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苦悩と葛藤
翌日ライアンにお礼を告げてから衛生部へ戻った。オーウェンはすでに来ていたので薬草を手渡す。予想に反して何も詳しく訊かれず、それぞれの薬の用途を伝えただけで開放された。
せっかくなので早めに帰り剣の訓練をしようと軍事宮を出たところで、「王太子殿下が今夜自室に来るようにと仰っている」と、ジェームズに呼び止められた。
「でしたら――今から執務室へ伺いましょうか」
「いえ、殿下はただいま会合中でいらっしゃいます。夜にならないと時間が空きません」
「では、お疲れでしょうから明日朝でも……」
「殿下のご体調は私が管理させていただいておりますので、マシュー様が懸念される必要はございません。貴殿が一番重要視しなくてはならないのは、殿下のご希望に沿うことです。お間違いなく」
「――分かりました。では屋敷に一度戻ってから今夜お伺いすると伝えてください」
ジェームズが今夜同席するかどうか訊きたかったが、怪しまれそうで口に出せなかった。王太子に対してどういう態度で接してよいか自分でも分からないので、できれば昼間に執務室で会いたかった。それならばさすがに自分を見失うことがないからだ。
屋敷に着くとウィルバーが出迎えてくれた。すぐに浴室の準備を頼み、汚れた体を洗っていく。
「父上と母上はいらっしゃってる?」
「旦那様は近頃ずっと内政宮内の部屋にお泊まりでご帰宅されていらっしゃいません。奥様はご実家のミロンズ家での夜会にご出席予定でいらっしゃいます」
マシューはひとりっ子だ。兄弟が数人いるのが一般的なこの国では少し珍しいが、両親の仲は悪くないと思う。
宰相である父上は公務のため王宮に泊まり何日も帰って来ないことも多い。
普段の領地経営は昔からいる信頼のおける侍従に任せているが、シャーディル侯爵家の領地は王都から比較的近い場所にある。
以前は父上が頻繁に領地と王都を行き来して管理していたが、最近は母上が多忙な侯爵の代わりに報告を受けているようだ。
侯爵家夫婦という役割を演じているような気もするが、人前では普通に会話をしているしお互いに愛人を持っている素振りは見せないので、それなりに上手くやっているのだと感じている。
「マシュー様。奥様からマシュー様に伝えてほしいと頼まれているのですが」
「何だ?」
「今夜の夜会にマシュー様もいらしてはと」
「どうして?」
「そろそろどこかのご令嬢との出会いが必要ではないかと、奥様は考えていらっしゃいます」
「僕はまだ結婚する気はない」
「ですが、お会いするだけでも」
「残念だが今夜はすでに予定が入っている」
「誠に恐れ入りますが……それは本当でいらっしゃいますか」
母上から強く要求されているのだろう。
「すまないが本当だ。王太子殿下から王宮に来るようにと言われている」
ウィルバーが息を呑むのが分かった。
「左様でございましたら奥様にお伝えしておきます。次回はいかがなさいますか」
本当は行きたくないが、生まれた時から世話になっているウィルバーの立場もある。
「確約はできないが、都合が合えば考えると母上に伝えてほしい」
* * *
ギルバートは執務室で偵察に送った隊員から報告を受け、一人になると大きく溜息をついた。
やるべき執務も溜まっているが、どちらにせよ今は頭が回りそうにない……普段忙しさを理由に自分に向き合うことを避けているが、あいにく今夜の約束までまだ時間がある。
ギルバートは目を瞑り、脳裏に浮かぶ思い出の中に身をゆっくりと沈ませて行く。
今、マシューと一緒にいたいという気持ちは本心から来ている。それは確信できるが、果たして『ローレルを感じさせる何か』がマシューになかったとしても自分は彼に惹かれたのだろうか? 彼女を喪った絶望感から逃れるためということは?
