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第二部
結局……
レオンと最後に会ったのは、あの夜会会場でだ。来襲がありそのまま別れて行動したので、その後のことはフェリーから断片的に聞いただけだ。
ニナ王女とどうなったのか。ローズ王女だってルーク王太子との話を進めるみたいだが、本当にレオンを諦めたのか、訊きたいことは色々ある。俺の話も聞いてほしい。
でもそれ以上に、レオンに触れたい気持ちが募る。あいつの熱い体温と溶け合いたい。最後に抱いた時から一ヶ月近くは経っているから、そろそろ限界なんだが。
昼前、エディ達国王軍の隊員が軍事宮に到着した。
「お疲れ様です。エディ小隊長、俺だけ先に帰国してしまい申し訳ございません」
「状況は聞いている。任務上でのことだから問題ないよ」
エディはいつもの快活な笑顔を見せた後、隊員達全員に向かって言った。
「これからさっそく、フェリー大隊長も含めて今回の件についての話し合いがある。各自、今後のために改善点などがあるか、頭の中で整理しておいてほしい」
「はい」
「では、荷物を置いたら執務室へ向かうように。フェリー大隊長はすでにいらっしゃっているはずだ」
護衛任務においての反省会では、やはりレオンと経験豊富で冷静に物事を見ることができるダニーが的確な意見を上げていた。もちろん俺も発言する。基本的に国王軍は貴人の警護はしないが、こういう場での学びがいつどんな場面で役に立つか分からないため気が抜けない。
フェリーから、事件後の始末について軽く説明があった。結局ヴァラン国王は今回の責任を取り、息子に王位を譲ることになったそうだ。来襲を計画したにしてはかなり軽い処置だが、幸い負傷者のみで済んだこと、と言ってもルーク王太子は殺す予定だったのだし、イリュダの兵と会場内にいた招待客に対しても手加減なく襲っていた。死者が出なかったのは防御側の能力が高かったおかげだ。
だがそのルーク王太子が、ヴァラン国王の処遇に対して意見したことが大きかったらしい。
彼からしてみれば祖父でもあり伯父でもある複雑な関係だ。殺されそうになったにも拘わらず寛大な対応を求めたのは、やはり血の繋がっているという事実からの情か。それともルーク王太子がヴァラン王族に見られる思い込みが激しく好戦的な性質、それを持たず温和で人当たりの良い性格なのは、血縁関係になくとも愛情を注いで育ててくれた父であるイリュダ国王からの影響を受けているのか。
遺伝と環境……俺を作り上げているのはどちらの結果なのだろう。
俺が物思いに耽けている間にも、話は進んでいく。
王弟が着服していた金は回収され、ヴァラン王国での原石加工工場の建設、及び職人育成のために使われる予定だと、フェリーから伝えられた。
マチルダ王妃に関しては、イリュダ国王が、ルークが自分の子でないと知っていたのにも拘わらず周りに黙っていたことと、女性としての幸せを与えられないことに対して負い目があるのか、離縁などはせず様々な項目を書いた契約書に署名させた上で、今後も以前と同じような関係を続けていくと宣言したそうだ。それが彼なりの愛なのだろう。
今回巻き込まれた形になったグレンロシェだったが、元々イリュダと関係が良い大国ということもあり、イリュダとヴァランの貿易に関して監督責任を持つことになった。また、今までなかったヴァランへの農作物の輸出と、技術提供も開始する予定だそうだ。ヴァランはグレンロシェよりも寒い地域にあり土地も痩せている。そのような地域でも安定して収穫ができる作物の研究は、我が国にとっても大いに魅力的だということらしい。
