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休話2 トップ3の恋愛偏差値
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路地裏の隠れ家的なバー。
奥の個室になっているVIPルームでアダムとノエルとジャックは酒を酌み交わしていた。
この日は珍しくノエルも酒を飲んでいた。
明日休みだからちょっとだけ、といいつつ飲み始めたら止まらなくなり3杯目のワインを飲み干したところだった。
「だから~アンジェラさんはすごく綺麗で可愛くて~。本当に天使なんじゃないかってくらい美しくて~。」
ぽやぽやと火照って緩んだ顔で得意げに話すノエル。
酔った口から出てくるのはノエルが10年もの間片思いをしている彼女のことぱかり。
ジャックは新しいおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせた。
「おっ、始まりましたね。ノエルの絡み酒。」
「ノエル、そろそろジュースにした方がいいぜ。」
「いいじゃないですか。面白いですし、これ。もっと飲ませちゃいましょうよ。」
ジャックは空になったノエルのグラスにワインを注ぐ。
ノエルは少し舌足らずな発音でさんきゅーと言い、注がれたグラスを傾けた。
「で?なんか進展はあったんですか?」
「聞きたい?」
ノエルは得意げな表情を見せる。
「しゃーなしで聞いてやるからさっさと話しやがれ。」
「この前の警護の仕事の時に…。なんと…。」
もったいぶるノエルに、アダムはまたかと呆れた眼差しを向ける。
「…これ絶対しょうもないやつだぜ。聞くだけ無駄だ。」
「いや、まだわかりませんよ。なんか面白い展開になってるかもしれねぇです。」
「目が合った。」
「それでそれで?」
「…恥ずかしくて逸らした。」
ノエルは恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
アダムは言っただろ?とでも言いたげにジャックを見つめた。
「…いや子供じゃねぇんですから!」
「ノエルの恋愛偏差値は幼児並だぜ。」
「だってあんなに綺麗で可愛くて天使みたいに美しいアンジェラさんと目なんて合わせられないし!もうホント恥ずかしすぎて死ぬかと思った!」
「目ぇ合ったくらいで死ぬわけねーでしょうが。むしろガン見しとけ。」
「俺は死ぬの!アンジェラさん俺の好みのどストライクなんだもん!無理!」
「ずっとこんな調子で全く進展ないんだぜ。」
「…マジかよ。お前、彼女のどんなところが好きなんです?」
「えーっ、恥ずかしい~。…そ~だな、長い髪が綺麗なところと~、唇がちょっと薄いところと~、細くて華奢なところと~、薄い肩のラインと~、笑った時に目が三日月みたいになるところと~、睫毛が長いところと~、後ろ姿も好きだし~、白いワンピースが似合うところも好き!あと~」
「ちょ、長いです。もういいです、お腹いっぱいです。」
「これを直接本人に言ってやればいいのにな。」
「言えるわけないじゃん!馬鹿なの?」
「馬鹿はお前ですよ、ノエル。」
ノエルは不満そうに唇を尖らせる。
「そういうお前らこそ、どんな人がタイプなんだよ。」
「タイプか…あまり考えたこともなかったな。」
「というか、俺らのタイプ聞いてどうするんです?絶対興味ねぇだろ、それ。」
「えーいいじゃんいいじゃん。興味めっちゃあるある~!てか俺ばっかアンジェラさんの話してるし、2人の恋バナも聞きたーい!」
「女子じゃねぇんですから…。」
「だから言っただろう。コイツ、酔うと結構めんどくさいんだぜ。」
「はい!じゃあまずはジャックから!」
ハイテンションのノエルに引きつつも、ジャックは改めて自分の好みについて考えてみる。
