1 / 1
花子さん
しおりを挟む
「すみません!! 部長、遅れました!! 」
ある学校のある部室に少女が駆け込んでくる。
少女の名前は秋宮 楓。オカルト部の部員で、この学校、如月高校の1年生である。
「楓ちゃん!遅いよぉ!! ほら、はやくはやく! 」
そして、このとてとてと付きそうな足取りでこちらに向かってくる小さい少女が四季彩、オカルト部の部長だ。他にも部員はいるのだが、今は2名でこのオカルト部は運営されている。
「それで、部長。新しい噂ってなんですか?」
噂の調査、解決を行う活動をするオカルト部。そんなオカルト部に舞い込んできた新たな噂。それを解決すべく、楓はこうして部室に足を運んでいた。
「今まとめてたところだよぉ。今回の噂はコレ。」
彩がパソコンの画面をこちらに向ける。画面には文字が羅列されていた。
「花子さん…? 」
よく聞きなれたその噂は、旧校舎または校舎の3階のトイレに現れるとされる都市伝説だった。
「そう、花子さん。有名だよねぇ。でも、うちの高校では花子さんの噂なんて今まで無かったんだけどなぁ。」
検索サイトに文字を打ち込みながら、彩はそう答えた。
「えっ、今までなかったんですか? 」
「そうだよぉ。うちの高校は比較的新しい高校だからねぇ。それこそ、花子さんとか、都市伝説的な噂って最近でてきたんだよぉ。」
「へぇ、そうなんですね」
相槌を打ちながら楓も検索画面を覗き込む。花子さんを呼び出す方法は至ってシンプル。校舎3階トイレの奥から三番目の扉を3回ノックと「花子さん、遊びましょ」の声掛けだけ。そうすると、花子さんが返事をしてくれるらしい。
「呼び出し方も確認できたねぇ。それじゃあ校舎の3階トイレに行こっかぁ。」
彩がそう言うと、楓が「えぇ!! 」と声を上げた。
「なぁに楓ちゃん。もう慣れたでしょぅ? 」
「ちょ、ちょっと待ってください!! まだ心の準備ができてないです…!! 」
焦った様子でそう答える楓の顔は真っ青だ。
「もう」
呆れた顔で人差し指を立てる。
「御札もあるし、私も居るんだよぉ? 何が怖いのぉ」
「だってぇ」と半泣きで楓は彩に訴えかけた。
「怖いもんは怖いんですもん」
楓はお化けや都市伝説という類のモノは苦手だ。でも、こうして彩という命の恩人がいるからオカルト部にも属せている。
「ほらぁ、行くよぉ! 」
彩は楓を引きずりながら3階へ向かっていった。
「とうちゃーーく!!」
3階トイレに着いた途端トイレのスリッパを履くと、彩は奥から3番目のトイレへ進んでいく。
「ちょ、ちょっとぉ!!待ってくださいって!!」
「待たないよぉ」
コンコンコンと3回ノックすると、「はーなこさん! あーそびましょ」
シーンと沈黙が訪れる。
「は、はぁぁぁぁ。やっぱり噂だったんだ。花子さんなんて」
「はーぁーい」
「ひっ」
誰の声でもない、女の子の声が聞こえてきた。
3番目のトイレの扉がきぃーと開く。
「あそぼ」
ひゃひゃひゃひゃひゃと気味の悪い笑い声を上げながら花子さんが出てくると、周りが赤く染まっていく。
「おぉ、あなたが花子さんねぇ? 」
彩が問う。
「そうよ。そうよ。私が花子。あなたたちの噂の花子。」
「や、ややややっぱり!!花子さんは実在してたんだ!! 」
楓が叫び声をあげる。
「楓ぇ、落ち着いてよぉ。まだ、こっちは危害も加えられてないんだからぁ。」
「あなた、随分肝が据わっているのね。」
ひゃひゃひゃと笑いながら後ろで手を組む。
「いいわ、いいわ。思い切り遊びましょぉ!! 」
左右から水弾が飛んでくる。
「きゃっ」
