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開かずの間
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学校の七不思議。
昔から学校には怪談がつきまとう。
トイレの花子さん、走る二宮金次郎、ひかるベートーベンの目…。
このN中学にもご多聞にもれず、七不思議は存在した。
その一つが「開かずの間」だ。
広い校舎内で誰も開けているのを見たものがいない。その神秘性から、そのへやは「開かずの間」と名付けられ、様々な怪談がまことしやかに噂されていた…。
「なんでもあの部屋で自殺した生徒がいて、以降立ち入り禁止らしいよ~。」
「うっそー!こわ~い!」
「え?私はあそこに死体が隠されてるって聞いた。」
「謎だよね…。あそこ。異次元にも繋がってるっていうし…。」
放課後、女子中学生が例の開かずの間について盛り上がっていた。
「ねえ。いっそのこと、真相を暴いてみない?」
「え?…やめとこうよ。絶対危ないって。」
「何よ。ビビってんの?」
「いや、そうじゃないけど…。」
「私はいいよ。3人で開かずの間に忍び込んじゃお!」
「決まりね。じゃあ、早速向かいましょ。」
「……。」
かくして、女の子3人による「開かずの間」真相解明作戦が決行された。
校舎の一階の隅にその部屋はあった。誰も使わないため常に薄暗いのだが、今は既に陽も落ちかけているので一層不気味に見える。
「あそこね…。」
「…ねえ。本当にも行くの?」
「当たり前よ。ここまで来たんだもの。絶対真相を暴いてやるわ。」
「よし、いっちょ見てみますか。」
3人は開かずの間にそーっと近づき、中を覗きこんだ。
「どう?何か見える?」
「う~ん。暗くてよくわからない。でもなんか物置っぽいよ。」
「なーんだ。つまんないの。ただの物置か…。」
「おい。」
「「「ギャアッ!!」」」
不意に背後から呼びかけられて、3人は飛び上がった。
「お前ら、何やってんだ?もう下校の時間だろ?」
管理員のおじさんだ。険しい顔をしてこちらに問いかけてきた。
「す、すいません!すぐ帰りまーす!」
そそくさと帰り仕度して立ち去る三人。その三人を管理員はジロジロ見ていた。
「…お前ら、この中のもの見たか?」
「? いえ、何も…。」
「あの…、そこって物置なんですよね?」
「…見たのか?」
管理員は無表情で女子学生を問い詰めた。
「い、いえ!見てません!さよなら!」
管理員のただならぬ気配に、3人は慌てて逃げ出した。
「こ、怖かった~…。」
「開かずの間より、あの管理員さんが怖かったよね~。たかが物置になんであんなに…。」
「…あ。」
女の子1人が声をあげた。
「なに?どうしたの?」
「さっきのとこに鞄、忘れちゃった…。」
「え!嘘でしょ!?」
「ヤバイよ~。あの管理員さん、まだいるんじゃない?」
「でも、持って帰らないと…。一緒に来てくれる?」
「…しょうがないな~。」
しぶしぶ先ほどのところに戻る3人。
「管理員さんはいないみたいね…。」
「あれ?鞄、無いよ。」
「おかしいな…。管理員さんが持ってっちゃったのかな?」
「…ねえ。」
女の子の1人が異常に気づいた。
「開かずの間が開いてる…。」
「開かずの間」と呼ばれる部屋がわずかだが開いていた。
「…本当だ。管理員さんが開けたのかな…?」
「…入ってみる?」
「あの中に?嫌よ!」
「でも管理員さんがあそこに鞄を持ってっちゃったのかもしれないじゃん!」
「…そうかもだけど。」
「大丈夫だって!ただの物置なんだから、ビビることないって!」
というわけで、3人は恐る恐る「開かずの間」に入っていった。
中は8畳ほどの広さで、廃材や、使われなくなった備品類がごたごたしていた。その中に例の鞄も落ちていた。
「あった!良かった~!」
