ヒロインは途中退場させられましたが、全て元に戻るだなんて、そうは問屋が卸さない

きなこ(りあ)

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暗雲が立ち込める

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翌日の朝は馬が嘶く音で目が覚めた。人の気配が増えている。これは何かあったに違いない。
この別邸には万が一に備えて敵に対して何らかの対抗手段を持つものしか置いていない。だから自分で用意していかなければならない。
勿論女性でも戦えるものはいるし、女性ならではの特性を生かして男と十分にやりあえるものだって少なくはない。
ただ、情報を探るために全て出払ってしまっているのだ。

昨日と同様シンプルなシャツワンピースに着替える。コルセットを装着するなら人手は借りなければならないが、こういうのは楽なのよね。
可愛いし、何より苦しくない! 
ウエストの所でキュッとベルトを締めて完了だ。髪の毛はいつものような手の込んだものは時間ないから、ハーフアップでいいかしらね。 

ワンピースと同色のイヤリングを付ける。しっかり保湿した後に、ベースは簡単に済ませる。ワンポイント色を付けて出来上がり。ナチュラルっぽいけどこの洋服にがっつりメイクは浮いてしまう。

色恋にはそこまで興味はないけど、お洒落は好きだ。
特に有事の時こそ、しっかりと仮面を作る。それが女子の戦闘服だから。

外に出たとき、走り回っていたマリウスと目が合う。彼は駆け寄ってくるが、その時感じた匂い。全身に視線を滑らせても傷らしきものは見当たらない。
つまりそういうことだろう。昨日は嵐の前の静けさだったってことか。

「おはようございます、お嬢様。」
「おはよう。怪我はないわね?」
「おかげさまで。時にお嬢様、嫌な報告と特大で嫌な報告。どちらをお聞きになりたいですか?」
「いい報告を頂戴。」
「ありません。」
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