「俺は…そうですね。年上が好きです。甘やかしてくれる包容力があるタイプがいいですね。背が高くてスラッとしてるとなおいいです。」
「へー、ちょっと意外。ジャックの好みって大人のお姉さんなんだ。」
「大人のお姉さんって…。俺らもいい大人でしょうがよ。俺は可愛らしい感じの幼稚な女より、ある程度精神的に自立してる女が好きって話ですよ。」
「まあ確かに大人の余裕はほしいな。」
「で?アダムはどうなんです?」
「俺は肉付きがいいほうが好きだな。抱きしめた時に柔らかいといいよな。性格は明るいほうがいい。なんでも一緒に楽しめるタイプがいいな。料理上手なら最高だ。」
「あー確かに。ソフィアはそんな感じだな。」
納得するようにノエルは頷く。
「誰です?ソフィアって。アダム、彼女でもできたんですか?」
「いや、コイツの元嫁。」
「…は?」
ジャックは動揺し、グラスを倒しそうになる。
「今なんて?」
「ん?ジャックに言ってなかったか?」
「コイツこう見えてバツ1だぞ。」
「初耳ですよ…。アダム、お前いつの間に…。」
「18の頃に結婚して一年持たなかったな。ちなみに子供もいるぜ。しかも双子。」
「…マジ?」
「マジマジ。コイツ昔から一度決めたら何でも手が早いんだよ。」
「照れるぜ。」
「全く褒めてないですよ。結果上手くいってねぇじゃないですか。」
「まあ、お互い若かったからな。結論を急ぎすぎたんだ。」
「その彼女とはそれっきりなんです?」
「いいや?今でもたまに会うぜ。子供たちとも遊んだりする。」
「なー。ルナもハリーも可愛いよな~。もうすぐ6歳だっけ。誕生日何買ってあげようかな~。」
「…悲しいことに、俺よりノエルに懐いてるんだぜ。」
「物で釣られてやがる…。まあ子供は正直ですからね。」
「…俺は子供たちには父親として何もしてやれてないからな。仕方ないさ。」
「その彼女とはやり直す気はないんです?今のお前の立場なら相手も喜んで復縁してくれそうですけど。」
「彼女は王の妻なんて座には興味ないさ。それに今の距離感が多分…お互いにとって一番ちょうどいいんだ。」
「そんなもんですかね。…ちなみに別れた原因は?」
「いろいろあるが…。決定的なのは、俺が強さを求めるあまり家庭を蔑ろにしたことだな。今となっては全面的に俺が悪いと思ってるぜ。」
「へえ。浮気とかじゃないんすね。」
「俺はそんな器用な真似はできないさ。昔から要領が悪くて不器用だからな。」
「そんなもんですかね。」
「ああ。彼女一筋だったぜ。」
物思いに耽るようにアダムはグラスを傾ける。
「俺なりに…愛していたんだがな。それだけじゃダメだったみたいだ。結婚というものは難しいな。」
「俺はまさかのアダムが恋愛偏差値一番高かったことに驚いてますよ。むしろ一番色恋沙汰とは無縁だと思っていました。」
「俺だって人並みに恋くらいするさ。君は俺をなんだと思ってるんだ。」
「なんというか…あんまり人間味がないように思えてたので。」
「何を言っているんだ?俺は人間だぜ?」
「知っていますよ。ただ、お前はあんまり人に弱いところとか見せないじゃないですか。いつも自信に満ち溢れてて完全無欠の王様…って感じで。」
「なんだそれ。俺にだって弱いところはあるさ。ソフィアのこともそうだが…。頭の良さはノエルには敵わないし、考えなしで仕事の要領も悪い。私生活もだらしないっていつもノエルにドヤされてばっかりだぜ。」
「それは想像できますね。そういえば、さっきから静かですけどノエルは…。」
ふと隣を見ると、ノエルはテーブルに突っ伏してスヤスヤと寝息を立てていた。
「そろそろお開きだな。」
「そうですね。コイツ、ちゃんと連れて帰ってくださいよ。」
「おいおい、飲ませたのはジャックだろ。ジャックも手伝ってくれ。」
「嫌ですよ、コイツデカくて重いですもん。」
「2人で連れて帰るぞ。ジャック、これは命令だ。」
