

 

それを残り七匹の大蛇が佇んで眺めていた。

 

 

根元で繋がっている八匹の大蛇。一匹一匹が都市を容易く壊滅させることが出来る。ゆえにあまりに大き過ぎる巨躯が通った後には、何も残りはしない。

そして、八匹の大蛇は都市を壊滅させたところで再び進軍を開始する。

天界の王都リーフへ向けて。

セラの命を奪いに。



 

※※※※※

 

 

それは予感か、或いは確信か。

危機に気付けるはずはない。だが、確かに届いたのだ。

今行かなければ、一生後悔すると。

寝ている暇などはないと。

その言葉に、感覚に背中を押されるように。

人里離れた森の奥地で。

 

《彼》は目を覚ました。


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