楓が悲鳴を上げた。
対して、彩は腕を真っ直ぐに伸ばし手のひらを上に向け、何かを呟いている。
「ひゃひゃひゃひゃひゃ! 」
「ぶちょぉ!!!」
花子さんが笑い、楓が悲鳴をあげる。
「あなたの力、貸していただきます!!」
『河童』
その呼び名をあげた途端、彩は1本の銃を握っていた。
そう、彩の能力は過去に祓った都市伝説を武器に変換できるというもの。今回の河童は水属性のサブマシンガン。
「部長!」
「楓ちゃんは下がっててぇ。いっくよぉ!! 」
地面を蹴り上げ花子さんの方へ一直線に進んでいく。銃が水をまとい始め、彩が構えると引き金を引いた。銃声音が辺りに鳴り響き、水弾が発射される。
「甘いわね。そんなのじゃ、私を倒すことはできないわよぉ!!」
「甘いのはそっちじゃないのぉ?」
パチンと指を鳴らした。その瞬間、水弾がはじける。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」
周りの赤が去っていく。
「うぅ、うぅ。」
赤が居なくなったあとには花子さんが1人、すすり泣いていた。
「それでぇ、こんなことをした動機はなぁに? 」
彩が尋ねる。
「ただ、ただ。私、遊びたかっただけなのぉ」
「そ、それだけ??」
「それだけって何よぉ!!私、病気がちであまり遊べなかったから、皆と遊びたかったのよぉ!」
「それならさぁ、オカルト部来ない?オカルト部なら、あなたと遊んであげられるよぉ。」
「ほ、ほんと?」
ほおけた幼い顔の花子さんは理解が追いつくと、だんだんと笑みを浮かべる。
「ありがとう」
そう言って、花子さんは2人に抱きついた。
「よぉしよぉし、これにて花子さん、無事解決ってね!」
花子さん無事解決━━━━!!!
ある学校のある部室に少女が駆け込んでくる。
少女の名前は秋宮 楓。オカルト部の部員で、この学校、如月高校の1年生である。
「楓ちゃん!遅いよぉ!! ほら、はやくはやく! 」
そして、このとてとてと付きそうな足取りでこちらに向かってくる小さい少女が四季彩、オカルト部の部長だ。他にも部員はいるのだが、今は2名でこのオカルト部は運営されている。
「それで、部長。新しい噂ってなんですか?」
噂の調査、解決を行う活動をするオカルト部。そんなオカルト部に舞い込んできた新たな噂。それを解決すべく、楓はこうして部室に足を運んでいた。
「今まとめてたところだよぉ。今回の噂はコレ。」
彩がパソコンの画面をこちらに向ける。画面には文字が羅列されていた。
「花子さん…? 」
よく聞きなれたその噂は、旧校舎または校舎の3階のトイレに現れるとされる都市伝説だった。
「そう、花子さん。有名だよねぇ。でも、うちの高校では花子さんの噂なんて今まで無かったんだけどなぁ。」
検索サイトに文字を打ち込みながら、彩はそう答えた。
「えっ、今までなかったんですか? 」
「そうだよぉ。うちの高校は比較的新しい高校だからねぇ。それこそ、花子さんとか、都市伝説的な噂って最近でてきたんだよぉ。」
「へぇ、そうなんですね」
相槌を打ちながら楓も検索画面を覗き込む。花子さんを呼び出す方法は至ってシンプル。校舎3階トイレの奥から三番目の扉を3回ノックと「花子さん、遊びましょ」の声掛けだけ。そうすると、花子さんが返事をしてくれるらしい。
「呼び出し方も確認できたねぇ。それじゃあ校舎の3階トイレに行こっかぁ。」
彩がそう言うと、楓が「えぇ!! 」と声を上げた。
「なぁに楓ちゃん。もう慣れたでしょぅ? 」