いや――そもそも、ローレルに対しての気持ちが純粋なものだったのか。
俺は孤独だ。認めたくはないが……
食事や寝る場所にも困る境遇の者から見れば、毎日望んでも望まなくても勝手に出てくる余るほどの料理と、清潔に整えられた暖かな部屋が当たり前の環境である王家に生まれた俺はとても恵まれているだろう。
だが……それを享受する代わりに払う責任という名の代償は大きい。殺されるか王位継承権が剥奪されない限り国王になるしかないという決められた未来、そしてその後はこの国――民が自分の行いひとつで敵国に侵略されるかもしれないという重圧に耐え続け、国のために死んでいく――
生まれてから常に取り巻きに囲まれてはいるが、誰一人として同じ立場で隣にいる者はいない。
外国の第一王子くらいか、でも滅多に交流できないしな――と自虐的に笑いながら、水を口に含んで乾いた喉を潤した。
そういう寂しさを埋めてくれる……王太子という自分を忘れさせてくれるローレルとバジルの側は居心地が良かった。今から振り返れば、現実に向き合わないで逃げていただけだったのだが。
子供の頃はこの一緒にいて楽しい、嬉しいという気持ちが好きという感情なのかと考えていた。
自分の親は父と母だし、周りの夫婦も見て自分は男だから異性のローレルに対してそのように慕っていて、同性のバジルは弟みたいに可愛がっていると……
だが――彼女に対してもそうだったら? 子供だったから大人がしている恋愛と同じだと思い込んだということはないだろうか。
すでに彼女はいない。触れ合って自分の感情をもう一度確かめる術はない。
しかし、はっきりと分かることがある。
ローレルはもちろん……我が国の皆を守りたい、幸せでいて欲しいと願っている――いた。
だがマシューに対しては、俺は……マシュー『を』庇護したいとは思わない。
マシュー『と』共にいたい。
それと同時に、この間ベッドで寝ていたマシューを見て、触れ合って可愛がりながらも思い切り泣かせて……マシューが俺に縋り付いて欲しいと強烈に熱望した。
これは――支配欲だ。
父である国王陛下が権力を持って国民を支配したがる欲とは違う。
子供の頃から民は守るべき対象であり、支配するのとは違うと理解している。その加減を間違えないよう自分を律してきた。
だが、マシューの前では自分の中で唯一他とは違う感情を生み出してしまう。いつまで理性を保てるか……
そう考えていると、今夜の来客の到着を告げる、扉を叩く音が聞こえてきた――
マシューは軽い食事を取ってから王宮へ向かった。外は肌寒く、風呂に入っているので風邪を引かないようマントを羽織る。
――王太子殿下の自室と言われたが、近衛隊員に怪しまれないだろうか。
だがその心配は杞憂で、ジェームズがすでに伝えていたらしく用件は問われなかった。
扉を叩くとすぐに返事があり、入室を促された。ジェームズの姿は見受けられない。
「王太子殿下」
「思ったより遅かったな。まあいい座れ」
「ですが、殿下の御前で……」
「構わないと言っただろう?」
「はい……失礼いたします」
「外は寒かっただろう。酒は飲めるか、それとも茶の方がいいか」
「お気遣いなく、大丈夫です」
「かしこまるな。俺が飲みたいんだ」
「では――殿下と同じ物をいただきます」
「お前が飲みたい物を訊いている。酒は好きか」
「はい」
「少し待っていてくれ」
ギルバートが立ち上がり部屋を出ていった。
てっきり侍従に頼むのかと思ったら、ギルバート自ら酒を手に戻ってきた。
やはり王太子としての表向きの顔と私的な場面で見せる顔を使い分けているようだ。
ギルバートは自然にマシューが座っているソファーの隣に腰を下ろす。手渡されたグラスには、飴色の酒が入っていて良い香りがする。飲んでみると喉が焼けるくらい強い。
――酔って変なことを言わないよう気を付けないと……
「ハリーの所に行っていたらしいな」
「はい。オーウェン先生にお休みをいただいて、薬草のお礼のための手伝いをしに行きました」
「何をしたんだ?」
「片付けとか雑用とか色々です」
「オーウェンから聞いたが、衛生部用にもあの診療所の薬草を渡したそうだな。大変素晴らしいできの薬だと褒めていたぞ」
マシューは応えられない。
「喜ばないのか」
「なぜですか」
「お前が作ったのだろう? 我が国一番の医者がお前の腕を認めているぞ」
「……僕ではありません」
「では、あの薬草は誰が作ったのだ?」
「それは前からあったのを……」
「王族である俺に嘘を言うのか」
「いえ、そんなつもりはございません。ですが……」
「お前だと報告を受けているぞ」
「えっ――?」
マシューは驚いた。
「だっ、誰から……」
――ハリーが言うはずはないし……
「参謀部所属の優秀な隊員、ライアンからだ」
「あっ……」
マシューは合点がいった。
「僕に見張りをつけたんですか」
ギルバートは答える代わりにグラスを口にした。
「さて……ライアンがニックから聞いた話によると、診療所にあった、ローレルが作った薬草は誤爆事件の時にお前に渡した分が最後だったそうだ。もしハリーが作れるならとっくに自分で作っていただろう」
心臓の音が高まり、耳の中で響いている。
「今回お前は手伝いに行き、ずっとハリーの家の一室に籠って作業をしていたそうだな。そしてお前が王宮に戻る時に新しい薬草があるのであれば、誰が作ったのか自ずと答えは出てくる」
――どう言うのが正解なのか。
「ライアンはお前の作業中の様子も見ている。言い逃れはできぬぞ」
「……なぜライアンに監視のようなことを」
「知りたいからだ」
「え?」
「真実を」
ギルバートは、「それと、マシューがハリーの家に泊まるのを阻止させるために」という言葉は口にしなかった。
「お前は元々植物の勉強などしていないよな。だのになぜローレルと同じ精度の薬草を作れるのだ?」
「それは……」
「お前が勤務中に倒れたことと関係しているのか」
王太子はどこまで想像しているのか分からない。普通は死んだ人の記憶を急に見るようになったなど思いもしないはずだ。それに、王太子が知りたいと思うのはローレルと自分、どっちに対してなのか……
せっかくなので早めに帰り剣の訓練をしようと軍事宮を出たところで、「王太子殿下が今夜自室に来るようにと仰っている」と、ジェームズに呼び止められた。
「でしたら――今から執務室へ伺いましょうか」
「いえ、殿下はただいま会合中でいらっしゃいます。夜にならないと時間が空きません」
「では、お疲れでしょうから明日朝でも……」
「殿下のご体調は私が管理させていただいておりますので、マシュー様が懸念される必要はございません。貴殿が一番重要視しなくてはならないのは、殿下のご希望に沿うことです。お間違いなく」
「――分かりました。では屋敷に一度戻ってから今夜お伺いすると伝えてください」
ジェームズが今夜同席するかどうか訊きたかったが、怪しまれそうで口に出せなかった。王太子に対してどういう態度で接してよいか自分でも分からないので、できれば昼間に執務室で会いたかった。それならばさすがに自分を見失うことがないからだ。
屋敷に着くとウィルバーが出迎えてくれた。すぐに浴室の準備を頼み、汚れた体を洗っていく。
「父上と母上はいらっしゃってる?」
「旦那様は近頃ずっと内政宮内の部屋にお泊まりでご帰宅されていらっしゃいません。奥様はご実家のミロンズ家での夜会にご出席予定でいらっしゃいます」
マシューはひとりっ子だ。兄弟が数人いるのが一般的なこの国では少し珍しいが、両親の仲は悪くないと思う。
宰相である父上は公務のため王宮に泊まり何日も帰って来ないことも多い。
普段の領地経営は昔からいる信頼のおける侍従に任せているが、シャーディル侯爵家の領地は王都から比較的近い場所にある。
以前は父上が頻繁に領地と王都を行き来して管理していたが、最近は母上が多忙な侯爵の代わりに報告を受けているようだ。