「こんなことで王の権力発揮させんでください。」
二人は顔を見合わせて笑う。
あの頃の三人は、互いを良き友人だと思っていた。
それはきっとこの先も変わらないはずだと信じていた。
奥の個室になっているVIPルームでアダムとノエルとジャックは酒を酌み交わしていた。
この日は珍しくノエルも酒を飲んでいた。
明日休みだからちょっとだけ、といいつつ飲み始めたら止まらなくなり3杯目のワインを飲み干したところだった。
「だから~アンジェラさんはすごく綺麗で可愛くて~。本当に天使なんじゃないかってくらい美しくて~。」
ぽやぽやと火照って緩んだ顔で得意げに話すノエル。
酔った口から出てくるのはノエルが10年もの間片思いをしている彼女のことぱかり。
ジャックは新しいおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせた。
「おっ、始まりましたね。ノエルの絡み酒。」
「ノエル、そろそろジュースにした方がいいぜ。」
「いいじゃないですか。面白いですし、これ。もっと飲ませちゃいましょうよ。」
ジャックは空になったノエルのグラスにワインを注ぐ。
ノエルは少し舌足らずな発音でさんきゅーと言い、注がれたグラスを傾けた。
「で?なんか進展はあったんですか?」
「聞きたい?」
ノエルは得意げな表情を見せる。
「しゃーなしで聞いてやるからさっさと話しやがれ。」
「この前の警護の仕事の時に…。なんと…。」
もったいぶるノエルに、アダムはまたかと呆れた眼差しを向ける。
「…これ絶対しょうもないやつだぜ。聞くだけ無駄だ。」
「いや、まだわかりませんよ。なんか面白い展開になってるかもしれねぇです。」
「目が合った。」
「それでそれで?」
「…恥ずかしくて逸らした。」
ノエルは恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
アダムは言っただろ?とでも言いたげにジャックを見つめた。
「…いや子供じゃねぇんですから!」
「ノエルの恋愛偏差値は幼児並だぜ。」
「だってあんなに綺麗で可愛くて天使みたいに美しいアンジェラさんと目なんて合わせられないし!もうホント恥ずかしすぎて死ぬかと思った!」
「目ぇ合ったくらいで死ぬわけねーでしょうが。むしろガン見しとけ。」
「俺は死ぬの!アンジェラさん俺の好みのどストライクなんだもん!無理!」
「ずっとこんな調子で全く進展ないんだぜ。」
「…マジかよ。お前、彼女のどんなところが好きなんです?」
「えーっ、恥ずかしい~。…そ~だな、長い髪が綺麗なところと~、唇がちょっと薄いところと~、細くて華奢なところと~、薄い肩のラインと~、笑った時に目が三日月みたいになるところと~、睫毛が長いところと~、後ろ姿も好きだし~、白いワンピースが似合うところも好き!あと~」
「ちょ、長いです。もういいです、お腹いっぱいです。」
「これを直接本人に言ってやればいいのにな。」
「言えるわけないじゃん!馬鹿なの?」
「馬鹿はお前ですよ、ノエル。」
ノエルは不満そうに唇を尖らせる。
「そういうお前らこそ、どんな人がタイプなんだよ。」
「タイプか…あまり考えたこともなかったな。」
「というか、俺らのタイプ聞いてどうするんです?絶対興味ねぇだろ、それ。」
「えーいいじゃんいいじゃん。興味めっちゃあるある~!てか俺ばっかアンジェラさんの話してるし、2人の恋バナも聞きたーい!」
「女子じゃねぇんですから…。」
「だから言っただろう。コイツ、酔うと結構めんどくさいんだぜ。」
「はい!じゃあまずはジャックから!」
ハイテンションのノエルに引きつつも、ジャックは改めて自分の好みについて考えてみる。
「俺は…そうですね。年上が好きです。甘やかしてくれる包容力があるタイプがいいですね。背が高くてスラッとしてるとなおいいです。」
「へー、ちょっと意外。ジャックの好みって大人のお姉さんなんだ。」
「大人のお姉さんって…。俺らもいい大人でしょうがよ。俺は可愛らしい感じの幼稚な女より、ある程度精神的に自立してる女が好きって話ですよ。」
「まあ確かに大人の余裕はほしいな。」
「で?アダムはどうなんです?」
「俺は肉付きがいいほうが好きだな。抱きしめた時に柔らかいといいよな。性格は明るいほうがいい。なんでも一緒に楽しめるタイプがいいな。料理上手なら最高だ。」
「あー確かに。ソフィアはそんな感じだな。」
納得するようにノエルは頷く。
「誰です?ソフィアって。アダム、彼女でもできたんですか?」
「いや、コイツの元嫁。」
「…は?」
ジャックは動揺し、グラスを倒しそうになる。
「今なんて?」
「ん?ジャックに言ってなかったか?」
「コイツこう見えてバツ1だぞ。」
「初耳ですよ…。アダム、お前いつの間に…。」
「18の頃に結婚して一年持たなかったな。ちなみに子供もいるぜ。しかも双子。」
「…マジ?」
「マジマジ。コイツ昔から一度決めたら何でも手が早いんだよ。」
「照れるぜ。」
「全く褒めてないですよ。結果上手くいってねぇじゃないですか。」
「まあ、お互い若かったからな。結論を急ぎすぎたんだ。」
「その彼女とはそれっきりなんです?」
「いいや?今でもたまに会うぜ。子供たちとも遊んだりする。」
「なー。ルナもハリーも可愛いよな~。もうすぐ6歳だっけ。誕生日何買ってあげようかな~。」
「…悲しいことに、俺よりノエルに懐いてるんだぜ。」
「物で釣られてやがる…。まあ子供は正直ですからね。」
「…俺は子供たちには父親として何もしてやれてないからな。仕方ないさ。」
「その彼女とはやり直す気はないんです?今のお前の立場なら相手も喜んで復縁してくれそうですけど。」
「彼女は王の妻なんて座には興味ないさ。それに今の距離感が多分…お互いにとって一番ちょうどいいんだ。」
「そんなもんですかね。…ちなみに別れた原因は?」
「いろいろあるが…。決定的なのは、俺が強さを求めるあまり家庭を蔑ろにしたことだな。今となっては全面的に俺が悪いと思ってるぜ。」
「へえ。浮気とかじゃないんすね。」
「俺はそんな器用な真似はできないさ。昔から要領が悪くて不器用だからな。」
「そんなもんですかね。」
「ああ。彼女一筋だったぜ。」
物思いに耽るようにアダムはグラスを傾ける。
「俺なりに…愛していたんだがな。それだけじゃダメだったみたいだ。結婚というものは難しいな。」
「俺はまさかのアダムが恋愛偏差値一番高かったことに驚いてますよ。むしろ一番色恋沙汰とは無縁だと思っていました。」
「俺だって人並みに恋くらいするさ。君は俺をなんだと思ってるんだ。」
「なんというか…あんまり人間味がないように思えてたので。」
「何を言っているんだ?俺は人間だぜ?」
「知っていますよ。ただ、お前はあんまり人に弱いところとか見せないじゃないですか。いつも自信に満ち溢れてて完全無欠の王様…って感じで。」
「なんだそれ。俺にだって弱いところはあるさ。ソフィアのこともそうだが…。頭の良さはノエルには敵わないし、考えなしで仕事の要領も悪い。私生活もだらしないっていつもノエルにドヤされてばっかりだぜ。」
「それは想像できますね。そういえば、さっきから静かですけどノエルは…。」
ふと隣を見ると、ノエルはテーブルに突っ伏してスヤスヤと寝息を立てていた。
「そろそろお開きだな。」
「そうですね。コイツ、ちゃんと連れて帰ってくださいよ。」
「おいおい、飲ませたのはジャックだろ。ジャックも手伝ってくれ。」
「嫌ですよ、コイツデカくて重いですもん。」
「2人で連れて帰るぞ。ジャック、これは命令だ。」
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