黒白英雄戦記

優希ヒロ

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1章白の英雄誕生

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さらに奥に行くと若い男が待っていた。
「やぁ、雄牙くん。君には驚かされてばかりだよ。君は何のために戦う?」
「そんなこと聞いてどうする、シホを返せ!」
「それは無理だ、ドンを倒さない限りはね…。」
「それなら、僕が倒す!」
「その前に僕を倒さないと無理だ…。」
「お前の目的は何だ?」
「聞いてどうする?まぁ、良いさ…。僕の目的はこの街の解放さ…。だが、今の僕にはそれは無理だ、悪魔の呪いは解けない限りは…。」
「何故、奴らに立ち向かわない?彼らと力を合わせれば倒せるかもしれないのに…。」
「…。」
後ろからルキとビーンが現れた。
「無理だ、俺たちは呪いで奴に逆らえない…。」
「逆らえば、街の入り口にいた奴のように死ぬ…。」
「話はここまでだ、勝負だ雄牙!」
「待ってくれ、戦う必要はないはずだ…。」
「そうだね、僕の名はワン…。爪拳のワンだ、いくぞ!」と鉤爪を出し、襲い掛かってきた。
雄牙を剣を抜き、受け止めた。
「そっちからは来ないのか?どんどん行くぞ、くらえ!」と次々に連擊を放ってくるが雄牙はそれを受け流すのみだった。
「見てらせませんね、こんな茶番は…。それ、バーサーク。」とアスモがワンの頭上に現れ、ワンに魔法をかけた。
「ぐっ!うおおー!」と苦しそうにしたかと思うと理性が消え、殺気がその場に渦巻いた。
「何をした!」
「理性を消し、破壊の権化にした。さぁ、殺しあえ!」と言い、姿を消した。
「ふざけるな!人の命を何だと思っているんだ。ワン、今助けるから、待ってて…。」と今度は雄牙の方から進撃をかけ、ワンと互角の戦いを繰り広げ始めた。
二人の攻撃がぶつかる度に衝撃が生まれ、地響きが鳴り響いた。
ワンの攻撃はどんどん速くなるのに対し、雄牙のスピードは落ち始めていた。
「このままじゃ…。」
「雄牙くん、早くワンを止めろ!このままだと取り返しがつかなくなるぞ!」
「乾坤一擲の一撃で極めなさい!」
「それじゃ、ワンにダメージが…。魔剣よ、力を!悪魔の支配を撃ち破る力を貸せ!」
雄牙の思いに反応し、魔剣は赤く光り始めたのと同時にワンが突進を仕掛けたところに雄牙の居合い斬りを放った。
ワンが地面に倒れ、体から黒い煙が出て、完全に殺気が消え、雄牙はワンのもとに駆け寄った。
「ワン、大丈夫か、起きろ!」
「まだ意識はないようだ、俺達がワンを見てる…。」
「彼女のもとへ急ぎなさい!」
「わかった!」
「ちょっと待って!ワンを助けてくれてありがとう…。」
「ああ、行ってくる!」と一瞬笑顔を見せ、ドンがいる部屋へと向かった。
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