「わざわざこんなとこに置いたのは管理員さんね!嫌がらせかしら…。」
ドサッ
突然ロッカーが開き、中から何かが倒れてきた。
「うわっ!な、何!?」
「暗くてよく見えない…。」
携帯のライトで照らすと、虚ろな顔をした人形が宙空を見上げていた。
「人形…。等身大の人形だわ…。」
「なんでこんなとこに人形が…?しかも私たちの学校の制服着てるし…。」
「それは人形じゃない。」
バタン!と後ろのドアが閉まった。
驚いた3人が振り返ると、管理員がこちらを睨みつけていた。
「か、管理員さん…。これは…?」
「5年前の在学生。君たちの先輩だよ。」
「え!?」
「ど、どういうことですか?」
「……。5年前にこの部屋を嗅ぎまわっていた女の子さ。君たちのようにね。開かずの間の真実を知られる訳にはいかん。だから私の『コレクション』に加えてあげたんだ。」
「こ、『コレクション』?」
管理員が女の子たちに一歩ずつ近寄ってきた。ただならぬ雰囲気に後ずさりする女の子たち。
と、1人がロッカーの扉に指をひっかけて転んでしまった。
ドサドサドサ……
中から何体もの「人形」が倒れてきた…。
「ヒ、ヒイイッ…!」
「これ、何なの!何でこんな人形が何体もあんのよ!」
「君たちと同じだ…。みんなこの『開かずの間』を探ろうとした子たちだよ。私の『コレクション』だ。」
「意味わかんない!『コレクション』って何なの!」
「そうだな。手っ取り早く言うと、『死体人形』だ。」
「し、死体…!?」
「殺したあとで防腐処理を施して腐らないようにして保存する。そうすればいつでもここでお人形ごっこが楽しめるんだ…。この制服も、デザインが変わるたびにわざわざ着せ替えてやったんだよ…。」
自慢げに語る管理員の顔は、いつもとはまるで別人のようだった。
「い、いや…!来ないで…!」
「さ、君たちも『コレクション』に加えてあげよう。大丈夫。いつまでも綺麗に管理してあげるから…。」
…放課後、校舎の隅で上がった悲鳴は、誰の耳にも届くことはなかった。
その翌日から、女子生徒3人が行方不明になったという…。
昔から学校には怪談がつきまとう。
トイレの花子さん、走る二宮金次郎、ひかるベートーベンの目…。
このN中学にもご多聞にもれず、七不思議は存在した。
その一つが「開かずの間」だ。
広い校舎内で誰も開けているのを見たものがいない。その神秘性から、そのへやは「開かずの間」と名付けられ、様々な怪談がまことしやかに噂されていた…。
「なんでもあの部屋で自殺した生徒がいて、以降立ち入り禁止らしいよ~。」
「うっそー!こわ~い!」
「え?私はあそこに死体が隠されてるって聞いた。」
「謎だよね…。あそこ。異次元にも繋がってるっていうし…。」
放課後、女子中学生が例の開かずの間について盛り上がっていた。
「ねえ。いっそのこと、真相を暴いてみない?」
「え?…やめとこうよ。絶対危ないって。」
「何よ。ビビってんの?」
「いや、そうじゃないけど…。」
「私はいいよ。3人で開かずの間に忍び込んじゃお!」
「決まりね。じゃあ、早速向かいましょ。」
「……。」
かくして、女の子3人による「開かずの間」真相解明作戦が決行された。
校舎の一階の隅にその部屋はあった。誰も使わないため常に薄暗いのだが、今は既に陽も落ちかけているので一層不気味に見える。
「あそこね…。」
「…ねえ。本当にも行くの?」
「当たり前よ。ここまで来たんだもの。絶対真相を暴いてやるわ。」
「よし、いっちょ見てみますか。」
3人は開かずの間にそーっと近づき、中を覗きこんだ。
「どう?何か見える?」
「う~ん。暗くてよくわからない。でもなんか物置っぽいよ。」
「なーんだ。つまんないの。ただの物置か…。」
「おい。」
「「「ギャアッ!!」」」
不意に背後から呼びかけられて、3人は飛び上がった。
「お前ら、何やってんだ?もう下校の時間だろ?」
