転生したら彼女と再会した

せにな

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魔法戦開始前

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「もう来たのか」
「うんーあっちでいても暇だしねー」

 相当急いできたのか、おでこには汗が滲んでいる。
 そっと彩羽のおでこに自分の服の袖を当てて汗を拭う。

「か、翔!?汚いよ!?」
「別に気にしないよ。汗かいてるのあんま好きじゃないだろ?」
「ま、まぁあんまりいい気分はしないけど……でも翔が拭くことは……」
「まぁまぁ気にすんなって。俺も数時間ぶりに彩羽に触れれて嬉しいしな」
「私も翔に触られて嬉しい」

 腰に手を回し合いながら見つめ合い、笑みを浮かべて話している俺と彩羽にロットが口を挟み込んでくる。

「二人ともごめんね~周りの目線痛いからもう少しだけ離れ──」

 俺は怒りを込めてロットを睨み、言葉を止める。

「──人の心を読んだクソ野郎は黙ってろ」

 今は俺と彩羽の時間だ。合わせてもらえなかった分、放送が流れるまではずっとこうしているつもりだ。周りの目線が痛かろうが我慢ができないものは仕方ない。これもすべてロットのせいだ。

「そんな言わなくてもぉ……」

 泣きそうになるロットの顔を見ていると少し罪悪感が湧いてくる。
 ……少し言い過ぎたか?いやでも人の心読むのは流石に──。
 なんて考えを巻いていると、彩羽が甘えるように頭を俺の胸にグリグリと押し付けてくる。
 そんなことをされたらロットのことなんてどうでも良くなってしまう。
 俺は彩羽を持ち上げ、近くにベンチに腰を掛けて膝の上に彩羽を乗せてそのまま抱きしめる。
 彩羽も強く抱きしめ返し、2人だけの完全要塞が完成してしまった。

「あの~2人とも~?」
「「……」」

 ロットが話しかけても、肩を叩かれてもなにも答えない俺と彩羽。
 その状況が数十分つづき、放送が鳴り響いてロットが「やっとだー」とため息を吐く。

「A組の皆さんはA門付近に集まってください。B組の皆さんは──」

 各クラスの集合場所を伝える放送が流れる中も抱きつき合っている俺たちに道を通る生徒や教師やらが視線を向けてくる。

「──集合をよろしくおねがいします」

 放送が終わり、ゆっくりと彩羽から体を離してまだ物足りなさそうな彩羽の顔を見つめる。
 そしてゆっくりと顔を近づけようとするが、

「ダメだよ!?2人ともそろそろ正気に戻ってくれない!?」

 ロットが俺の口を両手で塞いで彩羽から離そうと引っ張り出す。
 冷めた目をロットに向けた後、彩羽の脇の下を持って膝の上から下ろす。
 そして俺の口からロットの手を剥がして彩羽の頭を撫でる。

「魔法戦頑張ろうな」
「うんー」

 目を閉じて気持ちよさそうに頷く彩羽をまた抱きしめようとする俺の左腕をロットが押さえつけてくる。

「ダメだからねー?」
「わかってるって」

 最後にもう一度ロットに冷たい目線を向けて彩羽の頭から手を話し、集合場所へと向かう。
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