ちなみに、いつもうるさいジュールが静かだったのは、直感型で考えることが苦手だからだと思っていたが、フェリーがヴァラン王国の名を口にした時に見せた居心地の悪そうな様子で思い出した。
彼の母親はヴァランの公爵家出身だ。亡くなった王弟の家ではないと思うが、公爵家ならば先祖に王族がいるはずだ。思いっきり彼らの性質を引き継いでいるし。
今回のことは直接関わりがなくとも、それでもジュールのような傲慢な男でも申し訳ないと感じるのかと、少し同情しかけた。
だがやはりジュールはどこまでいってもジュールだった。今まで小国ではあるが一応対等な立場の外国だったヴァランが、言い方が悪いがグレンロシェとイリュダの下に置かれる状況になったことで、自分も下に落とされたように感じて苛立っているみたいだと、会議終了後にダニーから教えられた。
まあそうだとしてもあのジュールだ。元々の性格はすぐには変わらない。ケントとティムが手のひらを返すという可能性もなくはないが、それでも侯爵家子息には違いないし、そもそもジュールは人を引っ張る――父上やフェリーのような大人数の軍を管理する立場とは違うが、荒くれ者のボスのような力はある。ユリウスだって長年片思いをしていたんだ。多分、そういうところに惹かれたんだろう。
フェリーから終了と言われ、その後は少し遅い昼食を取るため食堂へ向かった。レオンと話したかったが、先に座って待っていた俺の向かいの席に来たのはダニーだった。
「ここいいかな?」
「ええどうぞ」
他の隊の者達もいて多少混んではいるが、決して最後の一席でもないのになんでわざわざここに? という思いは一切出さず、笑顔で返す。
やっぱり食事中は国王軍隊員に多いガサツで暑苦しい男じゃなくて、眉目秀麗な俺とのほうがいいよな。俺だって、ダニーの中性的で完璧なほど整った顔なら問題ない。本当はレオンの緑色の瞳に見つめられたかったけど……なんて女々しいわがままは夜まで我慢するか。焦らされたほうがより楽しめる。
「今回の任務、色々あったけど皆が無事で良かったよ」
「はい。エディさんに護衛任務の話を初めに言われた時、まさか襲来があるとは想像していませんでしたが」
「そうだね。でもおそらくだけど、上層部は事前に情報を掴んでいたと思うよ」
「え? 本当ですか」
ダニーは周りに聞かれていないか確かめるように、咳をしながら視線を動かした。
俺も釣られるように少し顔を上げると、レオンは俺とダニーが会話しているのを見て遠慮したのか、離れたところにアーノルドと一緒に座っているのが見えた。
「普通に考えて王族専属の護衛じゃなくて僕達が同行したのは、敵との戦闘を予測してたからじゃないかな。ジュールはああ見えて――失礼、ヴァラン語が話せるし、もしヴァランと交渉とかになった場合に、母親の出身である公爵家が役に立つと思われたから。まあ結局、いつも通り彼は力任せに動いただけだったけど」
意外な話に胸がざわつき、何も言えない。ダニーが続ける。
「レオン君もローズ王女が気に入っていて今回指名したと言われていたよね。それもあるかもしれないけど、他の狙い――おそらく英雄を見せる目的があった」
「見せる目的ですか? それは……」
どういう意味だ?
「会場が異能者に襲われて僕達が駆けつけた時、レオン君が一人で四人の敵に対応していた。もちろんイリュダの兵もいたけど、応戦どころか逆にレオン君に助けられていたよ」
襲来時ならば普通の行動ではないのか?