侯爵家夫婦という役割を演じているような気もするが、人前では普通に会話をしているしお互いに愛人を持っている素振りは見せないので、それなりに上手くやっているのだと感じている。
「マシュー様。奥様からマシュー様に伝えてほしいと頼まれているのですが」
「何だ?」
「今夜の夜会にマシュー様もいらしてはと」
「どうして?」
「そろそろどこかのご令嬢との出会いが必要ではないかと、奥様は考えていらっしゃいます」
「僕はまだ結婚する気はない」
「ですが、お会いするだけでも」
「残念だが今夜はすでに予定が入っている」
「誠に恐れ入りますが……それは本当でいらっしゃいますか」
母上から強く要求されているのだろう。
「すまないが本当だ。王太子殿下から王宮に来るようにと言われている」
ウィルバーが息を呑むのが分かった。
「左様でございましたら奥様にお伝えしておきます。次回はいかがなさいますか」
本当は行きたくないが、生まれた時から世話になっているウィルバーの立場もある。
「確約はできないが、都合が合えば考えると母上に伝えてほしい」
* * *
ギルバートは執務室で偵察に送った隊員から報告を受け、一人になると大きく溜息をついた。
やるべき執務も溜まっているが、どちらにせよ今は頭が回りそうにない……普段忙しさを理由に自分に向き合うことを避けているが、あいにく今夜の約束までまだ時間がある。
ギルバートは目を瞑り、脳裏に浮かぶ思い出の中に身をゆっくりと沈ませて行く。
今、マシューと一緒にいたいという気持ちは本心から来ている。それは確信できるが、果たして『ローレルを感じさせる何か』がマシューになかったとしても自分は彼に惹かれたのだろうか? 彼女を喪った絶望感から逃れるためということは?
いや――そもそも、ローレルに対しての気持ちが純粋なものだったのか。
俺は孤独だ。認めたくはないが……
食事や寝る場所にも困る境遇の者から見れば、毎日望んでも望まなくても勝手に出てくる余るほどの料理と、清潔に整えられた暖かな部屋が当たり前の環境である王家に生まれた俺はとても恵まれているだろう。
だが……それを享受する代わりに払う責任という名の代償は大きい。殺されるか王位継承権が剥奪されない限り国王になるしかないという決められた未来、そしてその後はこの国――民が自分の行いひとつで敵国に侵略されるかもしれないという重圧に耐え続け、国のために死んでいく――
生まれてから常に取り巻きに囲まれてはいるが、誰一人として同じ立場で隣にいる者はいない。
外国の第一王子くらいか、でも滅多に交流できないしな――と自虐的に笑いながら、水を口に含んで乾いた喉を潤した。
そういう寂しさを埋めてくれる……王太子という自分を忘れさせてくれるローレルとバジルの側は居心地が良かった。今から振り返れば、現実に向き合わないで逃げていただけだったのだが。
子供の頃はこの一緒にいて楽しい、嬉しいという気持ちが好きという感情なのかと考えていた。
自分の親は父と母だし、周りの夫婦も見て自分は男だから異性のローレルに対してそのように慕っていて、同性のバジルは弟みたいに可愛がっていると……
だが――彼女に対してもそうだったら? 子供だったから大人がしている恋愛と同じだと思い込んだということはないだろうか。
すでに彼女はいない。触れ合って自分の感情をもう一度確かめる術はない。
しかし、はっきりと分かることがある。
ローレルはもちろん……我が国の皆を守りたい、幸せでいて欲しいと願っている――いた。
だがマシューに対しては、俺は……マシュー『を』庇護したいとは思わない。
マシュー『と』共にいたい。
それと同時に、この間ベッドで寝ていたマシューを見て、触れ合って可愛がりながらも思い切り泣かせて……マシューが俺に縋り付いて欲しいと強烈に熱望した。
これは――支配欲だ。
