転生したら彼女と再会した

せにな

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学園に行きたい!

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「翔~!学園行こ!」
「これまたいきなりだね」

 布団でゴロゴロしていた俺に飛びついてきてそんなことを言う彩羽。
 彩羽と異世界で再開してからはや3年が経って俺と彩羽は15歳になった。
 名前は今世のではなく、前世の名前で呼びあっている。特に理由は無いがこっちの方が落ち着くのだ。
 俺は飛びついてきた彩羽の頭を撫でる。

「学園なんてあるんだな。魔法とか学ぶのか?」
「私も詳しくは知らないけど、魔法とか剣術とか体術、魔物との戦い方とかを学ぶんだってさー」
「なにそれ楽しそう。ここにいても暇だから行ってみたいな」
「でしょでしょー楽しそうでしょー」

 ニコニコと楽しそうに話をする彩羽。
 そんな彩羽に俺は苦笑の笑みを浮かべながら質問をする。

「でも学費とかはどうするんだ?」
「あ、そっか……」

 俺の言葉を聞いて彩羽は分かりやすく落ち込む。
 さすがの俺も慰めるための言葉が思い浮かばない。
 と、その瞬間部屋のドアが勢いよく開けられる。

「今の話は聞かせてもらった!俺が学費を払ってやろう!」

 家の外にいても聞こえるぐらいの声量で父さんがそんな申し出をしてくる。
 特にツッコミも反応もせずに冷静に質問を投げる。

「こんな山奥に住んでるのに金はあるの?」
「そこは大丈夫だ。俺は大金持ちだからな」
「大金持ちならもっと街中で住みたかったよ」
「そんな事言うなよー。とにかく金のことは心配するな!俺が払ってやる」
「じゃあお願いしようかな」
「ありがとうございます。ロイさん」

 腰に手を当ててドヤ顔をしている父さんと俺の腕の中で嬉しそうに笑う彩羽。
 楽しそうな雰囲気の中にドアからひょいと顔を出した母さんが爆弾発言をする。

「学園に行きたいならもう出発しといた方がいいわよ」
「……?」

 俺が分からずに首を傾げていると母さんが説明してくれる。

「学園の入試は明後日なのよ。来年にも一応入試は受けれるけど周りはみんな15歳だろうし1年も待てないでしょ?」
「まじか……。学園までに何時間ぐらいかかるの?」
「ヴァイアウル王国って所にあって、馬車で18時間ぐらいだと思うわよ」

 ヴァイアウル王国?それってたしか──
 彩羽の方を見ると目が合った。気にしなくていいよと目で伝えてくる。
 彩羽が気にしなくていいと言うのなら気にしないが。
 目線を母さんの方に戻して質問する。

「ここに馬車って来なくない?」
「えぇ、来ないわよ」
「ならどうすんの……?」
「馬車がなくても私たちがいるじゃない」

 胸を張ってキメ顔をする母さん。
 その母さんの発言から俺は14年前の母さんたちと鑑定を受けに行った時のことを思い出す。
 その瞬間ゾクッと肌に鳥肌が立つ。

「俺は自分で走れるから彩羽だけ抱えてやってくれ……」
「あら、そうなの?カルも成長したのね」
「あはは……」

 苦笑しながら彩羽の方を見やる。
 彩羽はなんのことか分かっておらず、不思議そうな顔をする。
 すまん彩羽。ほんの数時間は我慢してくれ。
 手を合わせて無言で彩羽に謝る。
 俺を見て首を傾げた彩羽の頭の上にはクエスチョンマークが見える気がする。



「服よし、ズボンよし、やる気よし」

 準備を完了して家の前で荷物チェックをする俺。
 彩羽も準備が終わったのか外に出てくる。

「こういう時の男子って準備早いよね」
「女子に比べたら持ち物自体少ないからな」

 他愛のない会話をしながら父さんと母さんを待つ。
 すると玄関からは手ぶらの父さんと母さんが現れた。

「父さんと母さんは荷物ないの?」
「俺とナズは収納魔法に入れてるんだよ」
「そんなのあるのか……異世界すげぇな」
「お前たちも学園に入ったら教えられると思うぞ」
「今回は2人の荷物、私が預かっとくわね」

 お礼を言いながら俺と彩羽は母さんに荷物を預ける。
 そして俺は想像以上にニヤついている。
 魔法、剣術、学園。この単語を聞くだけで男心はくすぐられるものだ。魔法制御は父さんに教えてもらったが魔法は学ばなかった。
 理由は俺が魔法適性がないからだ。魔力はあれど適正がなければ魔法の扱いは難しい。
 だけど俺には魔法適性がない代わりに身体能力がずば抜けている。それと反射神経と動体視力や洞察力もずば抜けている。まぁそれは後ほど話そう。

「それじゃあ行くとするか」
「そうね」

 母さんは彩羽を抱える。
 俺も体を伸ばしてウォーミングアップをする。
 父さんが走り出したのを合図に俺と母さんも走り出す。
 走り出した時に彩羽の悲鳴が聞こえた気がするが…………うん、無視しよう。
 それから俺たちは中間時点であるサスリアムまで走るのであった。
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