17 / 32
勇者は毒にかかってしまった
しおりを挟む
冒険を始めたばかりの勇者一行。
初めて勇者は敵との戦闘を受けてしまった。
「大変だ。勇者様、早く治療のために街に引き返しましょう!」
「うむ…。」
冒険を始めたばかりということもあって、勇者達には毒を治すための準備がなかった。治すためには街に一旦戻らないといけない。
「さあ、行きましょう!」
「いや、待て。」
勇者が仲間を止める。
「どうしたんですか!?」
「いや、思ったんだが、毒ってなんなんだろなーって。」
「こんな時に何を考えてるんですか!そんな場合じゃないでしょう!」
「いや、待て待て。こんな時だからこそだ。この毒というものの根本の原因さえわかれば、もしかしたら街に戻る必要もないんじゃないか?」
「いや、しかし…。」
「考えてもみろ。今の我々は手持ちの金も少ない。わざわざ毒などのために、貴重な金を使うのはもったいないじゃないか。」
「そうかも知れませんが…。」
「さあ、そうと決まればこの毒の克服する手段を考えようじゃないか。
というわけで、半ば強引に「毒」ということについて考えることになった。
「まず、毒というものについてなんだが、かかってみて初めてわかったことがある。」
「何ですか?」
「意外と苦しくないということだ。」
「そうなんですか?」
「ああ。私は毒とはてっきり、腹痛のようなものであるんじゃないかと思っていた。だが、かかってみると案外何ともないものだ。」
「それはあなたが動いてないからでしょう?」
「それだ!」
思わず勇者が仲間のスティーブを指差す。
「それだよ!この毒は一歩動けばダメージを受けるが、動かなければダメージにはならない。」
「ああ、なるほど。」
「よし、いい案が浮かんだぞ。私はここから動かない。君たちが一旦街に戻って毒消しなり買ってくれば、費用は安上がりに済む。」
「はあ…。結局我々が買いに行くんですね。」
「そうだ。頼んだぞ。」
かくして勇者を一人残し、パーティは街へ買い物に向かった。
勇者はパーティが帰ってくるまで一歩も動かぬよう注意した。
「我ながら見事な案だ。何事も安直に答えを出すのではなく、一歩立ち止まって考えればより良い解決法が見つかるものだ。」
自画自賛にくれる勇者。しかし、それも長くは続かなかった。
毒状態でただ一人の勇者を魔物が見逃すはずがない。たちまち勇者は取り囲まれてしまった。
「ああ、しまった…!こうなるとは考えていなかった…。
…なあ、君たち、争いなんて無意味なものだと思わないかい?」
魔物たちは勇者の問いには答えず、たった一人の獲物を袋叩きにした…。
「天は自ら行動しない者に
救いの手をさしのべない。」
~シェイクスピア~
初めて勇者は敵との戦闘を受けてしまった。
「大変だ。勇者様、早く治療のために街に引き返しましょう!」
「うむ…。」
冒険を始めたばかりということもあって、勇者達には毒を治すための準備がなかった。治すためには街に一旦戻らないといけない。
「さあ、行きましょう!」
「いや、待て。」
勇者が仲間を止める。
「どうしたんですか!?」
「いや、思ったんだが、毒ってなんなんだろなーって。」
「こんな時に何を考えてるんですか!そんな場合じゃないでしょう!」
「いや、待て待て。こんな時だからこそだ。この毒というものの根本の原因さえわかれば、もしかしたら街に戻る必要もないんじゃないか?」
「いや、しかし…。」
「考えてもみろ。今の我々は手持ちの金も少ない。わざわざ毒などのために、貴重な金を使うのはもったいないじゃないか。」
「そうかも知れませんが…。」
「さあ、そうと決まればこの毒の克服する手段を考えようじゃないか。
というわけで、半ば強引に「毒」ということについて考えることになった。
「まず、毒というものについてなんだが、かかってみて初めてわかったことがある。」
「何ですか?」
「意外と苦しくないということだ。」
「そうなんですか?」
「ああ。私は毒とはてっきり、腹痛のようなものであるんじゃないかと思っていた。だが、かかってみると案外何ともないものだ。」
「それはあなたが動いてないからでしょう?」
「それだ!」
思わず勇者が仲間のスティーブを指差す。
「それだよ!この毒は一歩動けばダメージを受けるが、動かなければダメージにはならない。」
「ああ、なるほど。」
「よし、いい案が浮かんだぞ。私はここから動かない。君たちが一旦街に戻って毒消しなり買ってくれば、費用は安上がりに済む。」
「はあ…。結局我々が買いに行くんですね。」
「そうだ。頼んだぞ。」
かくして勇者を一人残し、パーティは街へ買い物に向かった。
勇者はパーティが帰ってくるまで一歩も動かぬよう注意した。
「我ながら見事な案だ。何事も安直に答えを出すのではなく、一歩立ち止まって考えればより良い解決法が見つかるものだ。」
自画自賛にくれる勇者。しかし、それも長くは続かなかった。
毒状態でただ一人の勇者を魔物が見逃すはずがない。たちまち勇者は取り囲まれてしまった。
「ああ、しまった…!こうなるとは考えていなかった…。
…なあ、君たち、争いなんて無意味なものだと思わないかい?」
魔物たちは勇者の問いには答えず、たった一人の獲物を袋叩きにした…。
「天は自ら行動しない者に
救いの手をさしのべない。」
~シェイクスピア~
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる