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カレー
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唐突だが私はカレーが好物だ。
基本的に好き嫌いはしないのだが、好きなものを強いて挙げるなら、カレーはその候補に入るだろう。
そんなカレーの思い出、何があったかなぁと思い至ると、うーむ、なかなか絞り込めないものだ。
しかしそうだ。
カレーにまつわる話があるのを思い出した。
私は小学校時代、夏休みは親戚の家に預けられていた。
何故かは知らない。知ったこっちゃない。
私としては軽い旅行気分だからそれでいいのだ。
親戚の家には、私の家には無い色んなものがあった。
最新のゲーム機。田舎には無い、立ち並ぶビル群。そして海だ。
山奥で暮らしていた私は、海というものを見たことが無かった。親戚の家に泊まった際は、必ず海に魚釣りに行くのが恒例になっていた。
魚釣りに行くのはいつも私と叔父、従兄弟の兄の3人だった。その3人で釣竿と餌に使うオキアミとクーラーボックスを引っ提げて海へと向かうのだ。
とはいえ、子供だった私は「ド」が付くほどの不器用で、釣り針が指に刺さったり、隣の釣り人の糸と絡まったり、せっかく釣り上げた魚を逃してしまったりと、釣果はいまいちなことが多かった。
しかし私にはもう一つの楽しみがあった。
それが魚釣りの後の夕食だ。
私たちの魚釣りは1日では終わらず、車中泊で必ず2日以上行うのが恒例だった。
そして夕食。
私たちは砂浜で簡易的なテントを張り、そこで飯ごうと湯を沸かしてカレーのパウチを温めるのだ。
カレーは決まって「ボンカレーゴールド」だった。「バーモント」でも「ジャワ」でもなく「ボンカレーゴールド」だ。必ず「ゴールド」でなければならなかった。何故かは分からない。まあ、こだわりというものはそういうものだ。
味は…実のところよく覚えていない。
あれだけこだわっているのに、味は覚えていないというのも妙な話だ。
だが、あの浜辺のキャンプで食べるカレーは今まで食べたどのカレーよりも格別で美味しいものだった、ということは覚えている。
さて魚釣りが終わったら魚のワタを抜く作業をやるのだが、私は魚のワタが分からず内臓を全部抜いてしまったりしたのであまりいい思い出がない。料理も何を作ってくれたか覚えていないほどだ。
まあ何はともあれ、親戚は私を家族同様に接してくれてとても居心地が良かった。
おかげで親戚の家に行くことが私の毎年の夏休みの楽しみになった。
しかし中学生に上がる頃に、叔父の死去もあり、行きづらくなってしまい、現在は優しかった叔母もボケてしまう年齢となってしまった。
年月の流れというものは早いもので、そして残酷である。
そういえば、「ボンカレーゴールド」はどうなったのだろうか。
もしや「ボンカレーゴールド」もなくなってしまったのではないか、と調べてみたら、何としっかりと生き残っていた。
現在は鍋で温めていたあの頃よりも進化していて、なんとレンジで温めるだけで食べられるらしい。
味もボンカレーゴールドだけで6種類もあり、さらにさらに、ボンカレーネオ、ボンカレーベジ、Theボンカレー、元祖ボンカレー(こちらは沖縄限定バージョンもある)とラインナップも豊富だ。
1人の少年が、受験だ、就職だとわめき、時には笑い、時には泣き、落ち込みへこんでいる中でも、ボンカレーは日々進化をし続けていたのだ。
年月の流れとは一つ一つを積み重ね続けることで、時に大きなものを産み出すのである。
基本的に好き嫌いはしないのだが、好きなものを強いて挙げるなら、カレーはその候補に入るだろう。
そんなカレーの思い出、何があったかなぁと思い至ると、うーむ、なかなか絞り込めないものだ。
しかしそうだ。
カレーにまつわる話があるのを思い出した。
私は小学校時代、夏休みは親戚の家に預けられていた。
何故かは知らない。知ったこっちゃない。
私としては軽い旅行気分だからそれでいいのだ。
親戚の家には、私の家には無い色んなものがあった。
最新のゲーム機。田舎には無い、立ち並ぶビル群。そして海だ。
山奥で暮らしていた私は、海というものを見たことが無かった。親戚の家に泊まった際は、必ず海に魚釣りに行くのが恒例になっていた。
魚釣りに行くのはいつも私と叔父、従兄弟の兄の3人だった。その3人で釣竿と餌に使うオキアミとクーラーボックスを引っ提げて海へと向かうのだ。
とはいえ、子供だった私は「ド」が付くほどの不器用で、釣り針が指に刺さったり、隣の釣り人の糸と絡まったり、せっかく釣り上げた魚を逃してしまったりと、釣果はいまいちなことが多かった。
しかし私にはもう一つの楽しみがあった。
それが魚釣りの後の夕食だ。
私たちの魚釣りは1日では終わらず、車中泊で必ず2日以上行うのが恒例だった。
そして夕食。
私たちは砂浜で簡易的なテントを張り、そこで飯ごうと湯を沸かしてカレーのパウチを温めるのだ。
カレーは決まって「ボンカレーゴールド」だった。「バーモント」でも「ジャワ」でもなく「ボンカレーゴールド」だ。必ず「ゴールド」でなければならなかった。何故かは分からない。まあ、こだわりというものはそういうものだ。
味は…実のところよく覚えていない。
あれだけこだわっているのに、味は覚えていないというのも妙な話だ。
だが、あの浜辺のキャンプで食べるカレーは今まで食べたどのカレーよりも格別で美味しいものだった、ということは覚えている。
さて魚釣りが終わったら魚のワタを抜く作業をやるのだが、私は魚のワタが分からず内臓を全部抜いてしまったりしたのであまりいい思い出がない。料理も何を作ってくれたか覚えていないほどだ。
まあ何はともあれ、親戚は私を家族同様に接してくれてとても居心地が良かった。
おかげで親戚の家に行くことが私の毎年の夏休みの楽しみになった。
しかし中学生に上がる頃に、叔父の死去もあり、行きづらくなってしまい、現在は優しかった叔母もボケてしまう年齢となってしまった。
年月の流れというものは早いもので、そして残酷である。
そういえば、「ボンカレーゴールド」はどうなったのだろうか。
もしや「ボンカレーゴールド」もなくなってしまったのではないか、と調べてみたら、何としっかりと生き残っていた。
現在は鍋で温めていたあの頃よりも進化していて、なんとレンジで温めるだけで食べられるらしい。
味もボンカレーゴールドだけで6種類もあり、さらにさらに、ボンカレーネオ、ボンカレーベジ、Theボンカレー、元祖ボンカレー(こちらは沖縄限定バージョンもある)とラインナップも豊富だ。
1人の少年が、受験だ、就職だとわめき、時には笑い、時には泣き、落ち込みへこんでいる中でも、ボンカレーは日々進化をし続けていたのだ。
年月の流れとは一つ一つを積み重ね続けることで、時に大きなものを産み出すのである。
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