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《拷問》ファラリスの雄牛
皆さんはファラリスの雄牛という物をご存知だろうか?
漫画などで名前が広まり、既に知っている、という方も多いであろう。かく言う私も、とあるギャンブル漫画でその存在を初めて知った。
外見は人間大にできた雄牛の像。全体は真鍮でできており、中は人1人入れる空洞と、牛の口に当たる部分に外気をつなぐチューブがある。
このファラリスの雄牛はオリジナルが現存しつつも模倣品はなく、おそらくこれを作らせたファラリスが唯一所有していたと思われる。
さてこのファラリスの雄牛だが、一体どうやって使うのか?
まず牛の胴体の上部に入口になる蓋があるので、そこに人を一人入れる。
入ったのを確認したら蓋を閉めて閉じ込める。
その後は牛に火を通すだけ。
この牛は真鍮製のため熱を非常によく通し、したがって中に入れられた人間は、人一人分の僅かなスペースで逃げ場もないまま炙り続けられる事になる。
やがて熱さに耐えかねて外の空気を吸おうとチューブで呼吸をしようとする。そうするとその人間の悶え苦しむ声が、管を通してまるで牛の鳴き声のように聞こえるという。別名「吼える雄牛」と呼ばれる所以である。
さて、長時間炙り続けられた中の人間は、哀れ骨だけとなってしまう。その骨は照り返す宝石のようで、ブレスレットなどに用いられたとか。
以上がファラリスの雄牛の使用法であるとされる。
はてさてこのファラリスの雄牛、最初の犠牲者はこれを設計し奉納したペリロスという真鍮彫刻家だというから皮肉なものである。
それを裏付ける逸話として、古代シチリアの風刺作家ルキアヌスは以下のように書き残している。
「シチリア王のファラリスは、彫刻家のペラリウスにアポロ神への奉納品として、精巧な雄牛をつくらせた。すると、ペラリウスは拷問装置の付いた牛を製作し、王が『誰かを処刑したいなら、この装置の中へ罪人を閉じ込め、雄牛の鼻の穴に笛を固定させて、下から火であぶりなさい。犠牲者は叫び声やうなり声を上げるが、彼の声は笛によって柔らかいメロデイのような唸り声になるので、人びとは美しい葬送曲と思うでしょう』と述べた。これを見た王は『非人間的な発明品』に対して嫌悪感を抱き、ペラリウス自身を『吼える雄牛』の拷問具によって処刑したという。 この一件により、ファラリスは暴君とみなされるようになった。」
まあ自業自得な話ではある。
しかし一転、実はペリロスはファラリスに献上した際、「どのように使うのか」と王に尋ねられたので、身をもって示そうとしたところをファラリスに騙されてそのまま焼き殺された、という話もあり、現代ではこちらの方がよく聞く話だ。
まぁ、ファラリスに関しては、乳幼児を喰った、なんて残虐な逸話も残っているくらいだから、かなりのサディストだったか、少なくとも市民からは暴君として嫌われていたのは間違いない。
そうしてファラリスの雄牛は、ペリロスを炙っちゃった後も死刑囚を次々と焼き殺していった。
その死刑は王のディナー中にも行われることもあったとか。つまりファラリスは囚人達の牛のうめき声を聞きながら食事を楽しんでいた、というのだ。
このことから、ファラリスの雄牛は拷問器具ではなく、人を楽しませる楽器だ、と定義する者もいるとかいないとか。
そんなファラリスだが、いつまでもそんな悪行が続くわけもなく、テレマコスが率いる蜂起軍によって失脚した。その際、自らが散々楽しんだであろう、あの雄牛に入れられて処刑されたという。自業自得とはこのことである。
しかし、ファラリスの雄牛に関して奇妙なことがわかっている。
なんとこれだけの伝説を残しておきながら、使用された痕跡はないというのだ。
歴史的な詩人がこのファラリスの雄牛に関して言及しているにもかかわらず、だ。
はたしてこの拷問器具は本当に使用されたのか?それとも詩人たちの狂言に過ぎなかったのか?今日ではもう確かめることはできない。
漫画などで名前が広まり、既に知っている、という方も多いであろう。かく言う私も、とあるギャンブル漫画でその存在を初めて知った。
外見は人間大にできた雄牛の像。全体は真鍮でできており、中は人1人入れる空洞と、牛の口に当たる部分に外気をつなぐチューブがある。
このファラリスの雄牛はオリジナルが現存しつつも模倣品はなく、おそらくこれを作らせたファラリスが唯一所有していたと思われる。
さてこのファラリスの雄牛だが、一体どうやって使うのか?
