2 / 34
序章
序章 2
しおりを挟む
2
伊助はピカデリーの階段を二歩ほどで上がると、裏道に出た。
ピカデリー裏口を左折し、細い十字路にいる交通整理のガードマンを突き飛ばすと、伊助は伊勢丹の入り口へ入っていった。
伊勢丹に入ると、伊助は、迷う事無くすぐ前方にある階段を上がって行く。
警官達と村上と岩田もなんとかそれに追いつき、階段を上るが、二階の踊り場で岩田が値を上げた。
「村上、先に行け!俺は持たん・・・」
伊助は、村上を始めとした警官達と伊勢丹の狭い階段を上へ上へと駆け上がって行き、やがて屋上階へ辿り着き、通路を抜け、芝生の張られた庭のような部分にでる。
伊助は一瞬七月の嘘のような青空を見上た。
ベビーカーを押す若い夫婦、小さな子供を遊ばせる主婦。
伊助の目に平和な光景が毒物のように、脳内ではじけ飛んだとき、あちらこちらから警官達が雪崩を打ったように現れ、平和な屋上公園の空気は殺気だった物に一変した。
金切り声をあげ、子供を抱きかかえるようにして逃げる家族連れたち。
「クッ!」
伊助は苦しそうな呻きを上げると、屋上にある弁財天の小さな社を一瞥する。
「動くな!もう逃げられんぞ!」
一人の若い警官が血気盛んに叫ぶ。
「フフフ・・・ニゲラレヌカ・・・けけけけけぇ」
伊助は小烏丸を警官達に向けると、それを大きく振り回しながらクルリと身体を回転させた。
回転させると同時に、伊助は宙に浮き、黒いロングコートを鳥の翼のように広げた。
「えっ?」
「なにぃ?」
「あそこに居るぞ!」
警官の指す方を村上は見た。
信じられなかった。
信じる事など出来ようはずがなかった。
伊助は大きな三本足の鳥へ変貌し、伊勢丹の屋上看板の上にとまっていたのだ。
グアァァー!グアァァー!
伊勢丹の「○に伊」の看板の上で、人の背丈ほどの怪鳥が鳴いている。
グアァァァ!グアァァァ!
黒い怪鳥はもう一度鳴くと、翼を広げ、新宿御苑方面飛んでいってしまった。
「嘘だろぉ・・・」
「マジかよ」
警官達は悪夢の中から解き放たれずに、ただ屋上から街並みをぼんやりと眺めるしか出来ずにいた。
その悪夢の世界に、村上も漂っていた。
2
伊助はピカデリーの階段を二歩ほどで上がると、裏道に出た。
ピカデリー裏口を左折し、細い十字路にいる交通整理のガードマンを突き飛ばすと、伊助は伊勢丹の入り口へ入っていった。
伊勢丹に入ると、伊助は、迷う事無くすぐ前方にある階段を上がって行く。
警官達と村上と岩田もなんとかそれに追いつき、階段を上るが、二階の踊り場で岩田が値を上げた。
「村上、先に行け!俺は持たん・・・」
伊助は、村上を始めとした警官達と伊勢丹の狭い階段を上へ上へと駆け上がって行き、やがて屋上階へ辿り着き、通路を抜け、芝生の張られた庭のような部分にでる。
伊助は一瞬七月の嘘のような青空を見上た。
ベビーカーを押す若い夫婦、小さな子供を遊ばせる主婦。
伊助の目に平和な光景が毒物のように、脳内ではじけ飛んだとき、あちらこちらから警官達が雪崩を打ったように現れ、平和な屋上公園の空気は殺気だった物に一変した。
金切り声をあげ、子供を抱きかかえるようにして逃げる家族連れたち。
「クッ!」
伊助は苦しそうな呻きを上げると、屋上にある弁財天の小さな社を一瞥する。
「動くな!もう逃げられんぞ!」
一人の若い警官が血気盛んに叫ぶ。
「フフフ・・・ニゲラレヌカ・・・けけけけけぇ」
伊助は小烏丸を警官達に向けると、それを大きく振り回しながらクルリと身体を回転させた。
回転させると同時に、伊助は宙に浮き、黒いロングコートを鳥の翼のように広げた。
「えっ?」
「なにぃ?」
「あそこに居るぞ!」
警官の指す方を村上は見た。
信じられなかった。
信じる事など出来ようはずがなかった。
伊助は大きな三本足の鳥へ変貌し、伊勢丹の屋上看板の上にとまっていたのだ。
グアァァー!グアァァー!
伊勢丹の「○に伊」の看板の上で、人の背丈ほどの怪鳥が鳴いている。
グアァァァ!グアァァァ!
黒い怪鳥はもう一度鳴くと、翼を広げ、新宿御苑方面飛んでいってしまった。
「嘘だろぉ・・・」
「マジかよ」
警官達は悪夢の中から解き放たれずに、ただ屋上から街並みをぼんやりと眺めるしか出来ずにいた。
その悪夢の世界に、村上も漂っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる