20 / 62
煽りに全振り。
しおりを挟む
「痛いよぉカルくーん」
「やめろ、その女みたいな喋り方」
トイレへと向かう俺の隣をお腹を押えながら笑顔で歩くロット。
そんなロットに見向きもせずに冷たい返事をする。
なぜこんなことになったのかと言うと、ロットの腹を殴った後俺は渋々ロットを友達として受け入れた。非常に酷だが、本当に酷なんだけど受け入れた。
こんな奴に彩羽との関係をバラされるのだけは嫌だ。
彩羽も嫌だと言うはずだ。
「酷だとか渋々だとか言ってるけど本当は嬉しいんでしょー?ツンデレめ~」
ういうい~と上機嫌に俺の横腹をつついてくる。
なんだコイツ。さっきの殴られたので懲りてないのか?もう1回しようかな。
てかさっきも言ったけど。
「人の心読むのもやめろ」
「ごっめーん。でもツンデレは否定しないんだねー」
「否定したらそこから話広げてくんだろ」
「だって初めての友達だもーん」
「あっそ」
「…………」
いつもなら間もおかずに話しかけてくるロットが黙り込んでしまった。
さすがの陽気なロットも俺にここまで塩対応をされたら傷つくんだな。
「………………………」
さすがにやりすぎたか?
チラッとロットの方を見てみるとお腹を押えたまま少し俯いていた。
腹も殴ってこんなに塩対応されたら傷つくよな……。
俺が最初の友達だから浮かれてちょっと舞い上がったのだろう。
こいつの性格だと誰に対しても舞い上がってそうだが……。
でも今回は俺がやりすぎたか、謝るか。
「ロット、俺が悪かった。ごめ──」
俯いてる顔を下から覗き込むと、そこには笑顔で憎たらしいロットの顔があった。
初対面の時に感じた優しい顔とは思えないほど悪い顔をしている。
「そうだよねー、カルくんが悪いよねー」
ニコーっと笑みを浮かべながら俺の目を見つめてそんなことを言ってくる。
そんなロットを見て顔を引きつかせてしまう。
「おまえ、俺が謝るのを分かってて、俯いてたのか……?」
「そんなことないよー?だから最後まで謝って欲しいなー」
引きつった顔を隠すように両手で覆い、上を向いてでかでかとため息を吐く。
こ、いつ、ホントなんなんだ……。煽りにステータス全振りしてるだろ。
それぐらいウザイ。こいつを最初の友達にしたのは間違いだ。
今だから断言する。
こんなやつ友達にするな。
「そんなため息吐かないでよー。僕は被害者なんだよー?」
「悪かった。俺が悪かったから1回黙ってくれ」
「………………」
やっと黙ってくれた……。
こいつと出会ってまだ1時間も経ってないぞ?1時間どころか30分も経ってねぇ……。
なんでこいつを最初の友達に……いやそもそもなんでこいつに見られたんだよ。
こいつじゃなかったら誰でもよかったのに!
「はい黙ったよー、もう喋るねー。それでそれでハイロちゃんとはどこまでやったの!?」
小学生みたいなことを言いながら笑顔で俺の前に立つ。
あぁぁぁぁあああ!!!
うざい!!ほんとうざい!!でもあの時警戒してなかった俺に責任がある!!
だから我慢だ俺!帰ったら彩羽に甘える!!だからそれを糧に頑張れ!!!!
「カルくん表情がうるさいよー」
「お前がうるせー!!だまれ!!!」
「ひぇぇぇ、こわ~い」
「だぁぁぁぁ!!!!」
その後、調子が狂った俺は魂が抜けたような体で学園生活初日を乗り越えたのだった。
「やめろ、その女みたいな喋り方」
トイレへと向かう俺の隣をお腹を押えながら笑顔で歩くロット。
そんなロットに見向きもせずに冷たい返事をする。
なぜこんなことになったのかと言うと、ロットの腹を殴った後俺は渋々ロットを友達として受け入れた。非常に酷だが、本当に酷なんだけど受け入れた。
こんな奴に彩羽との関係をバラされるのだけは嫌だ。
彩羽も嫌だと言うはずだ。
「酷だとか渋々だとか言ってるけど本当は嬉しいんでしょー?ツンデレめ~」
ういうい~と上機嫌に俺の横腹をつついてくる。
なんだコイツ。さっきの殴られたので懲りてないのか?もう1回しようかな。
てかさっきも言ったけど。
「人の心読むのもやめろ」
「ごっめーん。でもツンデレは否定しないんだねー」
「否定したらそこから話広げてくんだろ」
「だって初めての友達だもーん」
「あっそ」
「…………」
いつもなら間もおかずに話しかけてくるロットが黙り込んでしまった。
さすがの陽気なロットも俺にここまで塩対応をされたら傷つくんだな。
「………………………」
さすがにやりすぎたか?
チラッとロットの方を見てみるとお腹を押えたまま少し俯いていた。
腹も殴ってこんなに塩対応されたら傷つくよな……。
俺が最初の友達だから浮かれてちょっと舞い上がったのだろう。
こいつの性格だと誰に対しても舞い上がってそうだが……。
でも今回は俺がやりすぎたか、謝るか。
「ロット、俺が悪かった。ごめ──」
俯いてる顔を下から覗き込むと、そこには笑顔で憎たらしいロットの顔があった。
初対面の時に感じた優しい顔とは思えないほど悪い顔をしている。
「そうだよねー、カルくんが悪いよねー」
ニコーっと笑みを浮かべながら俺の目を見つめてそんなことを言ってくる。
そんなロットを見て顔を引きつかせてしまう。
「おまえ、俺が謝るのを分かってて、俯いてたのか……?」
「そんなことないよー?だから最後まで謝って欲しいなー」
引きつった顔を隠すように両手で覆い、上を向いてでかでかとため息を吐く。
こ、いつ、ホントなんなんだ……。煽りにステータス全振りしてるだろ。
それぐらいウザイ。こいつを最初の友達にしたのは間違いだ。
今だから断言する。
こんなやつ友達にするな。
「そんなため息吐かないでよー。僕は被害者なんだよー?」
「悪かった。俺が悪かったから1回黙ってくれ」
「………………」
やっと黙ってくれた……。
こいつと出会ってまだ1時間も経ってないぞ?1時間どころか30分も経ってねぇ……。
なんでこいつを最初の友達に……いやそもそもなんでこいつに見られたんだよ。
こいつじゃなかったら誰でもよかったのに!
「はい黙ったよー、もう喋るねー。それでそれでハイロちゃんとはどこまでやったの!?」
小学生みたいなことを言いながら笑顔で俺の前に立つ。
あぁぁぁぁあああ!!!
うざい!!ほんとうざい!!でもあの時警戒してなかった俺に責任がある!!
だから我慢だ俺!帰ったら彩羽に甘える!!だからそれを糧に頑張れ!!!!
「カルくん表情がうるさいよー」
「お前がうるせー!!だまれ!!!」
「ひぇぇぇ、こわ~い」
「だぁぁぁぁ!!!!」
その後、調子が狂った俺は魂が抜けたような体で学園生活初日を乗り越えたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?
ぽんぽこ狸
恋愛
仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。
彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。
その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。
混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!
原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!
ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。
完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる