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キャンディス戦 序盤の攻防

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「おおおおお!」「きゃあああ!」「いえええい!」
「ドラゴンA!」「ドラゴンA!」「ドラゴンA!」「ドラゴンA!」「ドラゴンA!」
「キャンディス!」「キャンディス!」「キャンディス!」「キャンディ!」「キャンディス!」
 どごぉん!
 観客たちのエキサイティングな歓声!俺、そして対戦相手であるキャンディスへ対するコール。俺のホームともいうべきフィロソフィコロッセオで五分五分といったいったところ。相手のホームだったら一方的なキャンディスコールに、俺は押し潰されてしまったことだろう。
 360度、老若男女、試合そのものに期待を寄せる声、俺とキャンディス双方への声援。未だキャンディスの、背徳の悪徳令嬢の完璧な全身スタイルから醸し出される魔性の色香。それらが一気に押し寄せて来ると、脳内の処理が追いつかずに意識が遠のきもする。
 こんなんではダメだ!試合開始を告げるドラは鳴ったというのに!俺はかつてないほどの酷いメンタル状態で試合に臨むことになってしまった。

 キャンディスはスぃーという軽やかな感じで俺へと向かって来た。まるで氷上で滑り舞うフィギュアスケーターのように。それでいて、靴の底からは彼女の接近が振動として伝わって来ている。
 かなり遠いと思った位置からキャンディスはキックを放って来た。長く広がっていたスカートの裾はミニスカートになっている。腿の少し上あたりから下は彼女見ずら脱ぐように取り外していた。格闘技をするに当たって短くできるよう特注しているのだろう。詳しくは分からないけど。
 バチン。キャンディスの先制キックをブロックした瞬間、俺の両腕に骨まで響くような衝撃が広がっていった。長身とはいえ想像外の遠距離からキックが伸びて来て俺の頭部まで届いて来たのも驚異的なら、その威力、破壊力も脅威的だった。
 そんな恐ろしいまでのキック、そして、パンチ。キャンディスは楽々と放って来た。次から次へと。試合開始早々のラッシュ攻撃。おおお。観客たちが大きく盛り上がっていて、歓声が地鳴りのように響いているのは伝わって来ているのだが、今の俺はそれについて感じている時間はない。
 キャンディスは軽々と打撃を繰り出してきているが、その一撃一撃はかなり重い。なるべくブロックしたくはないのだが、キックやパンチの速度が速すぎて、さらには撃ってくる時間的なタイミングも早すぎるので、全てのキックパンチをかわすことなど到底出来ずに、何発か彼女の打撃を腕でブロックしてしまった。
 バチン!このままでは腕が折られてしまうかも知れない。それぐらい脅威的な威力。打撃を撃っている彼女も同じ衝撃を受けているはずなのだが、全く痛がってはいない。
 全ての拳闘士や格闘家はいかに自分がダメージを受けないよう打撃をする練習をして、経験を重ねて行って身につける分けであるが、そのことを考慮したとしても、あまりにも身体が、肉や骨が頑丈すぎる!これがブラックモアの魔改造された人体とでもいうのか?あの17歳とは思えない妖艶で魔性の美貌も。
 もちろん、顔やボディなどに食らったら大ダメージ間違い無し。反撃できるタイミングもない。今の俺にできるのはただただキャンディスの猛攻を耐え忍ぶことのみ。

 ハアハア。ほぅ。なんとか助かったみたいだぜ。キャンディスはやって来たのと同様滑るような素速いステップで、俺との距離を取ってくれた。甘く熱せられた匂いに対戦相手は鬼ではなく魔性の女であったと改めて知らされる。
 俺は美貌や色香で圧倒されて、心まで掻き乱されてしまった魔性の妖艶さを持つ17歳の美少女相手に、格闘技面でも圧倒されてしまった。そう思うとこの世界に転生されて来て、英雄であり勇者クラスの両親に産まれて来た子供ゆえの四苦八苦に苦しみ、越えられない壁にぶち当たりながらも、頑張って頑張ってなんとかクリアして来て得られた自信が、早くも揺らいでしまう。
「あたくしの猛ラッシュに一撃も喰らわずに耐え抜くなんて、さすがは最強の拳闘士ドラゴンAですわね。他のことは何も考えずにあたくしのキックやパンチにだけ集中している。そんな目つきであり呼吸をしていましたわ。見事な集中力でしてよ」
 キャンディスはニコリと微笑む。ドキンっ。すごく可愛い。それにしても、俺が集中力を失っているのを感じて敢えてラッシュをしかけて来てくれたのなら、俺としてはありがたいし対戦相手をも思いやることのできる真に強くて優しい女性なんだなと思う。彼女が急速にスクエアジャングル中で支持されていっているのか、肌で知らされてもしまった。
 まだ勝ち負けが決まっていないのにちょっぴり敗北感を感じてしまう。
「さあ、今度はそちらの方からラッシュをしかけてくださいな。あなたの強さ、あたくしたちの陣営を含めてのこの世界で現最強の男の強さを、現最強の女の身体に体験させてくださいな」
「おう!目覚めさせてくれた礼にたっぷり体験させてやるぜ!」
 俺は怖さも感じながら、キャンディス自ら自認している最強の女の身体に向かっていった。全力で!
 身体の熱から来る暑さ、甘い匂いはたっぷり感じられる。妖艶な美貌、完璧なスタイルをした17歳の女の身体は直ぐ近くに常にある。だけど手にすることはできない、届くこともない。
「ハアハア……」
 俺は息を切らし始めてしまう。キャンディスの身体には未来永劫俺の手も足も届かない……。そう弱気になってしまうと、俺は彼女の身体から距離を取った。今後の試合展開を考えると恐ろしくもあった。
 
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