まず牛の胴体の上部に入口になる蓋があるので、そこに人を一人入れる。
入ったのを確認したら蓋を閉めて閉じ込める。
その後は牛に火を通すだけ。
この牛は真鍮製のため熱を非常によく通し、したがって中に入れられた人間は、人一人分の僅かなスペースで逃げ場もないまま炙り続けられる事になる。
やがて熱さに耐えかねて外の空気を吸おうとチューブで呼吸をしようとする。そうするとその人間の悶え苦しむ声が、管を通してまるで牛の鳴き声のように聞こえるという。別名「吼える雄牛」と呼ばれる所以である。
さて、長時間炙り続けられた中の人間は、哀れ骨だけとなってしまう。その骨は照り返す宝石のようで、ブレスレットなどに用いられたとか。
以上がファラリスの雄牛の使用法であるとされる。
はてさてこのファラリスの雄牛、最初の犠牲者はこれを設計し奉納したペリロスという真鍮彫刻家だというから皮肉なものである。
それを裏付ける逸話として、古代シチリアの風刺作家ルキアヌスは以下のように書き残している。
「シチリア王のファラリスは、彫刻家のペラリウスにアポロ神への奉納品として、精巧な雄牛をつくらせた。すると、ペラリウスは拷問装置の付いた牛を製作し、王が『誰かを処刑したいなら、この装置の中へ罪人を閉じ込め、雄牛の鼻の穴に笛を固定させて、下から火であぶりなさい。犠牲者は叫び声やうなり声を上げるが、彼の声は笛によって柔らかいメロデイのような唸り声になるので、人びとは美しい葬送曲と思うでしょう』と述べた。これを見た王は『非人間的な発明品』に対して嫌悪感を抱き、ペラリウス自身を『吼える雄牛』の拷問具によって処刑したという。 この一件により、ファラリスは暴君とみなされるようになった。」
まあ自業自得な話ではある。
しかし一転、実はペリロスはファラリスに献上した際、「どのように使うのか」と王に尋ねられたので、身をもって示そうとしたところをファラリスに騙されてそのまま焼き殺された、という話もあり、現代ではこちらの方がよく聞く話だ。
まぁ、ファラリスに関しては、乳幼児を喰った、なんて残虐な逸話も残っているくらいだから、かなりのサディストだったか、少なくとも市民からは暴君として嫌われていたのは間違いない。
そうしてファラリスの雄牛は、ペリロスを炙っちゃった後も死刑囚を次々と焼き殺していった。
その死刑は王のディナー中にも行われることもあったとか。つまりファラリスは囚人達の牛のうめき声を聞きながら食事を楽しんでいた、というのだ。
このことから、ファラリスの雄牛は拷問器具ではなく、人を楽しませる楽器だ、と定義する者もいるとかいないとか。
そんなファラリスだが、いつまでもそんな悪行が続くわけもなく、テレマコスが率いる蜂起軍によって失脚した。その際、自らが散々楽しんだであろう、あの雄牛に入れられて処刑されたという。自業自得とはこのことである。
しかし、ファラリスの雄牛に関して奇妙なことがわかっている。
なんとこれだけの伝説を残しておきながら、使用された痕跡はないというのだ。
歴史的な詩人がこのファラリスの雄牛に関して言及しているにもかかわらず、だ。
はたしてこの拷問器具は本当に使用されたのか?それとも詩人たちの狂言に過ぎなかったのか?今日ではもう確かめることはできない。
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