「ちょ、ちょっと待ってください!! まだ心の準備ができてないです…!! 」
焦った様子でそう答える楓の顔は真っ青だ。
「もう」
呆れた顔で人差し指を立てる。
「御札もあるし、私も居るんだよぉ? 何が怖いのぉ」
「だってぇ」と半泣きで楓は彩に訴えかけた。
「怖いもんは怖いんですもん」
楓はお化けや都市伝説という類のモノは苦手だ。でも、こうして彩という命の恩人がいるからオカルト部にも属せている。
「ほらぁ、行くよぉ! 」
彩は楓を引きずりながら3階へ向かっていった。
「とうちゃーーく!!」
3階トイレに着いた途端トイレのスリッパを履くと、彩は奥から3番目のトイレへ進んでいく。
「ちょ、ちょっとぉ!!待ってくださいって!!」
「待たないよぉ」
コンコンコンと3回ノックすると、「はーなこさん! あーそびましょ」
シーンと沈黙が訪れる。
「は、はぁぁぁぁ。やっぱり噂だったんだ。花子さんなんて」
「はーぁーい」
「ひっ」
誰の声でもない、女の子の声が聞こえてきた。
3番目のトイレの扉がきぃーと開く。
「あそぼ」
ひゃひゃひゃひゃひゃと気味の悪い笑い声を上げながら花子さんが出てくると、周りが赤く染まっていく。
「おぉ、あなたが花子さんねぇ? 」
彩が問う。
「そうよ。そうよ。私が花子。あなたたちの噂の花子。」
「や、ややややっぱり!!花子さんは実在してたんだ!! 」
楓が叫び声をあげる。
「楓ぇ、落ち着いてよぉ。まだ、こっちは危害も加えられてないんだからぁ。」
「あなた、随分肝が据わっているのね。」
ひゃひゃひゃと笑いながら後ろで手を組む。
「いいわ、いいわ。思い切り遊びましょぉ!! 」
左右から水弾が飛んでくる。
「きゃっ」
楓が悲鳴を上げた。
対して、彩は腕を真っ直ぐに伸ばし手のひらを上に向け、何かを呟いている。
「ひゃひゃひゃひゃひゃ! 」
「ぶちょぉ!!!」
花子さんが笑い、楓が悲鳴をあげる。
「あなたの力、貸していただきます!!」
『河童』
その呼び名をあげた途端、彩は1本の銃を握っていた。
そう、彩の能力は過去に祓った都市伝説を武器に変換できるというもの。今回の河童は水属性のサブマシンガン。
「部長!」
「楓ちゃんは下がっててぇ。いっくよぉ!! 」
地面を蹴り上げ花子さんの方へ一直線に進んでいく。銃が水をまとい始め、彩が構えると引き金を引いた。銃声音が辺りに鳴り響き、水弾が発射される。
「甘いわね。そんなのじゃ、私を倒すことはできないわよぉ!!」
「甘いのはそっちじゃないのぉ?」
パチンと指を鳴らした。その瞬間、水弾がはじける。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」
周りの赤が去っていく。
「うぅ、うぅ。」
赤が居なくなったあとには花子さんが1人、すすり泣いていた。
「それでぇ、こんなことをした動機はなぁに? 」
彩が尋ねる。
「ただ、ただ。私、遊びたかっただけなのぉ」
「そ、それだけ??」
「それだけって何よぉ!!私、病気がちであまり遊べなかったから、皆と遊びたかったのよぉ!」
「それならさぁ、オカルト部来ない?オカルト部なら、あなたと遊んであげられるよぉ。」
「ほ、ほんと?」
ほおけた幼い顔の花子さんは理解が追いつくと、だんだんと笑みを浮かべる。
「ありがとう」
そう言って、花子さんは2人に抱きついた。
「よぉしよぉし、これにて花子さん、無事解決ってね!」
花子さん無事解決━━━━!!!
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる