恋愛漫画

キエリンイカ

文字の大きさ
1 / 1

恋愛漫画

しおりを挟む
 初めて読んだ恋愛漫画。
キラキラドキドキしていてとてもウキウキしたのを覚えている。
よく母に「私こんな恋をするんだ!」と言っていたものだ。

 中学生の時、ラブレターを書いてフラれていたのも何だかとてもショックだったが楽しくもあったほどだ。
私はどんどん恋愛漫画にハマっていった。
キスシーンや、手を繋ぐシーン、更にはベットシーンにまで夢を持っていた。
優しくしてくれる彼。少しの仕草がとても胸に響いてくる一つ一つの描写が私の胸を更に躍らせた。

彼女になるとこんなに幸せになれるの??

誰かといるだけでこんなにもキラキラ輝けるの??

そうした好奇心ばかりが募っていく。
高校になってもそれは変わらずだったが、好みの相手がおらず(付き合いたいからといって誰でもいい訳では無い)彼氏いない歴=年齢になっていた。
周りが彼氏や彼女を作っていく中、私はどんどん惨めになっていた。
「この際誰でもいい。誰かいて欲しい」
とさえ思った。
 そんなとき1人の先輩が私に話しかけてきた。
「これは恋の展開があるかも!!」
と私は大きく期待を膨らませた。

「実は……」

先輩は切り出した。

お付き合いの話だった。

そきて私は初めての彼氏が出来た。


幸せだ。
誕生日も記念日もデートさえウキウキワクワク。
笑顔の絶えない毎日。24時間の通話。手を繋いで歩く小道。服を選びながらご飯にするお昼。
成すこと全てがたのしかった。














気づけば私の前には縄がぶら下がっていた。
(え??これは何??)
私は混乱した。涙まみれの自分の顔。数日寝ていないような窶れた表情。体には痣と切り傷がいたるところにできていた。
幸せだったはずの私の体はいつの間にかボロボロになっていた。






私の幻覚だった。





部屋には血まみれのカッター。着信履歴は彼の名前がびっしりと並んでいる。GPSでは彼がラブホテルで止まっている。窓ガラスの割れた破片。ぐちゃぐちゃにした写真。

限界だった。

夢にまで見ていた恋愛漫画。
全て全く反対のお話だった。

言うことを聞かなければ蹴られ殴られ、性処理道具としてデートの度に陰茎を撫でる日々。狂ったように朝帰りをし、タバコやお酒も始めた彼。



私は首に縄をかけた。




彼に電話をする。

「は??なに。」

彼の声と女の声。荒い息の音と喘ぎ声が頭に響く。

頭に一気に血が上る。
私は奇声に似た怒声を叫び出した。


「あんたみたいな包茎クソチビチンコで女も喘ぐのね。その女はさぞかしブスでデブなんでしょうよ。女も大変ねあんたのために喘がなくちゃいけないんだから。そんな女で満足してなさい。死ぬのやめたわ。あんたなんかのために命落とすのもおかしい話だもの。いい男見つけて幸せになって結婚式呼んでやるから絶対来いよクズ。訴えてならないだけ感謝しなさい。さようなら。」




シーーン……




女も聞こえていたようだった。

「はぁ!?何言ってんだこのくそっ、」
プープープー。


履歴削除。LINEブロック。着信拒否。
全て手際よく行った。

そして私の恋愛は終わった。








あまりにもあっさりした最後だったでしょうか??
面白くない。スッキリしない話だともお思いだと思います。
しかし私はこんな恋愛は求めて数ヶ月を無駄にした訳ではありません。
クズを学ぶために高い勉強代を払って学んだのです。
今までは辛かった。だから恋愛をしないではなく、クズを学べた、だから次はこういうやつを選ばない。と考えた方がメンタル的にも良いと思います。


恋愛とは楽しいものですが相手を間違えるととても危険なものになります。
私のように恋愛漫画で夢を描くのでは無く。
現実を見ながら……ね??


実際に体験することも大切なことだが、最初で見極めしっかり相手を選ぶ権利があるということを忘れないで私はこれから生きていく。


これが私の恋愛漫画だ。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

十歳の花嫁

アキナヌカ
恋愛
アルフは王太子だった、二十五歳の彼は花嫁を探していた。最初は私の姉が花嫁になると思っていたのに、彼が選んだのは十歳の私だった。彼の私に対する執着はおかしかった。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...