俺の無言の疑問に答えるように、ダニーが言った。
「イリュダや外国の貴族がいる夜会で、英雄の力をアピールする必要があった。多分レオン君も分かっていて、そのように動いていた」
レオンは謙虚な性格で、自ら誇示などしないはずだが。ダニーはその答えも付け足した。
「彼は聡明だから、上層部の『グレンロシェの国力を周りに印象づけて国の地位をより盤石にしたい』、という思惑に賛同したんだと思う。噂はすぐに広まる。圧倒的な実力差があると分かれば今後も襲おうとする国は現れないだろうし、発言力が高まって交渉なども有利に働くから。少し先に予定されている、ディーツェル大陸国際会議のための下準備として」
推測が正しいとするならば――それを計画した人物はおそらく三人、国王と父上とフェリーだろう。ローズ王女が最近またレオンに執着し始めたという噂、それはこれを見越してレオンを護衛にするためにわざと流したってことか? 国王軍の編成もだ。
関係が良いはずのイリュダまで利用して、何食わぬ顔で狡猾に進めていた。
父上のあの時の涙に嘘はないと信じられるが(信じたいが)、結局は手のひらで転がされていた。
それにダニーだって……俺は国際会議があることすら知らなかった。
「ダニー隊員は、なぜこのような考えを? 普通の隊員でしたら到底思い至らない内容かと」
いつもの流し目で躱されそうになったので、ずっと気になっていたことを口にした。
「思考が読める異能――ですか」
「そのくらい僕の考えが当たっていると君が感じていると、褒め言葉として受け取っていいのかな?」
「はい。え、じゃあ異能ではない……」
「僕の能力は以前伝えた通りだよ」
それはそれで驚きなんだが。
「異能なしでどうやって心を読んでいるというか、そんなに察しがいいんですか?」
ダニーが口角を上げた。常に言われ慣れている様子だ。
「僕は平民だからね」
「え?」
「貴族同士の人間関係も複雑だろうけど、平民が貴族の中に入るには、後ろ盾がない分、より巧妙に立ち回らないと生きていけない」
だから洞察力が鍛えられたってことか。いや、元々の勘の良さも必要だ。だが、それだけでは足りない気がする。尋ねるとダニーは、「もちろん情報収集も欠かしていないよ。上手くやれば皆、色々とすっきり全部吐き出すよ」と、意味を含ませた色っぽい瞳で言った。
どういう風に聞き出しているかあまり想像したくないが……それも処世術なんだろう。正直、手段として嫌々やっているのではなく、かなり楽しんでいそうだが。
いずれにせよ、その洞察力は下手な異能よりよっぽど役に立ちそうだ。
「ダニー隊員、ひとつお伺いしても?」
「何かな?」
少し躊躇いながら、ずっと引っかかっていた言葉を、ゆっくりと口にしていく。
ニナ王女とどうなったのか。ローズ王女だってルーク王太子との話を進めるみたいだが、本当にレオンを諦めたのか、訊きたいことは色々ある。俺の話も聞いてほしい。
でもそれ以上に、レオンに触れたい気持ちが募る。あいつの熱い体温と溶け合いたい。最後に抱いた時から一ヶ月近くは経っているから、そろそろ限界なんだが。
昼前、エディ達国王軍の隊員が軍事宮に到着した。
「お疲れ様です。エディ小隊長、俺だけ先に帰国してしまい申し訳ございません」
「状況は聞いている。任務上でのことだから問題ないよ」
エディはいつもの快活な笑顔を見せた後、隊員達全員に向かって言った。
「これからさっそく、フェリー大隊長も含めて今回の件についての話し合いがある。各自、今後のために改善点などがあるか、頭の中で整理しておいてほしい」
「はい」
「では、荷物を置いたら執務室へ向かうように。フェリー大隊長はすでにいらっしゃっているはずだ」
護衛任務においての反省会では、やはりレオンと経験豊富で冷静に物事を見ることができるダニーが的確な意見を上げていた。もちろん俺も発言する。基本的に国王軍は貴人の警護はしないが、こういう場での学びがいつどんな場面で役に立つか分からないため気が抜けない。
フェリーから、事件後の始末について軽く説明があった。結局ヴァラン国王は今回の責任を取り、息子に王位を譲ることになったそうだ。来襲を計画したにしてはかなり軽い処置だが、幸い負傷者のみで済んだこと、と言ってもルーク王太子は殺す予定だったのだし、イリュダの兵と会場内にいた招待客に対しても手加減なく襲っていた。死者が出なかったのは防御側の能力が高かったおかげだ。
だがそのルーク王太子が、ヴァラン国王の処遇に対して意見したことが大きかったらしい。
彼からしてみれば祖父でもあり伯父でもある複雑な関係だ。殺されそうになったにも拘わらず寛大な対応を求めたのは、やはり血の繋がっているという事実からの情か。それともルーク王太子がヴァラン王族に見られる思い込みが激しく好戦的な性質、それを持たず温和で人当たりの良い性格なのは、血縁関係になくとも愛情を注いで育ててくれた父であるイリュダ国王からの影響を受けているのか。
遺伝と環境……俺を作り上げているのはどちらの結果なのだろう。
俺が物思いに耽けている間にも、話は進んでいく。
王弟が着服していた金は回収され、ヴァラン王国での原石加工工場の建設、及び職人育成のために使われる予定だと、フェリーから伝えられた。
マチルダ王妃に関しては、イリュダ国王が、ルークが自分の子でないと知っていたのにも拘わらず周りに黙っていたことと、女性としての幸せを与えられないことに対して負い目があるのか、離縁などはせず様々な項目を書いた契約書に署名させた上で、今後も以前と同じような関係を続けていくと宣言したそうだ。それが彼なりの愛なのだろう。
今回巻き込まれた形になったグレンロシェだったが、元々イリュダと関係が良い大国ということもあり、イリュダとヴァランの貿易に関して監督責任を持つことになった。また、今までなかったヴァランへの農作物の輸出と、技術提供も開始する予定だそうだ。ヴァランはグレンロシェよりも寒い地域にあり土地も痩せている。そのような地域でも安定して収穫ができる作物の研究は、我が国にとっても大いに魅力的だということらしい。
ちなみに、いつもうるさいジュールが静かだったのは、直感型で考えることが苦手だからだと思っていたが、フェリーがヴァラン王国の名を口にした時に見せた居心地の悪そうな様子で思い出した。
彼の母親はヴァランの公爵家出身だ。亡くなった王弟の家ではないと思うが、公爵家ならば先祖に王族がいるはずだ。思いっきり彼らの性質を引き継いでいるし。
今回のことは直接関わりがなくとも、それでもジュールのような傲慢な男でも申し訳ないと感じるのかと、少し同情しかけた。
だがやはりジュールはどこまでいってもジュールだった。今まで小国ではあるが一応対等な立場の外国だったヴァランが、言い方が悪いがグレンロシェとイリュダの下に置かれる状況になったことで、自分も下に落とされたように感じて苛立っているみたいだと、会議終了後にダニーから教えられた。
まあそうだとしてもあのジュールだ。元々の性格はすぐには変わらない。ケントとティムが手のひらを返すという可能性もなくはないが、それでも侯爵家子息には違いないし、そもそもジュールは人を引っ張る――父上やフェリーのような大人数の軍を管理する立場とは違うが、荒くれ者のボスのような力はある。ユリウスだって長年片思いをしていたんだ。多分、そういうところに惹かれたんだろう。
フェリーから終了と言われ、その後は少し遅い昼食を取るため食堂へ向かった。レオンと話したかったが、先に座って待っていた俺の向かいの席に来たのはダニーだった。
「ここいいかな?」
「ええどうぞ」
他の隊の者達もいて多少混んではいるが、決して最後の一席でもないのになんでわざわざここに? という思いは一切出さず、笑顔で返す。
やっぱり食事中は国王軍隊員に多いガサツで暑苦しい男じゃなくて、眉目秀麗な俺とのほうがいいよな。俺だって、ダニーの中性的で完璧なほど整った顔なら問題ない。本当はレオンの緑色の瞳に見つめられたかったけど……なんて女々しいわがままは夜まで我慢するか。焦らされたほうがより楽しめる。
「今回の任務、色々あったけど皆が無事で良かったよ」
「はい。エディさんに護衛任務の話を初めに言われた時、まさか襲来があるとは想像していませんでしたが」
「そうだね。でもおそらくだけど、上層部は事前に情報を掴んでいたと思うよ」
「え? 本当ですか」
ダニーは周りに聞かれていないか確かめるように、咳をしながら視線を動かした。
俺も釣られるように少し顔を上げると、レオンは俺とダニーが会話しているのを見て遠慮したのか、離れたところにアーノルドと一緒に座っているのが見えた。
「普通に考えて王族専属の護衛じゃなくて僕達が同行したのは、敵との戦闘を予測してたからじゃないかな。ジュールはああ見えて――失礼、ヴァラン語が話せるし、もしヴァランと交渉とかになった場合に、母親の出身である公爵家が役に立つと思われたから。まあ結局、いつも通り彼は力任せに動いただけだったけど」
意外な話に胸がざわつき、何も言えない。ダニーが続ける。
「レオン君もローズ王女が気に入っていて今回指名したと言われていたよね。それもあるかもしれないけど、他の狙い――おそらく英雄を見せる目的があった」
「見せる目的ですか? それは……」
どういう意味だ?