管理員のおじさんだ。険しい顔をしてこちらに問いかけてきた。
「す、すいません!すぐ帰りまーす!」
そそくさと帰り仕度して立ち去る三人。その三人を管理員はジロジロ見ていた。
「…お前ら、この中のもの見たか?」
「? いえ、何も…。」
「あの…、そこって物置なんですよね?」
「…見たのか?」
管理員は無表情で女子学生を問い詰めた。
「い、いえ!見てません!さよなら!」
管理員のただならぬ気配に、3人は慌てて逃げ出した。
「こ、怖かった~…。」
「開かずの間より、あの管理員さんが怖かったよね~。たかが物置になんであんなに…。」
「…あ。」
女の子1人が声をあげた。
「なに?どうしたの?」
「さっきのとこに鞄、忘れちゃった…。」
「え!嘘でしょ!?」
「ヤバイよ~。あの管理員さん、まだいるんじゃない?」
「でも、持って帰らないと…。一緒に来てくれる?」
「…しょうがないな~。」
しぶしぶ先ほどのところに戻る3人。
「管理員さんはいないみたいね…。」
「あれ?鞄、無いよ。」
「おかしいな…。管理員さんが持ってっちゃったのかな?」
「…ねえ。」
女の子の1人が異常に気づいた。
「開かずの間が開いてる…。」
「開かずの間」と呼ばれる部屋がわずかだが開いていた。
「…本当だ。管理員さんが開けたのかな…?」
「…入ってみる?」
「あの中に?嫌よ!」
「でも管理員さんがあそこに鞄を持ってっちゃったのかもしれないじゃん!」
「…そうかもだけど。」
「大丈夫だって!ただの物置なんだから、ビビることないって!」
というわけで、3人は恐る恐る「開かずの間」に入っていった。
中は8畳ほどの広さで、廃材や、使われなくなった備品類がごたごたしていた。その中に例の鞄も落ちていた。
「あった!良かった~!」
「わざわざこんなとこに置いたのは管理員さんね!嫌がらせかしら…。」
ドサッ
突然ロッカーが開き、中から何かが倒れてきた。
「うわっ!な、何!?」
「暗くてよく見えない…。」
携帯のライトで照らすと、虚ろな顔をした人形が宙空を見上げていた。
「人形…。等身大の人形だわ…。」
「なんでこんなとこに人形が…?しかも私たちの学校の制服着てるし…。」
「それは人形じゃない。」
バタン!と後ろのドアが閉まった。
驚いた3人が振り返ると、管理員がこちらを睨みつけていた。
「か、管理員さん…。これは…?」
「5年前の在学生。君たちの先輩だよ。」
「え!?」
「ど、どういうことですか?」
「……。5年前にこの部屋を嗅ぎまわっていた女の子さ。君たちのようにね。開かずの間の真実を知られる訳にはいかん。だから私の『コレクション』に加えてあげたんだ。」
「こ、『コレクション』?」
管理員が女の子たちに一歩ずつ近寄ってきた。ただならぬ雰囲気に後ずさりする女の子たち。
と、1人がロッカーの扉に指をひっかけて転んでしまった。
ドサドサドサ……
中から何体もの「人形」が倒れてきた…。
「ヒ、ヒイイッ…!」
「これ、何なの!何でこんな人形が何体もあんのよ!」
「君たちと同じだ…。みんなこの『開かずの間』を探ろうとした子たちだよ。私の『コレクション』だ。」
「意味わかんない!『コレクション』って何なの!」
「そうだな。手っ取り早く言うと、『死体人形』だ。」
「し、死体…!?」
「殺したあとで防腐処理を施して腐らないようにして保存する。そうすればいつでもここでお人形ごっこが楽しめるんだ…。この制服も、デザインが変わるたびにわざわざ着せ替えてやったんだよ…。」
自慢げに語る管理員の顔は、いつもとはまるで別人のようだった。
「い、いや…!来ないで…!」
「さ、君たちも『コレクション』に加えてあげよう。大丈夫。いつまでも綺麗に管理してあげるから…。」
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