転生したら彼女と再会した

せにな

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すなわち体育祭①

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 入学からはや1ヶ月、学校にもなれてきて友達も……1人はいるし問題はないはず。勉学も小学レベルなので授業中は寝てても問題はない。ただ、一つだけ大問題を抱えている。それは。

「カルくん……!できないなら、無理しなくて、も……!」

 少し離れたところで必死に笑いをこらえているロットが声をかけてくる。
 俺ができないこと、そしてロットに嘲笑われることといえば魔法だ。
 俺だって彩羽に教えてもらったり自主練をしたりと頑張ってるんだぞ?だがこんな膨大な魔力を短期間で制御するなんて無理だ。
 でも今すぐにでも魔法を使いたい!
 いっそのこと制御とか考えず魔法をぶっ放してみるってのも──いや、流石にやめとこう。
 ロットの声を無視して考え込んでいると魔法を出しながらロットが近づいてくる。
 
「魔法はこう使うんだよー?わかったー?」
「わからんわからん。一から教えてくれ」
「ほんとばかだなー」
「うるせーな、いいから教えろって」
「頼み方ってのがあるんじゃなーいー?」
「教えて下さいロットさん」

 棒読み気味に頼み込むと「よかろう!」と手を腰に当て、胸を張りながら言ってくる。
 こいつに教えてもらうのは非常に酷だが、1人でやるよりも他人に教えてもらいながらのほうが成長も楽しさも格段に違うはずだ。

「じゃあまずは、体に流れる魔力を感じ取って?」
「できた」
「なら次に火の玉を想像してみて?」
「した」
「ならそれを具現化してみ──」

 ──ボン!
 魔力を感じ、想像までは俺にだってできる。だけど具現化をしようとすると絶対に爆発してしまうんだよな。まぁ理由はさっきから言っている魔力制御なんだが。
 
「……もしかしてカルくん、魔力制御が苦手なの?」

 呆れ顔のロットが魔法を出したはずの俺の右手を見ながらそう問いかけてくる。
 それに対して俺も呆れ顔を浮かべながら言葉を返す。

「大の苦手です」
「魔力制御は本当に練習あるのみだから僕からはなにも手伝えないや」
「そうですか」
「そもそも魔力制御ができない人はあんまりいないんだけどね」
「そう、っすか」

 ロットにそう断言されてしまった俺は「あはは」と乾いた笑いを浮かべて彩羽の方に目をやる。
 周りには沢山の生徒、そして彩羽の両手からは色々な魔法が出ている。
 俺ほどではないが彩羽もかなりの魔力を持っていたはず。それを制御する才能とか適性が彩羽にはあるのかもしれない。
 残念ながら俺には魔法に関する才能やら適性がないから少しだけ制御が難しいだけだ。そう信じよう。

「そんなまじまじとハイロちゃんのこと見ないのー」

 いきなりロットに目を隠されそう言われる。
 目を隠す理由はわからないが確かにこんなまじまじと見られたら迷惑か。

「わかったからその手をのけろって」
「はいはーい」

 返事をするとすぐに手をのけてくれるロット。
 本当に目を隠してたのは何だったんだ?害はなさそうだし特に気にしないが。
 
「チャイムなったしそろそろ教室戻ろー。ライムちゃんがこれから大切な話があるって言ってたよー」
「あいよ」
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