「会場が異能者に襲われて僕達が駆けつけた時、レオン君が一人で四人の敵に対応していた。もちろんイリュダの兵もいたけど、応戦どころか逆にレオン君に助けられていたよ」
襲来時ならば普通の行動ではないのか?
俺の無言の疑問に答えるように、ダニーが言った。
「イリュダや外国の貴族がいる夜会で、英雄の力をアピールする必要があった。多分レオン君も分かっていて、そのように動いていた」
レオンは謙虚な性格で、自ら誇示などしないはずだが。ダニーはその答えも付け足した。
「彼は聡明だから、上層部の『グレンロシェの国力を周りに印象づけて国の地位をより盤石にしたい』、という思惑に賛同したんだと思う。噂はすぐに広まる。圧倒的な実力差があると分かれば今後も襲おうとする国は現れないだろうし、発言力が高まって交渉なども有利に働くから。少し先に予定されている、ディーツェル大陸国際会議のための下準備として」
推測が正しいとするならば――それを計画した人物はおそらく三人、国王と父上とフェリーだろう。ローズ王女が最近またレオンに執着し始めたという噂、それはこれを見越してレオンを護衛にするためにわざと流したってことか? 国王軍の編成もだ。
関係が良いはずのイリュダまで利用して、何食わぬ顔で狡猾に進めていた。
父上のあの時の涙に嘘はないと信じられるが(信じたいが)、結局は手のひらで転がされていた。
それにダニーだって……俺は国際会議があることすら知らなかった。
「ダニー隊員は、なぜこのような考えを? 普通の隊員でしたら到底思い至らない内容かと」
いつもの流し目で躱されそうになったので、ずっと気になっていたことを口にした。
「思考が読める異能――ですか」
「そのくらい僕の考えが当たっていると君が感じていると、褒め言葉として受け取っていいのかな?」
「はい。え、じゃあ異能ではない……」
「僕の能力は以前伝えた通りだよ」
それはそれで驚きなんだが。
「異能なしでどうやって心を読んでいるというか、そんなに察しがいいんですか?」
ダニーが口角を上げた。常に言われ慣れている様子だ。
「僕は平民だからね」
「え?」
「貴族同士の人間関係も複雑だろうけど、平民が貴族の中に入るには、後ろ盾がない分、より巧妙に立ち回らないと生きていけない」
だから洞察力が鍛えられたってことか。いや、元々の勘の良さも必要だ。だが、それだけでは足りない気がする。尋ねるとダニーは、「もちろん情報収集も欠かしていないよ。上手くやれば皆、色々とすっきり全部吐き出すよ」と、意味を含ませた色っぽい瞳で言った。
どういう風に聞き出しているかあまり想像したくないが……それも処世術なんだろう。正直、手段として嫌々やっているのではなく、かなり楽しんでいそうだが。
いずれにせよ、その洞察力は下手な異能よりよっぽど役に立ちそうだ。
「ダニー隊員、ひとつお伺いしても?」
「何かな?」
少し躊躇いながら、ずっと引っかかっていた言葉を、ゆっくりと口にしていく。
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