父である国王陛下が権力を持って国民を支配したがる欲とは違う。
子供の頃から民は守るべき対象であり、支配するのとは違うと理解している。その加減を間違えないよう自分を律してきた。
だが、マシューの前では自分の中で唯一他とは違う感情を生み出してしまう。いつまで理性を保てるか……
そう考えていると、今夜の来客の到着を告げる、扉を叩く音が聞こえてきた――
マシューは軽い食事を取ってから王宮へ向かった。外は肌寒く、風呂に入っているので風邪を引かないようマントを羽織る。
――王太子殿下の自室と言われたが、近衛隊員に怪しまれないだろうか。
だがその心配は杞憂で、ジェームズがすでに伝えていたらしく用件は問われなかった。
扉を叩くとすぐに返事があり、入室を促された。ジェームズの姿は見受けられない。
「王太子殿下」
「思ったより遅かったな。まあいい座れ」
「ですが、殿下の御前で……」
「構わないと言っただろう?」
「はい……失礼いたします」
「外は寒かっただろう。酒は飲めるか、それとも茶の方がいいか」
「お気遣いなく、大丈夫です」
「かしこまるな。俺が飲みたいんだ」
「では――殿下と同じ物をいただきます」
「お前が飲みたい物を訊いている。酒は好きか」
「はい」
「少し待っていてくれ」
ギルバートが立ち上がり部屋を出ていった。
てっきり侍従に頼むのかと思ったら、ギルバート自ら酒を手に戻ってきた。
やはり王太子としての表向きの顔と私的な場面で見せる顔を使い分けているようだ。
ギルバートは自然にマシューが座っているソファーの隣に腰を下ろす。手渡されたグラスには、飴色の酒が入っていて良い香りがする。飲んでみると喉が焼けるくらい強い。
――酔って変なことを言わないよう気を付けないと……
「ハリーの所に行っていたらしいな」
「はい。オーウェン先生にお休みをいただいて、薬草のお礼のための手伝いをしに行きました」
「何をしたんだ?」
「片付けとか雑用とか色々です」
「オーウェンから聞いたが、衛生部用にもあの診療所の薬草を渡したそうだな。大変素晴らしいできの薬だと褒めていたぞ」
マシューは応えられない。
「喜ばないのか」
「なぜですか」
「お前が作ったのだろう? 我が国一番の医者がお前の腕を認めているぞ」
「……僕ではありません」
「では、あの薬草は誰が作ったのだ?」
「それは前からあったのを……」
「王族である俺に嘘を言うのか」
「いえ、そんなつもりはございません。ですが……」
「お前だと報告を受けているぞ」
「えっ――?」
マシューは驚いた。
「だっ、誰から……」
――ハリーが言うはずはないし……
「参謀部所属の優秀な隊員、ライアンからだ」
「あっ……」
マシューは合点がいった。
「僕に見張りをつけたんですか」
ギルバートは答える代わりにグラスを口にした。
「さて……ライアンがニックから聞いた話によると、診療所にあった、ローレルが作った薬草は誤爆事件の時にお前に渡した分が最後だったそうだ。もしハリーが作れるならとっくに自分で作っていただろう」
心臓の音が高まり、耳の中で響いている。
「今回お前は手伝いに行き、ずっとハリーの家の一室に籠って作業をしていたそうだな。そしてお前が王宮に戻る時に新しい薬草があるのであれば、誰が作ったのか自ずと答えは出てくる」
――どう言うのが正解なのか。
「ライアンはお前の作業中の様子も見ている。言い逃れはできぬぞ」
「……なぜライアンに監視のようなことを」
「知りたいからだ」
「え?」
「真実を」
ギルバートは、「それと、マシューがハリーの家に泊まるのを阻止させるために」という言葉は口にしなかった。
「お前は元々植物の勉強などしていないよな。だのになぜローレルと同じ精度の薬草を作れるのだ?」
「それは……」
「お前が勤務中に倒れたことと関係しているのか」
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